ページが見つかりませんでした https://www.maboroshinosake.com/sake/sakekasu 酒粕販売から酒粕料理・レシピを紹介する酒粕の専門サイト Mon, 11 May 2020 05:53:37 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=5.5.14 初心者のための米麹甘酒入門 https://www.maboroshinosake.com/sake/sakekasu/debutant/ Wed, 01 Apr 2020 01:46:26 +0000 https://www.maboroshinosake.com/sake/sakekasu/?p=1709 最近では、日本で古くから飲まれている甘酒に注目が集まり、スーパーやコンビニなど身近なお店でよく見かけるようになりました。「飲む点滴」とも呼ばれている甘酒は、夏バテ予防に注目されているドリンクです。 もしかすると、甘酒を日 […]

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最近では、日本で古くから飲まれている甘酒に注目が集まり、スーパーやコンビニなど身近なお店でよく見かけるようになりました。「飲む点滴」とも呼ばれている甘酒は、夏バテ予防に注目されているドリンクです。

もしかすると、甘酒を日本酒の一種と思っている人もいるかもしれません。甘酒は日本酒と同様に麹の発酵作用を利用して米からつくられます。しかし日本酒とは違い、甘酒は米のでんぷんを麹菌によって糖分に変える、つまり糖化させるだけなので、アルコールは含まれていません。酒ではなく、子供でも安心して飲める、自然な伝統的健康飲料です。甘酒には、ビタミンや必須アミノ酸など、私たちが生きていくために必要な栄養素が多く含まれています。

今では、甘酒というと初詣の際に神社振る舞わられる、寒い冬の時期に飲んで体を温めるイメージがありますが、昔の人々は夏に冷えた甘酒を飲んでいました。江戸時代末期には街中を多種多様な商人たちが品物を売り歩いていましたが、その一つが甘酒売りでした。特に関西では夏に、江戸では四季を通じて甘酒を売り歩いていたといいます。このような習慣からも分かるように、俳句で使われる「甘酒」は、夏の季語になります。また、江戸時代には、酒の席の前に甘酒を飲んで悪酔いを防ぐことが「武士の作法」とされていました。

 

1. 米麹甘酒は夏バテ予防にぴったりのドリンク

米麹

米麹甘酒が「飲む点滴」と呼ばれ、体へ吸収されやすいブドウ糖やオリゴ糖をはじめ、ビタミンB 群、アミノ酸などが米麹甘酒には含まれています。また、米麹甘酒の酵素が消化吸収を助けると考えられていることから、健康のために甘酒を飲む人も増えています。

日本では古くから甘酒が飲まれていました。江戸時代の書物「守貞漫稿(もりさだまんこう)」には、夏に多くの甘酒売りが甘酒を売り歩く様子が記載されています。江戸時代は現在のように栄養状態や衛生状況が整っていなかったため、夏を乗り切るために甘酒を飲んでいたそうです。水分補給と栄養補給を同時にできる甘酒は、現在も夏バテ予防のドリンクとして注目されています。

甘酒の味わいが飲みにくいと感じる方は、豆乳や牛乳、フルーツ酢などと割ると飲みやすくなります。冷たくしても温めてもおいしいので、季節に合わせて飲むこともできます。

 

2. 米麹甘酒の製法と酒粕甘酒との違い

甘酒には米麹を原料にするものと、酒粕を原料にするものがあります。どちらも麹が発酵する働きを利用して作られた発酵食品です。では、米麹と酒粕でどのような違いがあるのでしょうか。

米麹甘酒は、米麹または米と種麹にお湯を加え、温度60℃前後を保って作られます。麹菌の働きが活発になる60℃前後にすることで、米のデンプンが分解されブドウ糖やオリゴ糖に変化します。60℃より低いと酵素の働きが弱くて甘くなりませんし、温度が高すぎると酵素が壊れてしまい、やはり甘くなりません。この60℃という温度は、他の雑菌が生存できない温度でもあるので、これより低いと雑菌が繁殖して腐敗する、また乳酸菌が増えて酸っぱくなることがあります。そうしてできるのが、自然な甘味のする甘酒です。米麹から作られた甘酒には、アルコールは含まれていないので、子どもやアルコールが苦手の方でも安心して飲むことができます。

一方、酒粕甘酒は、酒粕を水で割り、甘味をつけて作られます。初詣の神社や縁日などで振舞われることも多く、多くの方が一度は酒粕甘酒を口にしたことがあるのではないでしょうか。

酒粕は、日本酒を作るときに残った搾りかすです。日本酒は、米と麹を原材料にして、麹菌による発酵と酵母菌のアルコール発酵によって作られています。そのため、酒粕にもアルコール分が残り、日本酒のようなフルーティーな香りや深いコクを楽しめるのです。

市販されている酒粕甘酒に含まれているアルコール分は1%未満ですが、酒粕から甘酒を作ると1%以上のアルコール分が含まれている可能性があります。これは、使用する酒粕によってアルコール濃度が異なるためです。アルコールに弱い方や妊娠中の方が酒粕甘酒を飲むときは注意しましょう。

また33日の端午の節句には、伝統的な風習では、女の子のいる家庭では梅の花やお雛様が飾られ、雛あられと共に白酒が用意されます。白酒は、蒸したもち米と米麹にみりんまたは焼酎を混ぜて仕込み、2030日間熟成させた後に、できたもろみを軽くすりつぶしてつくります。アルコール分9%前後、糖質45%程度が含まれています。酒税法ではリキュール類に分類される酒の一種です。

米と麹で作られる発酵食品は、日本酒、甘酒のほか、酢、焼酎、みりん、料理酒、白酒など、普段の食卓に馴染みの深いものだけでも数多くあり、他にも郷土料理など多岐にわたります。このように、米は発酵食品には欠かせない原料であるということがよく分かります。

酒粕甘酒は小鍋に酒粕と水、そして好みの量の砂糖を加えて作ります。水や砂糖の分量はお好みです。味見をしつつ、とろみや甘さを確かめながら、砂糖や酒粕の分量を調節します。材料さえあれば、簡単で手間もかからず誰でも作ることができます。米麹甘酒も材料は米麹と水と米(米がなくても可)とシンプルですが、酒粕甘酒に比べて少し手間と時間がかかります。基本的な作り方は以下の通りです。

 

【材料】

米…1

米を炊くための水…360ml

冷ますための水…360ml

生の米麹…400g(乾燥麹なら200g

 

【作り方】

1)やわらかめにご飯を炊く

ご飯が炊けたら、保温したまま1に少しずつ360mlの水を入れて混ぜながら冷まします。この後麹を加えていきますが、麹は60度以上で死滅してしまうので、温度計で測って60度をキープします。温度が下がらなければ少し水を足します。

この温度調整は甘酒を作る上での唯一のポイントです。あとは炊飯器に任せるだけなので失敗しません。

3)麹を加える

3に麹を加え、全体をしっかり混ぜる。

4)濡れぶきんをかけて8時間保温する

炊飯器のふたを開けたまま濡れぶきんをかけて発酵させます。6時間以降で甘くなりはじめ、完成目安は8時間です。途中で12度ふきんを湿らせて乾燥を防ぎます。

5)ペースト状になったら完成

ヘラですくってトロッとするぐらいのペースト状になったらできあがりです。 粒感のない甘酒を好むなら水の分量を100mlほど多めにします。あるいは、飲む際にブレンダー(スティックミキサー)でなめらかに仕上げても良いでしょう。

6)密閉容器に入れて保存

清潔な密閉容器に入れ、粗熱が取れたら冷蔵庫で保存をしてください。手作り甘酒の消費期限は約1週間なので、使いきれなければ密閉保存袋に入れて冷凍しましょう。

 

【基礎知識】生の米麹と乾燥麹の違い

麹には「生」と「乾燥」があります。どちらを使ってもできあがりの味は変わりません。生の方が水分量が多くてしっとりしていて、乾燥はカラカラに干された状態です。見た目にはわかりにくいですが、パッケージに表示されてあるので購入の際にはチェックを。

使用する分量には違いがあり、今回は生の麹を使うので米1合に対して400gですが、乾燥の場合はその半量の200g。板状になっている麹は手でパラパラとほぐしてから使いましょう。

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このように、米麹甘酒は材料も少なくレシピも簡単ですが、保温だけでも8時間となかなか時間がかかるため、自分で作るのをためらう方もいるかと思います。

もっと気軽に試してみたいという方は、オンラインやデパートなどにも販売されているため、すでに米麹甘酒として製品化されたものを購入するのもいいでしょう。しかしせっかくなら出来立ての米麹甘酒を飲んでみたいという方のために、今回は米麹で作られた本格的な甘酒を提供するお店をいくつかご紹介します。

 

3. 東京にある麹を使った甘酒が飲めるお店

①三河屋綾部商店

東京には、「糀谷」や「麹町」などという地名がありますが、東京も昔は麹造りが盛んだったのかもしれません。神田明神のお膝元では今でも麹を造っていて、甘酒や味噌などを売るお店や、麻布十番には今時のお洒落な雰囲気の麹食品屋さんまであります。その中でも一番の老舗である「三河屋綾部商店」。

三河屋綾部商店は、1616年(元和2年)に創業。江戸時代には将軍家に味噌を納めていたという、格式ある老舗です。宮内庁御用達でもあるお店に行くと、お茶の代わりに温かい甘酒が出されます。三河屋綾部商店では、甘酒の他にもお味噌、藁づとに包まれた納豆、米麹、もろみ味噌などを造り、販売しており、甘酒や珈琲が飲める喫茶店も併設しています。

東京には「こうじ」のつく地名がいくつかありますが、それはかつて麹造りが盛んだったためと言われています。昔は良い断熱材や加湿器など無いため、高台や山の谷間に横穴を掘って麹室(麹をねかす部屋)が作られていました。街道まで低い山が続き、その谷間に横穴を掘って麹室を作っていたのが今の「糀谷」で、麦の麹を造っていたのが千代田区の「麹町」です。地下鉄麹町駅を掘った際、地下から何かの室が出てきて、調査するために土を培養してみたところ麹菌が発見されたそうです。

かつては深川から湯島あたりには約20軒もの店があり、酒、味噌、醤油、麹が造られていたそうですが、今では数件に減少してしまいました。以前は、どぶろく、甘酒、味噌、醸造酢、漬物などを家庭で造っていたため、麹屋の需要も多くありました。特に東北の方では、長い冬を乗り切るための保存用に塩気が強いものが多いので、甘さが欲しい時は全て麹で甘みをつけていました。硬くてそのままでは食べられない乾物も、麹を入れて柔らかくしていたと言います。ですが、最近は一般的には味噌、醤油などはスーパーで購入し、自家製で造る家庭は昔に比べて減少してしまいました。核家族化により、麹の使い方を伝えるお年寄り世代が同じ屋根の下にはいなくなってしまったことも、麹を使わなくなってしまった要因の一つと言えます。かつては貴重とされていた砂糖も簡単に手に入るようになったため、甘酒の需要も減ってしまいました。

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②千年こうじや

2017年に麻布十番でオープンした「千年こうじや」は、新潟県南魚沼市の銘酒「八海山」のアンテナショップで、麹を使用した商品や酒の肴など、オリジナル商品が100種、魚沼からの仕入れ商品が200種、合わせて300種類もの商品が並んでいます。新潟県南魚沼市といえば美味しい米と淡麗な酒で知られていますが、豊かな発酵文化が昔から息づいている地でもあります。千年こうじやのふるさとは、新潟県の魚沼地方。越後三山をはじめとする険しい山々に囲まれ、冬には3メートルもの雪が降り積もる雪深い地域です。その長く厳しい冬を乗り切るために、人々はさまざまな知恵と工夫で独特の食文化を築いてきました。

魚沼の暮らしは、冬を中心に巡っていきます。春は味噌を造り、山菜を干したり、塩漬けにし、次の冬への準備を始めます。夏から秋にかけて、旬の野菜や茸などで保存食を作り、やがて到来する厳しい冬に備えます。その多くが、麹や酒粕、味噌などの発酵食品を使った味わい深いもの。自然に寄り添う昔ながらの暮らしの中で、手づくりの味は今も各家庭に受け継がれ、日々の食卓を豊かに彩っています。

「千年こうじや」ではもともと、魚沼の食品を使った味噌や漬物を作っていましたが、さらに色の分野を伝えるために食品開発部が作られ、麹や酒粕で何が作れるかを色々と試行錯誤し、店舗のオープンに合わせて、清酒を使用した化粧品やいろいろな種類の塩麹、ゆず、青梅、イチゴなどのフルーツビネガー、コーヒ、抹茶などをブレンドした甘酒など数々のオリジナル商品が開発されました。ドレッシング、パスタソースなどもあり、麹という今の家庭では馴染みが薄くなりつつある食材を、抵抗なく現代の食生活に取り入られるように、創意工夫がなされています。また新しいものだけではなく、神楽南蛮という魚沼でしか採れない唐辛子と工事と塩辛作った調味料や三五八漬の元など、魚沼で昔から伝わる食品も並びます。

また千年こうじやでは、生酒用の精米歩合60%の米を使用して麹が造られているので、大変手間のかかる贅沢な麹を提供しています

お店の内装は魚沼の民家をイメージしているそうです。東京では銀座と日本橋にも店舗があります。日本橋のお店では、ランチを提供する飲食スペースや、日本酒バーも併設されているので、実際に飲食してみて気に入った商品を購入する、ランチなどで提供されたメニューを参考に商品を選択することもできます。新潟や東京の店舗になかなか行けない場合は、オンラインで商品の購入することも可能です。魚沼にある酒蔵の横には「雪室千年こうじや」という店舗があります。

「雪室」は雪国の人たちの知恵と工夫から生まれた天然の冷蔵庫です。年間を通して低温が保たれ、光の影響を受けない中で貯蔵された米や野菜は糖分が増すなど、熟成により味覚が変化する食品もあります。八海山雪室の日本酒を貯蔵するための雪中貯蔵庫の一部にも野菜など食品を貯蔵し、販売されています。店内の空調には雪室の冷気を一部使用されており、自然エネルギーを有効活用した環境に配慮した施設にもなっています。東京にあるアンテナショップやオンラインショップに並ぶバラエティ豊かな商品をきっかけに、秋は稲穂が実り一面金色になり、冬は雪の壁で真っ白になり、春になると緑で溢れる魚沼を実際に訪れ、古くから続く麹の魅力を景色や空気感も含んで五感で堪能できるのではないでしょうか。

そして千年こうじやの母体である酒造、八海山では、日本酒と発酵を学ぶセミナーやワークショップを東京と大阪で開催しています。日本酒の美味しさの秘密、複雑な「造り」の仕組みを​わかり易く教えてくれる日本酒セミナーの他​味噌などの発酵調味料を手作りするワークショップを開催しています。このように甘酒を含む発酵文化を身近により多くの人々が触れられる多岐にわたる​取り組みを行っています。

 

3. 関西にある麹を使った甘酒の飲めるお店

 

①大阪屋こうじ店

京都を拠点にしている「大阪屋こうじ店」。大阪から京都の舞鶴に移り住んだことから、「大阪屋」を屋号として寛永年間に創業しました。文化元年(1804年)に麹製造販売を分家し、「大阪屋こうじ店」となりました。京都府下で100年以上の商いを継続している店「京の老舗」の認定も受けています。

大阪屋こうじ店の麹作りでは、昔ながらの伝統を守り、煉瓦や薦(こも)などを使い、煉瓦室上蓋製麹法(れんがむろうわぶたせいきくほう)で、一つ一つ手作りで最高の生こうじに仕上げています。蒸した佐賀大豆に種麹菌の胞子をふりかけて菌の繁殖に最適な温度3540℃の条件下で三日かけて製麹します。本店のある舞鶴市は、昔から「弁当忘れても傘忘れるな」と言われるほど天候が変化しやすい地形であり、年間を通して雨が多く、太平洋側と比較すると湿度が高い地域になります。また、山々に囲まれ、良質の水にも恵まれています。この気候風土が麹造りに最適で、良質の「生こうじ」ができるというわけです。

「麹屋」として三百年の秘伝の煉瓦、薦(こも) などを使用した昔から伝わる手作り製麹は、国産米と地下天然水を使用し、適度な水分を含み麹菌がふんわりと膨らんだ生こうじです。

「大阪屋こうじ店」京都府の舞鶴市内の本店のほか、京都市内の三条に店舗を構えています。舞鶴の本店は、文化元年(1804年)麹製造販売を分家し「大阪屋こうじ店」として、京都府下で100年以上の商いを継続している店「京の老舗」の認定を受けています。甘酒や麹はもちろん、生麹を使用した多種多様な商品が取り揃えられています。

三条神宮店では、京都情緒を楽しみながら、甘酒やみそ汁などが味わえるカフェスペース「糀屋cafe」もあります。

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大阪屋こうじ店の米麹は、冬場だけでなく、年中製造販売されています。オーガニックにこだわる方にも嬉しい、無農薬の麹もあります。無農薬栽培の新潟県産自然米と有機肥料100%の特別栽培米コシヒカリ、天然水を使用しています。麦麹は佐賀県産の大麦を使用して作りで丹念に仕上げられています。購入してすぐ使用出来る生塩麹、生麦塩麹、生醤油麹も取り揃えています。生塩麹は炒め物や焼き物など、生麦塩麹は中華風や洋風料理におすすめで、生醤油麹は卵かけ御飯、納豆、刺身など、お醤油の代わりに使用するといつもとは一味違う深みのある旨味が素材の味を引き立たせます。

 

大阪屋こうじ店の生甘酒の素は、米麹だけで仕上げた添加物無し、火入れもしていないので、酵素が生きている生甘酒です。生甘酒の素に約2倍の熱湯を加えるだけなので、とても簡単に美味しい甘酒が家庭でも味わえます。生姜を入れると風味が増し、冬場は体も更に温める効果が高まります。甘酒の独特の風味が苦手な場合は、牛乳で割るとよりマイルドな味わいになります。ヨーグルトに砂糖の代わりに甘酒の素を加えると、腸活にも効果的です。また、ぬか床に加えるとおいしいぬか漬けができます。甘酒の素は冷蔵で約1ヶ月、冷凍では約3ヶ月保存が可能です。

甘酒以外にも、生甘酒を使用したスイーツも販売されています。甘酒アイスクリームは、生甘酒と生クリームのみで、砂糖、食品添加物(安定剤、乳化剤、香料)はもちろんのこと、卵不使用のため、卵アレルギーの方も美味しくいただけます。甘酒フィナンシェは砂糖の代わりに生甘酒が使用されており、甘酒とバターの風味が生きたフランスの焼き菓子です。

また、京都府綾部上林産地鶏や舞鶴産鰆の西京漬、舞鶴産のイカの塩麹漬け、舞鶴産万願寺とうがらしを生米麹でじっくりと煮込み、麹のうまみを生かしたおかず味噌など、地域の食材と生麹を組み合わせた酒のつまみとしても最適の商品も並んでいます。

 

4. スイーツや料理の材料に。調味料としても活用できる米麹甘酒

米麹甘酒はドリンクとして飲むほかに、スイーツや料理の材料にも活用できる食材です。おしるこ・ホットケーキ・ドレッシング・スープなど幅広く活用できます。

スイーツに活用する方法は簡単。砂糖などの代わりに米麹甘酒を取り入れてみましょう。おしるこにするなら、ゆであずきに甘酒を加えて甘味をつけます。ホットケーキミックスで作るホットケーキには、牛乳の代わりに甘酒を加えると、もっちりとした生地になります。

料理に活用するときもスイーツと同様です。ドレッシングでは、酢・サラダ油・塩・こしょうを混ぜ、甘酒を加えます。甘酒が加わることで甘味と、とろっとした風味がプラスされ、クリーミーなドレッシングに仕上がります。梅やわさびなど、ほかの食材を加えて味を変化させても良いでしょう。スープにするなら、食材をミキサーにかけたポタージュがおすすめです。甘酒の粒状も滑らかになり、とろっとしたスープになります。

米麹甘酒には酵素が含まれているので、肉や魚を漬け込むと素材の味を引き出し、加熱してもやわらかく仕上がります。味噌や醤油などと一緒に漬け込むだけで、味が決まります。

このように、米麹甘酒は、ほかの食材と組み合わせるほか、調味料としても幅広く活用できるアレンジのしやすい食材です。

米麹甘酒は、古くから栄養補給のドリンクとして親しまれてきました。飲む点滴と呼ばれるように、食欲がわかない暑い時期や、忙しくて食事をしっかりと食べられないときの栄養補給におすすめのドリンクです。そのまま飲むだけでなく、さまざまな食材と組み合わせて活用してみましょう。

 

①甘酒ミルクティー

甘くて優しい味わいで、温めても冷やしても美味しくいただけます。甘酒特有のくせが紅茶の苦味で調和されて、甘酒が苦手な方にも飲みやすい味わいです。

【材料(2人分)】

紅茶(無糖)・・・200ml

甘酒(濃縮タイプ)・・・150ml

牛乳・・・150ml

【作り方】

全ての材料をよく混ぜて出来上がりです。

 

②甘酒フレンチトースト

バターと甘酒、洋と和のマリアージュ。子供から大人まで大好きなやさしい味わい。

 

【材料(3人分)】

食パン・・・3枚(バゲットでも)

粉砂糖・・・適量

バター・・・適量

A

甘酒(濃縮タイプ)200ml

牛乳・・・100ml

卵・・・2

バニラエッセンス・・・適量(なくてもよい)

 

【作り方】

  1. ボウルにAを入れてよく混ぜ、1/4に切った食パンをAの液に浸す。
  2. フライパンにバターを入れて溶かし、1を加えて弱火で両面をこんがりとした焼き目をつけて焼く。
  3. 器に盛り付け、好みで粉砂糖を振る。軽くホイップした生クリーム、アイスクリーム、フレッシュフルーツ、キャラメリゼしたバナナなど、お好みでトッピングすると、見た目も華やかでおもてなしにもぴったりです。

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③鶏とブロッコリーの甘酒サラダ

甘酒を使用した甘酢っぱいドレッシングは、他の葉物や根菜を使った野菜サラダにも。

 

【材料(23人分)】

鶏ささみ・・・3本(150g

ブロッコリー・・・1株(250g

お酒・・・小さじ1

A

甘酒(濃縮タイプ)・・・大さじ1

酢・・・大さじ1

塩・・・小さじ1/2

オリーブオイル・・・小さじ1

黒こしょう・・・少々

 

【作り方】

  1. 鶏ささみはお酒をふりかけて、耐熱容器に入れてふんわりとラップをかけます。電子レンジで1分加熱した後裏返して、さらに30秒加熱し、ラップをしたまま冷ましておきます。
  2. ブロッコリーは茎の硬い部分を切り落とし、小房に分け、耐熱容器に入れてラップをかけ、電子レンジで2分半加熱する。
  3. Aを良く混ぜ、ブロッコリーと食べやすい大きさに裂いた鶏ささみと和えて出来上がりです。

 

④かぼちゃとひき肉の甘酒煮

みりんや砂糖の代わりに甘酒を使い、こっくりと甘いかぼちゃが懐かしい味わいです。

 

【材料(2人分)】

かぼちゃ・・・1/4個(600g

豚ひき肉・・・150g

お酒・・・小さじ2

甘酒(濃縮タイプ)・・・大さじ3

水・・・150ml

醤油・・・大さじ2

 

【作り方】

  1. かぼちゃは種とワタを取り、所々皮をむいて食べやすい大きさに切っておきます。鶏ひき肉にお酒を入れて混ぜ合わせておきます。
  2. 鍋に日をかけて、豚ひき肉を入れてかき混ぜ、色が変わったら甘酒と水とかぼちゃを入れて蓋をし、時々かき混ぜながら中弱火で10分くらい煮ます。かぼちゃが柔らかくなったら蓋を取り、醤油を加え、水分を飛ばしながら5分くらいに詰めて出来上がりです。

 

⑤甘酒入りミネストローネ

甘酒を入れることでコクが増す具だくさんの野菜スープです。

 

【材料(4人分)】

トマト・・・中3

キャベツ・・・100g

玉ねぎ・・・中1/2

にんじん・・・1/3

じゃがいも・・・中1

ベーコン・・・50g

蒸し大豆・・・50g

にんにく・・・1かけ

水・・・2カップ

A

コンソメ・・・5g

甘酒・・・1/2カップ

ケチャップ・・・小さじ1

塩・・・少々

オリーブオイル・・・大さじ1

パセリ・・・適量

 

【作り方】

  1. トマトは湯剥きし、荒めにきざんでおきます。(湯むきしなくても大丈夫ですが、湯むき口当たりなめらかで美味しくなります) きゃべつ、玉ねぎ、にんじん、じゃがいもはそれぞれ角切りにします。ベーコンは短冊切りに、にんにくはみじん切りにします。
  2. 鍋にオリーブオイルを入れ、にんにくを入れて香りが出たらベーコンを炒め、きゃべつ、玉ねぎ、にんじん、じゃがいもを加え炒めます。
  3. 2にAと水を加え、沸騰したら中火にし、あくを取りながら具材に火が通るまで約15分程煮込みます。
  4. 3に蒸し大豆、甘酒、ケチャップを加え、塩で味を調えます。
  5. お皿に盛りつけ、みじん切りにしたパセリを散らして完成です。

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6. まとめ

腸活や発酵食品への注目度が高まり、美容と健康に効果があるといわれていることから、甘酒への人気も高まっています。そのため、甘酒になじみのない若い世代には、新しいタイプのヘルシーなスイーツとして、一つのトレンドと捉えられているようです。

そのまま飲んだり、砂糖の代わりに調味料として使用したり、普段の食生活に気軽に取り入れやすい甘酒を使用したドリンクやスイーツ、料理を提供す

るお店もでき、伝統的な健康飲料である甘酒の可能性も広がりつつあります。今では、コンビニなどで手軽に手に入るものから、数百年の伝統を持つ麹を使用した本格的なお店の甘酒まで多様な選択肢があります。日本の伝統的な発酵食品の甘酒を自分らしく取り入れて、健康で美しく豊かなライフスタイルを送ってみてはいかがでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

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生甘酒のすすめ https://www.maboroshinosake.com/sake/sakekasu/fresh/ Wed, 01 Apr 2020 01:47:14 +0000 https://www.maboroshinosake.com/sake/sakekasu/?p=1724 麹菌の効用 「飲む点滴」「飲む美容液」とも呼ばれ、疲労回復や美肌効果もあると話題の甘酒。麹で作られた甘酒には、ビタミンやアミノ酸のほかに100種類以上もの酵素が含まれ、とても滋養豊富な食品です。麹とは、麹菌というカビを蒸 […]

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麹菌の効用

「飲む点滴」「飲む美容液」とも呼ばれ、疲労回復や美肌効果もあると話題の甘酒。麹で作られた甘酒には、ビタミンやアミノ酸のほかに100種類以上もの酵素が含まれ、とても滋養豊富な食品です。麹とは、麹菌というカビを蒸した米や麦、大豆などにふりかけて繁殖させたものです。米に麹菌を繁殖させたものを米麹といい、生甘酒の材料になります。麹菌は、増殖するときに100種類以上もの酵素を出します。中でも「アミラーゼ」と「プロアテーゼ」という2つの酵素は重要で、アミラーゼは米のでんぷんをブドウ糖やオリゴ糖に、プロアテーゼは米のタンパク質をアミノ酸に分解します。

そして、それらの糖やアミノ酸を栄養源として増えていくのですが、これが人間の身体にとって有益な栄養素になります。さらに麹菌は新たにビタミン類なども生み出します。麹菌が最も繁殖しやすい約30℃の温度と一定の湿度を保った室(むろ)の中で、麹菌に菌糸を伸ばさせながら酵素やビタミン類をどんどん出させる繁殖作業を製麹(せいさく)といい、菌糸が米を覆い尽くし、酵素が十分に出た段階で麹は完成します。製麹には34日かかり、できたてのものが生麹、水分を飛ばしたものが乾燥麹になります。麹菌のタイプや米の種類、繁殖させる環境などは麹屋さんにより異なるためそれぞれ味や香りが異なるのです。

麹菌は東洋にのみ存在する有用微生物です。日本独特の気候風土により自然発生した世界でも類を見ないこの微生物は、デンプンをブドウ糖に、タンパク質をアミノ酸に分解する性質が強く、しかも効果的に脂肪を分解吸収するので、東洋微生物の王様とも呼ばれてきました。

麹そのものを食することはありませんが、古くから清酒、味噌、醤油、鰹節などの発酵製造に利用され、日本人の食生活には欠かすことのできない存在です。

麹には、でんぷん質を消化して糖分に分解するアミラーゼ、タンパク質をアミノ酸に分解するプロテアーゼ、脂肪を分解するリパーゼの3大消化酵素が豊富に含まれています。
酵素は体内の栄養素の分解、運搬、合成、排出を行う上で、とても大切な働きをしています。ビタミン、ミネラル、タンパク質など、必要な栄養がきちんと補給されていても、この栄養を分解して、必要なエネルギーに代えていくための酵素が不足していると、代謝機能がうまく働かず、高血圧、高脂肪、糖尿などの生活習慣病を呼び込んでしまうのです。

酵素はもともとは体内でつくられるタンパク質の一種ですが、現代人のバランスの偏った食生活では、圧倒的にこの酵素が不足していると考えられます。
しかも、酵素は熱に壊れやすい上に、年齢とともに体内でつくられにくくなるため、補助食品などから、効率よく補給してあげることが、大切です。

 

生甘酒とは

市販されているほとんどの甘酒は、味の変化を防ぐために加熱殺菌(火入れ)されています。その結果、熱でビタミンが変成し、微生物も死滅し、残念なことに酵素も活動を停止しています。

そこでおすすめなのが、自分で作る火入れをしない「生」の甘酒。この「生甘酒」なら活性している酵素や新鮮なビタミンなどを余すことなく摂取することができます。もちろん、「生」でしか味わえないフレッシュな風味も楽しめます。それでは、誰でも簡単にできる生甘酒の作り方 をご紹介します。

生甘酒を作るのに必要な材料は2つとシンプルです。麹とお湯、この2つだけです。お粥を加えることもありますが、麹だけで発酵させた甘酒は、甘みが増し、より短時間で作ることができます。お粥は甘酒のかさを増すために加えるため、お粥を入れないことでより濃縮した甘酒ができるというわけです。

麹は、蒸した米に麹菌を繁殖させた米麹を使用します。乾燥麹と生麹の2種類がありますが、手に入れやすいのは乾燥麹です。生麹を乾燥させて水分を飛ばしたものが乾燥麹です。スーパーで見かけるのは乾燥麹がほとんどです。常温保存も可能ですが、冷蔵保存した方が品質保持のためには安心です。だいたい半年を目安に使い切ると良いでしょう。一方生麹は作りたてのために日持ちがしません。近くに麹屋さんや味噌屋さんがあれば生麹が手に入りやすいです。そのほか生麹はオンラインショッピングでも購入可能なものもあります。保存期間は、冷蔵で1週間、冷凍で半年が目安となります。

 

乾燥麹を使用する場合

麹はだまがなくなるよう、使用する前に清潔な手でよくほぐし、室温に戻しておきます。混ぜる分量の張り合いは、麹:お湯=1:2としてください。お湯の温度は6365℃にします。麹と混ぜることで温度が少し下がり、酵素が活発に働く60℃前後になります。

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生麹を使用する場合

生麹を冷凍していた場合は、自然解凍します。だまがなくなるようよくほぐし、室温に戻します。混ぜる分量の割合は、麹:お湯=1:1としてください。お湯の温度は乾燥麹と同様に6365℃にします。麹と混ぜた時に60°C前後になるようにします。

とても細かい温度設定に少し面倒だなと思われるかもしれませんが、生甘酒作りで一番重要なポイントがこの温度設定になります。60°C前後より温度が高くても低くても甘くならないため、美味しい甘酒にならないのです。それは、麹菌の分泌する酵素が最も活発化する温度が60°C前後だからです。酵素が米麹に含まれるデンプンをブドウ糖やオリゴ糖などに分解するため、甘くなるのです。例えば、50°Cでは酵素があまり活発化しないため甘くなりません。一方70°Cと適温より温度が高いと甘みが出ないまま酵素が活動しなくなってしまいます。

温度計などを用いて自分で長時間、一定温度を保つのはなかなか難しいため、電気炊飯器や保温調理器、保温水筒など温度をキープできる容器を使用して麹とお湯を発酵させるのが良いでしょう。

電気炊飯器での作り方

内釜に麹を入れて6365℃のお湯を注ぎ、温度が60℃前後になったのを温度計で確認します。炊飯器の蓋は開けたままにし、その上を布巾で覆います。そのまま保温モードで4時間おきます。時々、温度計で60℃前後かどうかを確認します。途中で温度が下がった場合は、電気炊飯器の蓋を閉めて保温するか、炊飯モードで少し温度を上げてからまた保温モードに切り替えます。適温を4時間キープできる保温性の高いアイテムであれば、容器はなんでも構いません。保温水筒や保温調理器など、加熱機能のないものは温度が下がった場合は、60℃前後が保てるように注意しながら甘酒の加熱し、温度を調節してください。4時間経てばとろりとして濃厚な甘みのある生甘酒が完成します。もし甘みが足りないと感じた時は、保温時間を延長するなど調整をしてください。使用する麹のくせにより仕上がりも変わってきますので、味見をしながら自分の好みに合わせて微調整すると良いでしょう。

 

保存方法

出来上がった生甘酒は常温だと発酵が進み、味が変わってしまいます。作りたてをすぐに使用しない場合は、冷ましてからホーローやガラス、プラスチックの容器に入れて冷蔵庫で保存してください。冷蔵庫では約1週間を目安に保管してください。冷蔵保存でも発酵が緩やかに進み、ガスが出るため、まれに爆破することがあります。保存容器の蓋は少し緩めておく、もしくは1日1回は蓋を開けるようにしましょう。もしくは、ジップロックなどの保存袋に入れて平たく形を整え冷凍保存してください。冷凍保存する場合は3ヶ月を目安に保管してください。冷凍保存すると、解凍時に水分が出るために作りたての時よりは甘みが落ちます。いずれにせよ早めに使い切るようにしましょう。

冷蔵保存していても、時間が経ってしまうと生甘酒が酸っぱくなることがあります。これはブドウ糖を餌にする乳酸菌などが入り込み、増殖したことが原因として考えられます。しかし酸っぱい原因が乳酸菌によるものではなく、ブドウ糖をエサにする雑菌や腐敗菌が混入し、酸を出すこともあります。そのため、酸味を感じた場合は、飲まないほうが良いでしょう。雑菌や腐敗菌を入れないためにも、生甘酒を汚れたスプーンや指で混ぜることはやめましょう。もちろん冷蔵庫や冷凍庫内を清潔に保つことも大切です。

 

生甘酒の楽しみ方

生甘酒ドリンク

作りたての生甘酒は、そのまま飲むことが一番新鮮な味わいを堪能する方法です。もしそのまま飲むことに飽きてきたら、アレンジ次第でさらに美味しく、苦手な方にも飲みやすくすることもできます。寒い日は温めて、暑い夏の日は生甘酒に少量の水と氷を加えて冷たく冷やすと、夏バテ予防にもなる美味しい栄養補給飲料としても最適です。牛乳や紅茶、珈琲など、毎日習慣的に飲む飲料で割ったり、シナモンやきな粉で風味を加えるなどバリエーションは豊富です。

ただし、温めて飲む場合は60℃以下にしておかないと、せっかくの生甘酒の効能を十分に取り入れることができません。熱湯を加えることも、煮立てることと同様なので暖かい飲み物で割る時にも注意しましょう。

反対に、冷やすことでは酵素の活動に影響を与えないので、氷を入れる、また冷凍する分には、生甘酒の効能に影響を与えることはありません。生甘酒に旬のフルーツを加えてミキサーにかければ、いつものスムージーとは一味違う深みのある味わいになります。まったりとした食感が苦手な場合は、炭酸水やレモン、フルーツ酢を加えるとのどごしが爽やかでスッキリとしたスカッシュやビネガードリンクにもなります。レモンや柚子などの柑橘類を絞って加えるだけでも、すっきりととても飲みやすくなります。

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生甘酒スイーツ

生甘酒はそのまま飲むだけではなく、色々な料理にアレンジすることもできます。とろりとした食感や麹の粒感が特徴的ですが、そのまま飲むことに抵抗がある場合は、スイーツや料理に加えてみると取り入れやすいのではないでしょうか。感覚としては砂糖やハチミツの代わりに気軽に使ってみましょう。グラノーラにはヨーグルトや牛乳の代わりにかけてもいいですし、ヨーグルトや牛乳とともにかけても良いです。

ただし、生甘酒を高温で加熱してしまうと火入れをしたことと同様になりますので、酵素が活動しなくなってしまい、微生物も死滅、ビタミンも破壊されてしまいます。しかし、美味しさが損なわれることはなく、また生甘酒に含まれる栄養分が全てなくなってしまうわけではありません。今では温めて飲む冬の風物詩としてのイメージの強い甘酒ですが、江戸時代には冷やして飲む暑い夏を乗り切るための栄養補給ドリンクとして親しまれていました。昔の人々の慣習は、栄養学的に見てもとても理にかなっていたことがよく分かります。

生甘酒の栄養分をそのまま活かすスイーツのレシピをいくつかご紹介します。

 

①生甘酒のシナモンレーズンアイス

【材料(2人分)】

生甘酒・・・200ml

レーズン・・・20g

シナモン・・・適量

 

【作り方】

  1. 全ての材料をボウルに入れて混ぜ合わせます。
  2. 冷凍庫に入れて、30分おきにかき混ぜます。
  3. 2時間くらい冷凍庫で冷やせば完成。かたまり過ぎてしまった場合は、少し室温で解凍してから食べると良いでしょう。

 

②生甘酒ショコラ

【材料(6個分)】

生甘酒・・・50ml

くるみ・・・25g

ココナッツオイル・・・2030g

ココア・・・5g

シナモン・・・適量(なくても良い)

 

【作り方】

  1. くるみをフライパンで乾煎りします。その後包丁で細かく刻むか、フードプロセッサーにかけて小さく砕きます。
  2. 小鍋にココナッツオイルを入れ、溶かします。ココアとシナモン、1のくるみを加え、混ぜ合わせます。
  3. 2に生甘酒を入れて混ぜ合わせ、冷蔵庫で少し硬くなるまで冷やします。小鍋に甘酒を入れる時には温度計で60℃以下になるように確認しましょう。冷蔵庫から取り出して6等分にして丸く成形し、さらに冷蔵庫で冷やして完成です。

甘酒の粘度がゆるい場合は冷蔵庫で冷やしても固まらない可能性があります。その場合はココナッツオイルを加えて、再度加熱し、冷蔵庫で冷やす工程を繰り返してみてください。

 

③生甘酒モンブラン

【材料(6個分)】

A

甘栗(皮がむいてあるタイプ)・・・100g

牛乳・・・大さじ1

生甘酒・・・大さじ1

ハチミツ・・・小さじ2

ラム酒・・・小さじ1

B

生クリーム・・・200ml

生甘酒・・・大さじ2

 

クラッカー(無塩)・・・6

甘栗・・・6

 

【作り方】

  1. Aの全ての材料を一緒にフードプロセッサーにかけ、ペースト状にします。
  2. Bの生クリームと生甘酒をホイップし、絞り出し袋に入れ、クラッカーの上に高さ3cmほど絞り出します。
  3. 1を別の絞り袋に入れ、2を覆うように絞り出し、仕上げに甘栗を頂点に飾ります。

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④リンゴのガレット、生甘酒ソースを添えて

【材料(2人分)】

冷凍パイシート・・・1

リンゴ・・・1

A

生甘酒・・・50ml

ハチミツ・・・小さじ1

 

【作り方】

  1. リンゴはくし切りにし、さらに薄くスライスします。
  2. パイシートは15cmくらいに綿棒で四角く伸ばします。
  3. ボウルにAの材料を入れて混ぜ合わせます。
  4. パイシートの上にリンゴを2列に並べ、180℃に予熱したオーブンで20分焼き、220℃に上げて3分程焼き、表面に焼き色をつけます。
  5. 4をオーブンから取り出して粗熱をとり、3の甘酒ソースをかけます。お好みでバニラアイスを添えたり、シナモンをふりかけて完成です。

 

 

生甘酒を料理に取り入れてみる

60℃以上熱すると大切な酵素が壊れてしまうことから、料理にはなかなか取り入れにくいと思われがちですが、ドレッシングや冷製スープ、ピクルスなどとの冷やしていただく料理には生甘酒を取り入れやすいです。生甘酒の甘味が苦手な方は、様々な食材や、オリーブオイル、塩、酢、醤油などといった調味料と合わせることにより、無理なく健康的に生甘酒を普段の食生活に取り入れることができるのではないでしょうか。

 

①生甘酒とトウモロコシの冷製スープ

生甘酒が生トウモロコシの甘味をさらに引き立て、深みのある味わいです。

【材料(2人分)】

生甘酒・・・100ml

トウモロコシ・・・大きめ1

豆乳(成分無調整)・・・150ml

塩・・・適量

ブラックペッパー・・・適量

オリーブオイル・・・適量

 

【作り方】

  1. トウモロコシは包丁で身をそぎ落とし、鍋に入れる。大さじ2程度の分量外の水と塩少々を振り、ふたをして弱火で35分蒸します。弱火で蒸し煮することで、トウモロコシの甘味が引き出せます。
  2. ミキサーに1のトウモロコシ、甘酒、豆乳を入れ、好みのなめらかさになるまで撹拌します。塩、ブラックペッパーを入れ、味を調えます。
  3. 冷蔵庫で冷やして、器に注ぎ、オリーブオイルを適量まわしかけます。お好みでクルトンを浮かべていただきます。器も冷やしておくとより美味しくなります。

 

②生甘酒のガスパチョ

ガスパチョは、もともと農夫や羊飼いが過酷な暑さの中で水分と栄養を摂るために広まったと言われています。さらに遡ると、ローマ軍団が持ち込んだ飲み物に由来する、などという話もスペイン王立ガストロノミー学会のサイトには書かれています。ガスパチョの起源は、ローマ軍団が水筒に入れて持ち運んだ「ポスカ」という飲み物に由来します。ポスカは、水、ビネガー、塩、刻んだハーブから作られていました。

今ではガスパチョはスペインを代表する料理の一つとして有名で、ミキサーさえあれば簡単にできるため、暑い夏の日には家庭でもよく作られています。

 

【材料(2人分)】

生甘酒・・・125ml

トマト・・・5

きゅうり・・・1

セロリ・・・5cm程度

氷・・・56

オリーブオイル・・・小さじ2

塩・・・適量

ブラックペッパー・・・適量

セロリの葉・・・適量

タバスコ・・・適量

 

【作り方】

  1. フルーツトマトはヘタを取り除き、くし型に切る。セロリは薄切りにする。セロリの葉は千切りにします。
  2. ミキサーに、生甘酒、きゅうり、トマト、セロリ、氷を入れて、液状になるまで撹拌します。塩で味をととのえます。
  3. 器に注いで、セロリの葉を飾ります。仕上げに、ブラックペッパーをふり、オリーブオイルをかける。好みでタバスコをかけていただきます。

バゲットを薄くスライスし、ガーリックとバターを塗ってトーストしたガーリックトースとの相性が良く、夏場の食欲のない時のランチにもぴったりな、栄養補給を飲みやすさを兼ね備えたスープです。トマトときゅうり以外の野菜はズッキーニ、パプリカに変えても風味が異なり美味しくなります。またお好みでクミンなどのハーブやにんにく、白ワインビネガーを加えてもいいでしょう。

 

③たことスモークサーモンのカッペリーニ

生甘酒が素材の旨みを引き出し、味をまとめてマイルドに仕上げます

 

【材料(2人分)】

タコ(ボイル)・・・60g

スモークサーモン・・・4

バジル・・・4

A

アンチョビペースト・・・大さじ1

にんにく(すりおろし)・・・小さじ1

オリーブオイル・・・大さじ3

生甘酒・・・大さじ1

塩麹・・・小さじ1

 

カッペリーニ・・・120g

ブラックペッパー・・・適量

 

【作り方】

  1. たことスモークサーモンを食べやすい大きさにカットし、バジルは手でちぎります。
  2. Aの全ての材料をよく混ぜ合わせて、1を漬け込んでマリネし、30分ほど冷蔵庫で寝かせます。
  3. カッペリーニを表示時間通りに茹で、冷水にとってよく水洗いします。水気を十分に切ってよく冷やした2と会えます。皿に盛り付け、ブラックペッパーをふりかけて完成です。

 

④野菜が止まらなくなる、生甘酒バーニャカウダ

 

【材料(2人分)】

にんじん・・・1/2本

きゅうり・・・1本

セロリ・・・1本

生甘酒・・・大さじ1

にんにく・・・2片

アンチョビ・・・6枚

オリーブオイル・・・大さじ1

 

【作り方】

  1. にんじん、きゅうり、セロリなどお好みの野菜をスティック状に切る。にんにくをすりおろします。
  2. フライパンにオリーブオイルを熱し、弱火でにんにくを炒める。香りが出たら、アンチョビを潰しながら加えます。
  3. 火を止めて甘酒を加えてよく混ぜバーニャカウダソースにします。野菜スティックをソースにつけながらいただきます。

 

他にも生甘酒と塩麹、生甘酒と味噌、生甘酒と醤油などをそれぞれ組み合わせた漬け床に野菜やチーズ、魚介や卵、茹でた肉などを適当なサイズに切って漬け込み、冷蔵庫で寝かせておくと旨味が凝縮されて、コクのある味わいになります。

 

生甘酒にプラスαした新感覚甘酒

ベーッシックな生甘酒に慣れてきたら、様々な種類のお茶や甘みのある食材を加えてバリエーションを楽しんでみてはいかがでしょうか。

①さつまいも生甘酒

【材料】

乾燥麹・・・200g

さつまいも・・・200g

63〜65℃のお湯・・・300ml

(生麹200gの場合はお湯150ml

 

【作り方】

  1. さつまいもは蒸して皮をむき、一口大にカットします。麹は手でよくほぐしておきます。ふかしいもの代わりに、やきいもを使用しても美味しくできます。
  2. 保温容器にさつまいもと麹を入れ、お湯を注ぎます。60℃をキープして4時間保温します。途中で温度を確認しながら混ぜます。
  3. できあがった甘酒をミキサーにかけると滑らかでさらに美味しくなります。少しもったりとしているので、ときどき混ぜながら、滑らかに撹拌するのがポイントです。

 

ジャムの代わりにヨーグルトやアイスクリームにかけて食べるのもおすすめです。また、そのまま食べてもスイーツのようで、冷凍するとアイスクリームのような食感になります。

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#発酵アレンジ 先日のイベントではさつま芋甘酒に生クリームをゼラチンで固めたムースをお出ししました。 もちろん砂糖は不使用です。 材料もこの3つのみ。 さつま芋甘酒は何時間も何時間も混ぜ続けて手間ひまをかけた分、優しい甘さを醸してくれました。 生クリームは緩すぎるくらいに泡立てるのがコツ◎と言っても生クリームは10%しか入っていません。 凍らせてアイスにしても美味しかった〜 是非お試しください。 #さつまいも #甘酒 #さつまいも甘酒 #さつまいもスイーツ #スイートポテト #甘酒スイーツ #ムース #おうちごはん #おやつ #麹 #発酵 #発酵食 #発酵食品 #hamdmade #ハンドメイド

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②ほうじ茶生甘酒

日本で生産されるお茶のほとんどは緑茶です。緑茶とは、発酵させていない茶葉のお茶です。緑茶を焙煎したものが「ほうじ茶」です。ちなみに、「玄米茶」は緑茶に玄米を加えたもの。「ウーロン茶」は茶葉を半分発酵させたもので、茶葉を十分に発酵させたものが「紅茶」になります。

 

【材料】

乾燥麹・・・100g

ほうじ茶・・・600ml

(生麹100gの場合はほうじ茶300ml

 

【作り方】

  1. ほうじ茶を用意し、6365℃に冷ましておきます。麹は手でよくほぐしておきます。
  2. 保温容器に麹を入れ、ほうじ茶を注ぎます。60℃で保温し、ときどき温度計で温度を確認しながら4時間保温すると完成です。

 

③ルイボス生甘酒

ルイボスティーは南アフリカのセダルバーグ山脈一帯のみに自生する植物です。ノンカフェイン・ノンカロリーで、妊婦さんにもすすめられているほど、とても飲みやすいお茶であり、ミネラルのバランスもいいお茶です。抗酸化成分も含まれており、アフリカの人々は「不老長寿のお茶」と呼んで重宝されてきました。

【材料】

乾燥米麹・・・200g

ルイボスティー・・・400ml

 

【作り方】

  1. ルイボスティーを10分ほど煮出します。時間がない時は煮出さずにティーポットに茶葉を入れてお湯を注ぐだけでもいいですが、煮出した方がルイボスティーの効能がより一層抽出されるのでおすすめです。
  2. ルイボスティーを6365℃に冷ましておきます。保温容器に麹を入れ、ルイボスティーを注ぎます。60℃で保温し、ときどき温度計で温度を確認しながら4時間保温すると完成です。

 

ルイボスティーには発酵していないグリーンルイボスティーと、発酵して赤くなったレッドルイボスティーがあります。抗酸化作用はグリーンルイボスティーの方がレッドルイボスティーの10倍高く、そのためグリーンルイボスティーの方が高価になっています。グリーンルイボスティーは緑茶にも似たスッキリとした味わいで、レッドルイボスティーはほのかな甘みがあります。またスパイスが加えられたチャイ風味のルイボスティーなど様々な種類があります。お好みのルイボスティーを使って甘酒を作りましょう。

 

まとめ

麹菌を米、米ぬか、麦、大豆などに培養したものを麹と呼びます。麹はそのものを単体で食することはありませんが、麹は発酵する際、他の有用微生物との相乗効果で、甘味やうま味などをバランスよく引き出してくれます。しかも、麹による発酵食品は保存料などの添加物なしでも貯蔵性が高く、保存食としても重宝されてきました。そして、味噌や焼酎などは保存期間中に熟成が進行して、おいしさが増していう特長を持っています。

化学調味料や合成保存料などの存在しない時代に、先人たちは麹をうま味の元として、また天然の保存料として、日々の生活に上手に取り入れてきました。

麹は何百年という長い歴史を経て受け継がれている数少ない確かで安全な食品を生み出した微生物といえます。昔はどこの家でも自家製の味噌や漬け物を作っていました。自家製で作ってきたものも、近代化とともにスーパーマーケットやコンビニエンスストアなどで簡単に手に入れられるようになりました。また共働きが増えることで、家事を時短する傾向にもなりました。自家製のものを作るということは手間も時間もかかりますが、食生活の安全性が問われている今こそ、改めてその有用性を見直したいものです。

生甘酒は、保温の温度さえ注意すれば、米麹とお湯のみというシンプルな材料で誰にでも作れる簡単で栄養豊富な飲み物であり、万能調味料にもなるという変幻自在でアレンジ幅の広い食材となります。

冷凍すると保存期間も3ヶ月持つので、作りたての時はそのままのフレッシュな味わいを楽しみ、冷蔵または冷凍保存したものは、多種多様な食材と組み合わせてそれぞれの食習慣や好みに応じた取り入れ方をするなど、1度作るとストックしておけるため、毎日でも継続して食べやすいです。生甘酒で美味しく健康で豊かな食生活を楽しんでみてはいかがでしょうか。

 

参考:

  1. 「米麹菌の酸性プロアテーゼを食べると腸内善玉菌が増加」広島大学大学院生物圏科学研究科 日本食・発酵食品の革新的研究開発拠点/天野エンザイム株式会社

2. 月桂冠総合研究所/「麹カビと麹の話」小泉 武夫著 光琳テクノブックス 1 1984年)

3.「 麹と酵素とその働き」マルコメ株式会社

  1. 「麹と麹菌」愛知県産業技術研究所食品工業技術センター

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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甘酒のパワーの源、麹ってなに? https://www.maboroshinosake.com/sake/sakekasu/kojimold/ Wed, 01 Apr 2020 01:47:55 +0000 https://www.maboroshinosake.com/sake/sakekasu/?p=1748 麹菌は日本人の食文化に欠かすことのできないものです。醸造では「国菌」に指定され、多くの研究が進み、栄養・健康作用も広く知られるようになりました。米麹は、蒸し米に麹菌のニホンコウジカビを培養したもので、その米麹と水、(もし […]

投稿 甘酒のパワーの源、麹ってなに?酒粕専門店:幻の酒【酒粕屋】 に最初に表示されました。

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麹菌は日本人の食文化に欠かすことのできないものです。醸造では「国菌」に指定され、多くの研究が進み、栄養・健康作用も広く知られるようになりました。米麹は、蒸し米に麹菌のニホンコウジカビを培養したもので、その米麹と水、(もしくは米)のみで作る麹甘酒は、栄養や科学の知識のない、ずっと昔から実際にのみ、効果を体感することで、体調管理に役立つものとして身近に存在していました。東洋医学では体内の水分代謝改善の働きがあるとも言われています。

 

時代を経ても廃れずにあるのは、自然な甘みを持つ美味しさがあるからこそではないでしょうか。体にすっと染みゆく滋味とどこか懐かしいほっこりとする香りは、そのままいただくのはもちろん、野菜や果物を組み合わせればバリエーションが広がります。また、料理に甘みとコクを加え、お菓子をおだやかな甘みに仕上げてくれます。

 

麹菌とは?

ヘルシーで美容にも良いとされ、欧米でも人気を集める和食。2012年には、「和食:日本人の伝統的な食文化」としてユネスコ無形文化遺産に登録されました。今や寿司や味噌汁は世界各地に広まり、豆腐はヴィーガンの貴重なタンパク源としても注目され、今や世界各地のスーパーなどでも、手軽に手に入れられる世界で親しまれる食材のひとつとなりました。

その和食の特徴の1つとして、発酵食品が多いことが挙げられます。漬物や納豆だけでなく、醤油、味噌、みりん、日本酒、米酢といったお馴染みの調味料のほとんどが発酵によりつくられています。これらの調味料をつくるのに欠かすことのできない原料が「麹」なのです。

麹は、蒸した穀物や豆類に「コウジカビ」と呼ばれるカビを生やしたものです。麹菌(コウジカビ)は増殖するためにさまざまな酵素を放出し、食材に含まれるデンプンやたんぱく質を分解します。その結果、うまみ成分であるアミノ酸などがつくり出されるので、美味しいと感じるようになります。

 

コウジカビには数多くの種類があり、自然界にごく普通に存在していますが、黄麹菌(アスペルギルス・オリゼ)という種類が日本では主に使われています。これは別名「ニホンコウジカビ」といい、日本酒、みりん、味噌、醤油の製造に用いられています。ニホンコウジカビは、2006年には、日本醸造学会により日本独自の「国菌」として認定されました。他に、たまり醤油の製造に使われる「タマリコウジカビ」や沖縄の泡盛や焼酎に用いられる「アワモリコウジカビ」などがあります。そして日本料理には欠かせない出汁にも用いられる鰹節は、麹菌「カツオブシカビ」により造られている発酵食品のひとつです。このように日本の食文化は麹菌なくしては成り立たないほどに、私たちの食生活を支えている国を代表する菌なのです。

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なんでしょう?この奇妙な画像の正体は?? どうか、気持ち悪がらないでください。 よーく見ていただくと、美しく感じませんか? 実はこれは、和食を支えるスーパーヒーロー菌、「コウジカビ」の顕微鏡拡大写真なのです! 麹(コウジ)というのは広い意味では、穀物にカビを生やしたものです。その中で、狭い意味で麹といわれるのは、米に「コウジカビ」を生やした「米麹」です。 そして、酒・しょうゆ・味噌など和食の基本となる発酵食品は、この「米麹」を原材料として作られていますので、この一見奇妙な姿の「コウジカビ」こそ、和食を支える主役といえるのです! 麹には、コウジカビ自身とコウジカビがつくった酵素が蓄積されており、これを使った発酵によって、反応が加速されます。 酒・しょうゆ・味噌などの発酵食品の味を決める上での基盤であり、いずれの場合も「麹造りがもっとも重要」と謳われています。 さらに、「コウジカビ」の本名は、というと、 アスペルギルス・オリゼー です。 まるでヨーロッパの人物名のようですが、日本にしか存在しない菌なのです。 極めて毒性の高い野生の近縁種から人間が改良し、1000年以上前から利用してきたとされます。納豆や漬物、かつお節などでもそれぞれ異なる微生物が活躍しています。 3月14日(土)から開催される、特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」では、 様々な発酵の仕組みや発酵食品の製造過程をご紹介します。 特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」 https://washoku2020.jp/ #和食展 #特別展和食 #国立科学博物館 #科博 #和食 #食文化 #日本食 #米麹 #コウジカビ #発酵 #味噌 #醤油 #しょうゆ #酒 #日本酒 #麹菌 #オリゼー #アスペルギルスオリゼー #ニホンコウジカビ 写真:コウジカビの顕微鏡拡大写真

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麹甘酒に使用するのは、白米を原料とする「米麹」です。できあがったばかりの米麹はふわふわしており、花のように見えることから米に花と書いて「糀(こうじ)」と、日本語の美しさに改めて感じ入るような詩的な表記をされることもあります。これをそのまま商品化したものを「生麹」、水分を飛ばして乾燥させたものを「乾燥麹」といいます。乾燥させると麹菌の活動が止まるので、腐敗する心配がなく、長期保存に向いています。「バラ麹」と「板麹」の二種類がありますが、形状が違うだけで中身は同じです。また生麹と乾燥麹に成分の違いはないので、使い方に合わせて選ぶのが良いでしょう。

 

一般的な米麹は白米が原料で、クセがなく甘みが強い特徴があります。日本酒、米味噌、みりん、酢、甘酒の素になります。玄米麹は甘さ控えめで独特のコクと香りが特徴的です。玄米麹で甘酒を作ると、白米麹までの強い甘みはありませんが、玄米ならではの深いコクと強めの香りが楽しめます。

麦麹はオオムギやハダカムギなどが原料で、風味が豊かです。麦味噌や焼酎造りに使用されます。豆麹は大豆、ひよこ豆、小豆などからつくられ、豆味噌の原料となります。豆味噌はコクや複雑な味の深みを出してくれるペプチドを豊富に含んでいるので、煮込みうどん、味噌おでんなど煮込み料理に最適です。煮込めば煮込むほどコクが出て美味しくなるのも特徴です。 大豆たんぱくは肉や魚の臭みを消してくれる効果もあるので、さばの味噌煮などにもおすすめです。加熱すると香ばしい香りがして食欲増進にもなります。その他、奄美大島の蘇轍(そてつ)麹は、蘇轍の種子が原料となり、伝統的な味噌づくりに使われています。

このように麹は原料により味の変化が生まれ、地方色豊かで、多様な食文化を作り出しています。

 

 

麹が日本人に愛される理由

麹菌を用いた発酵食品は古代中国で始まりました。その技術が日本に伝来したのは弥生時代とも古墳時代ともいわれています。麹の記録が残る最古の文献は8世紀の奈良時代初期に成立した「播磨国風土記」にある酒造りに関する記述です。「大神の御粮(みかれひ)枯れてかび生えき 即ち酒を醸さしめて 庭酒に献て(たてまつりて)宴しき(乾飯が濡れてカビが生え、これで酒をつくった)」とあることから、麹菌の発見は偶然によるものと考えられています。カビた米飯は「加無太知(かむだち)」または「加牟太知(かむだち)」と呼ばれ、「麹(こうじ)」は、それが訛ってできた言葉ともいわれています。

麹の胞子の黄身がかった緑色は高貴な色とされ「麹塵袍(きくじんのほう)」という天皇の装束に用いられていました。室町時代には、麹菌の胞子だけを集めて粉末状にしたものが商品化されました。

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義父母から、娘への贈り物。 1日早いですが、 節分で鬼を祓い終えたので、 飾らせていただきました。 . なんとも美しいおひなさま。 . 即位の礼で天皇皇后様が纏われていた束帯, 五衣唐衣裳に近いものをと、妻と考え選びオーダーしました。 これで鬼はビビッて、うちに来ないはず! . しかし美しいおひなさま。 . 見惚れております。 なにより、 娘が喜んでくれたら嬉しいな。 . #義父母に感謝 義叔母にも感謝 店主さんにも感謝 おもしろい話を聞かせていただきました . #自慢の#雛人形 #我が家の家宝 #お雛様#お内裏様 #平成即位の礼 #束帯#黄櫨染 ではないけど #禁色#麹塵#青白橡#山鳩色 #麹塵袍#笏#立纓御冠#飾太刀 #桐竹鳳麟#桐竹鳳凰麒麟 #十二単#五衣唐衣裳#重ね色目#紅の匂 #おすべらかし#檜扇#平額#桐塑頭 #親王飾り#伝統工芸#御守り

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江戸時代になると、冷ましたお粥に麹を加えて作る甘酒が庶民の間で人気を集めます。一晩で簡単に作れるため「一夜酒」とも呼ばれ、天秤棒を担いだ棒手振り(ぼてふり)の行商により一杯68文(約150200円)で売られていました。そして甘酒を飲ませる茶店もありました。浅草の東本願寺門前には、三河屋、伊勢屋、大坂屋などの有名店があり、神田明神門前の三河屋、天野屋は現在も営業しています。

今では冬の飲み物のイメージの強い甘酒ですが、江戸時代には甘酒は夏によく売れていました。現在のように医療が発達していない当時、夏バテが死亡の原因になることも少なくありませんでした。健康に良いさまざまな栄養素が凝縮した麹で作った甘酒は、今でいうエナジードリンクとして飲まれていました。このように麹は古くから日本人の文化と寄り添い、日本人の物の見方、考え方や精神性を形成する要素の一つとして存在してきました。

 

米麹甘酒の健康効果

近年、甘酒の健康効果が改めて注目され、様々な商品が開発されています。麹菌のゲノム解析など、学順的な研究も進められています。その結果、疲労回復、ダイエット、病気の予防や整腸作用など、麹甘酒の様々な効果が科学的に裏付けられ、「ジャパニーズ・ヨーグルト」と呼ばれて海外でも話題になりつつあります。

それでは、今注目を集めている米麹甘酒のもつ健康効果についてもう少し詳しくご紹介します。

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夏バテや疲労の回復

消化不良や食欲不振、体のだるさなどの夏バテの諸症状は、高温多湿の環境やエアコンによる急激な温度変化がストレスとなり、それが原因で自律神経が正常に機能しなくなることで起こります。

自律神経を回復させる一番の方法はリラックスすることですが、麹甘酒には自律神経に作用し、緊張を緩和する働きのあるアミノ酸、GABAが含まれています。麹のほっこりする香りとおだやかな甘さが気分を落ち着かせ、リラックスさせてくれます。麹菌には同時に摂取した栄養の消化吸収を助ける働きがあるので、夏バテで弱った胃腸をやさしくサポートします。

麹甘酒に含まれるブドウ糖は、炭水化物の最小単位である単糖類の1つで、グルコースとも呼ばれています。分子が非常に小さいため体内に素早く吸収され、エネルギーに変換されます。疲れている時に甘いものが欲しくなるのは、体がエネルギーを要求しているためです。スポーツ選手などは競技前に食事の代わりにブドウ糖やバナナなど素早くエネルギーに変換されるものを摂取するのと同様に、麹甘酒を少し飲むことで、すぐに元気を回復することが期待できます。

麹甘酒にはビタミンB群も多く含まれています。「疲労回復のビタミン」と呼ばれている ビタミンB1を始め、筋肉や皮膚・髪の毛・爪などを健康に保つビタミンB2、皮膚・粘膜の再生や免疫機能に必要なビタミンB6500種類もの酵素を補助するナイアシンなどがあります。ビタミンB群の主な働きは、糖質、脂質、たんぱく質を代謝して、エネルギーに変えることです。サプリメントなどで単独で摂取するよりも、多くの種類を一緒に摂取した方が高い効果を得ることができます。そのため多くの栄養素を含む麹甘酒を飲むことで、効果的にビタミンB群を摂取できるといえます。

また、麹甘酒の原料となる米麹には、鉄分の働きを促進するモリブデンが特に多く含まれているので、貧血に悩む女性の強い味方になってくれます。また赤血球の形成や大事の発育に欠かせない葉酸も多く含まれているので、妊婦さんにも最適という安心安全、自然由来のサプリメントなのです。

 

腸内環境を整える効果

私たちの健康は「腸」によって左右されるといっても過言ではありません。腸の役割は栄養を吸収し、不要物を排出するにとどまりません。腸には体の免疫機能をつかさどる細胞の60~70%が集中しています。腸の状態がよければ、免疫機能は高まり、さまざまな病気を予防・改善できるのです。

 

日本人の大腸は平均にして、欧米人より23m長く、日本人は欧米人と比較して、便秘になりやすいといわれます。ちなみに草食動物の腸は、概ね肉食動物より長くなっています。これは食物繊維の多い植物を消化吸収するためです。江戸時代までの日本人の食生活がほぼベジタリアンだったことを考えると野菜や穀物に含まれる栄養素は消化に時間がかかるため、理にかなっています。消化に時間がかかるということは、つまり食物が大腸に長時間停滞しているということになります。

また日本にはトイレに対して複数の呼び名が存在します。不浄、お手洗い、化粧室、雪隠、憚り(はばかり)、隠所、お花畑など、また排泄の音を消す「音姫」からも日本独特の恥じらいの文化が垣間見えます。このような文化的背景も便秘の原因につながっているともいわれています。

2016年(平成28年)の厚生労働省「国民生活基礎調査」によると、便秘の人は人口1000 人あたり男性が約25%、女性が約46%となっています。

人の腸内には、数百種類の細菌が6001000兆個も生息しており、種類ごとに集まって腸壁に棲みついています。その様子が植物群生(英:flora)のように見えることから「腸内フローラ」と呼ばれています。これの細菌は「善玉菌」「悪玉菌」「日和見(ひよりみ)菌」の3つに分類され、それぞれが抑制試合ちょうど良いバランスを保っています。善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7が理想的なバランスとされています。しかし、食生活の乱れなどで善玉菌が不足すると、優勢な方に味方する性質をもつ日和見菌が悪玉菌に加勢するため、腸内環境のバランスが崩れ、体調が悪くなってしまうことがあります。つまり便秘や下痢は善玉菌が不足しているという、腸からのサインなのです。

麹甘酒に含まれる麹菌は善玉菌の一種です。腸まで生きて届くことはありませんが、乳酸菌やビフィズス菌など別の善玉菌のエサになることで間接的に善玉菌を増やすことに貢献しています。そのほか便秘改善に有効な成分として、食物繊維や便に水分を与えて排便を促すマグネシウムが含まれています。

このように麹甘酒は腸内環境を整えるのに最適な飲み物といえます。

米麹甘酒の美容効果

ダイエットに最適

麹甘酒に含まれるビタビンB群や麹の酵素αエチルグリコシドには、基礎代謝を高めて体重増加を抑制する働きがあります。甘酒はサイダーやコーラなどの炭酸飲料と比較すると糖質量が多いのですが、αエチルグリコシドの効果により、甘酒を飲むほうが健康的に痩せることができるといえます。月桂冠総合研究所の実験によると、マウスに麹甘酒を与えると脂肪分の多い餌を食べても脂肪がつきにくく、体重増加も少ないことが実証されています。

 

乾燥肌の改善

乾燥肌や肌荒れの原因の1つとして、角層内のセラミド量の減少が挙げられます。角層内のセラミド量は加齢とともに減少し、セラミド量の減少により皮膚バリア機能が低下して、肌の保水力の低下がみられるようになります。

米麹には、肌の保湿力を向上させる働きがあります。皮膚の角層に存在している、セラミドの元となる「グルコシルセラミド」は、米や米麹に含まれており、皮膚のバリア機能の改善に効果があるとされています。また米麹に含まれる「N-アセチルグルコサミン」は、コラーゲンやヒアルロン酸の合成促進、角層水分量増加に効果があるとされています。麹甘酒が肌に保水効果をもたらすことが実証されています。

 

潤いある美しい髪と健康な頭皮

麹菌に含まれるビオチンが皮膚細胞の新陳代謝を促し、肌の皮脂と水分のバランスが整うため、美しい素肌を保つことができます。ビオチンはかつて髪の毛を意味するドイツ語「Haare」の頭文字を取り「ビタミンH」と呼ばれていました。ビオチンは髪の毛の主成分であるケラチンの合成を助け、頭皮や髪の毛を健康に保ち、白髪の増加の抑制する効果があります。また、頭皮が健康に保たれていることで、髪の先までしっかりと栄養がゆき届くようになり、その結果、抜け毛や薄毛の対策にもなります。頭皮全体の新陳代謝を活性化し、皮下組織の血流も良くなるのでより健康で美しい髪を維持することができます。

 

シミやそばかすの予防

麹菌には、強い抗酸化作用をもつといわれるコウジ酸やフェルラ酸も含まれています。コウジ酸はシミやソバカスの原因となるメラニンの生成や、タンパク質と糖が結びつき、老化物質を生成すること、つまりくすみの原因といわれる糖化を抑制します。フェルラ酸は、強力な抗酸化作用をもつファイトケミカルの1つで、細胞を傷つける活性酸素を除去してシミやシワの予防に役立ちます。

麹甘酒を単体で飲むだけでなく、にんじん、アボカド、トマトなどアンチエイジング効果の高い野菜や果物と組み合わせると、さらに高い効果が得られるでしょう。

 

麹甘酒で免疫力をアップ

体外から入ってくるウイルスなどの病原体を捕食・攻撃・破壊する「免疫」。免疫はもともと人体に備わっています。免疫力が低下すると風邪をひく、怪我の回復に時間がかかるなどの症状があらわれます。通常であれば数日で治る病気が悪化して長引いてしまう可能性が高まります。免疫細胞の約7割が町内に待機し、病原体との戦いに備えています。つまり麹甘酒で腸内環境を整えることは、免疫力の向上につながるといえます。玄米、ヨーグルト、生姜、ニンニクなど免疫力を高める食材と一緒にとることで、さらに高い効果を得ることが期待できます。

麹甘酒は高血圧予防にも最適です。麹甘酒に含まれるビタミンB6GABA、パテントン酸には心身の緊張を緩和する働きがあります。人はリラックス状態で血管が拡張され、血流が良くなるため、血圧も下がりやすくなります。また高血圧改善には減塩が必須ですが、減塩料理が物足りないと思う方も少なくありません。料理に甘酒を加えることで、うまみとコクが増すため、減塩料理でも美味しく食べることができます。ラタトゥイユやワカメのお味噌汁に麹甘酒を加えるなど、塩分を排出する効果のあるカリウムを含んだ夏野菜や海藻類と組み合わせるとよいでしょう。

ジュースなど人工甘味料が多く含まれる清涼飲料水よりも自然由来の糖質を含む麹甘酒の方が糖尿病になりにくいといえます。

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期待される認知症やがん予防への効果

腸内バランスが崩れて、悪玉菌が優勢になると、有毒物質が放出されて、多くの病気の原因となりえます。腸内環境の悪化が原因と思われる病気の1つにアルツハイマー型認知症があります。増えすぎた悪玉菌により、ビタミンB群・鉄分・トリプトファンなど、脳の神経伝達物質の合成に必要な養分の吸収が妨げられると考えられているためです。近年死亡数の上位に挙がるがん、その中でも大腸がん、肝臓がん、乳がんの発症についても、腸内環境と密接に関わっています。ウェルシュ菌などの悪玉菌が優勢になると、腸内の食べ物を腐敗させ、発がん性物質をつくり出します。健康体の場合は免疫機能が働き、発がん性物質を攻撃することができますが、腸内環境が悪化していると、免疫力が低下してしまいます。このような悪循環により、がん発症の危険性がますます高まってしまうのです。そのため麹甘酒の優れた整腸効果に大きな期待が寄せられ、さらなる研究が進められています。

 

 

麹甘酒、毎日継続のススメ

麹甘酒の優れた健康効果を知ると、日々の食生活に取り入れたいと思わずには入られませんが、麹甘酒はとろみが強く、まったりとした口当たりが苦手な方も少なくないでしょう。そのまま飲むことが難しい場合は、炭酸水や牛乳で割ったり、生姜やレモンを絞ると飲みやすくなります。麹菌独特の米ぬかのような香りが気になる場合は、冷やすと飲みやすくなります。しかし独特の食感や喉ごし、香りや風味があるため、そのまま飲むことが苦手な方は料理の調味料として使用すると、抵抗なく麹甘酒を普段の食生活に取り入れることができるのではないでしょうか。

ブドウ糖やオリゴ糖が豊富に含まれる麹甘酒はしっかりとした甘みがあるため、調味料として砂糖やみりんの代わりに使うのがおすすめです。麹甘酒のやわらかな甘みはいつもの煮物や照り焼きがより優しい味わいに仕上がります。精製された上白糖と比較しても血糖値の上昇が穏やかで、カロリーが低いため、体重増加を抑制することもできます。お菓子作りにもやさしい甘さの麹甘酒は最適な調味料といえます。

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ヨーグルトやパイナップル果汁に漬け込むと安くて硬い肉も柔らかくなるのはよく知られていますが、麹甘酒でも同じ効果が得られます。麹菌が生み出す酵素プロテアーゼが、肉や魚に含まれるタンパク質をペプチドとアミノ酸に分解してくれるため、肉を柔らかくするのです。醤油や味噌など他の調味料と砂糖やみりんの代わりに麹甘酒を合わせて漬け込んでおくと、調理の際に肉を加熱しても硬くならず、柔らかく仕上がります。麹菌特有の香りもほぼ消えてしまいますので、独特の香りが苦手な方も気にならないでしょう。

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このプロアテーゼが作り出すアミノ酸には、グルタミン酸やイノシン酸といううまみ成分が含まれています。グルタミン酸は昆布、イノシン酸は鰹節に含まれていることでもよく知られていますが、日本料理には欠かすことのできない出汁のように、素材本来の美味しさを引き出す効果があります。

仕上げのソースや味噌汁、スープやドレッシングに加えてコクを出したり、野菜の漬け床としても使えます。まろやかな甘さが特徴の麹甘酒はあらゆる調味料、料理の種類との相性が良く、万能調味料として普段の食生活に美味しく簡単に取り入れられます。

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まとめ

日本を代表する花は?というと桜を思い浮かべるように、日本を代表する菌は麹菌といえるほど、古来より麹は日本文化に欠かせない菌類です。麹菌は古くは10世紀に源順(みなもとのしたごう)が著した漢和辞典「和名類聚鈔(わみょうるいじゅしょう)」に加無太知(かむだち)として記されました。麹菌は日本の伝統的発酵食品に欠かせないだけでなく、日本の社会に大きな影響を与えてきた微生物といえます。

縄文後期から弥生時代にかけて日本列島に伝播した水田稲作技術。温暖といわれている日本列島の気候風土も、台風や津波などの災害による被害は甚大でした。古代の人々は天災を荒ぶる神の行いと考え、この被害を少しでも軽くなるように祈りました。その時に神に捧げた供物の中の米や餅に付いたカビが麹菌です。日本の温暖湿潤な気候風土と稲作文化が出会うことで、麹菌が生まれ、私たちの食生活や文化に色濃く根付いています。

今改めて麹のもつさまざまな健康効果やパワーが見直され、注目を集めています。麹甘酒は、古来より脈々と生き続ける自然の力と恵みを凝縮した世界に誇ることのできる日本人のソウルフードといえるのではないでしょうか。

 

参考:

  1. 八海醸造株式会社、東京農業大学共同研究

「麹甘酒摂取がスポーツ選手における トレーニングによる疲労の軽減に役立つことを確認」

2. 金沢工業大学

「甘酒を飲んで、便通改善、コレステロール低減、肥満抑制。
応用バイオ学科尾関研究室が企業との共同研究で学術的に初めて実証」

 

3. 文部科学省「日本食品標準成分表2015年版」

 

4. 月桂冠総合研究所

「江戸から続く健康飲料甘酒の知られざる力」

 

 

5. 月桂冠総合研究所

「麹菌フコース特異的レクチンの解析と大量生産」

 

投稿 甘酒のパワーの源、麹ってなに?酒粕専門店:幻の酒【酒粕屋】 に最初に表示されました。

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6. 酒粕で、内側から輝く素肌美人に https://www.maboroshinosake.com/sake/sakekasu/sakeleesbeauty/ Wed, 15 Apr 2020 00:09:18 +0000 https://www.maboroshinosake.com/sake/sakekasu/?p=1765 酒粕とは、日本酒を製造する過程で生じる固形物のことで、米麹に酵母菌を加えて発酵させた日本酒の副産物です。つまり、日本酒などを作る際、醪(もろみ)を圧搾して出来た搾りかすを酒粕と呼びます。栄養価がとても高く、食物繊維、ビタ […]

投稿 6. 酒粕で、内側から輝く素肌美人に酒粕専門店:幻の酒【酒粕屋】 に最初に表示されました。

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酒粕とは、日本酒を製造する過程で生じる固形物のことで、米麹に酵母菌を加えて発酵させた日本酒の副産物です。つまり、日本酒などを作る際、醪(もろみ)を圧搾して出来た搾りかすを酒粕と呼びます。栄養価がとても高く、食物繊維、ビタミン、ミネラル、タンパク質に加えて、ペプチド、アミノ酸、葉酸などが含まれています。

酒粕は、今話題の腸活にも効果があるといわれている発酵食品の一つです。酒粕は栄養価が高く、健康効果だけではなく、その美容効果にも注目されています。酒粕で作る甘酒は、LDLコレステロールや血圧を下げ、血流を良くして体を温めることで美肌効果が期待できると言われています。

また酒粕にはアルブチンという成分が含まれ、シミ・そばかすの原因のチロシナーゼという酵素の働きを阻止し、シミやそばかすを薄くし、美白効果があるといわれています。

さらにタンパク質や、繊維質を含む炭水化物、天然型吸収ビタミン類、カルシウム・リン・鉄・ナトリウム・カリウム等の無機質、マグネシウム、亜鉛、銅などが含まれています。

 

新しい細胞を作りだすために不可欠な酵母からの核酸類など、100種類以上の有効成分も含まれ、老化を防ぎ、肌を若々しく保つ効果があることも知られています。これらの成分が保湿、保温効果を高め血行を良くし、肌のターンオーバーが行われ、老廃物排出やシミができにくい肌を作るといわれています。

このように酒粕は、糖質やたんぱく質、食物繊維を多く含んだ、非常に栄養価の高い食品です。発酵の過程で生み出された各種アミノ酸、ペプチド、ビタミンをはじめ、さまざまな機能性成分が残っていて、とても「かす」とはいえないほど優れているのです。

酒かすは日本酒を絞った残りかすなので、日本酒醸造には欠かせない米麹の成分が豊富に含まれています。米こうじとは、米にこうじ菌を巻くとでき、酵素をたくさん含んでいます。

日本酒は、蒸した米と水、米麹を混ぜてできます。麹菌が米のでんぷんを分解し、ブドウ糖を大量に作ります。さらに、そのブドウ糖を酵母が食べてアルコールを作り、酒それぞれの味や香りを作るのです。

酵母によってアルコール発酵しできるのが「醪(もろみ)」と呼ばれる日本酒の元です。それを搾ったのが日本酒です。そして搾ったあとに残った「かす」が酒粕なのです。残りかすでありながら、酒粕は昔から捨てられることなく庶民に愛されてきました。

奈良時代の歌人山上憶良が庶民の暮らしを表した「万葉集貧窮問答歌」にこんな一節があります。

「風混じりに雨降る夜雨混じりに雪降る夜は、どうしようもなく寒いので粗塩をつまみ、酒かすを湯で溶いたかす酒をすすってせきをし、鼻をびしびし鳴らし…」

 

この一節からは、およそ1400年前から酒粕が庶民の暮らしと共にあり、体を温めたい時や、体調が悪い時に飲む健康飲料として親しまれていたことが伺えます。また余談ですが、白うりやきゅうりなどを酒粕に漬けた奈良漬も、同じ頃に誕生したといわれています。

 

 

酒粕の驚くべき美容効果

酒粕には、水分蒸発を防ぐαエチルグルコシドや遊離アミノ酸、肌を若く保つビタミンB群、シミの原因となるメラニン色素を作りにくくするアルブチンなど、多様な成分が含まれています。
酒粕が美肌にいいことは、科学的に研究されているだけでなく、昔から酒造りをする杜氏の肌が白く、きめ細やかで美しいことから経験的に知られていて、これらを原料に使った基礎化粧品やせっけん、入浴剤なども製品化されています。

昔は、酒粕を火傷の治療などにも使ってていたそうです。つまり酒粕は肌のターンオーバーを促進するため、日焼けの後などのお手入れにも効果的と言われています。

 

美白効果

酒粕には、ソバカスやシミの原因となる「メラニン」の生成を抑える「アルブチン」「フェルラ酸」「コウジ酸」がふんだんに含まれているため、美白効果やくすみの改善が期待できます。

「アルブチン」とはシミなどの美白に効く成分として有名な「ハイドロキノン」の誘導体です。ところで、誘導体とは一体何なのでしょうか?

化粧品の成分で、よくビタミンCやビタミンEの誘導体、と目にします。簡単にいうと、「ビタミンに分子をくっつけたもの」です。なぜ分子をくっつける必要があるのでしょうか?

例えばビタミンC誘導体についてですが、ビタミンCは抗酸化作用があり、とても肌に良いとされています。しかし、ビタミンCはとても不安定なビタミンです。容器の中で分解してしまったり、ビタミンCの持つ効果を発揮できなくなります。そうした理由から、マグネシウムなどをビタミンCにくっつけることで、安定性を持たせます。ビタミンCからビタミンC誘導体にすると、安定したビタミンCを保つことができるわけです。 

アルブチンの場合は、ハイドロキノンとグルコースをα結合させることによって、αアルブチンというハイドロキノン誘導体が作られています。このαアルブチンは、シミに強い効果が期待出来る上、安全性も確保されている成分といえます。

ただのハイドロキノンの場合は、強い効果が期待できるのですが、その量によっては肌への刺激が強すぎるとされているので、取り扱いに厳重な注意が必要となります。しかしアルブチンの場合は、肌の刺激に弱い人でも安心して使うことができるのです。

 

コウジ酸がメラニン色素を抑制

コウジ酸にも、アルブチンと同じシミなどの美白に効果があると言われています。それは、コウジ酸にメラニン色素を抑制する働きがあるからです。また、強い抗酸化作用があることによりシミの他にもしわやたるみ、糖化によるくすみなどにも効果を発揮するといわれています。
酒粕に含まれる「コウジ酸」には、抗炎症作用があり、ニキビや肌荒れによる炎症を改善する効果や、ニキビによる色素沈着にも効果があると言われています。

 

フェルラ酸の抗酸化作用

フェルラ酸にも美白効果があると言われています。その理由として、メラニン色素を生成するチロシナーゼという物質が、活性化するのを抑えてくれる働きがあるからです。

メラニン色素を抑制する働きはコウジ酸と同じですが、その他にもフェルラ酸には強い抗酸化作用があるために、活性酸素を除去してくれるので、アンチエイジング効果が期待できるといわれています。

 

保湿効果

酒粕に含まれる「酵母」が、肌の水分の蒸発を防いでくれるので保湿効果が高まります。そして発酵によって生成される「アルファエチルグルコシド」が、肌の水分の蒸発を防いだり、コラーゲンの生成を促進するといわれています。

また、「アルファエチルグルコシド」はコラーゲンを作る線維芽細胞を増やすということも報告されています。つまり、毛髪や肌が効率良くアミノ酸を吸収することができるので美容効果が出てくるのです。

このように、酒粕に含まれるこれらの成分が、美白に効果を発揮してくれるのです。

そして酒粕は、もちろん食事として摂り入れるのもいいのですが、直接顔に塗ってしまう「酒粕パック」というスキンケアとしても活用することができます。

 

腸内環境の改善

酒粕はとても栄養価が高い食品です。
炭水化物、食物繊維、ビタミン、ミネラル、ペプチドなどのアミノ酸などが豊富に含まれています。

酒かすは100gあたりの栄養素を見てみると
タンパク質は、卵1.5個分
食物繊維は、リンゴ5個分
ビタミンB2は、米の26
ビタミンB6は、米の47

アミノ酸にいたっては米の583倍という驚異の量です。このように、酒粕には栄養が凝縮されています。

さらに最近注目されているのは、発酵の過程で増えるスーパー栄養素「レジスタントプロテイン」と呼ばれるタンパク質です。食物繊維に似た性質を持ち、胃で消化されにくいレジスタントプロテインは、そのまま分解されずに小腸に届きます。その間に脂肪を吸着する効果があるため、脂肪が体内に吸収されにくくなります。さらに、吸着された脂肪が潤滑油のような役割を果たすので、便として出やすくなり便秘が解消されるのです。また、悪玉コレステロールの数値を下げる効果もあるといわれています。

 

酒粕でやせやすい体質に

酒粕に含まれるレジスタントプロテインは、食物繊維と似た働きをするたんぱく質の一種。摂取すると小腸を通り過ぎながら、コレステロールなどの脂質を強力に抱き込んで体外に排せつしてくれます。つまり、酒粕と一緒に摂取した脂質は、体内に吸収されにくく、結果として太りにくくなるともいえます。

また、酒粕には不溶性食物繊維も豊富に含まれており、レジスタントプロテインとの相乗効果も期待できます。

さらに、脂肪の蓄積を防いでくれるバクテロイデスという菌を活性化してくれるということも報告されています。

また、健康効果としては以下のようなものに期待されています。
・糖尿病予防
・ガン抑制効果
・生活習慣病の予防
・高血圧予防
・肥満の防止 など

 

酒粕は酒販店やスーパー、インターネットなどで購入できます。また酒蔵や酒類によって、酒粕の香りや風味も異なるので、自分の好みを探すのも楽しいのではないでしょうか。

 

酒粕の上手な取り入れ方

保存は冷蔵庫で

酒粕は冷蔵庫で保存すれば、23か月間はおいしく食べられます。長期保存する場合は、ラップで包んでから保存用ポリ袋に入れて冷凍するとよいでしょう。 たまに表面に白い粉のようなものが出ますが、これはカビではなく、シロチンというたんぱく質が結晶したもので、食べても問題ありません。

意外と高エネルギー

酒粕は100g227kcal。ご飯の1.3倍と高エネルギーなので、とり過ぎには注意しましょう。

アルコールが苦手なら加熱して

酒かすには約8%のアルコール分が含まれています。お酒に弱い人は加熱してアルコール分を十分にとばして食べるとよいでしょう。

酒粕のアルコール分をとばしたり、粕汁を作るなどして酒粕を加熱すると、酵母菌やビタミンB群の一部が失われる可能性があります。 たとえば肌の美しさをサポートするはたらきが期待できるビタミンB6は、加熱調理によって約13パーセント減ってしまいます。ただし、煮汁と一緒に食べることで無駄なくビタミンをとりいれることが可能になります。

しかし、酒粕の栄養を余すところなくすべてとりたい場合は、やはり加熱せずに食べることが一番です。

 

それでは、塗っても食べても効果が期待できるスーパー食材、酒粕の様々な活用方法をご紹介します。

 

板粕と踏み粕

一般的な酒粕は圧搾機で搾った「板粕」ですが、「バラ粕」といって板状に取れない酒粕もあります。また吟醸酒では、圧搾機にかけずに醪(もろみ)を布製の袋に入れ、ぶら下げることにより、酒を搾る袋搾りの方法を行うことも多く、この場合、板状の酒粕は取れません。

バラ粕や板粕をタンクに入れ、足で踏み込んで空気を抜き、低温で半年以上、蔵元によっては23年熟成させたものを「踏み粕」と言います。酵素が生きているので少しずつ糖化が進み、茶色いペースト状になるのが特徴です。板粕よりアミノ酸やミネラル分も多く、味も濃厚です。奈良漬などによく利用されますが、そのまま生野菜などにつける食べ方もあります。

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酒粕は、味噌汁の味噌を調合する前に水の段階で酒粕を溶いて入れて作る地域もあります。また、板粕を炙って、黒砂糖や醤油をつけておやつにしてきた地域もあります。昔は、お餅のように火鉢で炙って焼いていました。パチパチ焼ける火の音や酒粕の焦げる香ばしい匂いなど、その情景を思い浮かべるだけでほっこりとした時の流れを感じます。今の時代でも、もしちょっとした縁側や庭があれば火鉢で焼いてみたいところですが、マンションなどでは防火上の問題もあり、なかなかそうもいかないかもしれません。手軽にオーブントースターにアルミホイルを敷いて少し焼き目がつくまで焼くだけで、簡単にできる一品です。

 

甘酒といえば、一般的に米麹と炊いた米や蒸した米を混ぜて、水を加えて数時間から一晩保温してつくります。つくり方も簡単で、一晩でできることから「一夜酒(ひとよざけ)」とも呼ばれています。麹によるデンプンの糖化だけが進んでいて、酵母によるアルコール発酵がないため、ノンアルコールで自然な甘みが引き出されています。

冬季のみ日本酒を造っていた頃は、甘酒造りを夏の副業にしている蔵元もあったそうです。米は甘酒のかさを増すために加えられているので、麹と水だけでも同様の手順でつくることができます。米を使ってつくるのと違い、米麹の甘さや香りがより一層引き立ち、アミノ酸やビタミン類が豊富に含まれています。

また、33日の桃の節句に飲む白酒は、甘酒とよく似ていますが、製法は異なります。白酒はみりんや焼酎などに蒸したもち米や米麹を仕込み、1ヶ月ほど熟成させたものです。ひな祭りにお供えするものなので、子供も飲めるノンアルコール飲料なのかと思いがちですが、アルコールは約9%含まれており、酒税法ではリキュール類に分類されます。

また俳句の世界では、白酒は春の季語ですが、甘酒は夏の季語です。甘酒は冬の寒い時期の暖かい飲み物という印象が強いため、夏の季語というと意外に思う方も多いかもしれません。しかし江戸時代には、甘酒は庶民が暑い夏を乗り切るための栄養ドリンクとして親しまれていました。お店だけでなく、夏の夜には甘酒売りが甘酒を売り歩いていたそうです。また武士の内職としても甘酒造りが行われていました。甘酒はいつしか夏の風物詩となり、夏の季語になったのではないかといわれています。

 

そして甘酒は酒粕で作られるものもあります。酒粕甘酒も栄養豊富で、アルコール度数は商品により異なります。酒粕は、醪を圧搾して日本酒を分離した時に残る固形物です。「かす」という言葉から、お茶の出がらしのようにも思われがちですが、お米の溶け残りなので、食物繊維のような成分や酵母菌体も含まれており、即効性のエネルギー源となるブドウ糖や、体の形成に欠かせない必須アミノ酸、疲労回復に役立つビタミンB群なども豊富に含まれています。

 

酒粕甘酒のつくり方は、麹甘酒よりさらにお手軽で簡単です。酒粕はスーパーなどにも販売されていますが、自分の好きな日本酒の銘柄が出している酒粕などを選んでみても良いでしょう。日本酒と同じく酒粕にもそれぞれ味わいや香りに個性があるため、自分の好きな酒粕を発見するのも楽しみの一つでしょう。

酒粕甘酒

<材料(4~5杯分)>
・酒粕・・・100
・水・・・800cc
・砂糖・・・70g
・塩・・・ひとつまみ

 

<作り方>

  1. 水を鍋に入れて火にかけ、沸騰したら火を止め、一口大にちぎった酒粕を鍋に入れ5分放置。
  2. 酒粕が柔らかくなったら再び火にかけ、酒粕がしっかり溶けるように、かき回しながら沸騰させる。
  3. 沸騰したら、砂糖と塩を入れてかき混ぜて、ひと煮立ちしたら完成♪

 

*ポイント
・砂糖をはちみつに変えると、よりヘルシーで美容効果も期待できます。
・お好みで生姜を加えても美味しく、体が温まる効果も期待できます。
・お好みでヨーグルトやジャムを足してラッシー風なアレンジも楽しめます。

 

 

酒かすをおいしくいただく

酒かすの火鍋

<材料2人分>

白いスープの材料(2人分)
酒かす・・・40g
だし・・・カップ41/2
白みそ・・・80g
塩・・・少々
みりん・・・小さじ2

 

<作り方>
1.ボウルに白みそを入れます。

2.①に酒粕とだしとみりんを入れてよく溶きます。

3.鍋にだしを入れ、②を入れます。

赤いスープの材料
酒かす・・・40g
だし・・・カップ41/2
赤みそ・・・80g
塩・・・少々
みりん・・・小さじ2
粉唐辛子・・・5g
シナモン・・・1g
花椒(ホワジャオ) ・・・4g
八角・・・1g

 

<作り方>
1.赤みそをボウルに入れます。

2.①に酒粕、みりん、粉唐辛子、シナモン、花椒、八角、だしを入れて溶きます。

3.お鍋にだしを入れ、②を入れます。

2つに仕切りのある鍋、または2つの鍋を用意し、お鍋に具材を入れて煮込めば完成です。

白いスープには鮭やタラなどの魚、赤いスープには豚肉などの肉類がおすすめです。

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酒かすブルスケッタ

<材料(2人分)
酒かす(板かす)・・・90g

みつばの茎・・・2~3
いくら・・・適量
明太子・・・10g
あおさのり・・・少々
イカの塩辛・・・10g

<作り方>
1.酒粕は一口大に切り、薄くのばします。

2.オーブントースターでこんがり焼き色がつくまで焼きます。

3.みつばの茎は2cm長さに切り、イクラとともに酒粕にのせます。
明太子とあおさのり、塩辛もそれぞれ酒粕にのせます。

トッピングはお好みで合わせてください。

 

 

酒粕を直接肌につけてみる

食べ物を肌につけるということに、少なからず抵抗のある方もいるかもしれません。もちろん、酒粕の豊富な栄養を取り入れるためには食べることが一番ですが、直接肌につけてみても、驚くほどつるりとした肌の手触りを実感することができます。材料も少なく、安価に手軽でできる美容方法なので、まずは試してみるのもいいでしょう。

昔から、酒蔵で酒をつくる蔵人の手がきめ細やかで白く美しいということは、有名な話で、CMのキャッチコピーなどでも聞き覚えのあるフレーズです。自身の肌との相性も見ながら、日々の美容ケアに取り入れて、滑らかな肌を手に入れてみてはいかがでしょうか。

 

酒粕パック

<材料>
・酒粕(食品添加物が入っていないもの)・・・100g
・精製水・・・120150ml

・ビニール袋(ジップロックが使いやすい)

 

作り方

  1. ビニール袋に酒粕と精製水を入れてよく揉む。もしくは酒粕が滑らかになるまですり鉢ですります。ミキサーやブレンダーなどを使ってもOKです。
  2. そこに精製水を加えて混ぜます。
  3. 清潔な瓶に入れて冷蔵庫で保存します。

 

<使い方>
1.
洗顔し、水分を拭き取った状態で酒粕パックを肌の上に均一になるように広げます。

  1. 5〜15分程度(完全に乾ききる前くらい)おいたら、ぬるま湯でよく洗い流し、いつものスキンケアをして終了。頻度は毎日でも問題ありません。

 

*ポイント

・酒粕パックに使う酒粕の種類は、

  • 板粕(板状の酒粕でスーパーで1番よく見る)
  • バラ粕(細かい酒粕がバラバラ入っているもの)
  • 練り粕(酒粕と焼酎を練り合わせたもの)

など、基本的にどのようなタイプの酒粕でも問題ありません。ただし酒粕によってやわらかさが違うので、パックにするとき必要になる精製水の量を調整する必要があります。(やわらかさの順番は、練り粕 > バラ粕 > 板粕)

硬めの酒粕を使うときは、作る2030分前から精製水に浸けておくことをおすすめします。そうすることで酒粕がふやけて、混ざりやすくなります。

 

・しっかり混ぜてください

・まずは分量どおりに基本の酒粕パック作ってみて、固いようなら精製水加えてください。反対にやわらかすぎる場合は、酒粕を追加して調節していきましょう。

・冷蔵庫に保存して、45日程度で使いきってください。

 

<注意事項>
酒粕パックは誰でもすぐにできる簡単パックですが、やるときは

  • 毎回パッチテストをすること
  • 酒粕を加熱しないこと

この2つに気をつけましょう。

パッチテストは「初めてするときだけで良いのでは?」と思うかもしれませんが、人の肌は毎日コンディションが違います。肌が弱っているときに酒粕パックをしてしまうと、酒粕に含まれるアルコールが刺激になり、肌荒れしてしまう可能性があります。

 

酒粕は加熱せずに、そのまま使うことが重要です。酒粕に含まれる美肌に効果のある成分(酵母や酵素)は熱に弱いため、加熱するとパックの効果が落ちてしまいます。

 

酒粕パックをする頻度は毎日でも大丈夫です。日頃の美白ケアとして、毎日とり入れることで、日焼けしてしまった肌も徐々に回復して、美白効果があらわれます。旅行やレジャーに出掛けて特に日焼けてしまった後などには、朝と夜、12回の酒粕パックをすると良いでしょう。

また、酒粕パックはお酒の香りが強いため、苦手な方はラベンダー、カモミール、ローズ、ゼラニウムなどお好みのエッセンシャルオイルを加え入れることをおすすめします。好きな香りに包まれることで、リラックス効果も高まります。

また、好みでハチミツ、きなこ、豆乳、米ぬかなどを一緒に混ぜて、アレンジも自由自在です。

酒粕は有名な酒蔵なものでも1kg500円程度と、リーズナブルな価格で購入することができます。

このように、とても簡単且つリーズナブルに手作りできる酒粕パックですが、それでも忙しくて酒粕を買いに行くのも作るのも面倒だという方には、まずは市販されている酒粕パックを試してみるのも良いかもしれません。

化粧品メーカーはもちろん、酒造から発売しているものもあり、今では色々な種類が商品化されています。ドラッグストアや通販などで販売されており、海外旅行客にも人気の日本土産の一つとなっているようです。

https://www.instagram.com/p/B9p09NUANIC/?utm_source=ig_web_copy_link

酒粕パックは顔だけでなく、全身に使用することができます。ただし、全身に塗ったり、そのままの状態でいることが難しいという方も少なくないでしょう。そんな時は、お風呂の中に酒粕を溶かして、酒粕風呂にしてしまうのもおすすめです。

 

酒粕風呂

<材料>
・酒粕・・・300g
・お湯もしくは日本酒・・・100ml
・ガーゼ
・輪ゴム

<作り方>
1. 酒粕とお湯(又は日本酒)を練り合わせ、ガーゼなどで包んで輪ゴムで絞る
2. 湯船に入れて、お湯の中でよく揉む

*ポイント

日本酒好きの方は癒される香りが広がりますが、酒粕特有のアルコールの匂いが苦手な方は、お好きなエッセンシャルオイルを加えて香りをアレンジして楽しんでください。

 

酒粕と肌の相性が良い方は、毎日こまめにつけて肌に浸透させる酒粕化粧水もおすすめです。

酒粕化粧水

材料
・酒粕(食品添加物が入っていないもの)・・・20
・精製水・・・180ml
・グリセリン・・・5cc

作り方

  1. 精製水と酒粕を混ぜたものを一晩置いて、ガーゼで濾します。
  2. 最後にグリセリンをよく混ぜて完成です。

*ポイント
・冷蔵庫に保存して、約1週間で使いきってください。
・酒粕をガーゼで濾す際は、コーヒードリッパーを使用すると便利です。
・ボトル下に酒粕が沈殿するので、よく振ってから使用してください。
・残った固形の方はそのままパックに利用できるので一石二鳥です。

 

 

まとめ

最先端の美容法を発信するアメリカでも注目を集める、日本生まれの美肌アイテムとして知られている酒粕。

食べても塗っても、美しい肌へとサポートしてくれる心強い味方です。スーパーなどで簡単に手に入り、安価で、アレンジも自由自在なので、無理なく毎日の生活に取り入れることができるでしょう。美は1日にして成らず、ですから継続できるということはとても重要なポイントです。酒粕にふんだんに含まれている自然の恵みで自身の中に宿る美の源泉を引き出し、内側から光り輝くような健康的な美しさを目指してみてはいかがでしょうか。

 

参考:

1.「健康と美容に貢献する「酒粕」の成分」ヤエガキ醗酵技研株式会社

2.「酒粕甘酒の機能性成分の探索 ~アミノ酸とレジスタントスターチの機能性~」日本農芸化学会大会

3.「酒粕コラム」大関株式会社

 

投稿 6. 酒粕で、内側から輝く素肌美人に酒粕専門店:幻の酒【酒粕屋】 に最初に表示されました。

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甘酒と神事 https://www.maboroshinosake.com/sake/sakekasu/shrines/ Wed, 15 Apr 2020 00:10:44 +0000 https://www.maboroshinosake.com/sake/sakekasu/?p=1736 「日本書紀」によると、日本最初のお酒は「天甜酒(あまのたむさけ)」といわれています。天甜酒を最初に作ったのは「木花咲耶姫(このはなさくやひめ)」という女神です。 日本書紀によると、ある日 木花咲耶姫の住む地に瓊瓊杵尊(に […]

投稿 甘酒と神事酒粕専門店:幻の酒【酒粕屋】 に最初に表示されました。

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「日本書紀」によると、日本最初のお酒は「天甜酒(あまのたむさけ)」といわれています。天甜酒を最初に作ったのは「木花咲耶姫(このはなさくやひめ)」という女神です。

日本書紀によると、ある日 木花咲耶姫の住む地に瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)という神様が訪れ、木花咲耶姫の美しさに一目見て好きになってしまいます。二人はすぐに結ばれ、木花咲耶姫は懐妊します。しかし瓊瓊杵尊は一晩のうちに懐妊したことを信じられず、木花咲耶姫をののしります。木花咲耶姫は神の子であることを証明するために自らの家に火を放ち、火の中で出産します。自らの潔白を証明した木花咲耶姫は、子供の誕生を祝うために父である大山津見神(おおやまつみのかみ)と共にお酒を造ったといわれています。

ここで、造られたお酒が「天甜酒(あまのたむさけ)」です。「甘酒」の原型、「日本酒」のはじまりと言われているお酒です。

https://www.instagram.com/p/BykvtiMAZli/?utm_source=ig_web_copy_link

甘酒の歴史

中国の書物によると1世紀ころには、日本人は酒を飲んでいたという記述があります。その後に書かれた3世紀の史書「魏志倭人伝」にも、お葬式の時に酒を飲む風習があるとかかれておりお酒の存在はわかっています。 

持統3年(689年)には国の官職として造酒司(さけのつかさ)が置かれ、お酒は国が管理するようになっていきました。

酒の種類などが書かれた木簡(木の紙)も出土し、少なくともこの頃には米で出来た酒が存在していたことが分かっています。また、各地の「風土記」にも米で作られた酒という記載も出始めます。

そもそも酒造りは、縄文時代から果実酒のようなものは作られており、酒造技術自体は古来より日本人は持っていました。しかし、米という原料にいつ切り替わったのかは今のところ不明のようです。一般的には、稲作が安定して作られるようになってからといわれています。

甘酒は米、米麹、水を用いて作られています。米麹というのは、米に麹カビを生やしたもので、その歴史はまさに日本酒の歴史に直結します。糖を酵母が食べアルコールを精製して酒が造られますが、米などのデンプン質の植物を原料とした場合、デンプンを分解し、酵母が利用できる糖に変えなければなりません。

日本では古来、この酵母が利用できる糖を米のデンプンから得るために、唾液の酵素を利用する手法で奈良時代(700年頃)に書かれた「大隈国風土記」には「口噛ノ酒」として書かれています。近年では世界的にも大ヒットしたアニメーションフィルム「君の名は。」でも登場したことで多くの方に知られることとなりました。また、「播磨国風土記」に「神棚に備えた米飯が雨に濡れてカビが生えたので、これで酒を醸して神に捧げ、宴を催した」と書かれており、米麹を用いた酒造りの始まりを読み取ることができます。

奈良時代(700年頃)の「万葉集」に収められた「貧窮問答歌」に「糟湯酒」として、酒粕甘酒が冬の季語で登場しています。室町時代(1400年頃)の「公事根源」には「醴酒」として6月∼7月末まで作られていたとあります。江戸時代(1840年頃)には今でいう百科事典「守貞漫稿」に「甘酒」として、真夏の滋養強壮剤として市民に親しまれていたとあり、現在、でも甘酒は夏の季語として扱われています。江戸幕府が国民の健康を守るために、甘酒の価格を設定していたというくらい市民に親しみのある健康食品として、当時も広く知られていました。

 

甘酒と日本酒の製造工程

甘酒と日本酒の関係性はその製造過程を見るとよく分かります。

  1. 米と麹で発酵 ※酒粕でつくればアルコール入りの甘酒になる
  2. 甘酒が出来る(アルコール成分ほぼなし)
  3. 甘酒に酵母を加え、さらに時間をかけて発酵(アルコール度数が上がる)
  4. ろ過して、清酒が日本酒に、残りが酒粕になる。※ろ過しなければいわゆる「どぶろく」

 

このように日本酒の製造過程で必ず甘酒がつくられます。つまり、日本酒の歴史が甘酒の歴史ともいえるわけです。

そして現在、健康ブームと共に甘酒は「飲む点滴」として再び注目を集めるようになりました。

健康食品としてだけでなく、昔から神社の初詣というと甘酒がつきものです。寒い日に温かい甘酒を参拝者に振る舞う光景は、新年の風物詩でもあります。 神社のお酒といえば「お神酒(おみき)」ですが、甘酒も原料は米です。米は神様とかかわりの深い穀物であり、米から作られた甘酒やお神酒は神聖なものです。

米は神様がくれた恵みなので、今でも収穫された米に感謝して、農家では甘酒をつくり奉納する行事が全国各地で見られます。

甘酒やお神酒を参拝者に配布することは、神様とともに新年を祝うこと、神様と一体になることを表しています。

古来より日本には、同じものを食すことは相手と一体になるという風習を持っており、これはその名残ではないかとも考えられます。

また、新年に飲む「お屠蘇(おとそ)」も縁起の良いものとして飲まれる酒ですが、それと同じ意味合いもあります。お屠蘇は薬膳酒なので、飲みにくい上にアルコール分も含まれていますが、麹から作られた甘酒は子供でも飲むことができ、老若男女が楽しむことができます。

このような理由から、全国各地の神社では、新年の初詣時期以外にも甘酒祭りや、甘酒をお供えするなど甘酒と神社には深い関係があるのです。

また関西では、酒粕で作られたお雑煮もありますが、これも新年に向け神社に奉納した清酒の酒粕を使用し、縁起担ぎや、神様との共食につながった伝統的な食文化といえます。

 

 

お神酒を製造する神社

中世ヨーロッパでは、キリスト教が歴史の中心となっていました。政治にも必ずキリスト教が関係し、人々の生活にもキリスト教は深く関わっています。ワインは「キリストの血」とされ、神聖で貴重なものとされてきたのです。当時の教会や修道院は、学校や研究所といった役割も果たしていたため、ブドウ畑を開墾したりワイン醸造の技術を高めたりと、ワイン造りに注力しました。

このような動きもあり、17世紀頃には、現在のワインの販売形態に近い「ビン詰め・コルク栓」のワインが登場するようになり、ワイン造りが発展しました。

日本でも、神社には必ずお神酒が置いてあり、神事に酒は欠かせないものです。お神酒を醸造する神社もあり、「御神酒清酒醸造免許神社」を取得している神社が、 伊勢神宮、出雲大社、岡崎八幡宮、莫越山神社と、全国に4社あります。その他 「どぶろく」の醸造免許取得神社が40社ほどあります。免許のいらない甘酒をつくる神社などを併せれば、相当数の神社が酒をつくっていることになります。

「酒は百薬の長」といわれる程、古代では珍重されていました。甘酒や濾して残った酒粕は栄養価が大変高いことでも知られており、神社は中世ヨーロッパの修道院同様、人々の精神的な拠り所だけではなく、心身ともに健康的な生活に貢献する存在だったのではないでしょうか。

 

日本神話に登場する酒の神様

醸造を行う神社のほかに、お酒の神様を祀った神社も数多くあります。

 

大神神社(おおみわじんじゃ)

日本で最古の神社といわれる大神神社(奈良県桜井市三輪)は、酒造りの神様として全国に知られ、酒造家たちの厚い信仰を集めています。酒の二大神である、大物主大神(おおものぬしのおおかみ)と少彦名神(すくなひこなのかみ)を祀っており、また、本殿北側にある活日(いくひ)神社には杜氏の祖と言われる高橋活日(たかはしいくひ)が祀られています。また、「杉玉」発祥の神社です。

大神神社では、毎年1114日になると「おいしいお酒ができるように」という願いを込めて杉玉を飾ってきました。その風習が江戸時代の初期頃から全国の酒蔵に広がり、今ではさまざまな場所で杉玉が見られるようになりました。

杉は大神神社がある三輪山に多く自生する木で、三輪山の杉は神聖とされているため、この神杉を使った杉玉ができたとされています。本来は三輪山の杉で作られた杉玉を酒屋の看板として飾ることが習わしでしたが、現在は各地の酒蔵が自分たちで製造したり、業者に依頼したりして作ることもあるようです。また、三輪は「神酒(みき)」の語源ともいわれています。

松尾大社(まつおたいしゃ)

松尾大社(京都市西京区嵐山宮町3)は、京都盆地の西一帯を支配していた秦氏により、西暦701年(大宝元年)創建された京都最古の神社です。渡来人の秦氏に酒造りの技能者が多く見られたことから、室町時代末期頃から「酒造第一祖神」として崇拝されるようになりました。

祭神の大山咋神おおやまくいのかみ)は比叡山を守る神ともいわれる神様で、別名を「山末之大主神(ヤマスエノオオヌシノカミ)」とも呼ばれ、「賀茂別雷神(カモノワケイカズチノカミ)」の父神と伝えられています。中津嶋姫命は宗像三女神の「市杵島姫命(イチキシマヒメノミコト)」のことで、天照大神と素戔嗚尊(スサノオノミコト)の誓(うけい)で生まれた神様の一人です。

松尾大社は酒の神様としての信仰で有名です。毎年11月の酒の仕込み始めの頃に行われる「上卯祭」と、4月の酒の仕上がりの頃に行われる「中酉祭」には、全国各地の酒造から銘酒が奉納されることでも有名です。

松尾大社にある「酒由来の事」には、神代の昔に八百万の神々をもてなすため、山田(嵐山)の米を蒸して酒を造り、それを過ぎで作った器に入れて饗応したと記録されています。

また、境内には「お酒の資料館」があります。

https://www.instagram.com/p/B63NXmgAslK/?utm_source=ig_web_copy_link

梅宮大社(うめみやたいしゃ)

梅宮大社は、酒解神(さけとけのかみ)、酒解子(さけとけのみこ)を主神とした酒の神をまつる神社で、京都市右京区の桂川の東、四条通りの北側に位置しています(京都市右京区梅津フケノ川町30)。もともと、京都府南部の綴喜郡井手町にあった橘氏の氏神を平安遷都と共に現在の場所へ移したとされています。松尾大社と同様、11月上卯の日に「醸造安全繁栄祈願祭」(上卯祭)、4月中酉日に「献酒報告祭」(中酉祭)が行われ、酒造関係者らが参拝しています。

祭神はいずれもこの神社特有の神様で、酒解神は木花咲耶姫(彼女も酒神として数えられる)の子供です。

 

以上の三社は「日本三大酒神社」として知られ、全国の杜氏や酒会社の信仰を集めています。

世界には、酒神としてローマ神話のバッカス(ディオニソス)やインド神話のソーマなどが知られていますが、「八百万の神」という言葉が表すように、日本にも数多くの酒神がいるのです。

 

甘酒の種類

甘酒には麹を使用したものと酒粕を使用したものがあります。

麹甘酒はノンアルコールですが、酒粕甘酒は酒粕を利用してつくられているので、アルコールを含みます。酒粕には8.8%程度のアルコールが含まれていますが、加熱することにより、酒粕甘酒のアルコール度数は1%未満となります。

https://www.instagram.com/p/B-Bvnj6lFr0/?utm_source=ig_web_copy_link

また、いずれも健康ドリンクとして豊富な栄養分が含まれていますが、麹甘酒と酒粕甘酒では少しずつ効能が違います。麹甘酒は麹菌によって生成されたブドウ糖やビタミン類などがたくさん含まれており、疲労回復に効果的なため、「飲む点滴」といわれています。一方、酒粕甘酒は麹と酒粕の効果で、麹甘酒の成分にプラスして、アミノ酸や食物繊維が多く「飲む美容液」といわれています。麹甘酒は麹の発酵により自然な甘みがでますが、酒粕甘酒は砂糖を加えて甘みを出します。

 

また甘酒の歴史というと、一般市民に親しまれていた江戸時代を思い浮かべますが、それよりもはるか昔から健康のために欠かせない食材として使用されていました。

万葉集には「寒いから酒粕と溶かして飲んだ」という歌があり、古代の税務帳にも「病人の下級役人に酒粕配った」という記述がみられます。

 

日本には古来より神様に対し、春には豊作を祈願し、秋には収穫を感謝する祭りの文化があります。祭に欠かせないものとして、神様への供物「御神饌(ごしんせん)」が挙げられます。この御神饌の中で特別なものが、お米やその加工品になります。お米の加工品の代表的な物には餅・お神酒(日本酒)そして、甘酒があります。

米は神様が天界で育てていた作物で、地上でも育てるように遣わせたという由来から、供物として捧げるようになりました。

このように神社に甘酒は欠かせない存在であることから、甘酒祭や甘酒神事は日本全国に多数存在しています。豊作の感謝や祈願として甘酒を献上する、甘酒を掛け合うことで疫病流しや無病息災を願う、甘酒の出来具合で豊作か凶作かの占いをするなど多種多様な祭りが日本各地で開催されています。 

日本の祭りの特徴で、神様と人が共に同じものを食べるという『神人共食(しんじんきょうしょく)』という文化があります。これは神様にお供えしたものを人が食べることにより、神様は信仰を得て、人は神様からのご加護を授かるという意味があることに由来しています。

祭の際に、食べ物やお酒を配るこのような風習を「直会(なおらい)」といい、甘酒を用いた祭りや神社では甘酒を飲むことができます。

https://www.instagram.com/p/B9SZFdKJ950/?utm_source=ig_web_copy_link

甘酒に由来する祭

神社で参拝者に振る舞われる甘酒は酒粕を使用した甘酒が多いですが、今回は米麹からつくられた甘酒を飲むことができるお祭りをご紹介します。

 

淡嶋神社 甘酒祭

和歌山市加太にある淡嶋神社は全国の淡嶋神社・粟嶋神社・淡島神社の総本社で、主祭神は少彦名神、大国主、神功皇后です。人形供養で知られ、境内一円に全国から奉納された2万体にも及ぶ無数の人形が並んでいます。

この神社の始まりは神功皇后の時代、200年代(3世紀)頃の話になります。神功皇后が朝鮮出兵の岐路に、瀬戸内海で嵐に合われた際に、神に祈りを捧げると、「船を海流に任せて進めなさい」とお告げを頂いたそうです。そしてたどり着いた島が、神島(友ヶ島:淡路島と和歌山県(加太)の間の海にある沖ノ島の上に位置する小さな島にたどり着き、ここに祀られていた少彦名神と大国主に御礼の品を献上したそうです。その後神功皇后の孫である仁徳天皇(16)が、加太に移されたのが、現在の淡路島神社の沿革です。

少彦名神(スクナヒコナ)と大国主は共に国造りの神として活躍しました。祀られている少彦名神と大国主は共に酒造の神と言われています。

10月3日に開催される大祭(甘酒祭)では、少彦名神を酒造の神とし、新米で造った甘酒を神殿に備え、参拝者の無病息災を願い、授与します。振る舞われる米麹甘酒は、水筒やペットボトルを持参すると持ち帰ることもできるようです。

八幡神社 甘酒祭

愛知県一宮市にある八幡神社の甘酒祭は、もともと大永年間(1521年~1528年)の頃、青木川の左岸に三ッ井重吉城を築いた尾藤源内重吉(びとうげんないしげよし)の子孫である桑山氏が、旧暦815日に行っていた豊年祭り(農作物の豊作を祈る祭)です。明治30年ごろ、桑山氏が甘酒田として免租地となっていた神田(しんでん)を村へ寄付して以降、村全体の祭りになったと伝えられており、現在は10月の第4日曜日に行われ、市の無形民俗文化財に指定されています。神意により決められた甘酒と強飯(こわいい、おこわのこと)の宿元(やどもと)では、祭りの前日、神田で採れた米を使用してつくられた麹で甘酒を仕込みます。

祭当日は午前中、重吉本郷公民館で甘酒の振る舞いがあります。午前10時、甘酒ができたことを知らせる寄せ太鼓が鳴り響くと、村中の人達がそろって公民館に集まり、甘酒を飲み、語り合い、豊穣を感謝します。そのため甘酒は「和なごみ酒」ともいわれています。

神事が終わると、神殿から身を清めた裸の男達が、供えてあった甘酒と強飯の桶を持って参拝者のいる境内へ走り出し、それをまき散らします。これは、豊作を祝って境内一円の草や木にまで喜びを分かつことを意味し、これをいただくと悪病、災難を免れるといわれています。

 

牧野三所社の甘酒祭

愛知県名古屋市中村区にある牧野三所社とは、この地に古くからある牧野神明社、椿神明社、厳島社の3社を指しています。神明社(しんめいしゃ)とは、伊勢神宮の内宮と外宮の神様を祀る神社のことです。牧野神明社と椿神明社は、それぞれ伊勢神宮の内宮と外宮に見立てられた神社で、主祭神は牧野神明社(内宮)に天照大御神、椿神明社(外宮)に豊宇気毘売神が祀られています。厳島社には宗像三女神が一柱である市杵島姫命が祀られており、椿神明社の境外末社とされています。

この3社では毎年1015日及び16日に、甘酒祭と例大祭が開催されています。この3社の甘酒祭りは共通の起源を持ちます。甘酒祭りの起源は、椿ノ森社(牧野神明社)境内の笈瀬川の側に、綺麗な花を咲かせる藤の大樹がありました。そこに集まる見物客が近くの畑を踏み荒らすことが問題になっていました。そこで土地の人達は藤の木を伐採したところ、その年に悪疫が蔓延してしまいました。村の知恵者から「切り倒した藤の木の祟りで、家毎に酒を醸して神様に献上しなさい」といわれ、酒を造るのは難しいので、代わりに甘酒を造り献上することにしました。

笈瀬川(御伊勢川)の清らかな流水を用いて甘酒を造り、牧野神明社(内宮)と椿神明社(外宮)に献上し、残った甘酒を病人に与えたところ、病が癒えて平穏が戻ったといいます。

それから毎年、旧暦915(現在の1015)に笈瀬川の水で醸した甘酒を用意し、牧野神明社と椿神明社、そして厳島社、須佐之男社、稲穂社の牧野五社に献上し、神の御加護に感謝し、氏子の幸せと安全を祈る祭りとして今日にまで伝わっています。

 

牧野神明社

牧野神明社は伊勢神宮の内宮に見立てられた神社で、主祭神は天照大御神です。昭和203月に空襲で社殿が消失し、昭和27年に再建されました。

牧野神明社では1015日と16日の両日に甘酒祭が行われます。宮司による式典は16日の例大祭日の朝から執り行われ、祭囃子が町内を巡ります。15日の甘酒祭では式典などは行われず、神前に御神饌を供え、参拝者に甘酒を配るのみです。牧野神明社で振る舞われる甘酒には金餅(小さな餅)が2つ入っているのが特徴的です。

 

 椿神明社

椿神明社は伊勢神宮の外宮に見立てられた神社で、主祭神は豊宇気毘売神です。昭和20年の空襲の際に、本殿が焼失することなく今なお残っています。

椿神明社では1015日に甘酒祭、16日に例大祭が行われます。式典は牧野神明社と同じく16日の朝ですが、この日に甘酒接待はありません。 15日の甘酒祭りでは式典などは行われず、神前に御神饌を供え、参拝者に甘酒を配るのみです。

神社の本殿にある賽銭箱の横には、「甘酒受」と書かれた青い鍋が置かれており、これは起源の話にもあったように各家庭でつくった甘酒を奉納するための桶です。昔は木桶が置かれていたそうです。

 

厳島神社

厳島神社は椿神明社の境外末社で、主祭神は市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)です。椿神明社と同じく、神社本殿の賽銭箱の脇には青い鍋の「甘酒受」が置かれています。昔は近所に麹屋があり、板状の大きな麹を購入して鍋一杯に甘酒を作り、歳児だけに限らず参拝者に甘酒を振舞っていました。また、各家庭でつくった甘酒を、お神酒を入れる瓶に入れ、牧野神明社、椿神明社、そして厳島社の3社に、宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)を祀る稲穂社、素戔嗚尊を祀る須佐之男社を加えた「牧野五社」を参拝してまわり、5等分にして奉納したそうです。

 

 

阿蘇神社

熊本県阿蘇市一の宮町の阿蘇神社は全国に約450社ある阿蘇神社の総本社で、主祭神は建磐龍命(たけいわたつのみこと)とその家族神です。建磐龍命(たけいわたつのみこと)は初代天皇の神武天皇の孫にあたり、阿蘇一帯を開拓した神様です。

阿蘇神社では元日から3日までの3日間、米麹甘酒が振る舞われます。神への供物を調理する神饌(しんせん)所で神職や巫女たちが甘酒をつくります。竹の棒を使って炊きたてのもち米と米こうじを混ぜ合わせると、粘り気が出てほんのりと甘い香りが広がります。約 3万人分もの甘酒を1週間かけて仕込むそうです。また阿蘇神社近くにある道の駅阿蘇でも元日から3日までの3日間、先着100名に地域の米農家がつくる「甘酒のおふるまい」があります。

富岡八幡宮

祇園舟神事は、神奈川県横浜市金沢区にある富岡八幡宮の例大祭に行われる、青茅(あおかや)で作られた舟に1年分の罪や穢れ(けがれ)を託して沖に流すという祓え(はらえ)の神事です。800年以上前から続く伝統ある行事で、横浜市無形民俗文化財の第一号に指定されており、横浜の夏を代表する行事となっています。

祇園舟神事は、京都の祇園祭をはじめ、全国各地で6月に行われる夏越しの祓(なごしのはらえ)の茅の輪くぐり(ちのわくぐり)と同様、心身ともに祓い清めて暑い時期を迎えるための、昔ながらの神事です。

富岡八幡宮の祇園舟神事では、麦麹によって醸された甘酒を使うのが古くからの習わしです。しかし近年では麦麹の入手が難しいため代わりに米麹を使用しているそうです。秋に執り行われ、初穂の麦を海の神にお供えし、五穀豊穣と海の幸の豊漁に感謝する要素も合わせた神事でもあります。

富岡八幡宮は1191年(建久2年)に源頼朝公が当郷鎮護のために摂津・西宮の恵比寿様をお祀りしたのが始まりです。その後1227年(安貞元年)に八幡大神を併せ祀り、社名も八幡宮と改めました。そして古くから富岡八幡宮に残る縁起書にはこう記されているそうです。

「ある日、集落の一軒の家に托鉢の僧侶が訪ねてきたものの、その家には食糧がありませんでした。そこで家主は、差し上げる食べ物はありませんが、今日はお祭りなのでと、麦酒を差し上げたそうです。すると僧侶はその麦酒を茅の葉ですすり飲むと、実は我は八幡大神である。今日から我を祀れば、村人を守り、邪悪を退けようと言い残し、こつ然と消えたのです」。

富岡八幡宮のある金沢地区は、古くから漁師町として栄え、山に囲まれた地形のため水田面積が限られ、田畑では麦を作る人が多かったそうです。祇園舟神事に麦を使ったお供え物を用いるのは、昔ながらの風習が今に受け継がれているといえます。

7月某日の神事当日に、宮司は祇園舟の上にある、お供え物の麦だんごに麦麹で醸した甘酒をかけ、祝詞を奏上します(現在では麦麹の入手が難しいため米麹の甘酒を使用)。一連のお祓いの後、祇園舟は若衆たちの手によって、船溜りの浜まで運ばれていきます。

浜辺には、「八幡丸」と「弥栄丸」という2艘の和船が岸辺に用意されています。雅楽の音色が鳴り響く中、祇園舟をのせた和船が沖合へ到着すると、祇園舟は海へと放されます。祇園舟に託された1年分の罪や穢れから逃れるべく、八幡丸と弥栄丸の2艘は、競漕しながら岸を目指します。大きな掛け声に合わせて、白装束に身を包んだ若衆たちが和船を漕ぎ好勝負が繰り広げられる光景は壮観で、地域の人々はもちろん、多数の見物客を集める躍動的な神事となります。

 

まとめ

「国菌」といわれるほど、古くから日本人の生活に欠かすことのできない麹と、稲作文化の発祥以来、日本人の主食として親しまれ続けている米、この2つが出会ってできた麹甘酒にもやはり同じように長い歴史があり、日本人の健康面だけでなく精神性にも寄り添い、神々への信仰や伝統文化にも密接に関わってきました。初詣や神社でのお祭りで振る舞われる甘酒は、同じもののように思われがちですが、実はそのつくり方や原材料などにはそれぞれの特色が色濃く現れ、甘酒の由来を知ることはその神社の古くからの言い伝えや習わし、神事の意味を知ることにもつながります。

 

甘酒はその豊富な栄養素で私たちの健康増進や美容効果で注目されていますが、単なる栄養食品には止まらない長い歴史や奥深い魅力に溢れています。自然の恵みだからこそ生まれた甘酒にまつわる歴史的で時に不可思議な物語を紐解くことは、知的好奇心を刺激し、私たちの想像力を豊かに拡張してくれるのかもしれません。

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酒粕でサスティナブルなライフスタイル https://www.maboroshinosake.com/sake/sakekasu/sastainable/ Mon, 11 May 2020 05:53:08 +0000 https://www.maboroshinosake.com/sake/sakekasu/?p=1804 昔から日本の文化や食生活に欠かせない酒粕。その健康や美容への効能により、近年注目が高まっています。酒粕は甘酒、粕漬け、奈良漬などに活用され伝統的な食文化を築いてきました。最近では和食以外にも様々なジャンルの料理との組み合 […]

投稿 酒粕でサスティナブルなライフスタイル酒粕専門店:幻の酒【酒粕屋】 に最初に表示されました。

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昔から日本の文化や食生活に欠かせない酒粕。その健康や美容への効能により、近年注目が高まっています。酒粕は甘酒、粕漬け、奈良漬などに活用され伝統的な食文化を築いてきました。最近では和食以外にも様々なジャンルの料理との組み合わせにより多種多様なレシピが考案されており、伝統的なものから今の感覚とマッチした斬新なものまで、酒粕の魅力がより一層広がり、親しまれています。

また豊富な栄養素を含み、食生活に取り入れることで体内の環境を改善する効果があります。酒粕は日本酒を醸造する工程で出た「カス」、いわゆる「不要物」ですが、それを古来より食生活に取り入れて活用し、日本は豊かな食文化をつくり上げてきました。

 

酒粕で植物を育てる

また、食べたり塗ったりする以外にも酒粕の活用方法はあります。

米のとぎ汁や米ぬかを土に混ぜたり植物に与えたりして活用するという話を聞いたことはないでしょうか。実は酒粕も同じように、肥料して活用することが可能です。酒粕には植物の成長に必要なアミノ酸などの成分が豊富に含まれていることから、昔から肥料の材料として重宝されてきたことが分かっています。

酒粕が肥料として優秀なのは、含有している多種の成分が関係しています。酒粕は日本酒を作る際に生まれる副産物ではありますが、その製造過程で発酵されるため、酵母を含有しています。酵母は人間の身体にとっても馴染み深いものですが、実は農業でも重要な役割を担っているのです。

例えば酵母は堆肥に含まれている有機物の腐敗を予防したり、アミノ酸肥料と一緒に撒くことでアミノ酸を土の中でキープさせておいたりする作用があります。酒粕にはもともとアミノ酸が豊富に含まれているため、酒粕から作られた肥料は土壌を豊かにし、植物の成長を促す効果が期待できるといえます。

また、酵母には植物ホルモンを生成し、花を大きくする働きがあるため、トマトやキュウリなど実がなる野菜の肥料として使用されることも多いようです。

酒粕は肥料の材料として優秀ではありますが、その一方で市販されている酒粕入りの肥料は実は多くはありません。

酒粕にはもともと6~8%のアルコール分が含まれているため、大量に使用してしまうと農作物に害が出てしまう可能性があるからです。また、酒粕は肥料を作るにあたって保存が難しく、コストもかかってしまうため、肥料として市販するのが難しいことも原因として考えられます。

 

 

創業380年を超える京都の老舗酒造メーカー月桂冠は、JA東びわこ・稲枝地区(滋賀県彦根市)の協力のもと、循環型の農業と酒造りに1996年から取り組んでいます。そのコンセプトは、「米から酒へ・酒から米へ」。酒粕を主体にした有機質肥料を用いて稲を育て、収穫した米で酒を造り、酒粕を肥料として再び土に返し、稲を育てるという「米から酒へ・酒から米へ」の循環を繰り返すものです。

稲枝地域の農家は、琵琶湖の水質への影響を少なくするために、従来から有機質肥料の割合を高めるなど、環境への配慮に取り組んでいたことから、新たなアイデアとして酒粕を肥料とした米作りと酒造りに取り組むことにつながりました。また、この取り組みによって誕生した日本酒は商品化されています。

 

 

 

酒粕で米を作り、できた米で酒を造る

JA東びわこ・稲枝地区(滋賀県彦根市)の協力のもと、月桂冠は「酒粕有機肥料」を使った米作り、循環型農業に取り組んでいます。滋賀県の各地域では、琵琶湖への水質の影響を少なくするために、従来から有機質肥料の割合を高めるなど、環境への配慮に取り組んできました。

稲枝地域においては、日本酒の製造工程で生じる酒粕を主体にした有機質の肥料を使い、稲を育てて収穫します。そしてその米で酒を造り、酒粕を肥料として再び使い、稲を育てています。この一連のサイクルを継続し、循環型農業を行っています。

この循環型農業への取り組みは1996年に始まりました。1994年に日本政府から公布された食糧法(主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律)の影響で、それまでの農業のやり方に変化が起こり始めていました。

政府によって米の流通が管理・規制されていましたが、食糧法により米などの作物の流通や販売が緩和されるようになりました。米農家間の競争力も高まり、より独自色を出した商品が生産者に求められるようになりました。

その時流に乗って、月桂冠は米農家と協働することが相互メリットにつながると考え、酒粕を活用した米作り・酒造りへの挑戦が始まりました。

https://www.instagram.com/p/B9Ra_6dH_Y5/?utm_source=ig_web_copy_link

 

日本酒の製造工程で生じた酒粕は、多くが食品として利用されていますが、一部は家畜の飼料などに利用されるなどしていました。この酒粕を活用した「米から酒へ・酒から米へ」の循環は、月桂冠と農家に独自色をもたらすだけではなく、酒造りにより発生する副産物活用の幅を広げ、環境保全にも貢献していきました。

しかしこの取り組みを始めた当初から上手くいっていたわけではなく、最初の年は生の酒粕をそのまま田んぼに撒いてみたものの均一に巻くことが難しく、肥料としての効果も不十分でした。翌年に乾燥した酒粕を使用すると風で飛散して失敗するなど試行錯誤を繰り返し、最終的に酒粕を乾燥、粉砕して供給し、肥料会社で粒状に加工して使用することで肥料としての効果と扱いやすさを両立した酒粕有機肥料が完成しました。

この酒粕有機肥料は、今では、約20軒の米農家で使われています。しかし、酒粕は分解がゆっくりで、栄養素になるまでに時間を要します。田んぼによって土質や水はけなど個性が異なるため、各米農家でタイミングを微調整しながら撒いているといいます。手間暇はかかりますが、即効性のある化学肥料を使用した場合と比べても、遜色ない品質の米を作れるようになったといいます。

そして1999年には、酒粕有機肥料を使用した米100%の純米酒が商品化されました。年に一度、田植えの時期にしか肥料のテストができないこともあり、プロジェクト発足から商品が完成するまでに5年の歳月を要しました。

2004年からは「厳選素材純米」と名付けられ販売が開始されました。しっかりとした味わいの純米酒で、米の持ち味や個性を活かしたお酒に仕上がっているといいます。

2015年2月には酒粕を活用した循環型農業と酒造りの活動が評価され、京都市主催の「第12回 京都環境賞」で特別賞(企業活動賞)を受賞しました。

「京都環境賞」は、環境の保全に貢献する、先進的で優れた活動を表彰するもので、平成15年度から、毎年実施されています。

収穫された米を原料に酒を造り、さらに酒粕を肥料として再び土に返し、稲を育てるという「米から酒へ・酒から米へ」の循環を繰り返す循環型農業。酒粕には、米由来のデンプンのほか麹や酵母由来のタンパク質、繊維質などの有機物が多く含まれており、特にタンパク質中の窒素成分が栄養素として稲の生育に活用されます。

 

 酒粕が結びつけた企業と農家の信頼関係

酒粕有機肥料の取り組みのほか、月桂冠はさまざまな形で農家の方々との結びつきを深めています。そのひとつが、兵庫県加東市藪地区産の山田錦の購買契約です。

播磨地方の酒米産地と、特定の酒造家・酒造業者との間で結ばれる酒米取引制度が「村米制度」と呼ばれる一種の契約栽培です。月桂冠は、全国新酒鑑評会へ出品するお酒に、契約農家が作った村米をはじめとするこだわりの山田錦を用いています。それらの製品は高く評価され、鑑評会の最高峰である金賞を出品した4蔵がすべて3年連続で受賞。月桂冠と米農家との絆もこの快挙に関わっているのです。

また、滋賀県の稲枝地区で定期的に行っているのが、お客さんを招いての稲作体験。取引しているスーパーマーケットのお客さんとその家族を招待し、春に田植え、秋には稲刈りと、農家の方々に米作りを教えてもらうイベントです。このように農作業を楽しみながら農家の方々と交流を図っています。

循環型農業による酒造りをはじめ、酒造メーカーと米農家とがうまく協力していくためにも、このように信頼関係を構築しています。

酒造りの原料となる米、その米を作る農作業自体を、このような稲作体験や米農家の方々とのコミュニケーションを通して農業の大変さや農家が米作りに懸ける思いを感じることが大切といいます。米作りへの思いや情熱を酒造りにも継承していき、循環型農業を通じてクオリティーの高い日本酒造りを行っています。そして、その前提として必要な自然環境を保全する、自然との共生への意識を高めることにもつながっています。

このように月桂冠では、酒粕など酒造りの生産工程で生じる副産物をさまざまな用途に活用すると共に、コジェネレーション設備導入などによる省エネルギー対策や、省資源対策、小学校での環境学習授業の実施、食用と競合しない植物を原料にしたバイオエタノール生産技術の開発、地域の清掃活動への参加など、幅広い環境保全活動に取り組んでいます。これらの活動が評価され、201412月、「平成26年度 地球温暖化防止活動環境大臣表彰」(対策活動実践・普及部門)を受賞しています。

 

酒粕がつなぐ、自然と共生する未来の酒造り

近年、世界規模で対策が課題となっている地球温暖化。それにより引き起こされる自然災害、干ばつによる食糧不足、熱波による死亡や疾病や生物多様性への影響などが問題となっています。2015年の国連サミットで採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」を達成するために協力する動きも世界的に活発になっています。

 

SDGsは20159月の国連サミットで採択されたもので、国連加盟193か国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた目標です。

貧困や飢餓、健康や教育、さらには安全な水など開発途上国に対する支援、クリーンエネルギーへの移行、格差の是正、気候変動への対策や地球環境保全など、未来に向けた持続可能な社会の構築を目指す目標が掲げられています。それらを達成するための17目標それぞれに平均10個の同じようなターゲット(具体策)が存在し、合計すると169個のターゲットで構成されています。

 

産業革命以来、自然環境を破壊し続けて人間社会は発展を遂げてきましたが、これからも豊かな生活を続けていくためには、自然との共生の在り方を見直し、周りと協力しなければ環境を維持できません。今後、企業は環境問題に取り組み、サスティナブルな社会を構築するためにもより一層環境保全に対する貢献が求められ、このムーブメントは当たり前のこととなっていくでしょう。

このような企業活動や商品に対するストーリ性は消費者に求められており、コーポレートイメージの向上や商品のブランディングといった付加価値を与える取り組みでもあります。循環型農業のように企業、米農家、自然環境、そしてそこに関わる消費者にとってもメリットがある仕組み作りは、今の時代に求められているサスティナブルな消費活動ではないでしょうか。

 

循環型の農業と酒造りのプロジェクトは、原材料の循環だけでなく、月桂冠や農家の方々といったプロジェクトに携わる人々が双方のコミュニケーションが促進されることで、知識や経験を循環させています。それはまるでモザイクのように異なるピースが、一つのものをつくり上げていくようです。それぞれの役割がお互いのことを知り、リスペクトすることで、より良い米作りと酒造りができる循環型農業が生まれました。酒粕がつなげる米と酒造りのサスティナブルな関係はこれからの未来に向けた次世代のスタンダードなのかもしれません。

 

八百万の神を祀る神道が古来より精神に深く息づいている日本人は、元来自然と寄り添い社会を構築してきました。例えば、食器がひび割れたら捨てるのではなく、金継ぎをして新しいデザインとして使い続けたり、「米粒に神様が宿る」という表現をして食べ物を大切にする習慣を日常化する。このような世代を超えて日本人が培ってきた「もったいない」精神が、あらゆるものを大切にし、環境に配慮して生活する習慣が、昔から自然と日常生活に根付いているのです。

 

そして今も昔も日本酒づくりは自然と切っても切れない関係です。自然素材を活用し自然のサイクルに寄り添う伝統的な醸造工程の良い部を継承していくことはもちろん、最新のテクノロジーを活用することで、未来のより良い酒造りの環境を醸成し、今後ますます地球環境の改善へとつながる様々な取り組みが行われていくのではないでしょうか。

 

 

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酒粕で造られる焼酎とは? https://www.maboroshinosake.com/sake/sakekasu/shochu/ Mon, 11 May 2020 05:53:37 +0000 https://www.maboroshinosake.com/sake/sakekasu/?p=1795 焼酎は蒸留酒で、日本酒はお米から造った醸造酒。その2種類のお酒の特長を合わせ持つ本格焼酎があります。それは、酒粕から造られた「粕取焼酎」。 日本酒作りで最後に残る酒粕を捨ててしまうには惜しいという、杜氏たちの思いが粕取焼 […]

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焼酎は蒸留酒で、日本酒はお米から造った醸造酒。その2種類のお酒の特長を合わせ持つ本格焼酎があります。それは、酒粕から造られた「粕取焼酎」。

日本酒作りで最後に残る酒粕を捨ててしまうには惜しいという、杜氏たちの思いが粕取焼酎を生み出しました。今では多種多様な焼酎のバリエーションがあり、あえて酒粕を使って焼酎を造る蔵元は少なくなったといいます。銘酒と醸した酒粕を使用し、日本酒の名蔵元が造る「粕取焼酎」をご紹介します。

 

粕取焼酎とは?

そもそも粕取焼酎とはどんなものでしょうか。日本酒

作りの副産物「酒粕」には、約810%のアルコール分が含まれており、この酒粕を原料とするのが「粕取り焼酎」です。

起源は正確に分かりませんが、江戸時代の17世紀後半以降の文献には、その製造方法が記されています。
酒粕は栄養価が高く良い肥料となるのですが、アルコール濃度が高すぎると植物に害を与えます。このため、農民たちは酒粕を蒸留して焼酎を造り、「下粕」と呼ばれる残った粕を肥料として利用しました。つまり、粕取焼酎は元々「副産物」だったという見方もできます。

 

古くは「早苗饗(さなぶり)焼酎」と呼ばれ田植えを終えた祝いの酒として親しまれてきました。製法は太宰府天満宮の「神領田(しんりょうでん)」(神様に備える稲を作る田んぼ)のある地域から広がったと伝えられています。

このように粕取焼酎には日本の農村文化が色濃く反映されているのです。

製法はシンプルで、酒粕にもみ殻を加えて混ぜ、せいろ式の蒸留機で蒸留して造られていました。

 

粕取焼酎の造り方

 

日本酒を造るときに出る酒粕。「カス」といっても、日本酒造りの工程で、もろみをしぼったときに固形物として分けられるものです。日本酒や米の旨味が凝縮されている栄養豊富な食材です。

酒粕には、約8%のアルコール分が含まれています。それを蒸留して造られるのが、「粕取焼酎(酒粕焼酎)」です。

酒粕には、アミノ酸などのうま味成分が豊富に含まれています。粕取焼酎はその酒粕を原料として使用しているため、芳醇な香りと味わいに仕上がるのです。

 

粕取焼酎は、蒸留して酒粕に残った雑味を取り、クリアなアルコール分を取り出すという仕組みが重要ですが、その製法は2種類あります。

粕取り焼酎は、種類によって特長が全く異なる味わいを楽しむことができます。

 

 

酒粕焼酎の種類

粕取焼酎は大きく2種類に分類されます。

 

吟醸粕取焼酎

酒米を50%〜60%以下まで精米して造られる日本酒が吟醸や大吟醸です。この酒粕を使った粕取焼酎を「吟醸粕取焼酎」といい、さわやかな吟醸香がそのまま残り、上品ですっきりとした日本酒に近い味わいが特徴的です。また、酒粕に水や酵母を加え再発酵させ、蒸留したものもあります。

日本酒愛好家にもファンが多く、吟醸酒のように、淡麗でキレのある味わいになることが特長です。

 

 

正調粕取焼酎

日本酒を搾ったあとの酒粕に水を加えると酵母により再発酵が始まります。十分にアルコール発酵がすすんだところで、もみ殻を混ぜて蒸気の通りを良くし、蒸篭(せいろ)型蒸留機にかけます。蒸篭の上から出てきたアルコール分を冷やして液体に戻し、正調粕取焼酎となります。
また、酒粕を熟成させたものを使用することもあります。熟成させると茶色いペースト状になり、味噌にも似た香りになります。酒粕を熟成させることで旨味が増すといいます。

 

江戸時代から続く伝統的な製法ですが、蔵人の手で少しずつ行われる作業で、大変手間がかかるため、採算が取れないといいます。

昔ながらの製法を守って造られるものを「正調粕取焼酎」と呼び、香ばしさと甘みがあり、強い芳香を放ちます。クセが強いものの、慣れるととてもおいしく感じられます。

 

粕取焼酎の飲み方

生、ロック、水割り、お湯割などの飲み方が楽しめます。しかし、古くから親しまれている粕取焼酎独特の飲み方が、砂糖や蜂蜜などの甘味料を加える飲み方です。「粕取焼酎」初心者におすすめの飲み方といえます。

 

ストレート

粕取焼酎のふくよかな香りを知るために、まずはストレートで飲んでみることをおすすめします。グラスを両手で包み込み、ゆっくり舌の上で転がして風味を確かめてください。「バニラの香りがする」「ほんのり酸味を感じる」など、その風味は種類によってさまざまです。まずは粕取焼酎がどのようなお酒かを自らの舌で確かめてから、お気に入りの銘柄を見つけてみてください。

 

ロック

すっきり味わうなら、ロックがおすすめです。焼酎のクリアな口当たりと、お米の風味の両方を感じることができるからです。美味しい水で製氷された、透き通った大きめの氷を用意して、水がゆっくり溶けるにつれて変化してくゆく味わいも楽しむことができます。また、ロックで飲むことは、食中酒として食事のお供にするのもおすすめです。お米が原材料なだけあって、和食などさまざまな料理と合わせやすいお酒です。

 

ソーダ割り

ソーダ割りは、炭酸で割ることで飲みやすくなる一方で、酒粕ならではの芳醇な味わいもしっかり楽しめます。炭酸のシュワシュワとした清涼感の中に溶け込むほのかな酒粕の甘さは、飲んでいるうちにクセになるかもしれません。

粕取り焼酎のアルコール度数は、一般的な25度の焼酎より高いことが多いため、はじめて飲む方は、ソーダ割りにしてゆっくりと慣れていくのが良いのではないでしょうか。ソーダ割りも料理に合わせやすい飲み方です。

 

粕取焼酎は、基本的に一般の酒販売店では取り扱っていないことが多いです。手間がかかる割に需要が少なく、採算が合わないことから、地元で消費できる分量しかつくらない酒造が多いためです。酒造を訪ねた際に、実際に味を確かめつつ、おすすめを聞きながらお気に入りを見つけることが一番良い選び方ではありますが、酒造のオンラインショップ、楽天やAmazonといったECサイトで、自宅にいながら多種多様な粕取焼酎を比較して選ぶのもよいかもしれません。

 

吟醸粕取焼酎

獺祭 焼酎39度【旭酒造】

「獺祭(だっさい)」といえば、日本酒ファンはもちろん、日本酒をそれほど知らなくとも一度は聞いたことがあるほど有名な銘柄です。獺祭を生み出した旭酒造は純米大吟醸だけに専念するという経営方針のもと、酒造りの過程を詳細にデータ化し、杜氏に頼らないノウハウを完成しました。その獺祭を生み出した大吟醸酒の酒粕を再発酵させて蒸留した焼酎です。純米大吟醸の香りを色濃く残しつつ、軽やかな味わいを実現しています。

アルコール度数は39度とどちらかというとウイスキーやブランデーに近いアルコール度数で、封を開けた瞬間からフルーティな甘い香りが漂います。甘く華やかな風味を感じられるまるで濃い「日本酒」を飲んでいるような口当たりです。ロックやストレートで飲むよりは、水割りやお湯割りで楽しむのよいのではないでしょうか。

 

宜有千萬(よろしくせんまんあるべし)【八海山】

清酒「八海山」を生み出した八海醸造株式会社がつくる粕取焼酎が「宜有千萬」です。高品位でかつ新鮮な酒粕のみを原料に、ゆっくりと時間をかけて減圧蒸留しています。蒸留後3年以上貯蔵することで、味に円熟したまろやかな口当たりと日本酒特有の風味が一体化したふくよかな味わいを引き出しています。ゆっくりと時間をかけて減圧蒸留することで、銘酒「八海山」の吟醸酒を思わせるほのかな吟醸香を漂わせた粕取り焼酎に仕上げています。

 

「宜有千萬」という酒名の意味は、「限りなく多くの福が得られるようにと願う言葉。」です。中国で古くから使われている吉語から由来しています。

「よろしく千萬あるべし」という米焼酎も発売されています。

「宜有千萬」の風味を楽しむには、ストレートまたはロックがおすすめです。また、水割りにされる場合は、5:5の割合にして一晩寝かせると、直前に割ったものよりも円やかでバランスの良い風味をお楽しみいただけます。

https://www.instagram.com/p/BymqinABxDc/?utm_source=ig_web_copy_link

 

古酒 乙焼酎【石本酒造】

石本酒造といえば清酒「越乃寒梅」で有名な酒造会社です。新潟市のほぼ中央に位置する亀田郷地域で江戸時代から作られてきた日本酒「越乃寒梅」は、日本酒ファンでなくてもこの銘柄を知らない人はいないでしょう。

乙焼酎は、石本酒造の2代目が抱いていた「蒸留酒を作りたい」との想いを引き継ぎ、平成2年に商品化されました。主に大吟醸酒の酒粕に米を加え再発酵させて絞った発酵液を減圧蒸留し、冷凍濾過しています。その後約5年間熟成させて完成します。吟醸香の広がりと、長期熟成のまろやかさが口に広がります。

上品で澄み切った米の香りと旨味の備わったアルコール度数40度の焼酎は、湯割りやロックで飲むのがオススメです。香味の広がりと伸びを感じさせてくれます。

お盆と暮れの限定商品になります。

 

節五郎【菊水酒造】

城下町として栄えた新潟県新発田市で、酒蔵としての歴史を刻み始めた「菊水酒造」。不老長寿の菊の水を謳った能楽から付けられた日本酒「菊水」シリーズは、全国で広くたのしまれています。創始者の名前を冠した銘柄「節五郎」は、酒蔵としての様々なチャレンジを表現する酒が揃います。

日本酒「菊水」の酒粕を使って造られた粕取焼酎が「節五郎」です。減圧蒸留を行なっているので、雑味が少なく透き通るようなクリアな味わいです。酒粕由来の芳醇でフルーティな香りが漂い、ほのかな甘みが残ります。アルコール度数35度の粕取焼酎で、ロックで飲むと特徴的な酒粕に由来する風味をそのまま美味しく味わうことができます。

 

雪 焼酎つんぶり/黄金波 超音波熟成【北雪酒造】

北雪酒造は、新潟県佐渡島の小さな港から酒造りを始めた酒造です。明治5年の創業以来、伝統と革新を組み合わせた酒造りを行っています。音楽演奏や超音波振動、遠心分離機など、今までされることのなかった日本酒製造の技術を取り入れ、世界的にも知られる酒造です。農薬や化学肥料を使わず、 天然水を利用して酒米造りを行い、その上質な酒米は「朱鷺と暮らす郷づくり認証米」(朱鷺認証米)に認定されています。
北雪酒造では日本酒同様、こだわりの米焼酎が造られていることでも有名です。

「黄金波 超音波熟成」は、自家製の大吟醸粕と高精白粕で造られた後、超音波をあてて熟成された1本です。華やかな吟醸香とまろやかな味わいが特徴的です。また、超音波熟成により、アルコール代謝が早く、酔い醒めが爽やかです。

「山のいただき」を意味する方言に由来して名付けられた、粕取焼酎「つんぶり」は、減圧蒸留機を用いて酒粕の香りと旨味が閉じ込められています。「つんぶり」は、ロックで酒粕の旨味を堪能する飲み方がおすすめです。

 

七田 吟醸粕取焼酎【天山酒造】

天山酒造のルーツは水車業です。現在酒造のある佐賀県小城市で小京都小城の祇園川の清流を利用し、水車業を営み、製粉・製麺業を文久元年(1861年)に開始しますが、平行して地元の造り酒屋からも酒米の精米を引き受けていました。そして明治の初めから酒造会社として、日本酒「天山」を作り続けています。「七田」は県外向けに販売されるブランドです。吟醸酒の酒粕を原料とし作られる「七田 吟醸粕取焼酎」は、豊かな吟醸香とキレのよい飲み口が楽しめます。アルコール度数は25.5度あり、雑味は全くなく、フルーティな香りとアルコールの甘さが渾然一体となっています。少量の水を加水して作る水割りやロックがおすすめです。

 

正調粕取焼酎

昔ながらの製法を守る正調粕取焼酎ですが、あくまで日本酒製造の副産物としてつくられます。どの蔵も日本酒をつくりながら、地元で求める人のために製造を続けているのが現状です。

近代以降、日本酒や芋焼酎、麦焼酎などは、輸送手段の発達や技術革新などによって広範囲へと流通するようになり、全国ブランドの大企業も生まれました。その一方、地域のための酒として造られてきた正調粕取焼酎は、農村の近代化とその後の衰退、また、飲み手の嗜好の変化で癖の強い味わいが敬遠されたことにより、製造する酒造は大幅に減少してしまい、希少価値が高まっています。

そんな正調粕取焼酎の中から比較的入手しやすいものを中心にご紹介します。

 

博多小女郎 粕取焼酎 大亀【光酒造】

福岡県糟屋郡粕屋町長者原にある光酒造。この糟屋郡の地名は酒粕の糟、つまりこの周辺に酒粕を産する清酒蔵が多かったことが語源だといいます。そのため周辺には、酒殿(さかど)、酒屋(さかや)といった地名が今なお残っています。

光酒造は焼酎専門の蔵としてスタートしたという珍しい背景があります。主力商品は麦焼酎「博多小女郎」、米焼酎、にんじん焼酎といったものまでありますが、清酒「西乃蔵」の製造は平成に入ってから始められました。粕取焼酎「大亀」の香りはもみ殻特有の焦げ臭はあまりなく、落ち着いたまろやかさを感じさせる濃醇な味わいが特徴です。

 

粕取焼酎 三隈(みくま)【クンチョウ酒造】

クンチョウ酒造が位置する大分県日田市は、「九州の小京都」とも呼ばれ、北部九州の中心に位置する盆地です。周囲を囲む山々が蓄える水は豊かな質の良い地下水となり、昔から酒造りが盛んな地域でした。

「三隈(みくま)」は、独特の強い香りを好む根強いファンに支えられている粕取焼酎です。アルコール度数が25度と35度があり、初心者はマイルドで飲みやすい25度から始めるのがおすすめだそうです。

地元日田では、アルコール度数35度のものは、梅の収穫時期に梅酒を漬ける焼酎として使われています。ロック、濃いめの水割り、砂糖や黒糖をまぜるのがおすすめの飲み方です。

 

粕取焼酎 辰泉【辰泉酒造】

会津の米と会津の水を存分に生かして醸される清酒「辰泉」。辰泉の酒粕を原料に杉材を使った「サナ」と呼ばれる蒸篭(せいろ)式蒸留機で昔ながらの製法を守りながら造られています。もみ殻の焦げ臭さはウイスキーのピート臭にも似た良い香りがします。シングルモルトの香りが特長的な正調粕取焼酎です。

 

富源(ふげん)【浜嶋酒造】

浜嶋酒造は、明治221899)年に大分県大野郡緒方町で創業し、「鷹来屋」という銘柄の日本酒を醸し続ける酒造所が「浜嶋酒造」。「鷹来屋」という名前は、創業当時に浜嶋家へ鷹がよく飛来してきていたことに由来しているそうです。

「富源(ふげん)」は、蔵元が地元の愛好家のためにごく少量のみ製造されています。そのため、そのほとんどは地元で消費され一般に流通することは少ないそうです。地元緒方町から大野町の一部だけで流通しており、ネット販売も行われていません。個性的で強烈な香りが特徴的です。味わいはその強烈な香りに反して穏やかで深みがあります。

 

まとめ

あまり聞き馴染みのない「粕取焼酎」。特に、製造工程が手作業で手間のかかる正調粕取焼酎の生産は、危機的状況にあるようです。とはいえ、正調粕取焼酎独特の強烈な香りこそが粕取焼酎の原点といえるのかもしれません。

もし焼酎自慢の居酒屋さんなどで見かけたときは、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。

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