米麹甘酒

最近では、日本で古くから飲まれている甘酒に注目が集まり、スーパーやコンビニなど身近なお店でよく見かけるようになりました。「飲む点滴」とも呼ばれている甘酒は、夏バテ予防に注目されているドリンクです。

もしかすると、甘酒を日本酒の一種と思っている人もいるかもしれません。甘酒は日本酒と同様に麹の発酵作用を利用して米からつくられます。しかし日本酒とは違い、甘酒は米のでんぷんを麹菌によって糖分に変える、つまり糖化させるだけなので、アルコールは含まれていません。酒ではなく、子供でも安心して飲める、自然な伝統的健康飲料です。甘酒には、ビタミンや必須アミノ酸など、私たちが生きていくために必要な栄養素が多く含まれています。

今では、甘酒というと初詣の際に神社振る舞わられる、寒い冬の時期に飲んで体を温めるイメージがありますが、昔の人々は夏に冷えた甘酒を飲んでいました。江戸時代末期には街中を多種多様な商人たちが品物を売り歩いていましたが、その一つが甘酒売りでした。特に関西では夏に、江戸では四季を通じて甘酒を売り歩いていたといいます。このような習慣からも分かるように、俳句で使われる「甘酒」は、夏の季語になります。また、江戸時代には、酒の席の前に甘酒を飲んで悪酔いを防ぐことが「武士の作法」とされていました。

 

1. 米麹甘酒は夏バテ予防にぴったりのドリンク

米麹

米麹甘酒が「飲む点滴」と呼ばれ、体へ吸収されやすいブドウ糖やオリゴ糖をはじめ、ビタミンB 群、アミノ酸などが米麹甘酒には含まれています。また、米麹甘酒の酵素が消化吸収を助けると考えられていることから、健康のために甘酒を飲む人も増えています。

日本では古くから甘酒が飲まれていました。江戸時代の書物「守貞漫稿(もりさだまんこう)」には、夏に多くの甘酒売りが甘酒を売り歩く様子が記載されています。江戸時代は現在のように栄養状態や衛生状況が整っていなかったため、夏を乗り切るために甘酒を飲んでいたそうです。水分補給と栄養補給を同時にできる甘酒は、現在も夏バテ予防のドリンクとして注目されています。

甘酒の味わいが飲みにくいと感じる方は、豆乳や牛乳、フルーツ酢などと割ると飲みやすくなります。冷たくしても温めてもおいしいので、季節に合わせて飲むこともできます。

 

2. 米麹甘酒の製法と酒粕甘酒との違い

甘酒には米麹を原料にするものと、酒粕を原料にするものがあります。どちらも麹が発酵する働きを利用して作られた発酵食品です。では、米麹と酒粕でどのような違いがあるのでしょうか。

米麹甘酒は、米麹または米と種麹にお湯を加え、温度60℃前後を保って作られます。麹菌の働きが活発になる60℃前後にすることで、米のデンプンが分解されブドウ糖やオリゴ糖に変化します。60℃より低いと酵素の働きが弱くて甘くなりませんし、温度が高すぎると酵素が壊れてしまい、やはり甘くなりません。この60℃という温度は、他の雑菌が生存できない温度でもあるので、これより低いと雑菌が繁殖して腐敗する、また乳酸菌が増えて酸っぱくなることがあります。そうしてできるのが、自然な甘味のする甘酒です。米麹から作られた甘酒には、アルコールは含まれていないので、子どもやアルコールが苦手の方でも安心して飲むことができます。

一方、酒粕甘酒は、酒粕を水で割り、甘味をつけて作られます。初詣の神社や縁日などで振舞われることも多く、多くの方が一度は酒粕甘酒を口にしたことがあるのではないでしょうか。

酒粕は、日本酒を作るときに残った搾りかすです。日本酒は、米と麹を原材料にして、麹菌による発酵と酵母菌のアルコール発酵によって作られています。そのため、酒粕にもアルコール分が残り、日本酒のようなフルーティーな香りや深いコクを楽しめるのです。

市販されている酒粕甘酒に含まれているアルコール分は1%未満ですが、酒粕から甘酒を作ると1%以上のアルコール分が含まれている可能性があります。これは、使用する酒粕によってアルコール濃度が異なるためです。アルコールに弱い方や妊娠中の方が酒粕甘酒を飲むときは注意しましょう。

また33日の端午の節句には、伝統的な風習では、女の子のいる家庭では梅の花やお雛様が飾られ、雛あられと共に白酒が用意されます。白酒は、蒸したもち米と米麹にみりんまたは焼酎を混ぜて仕込み、2030日間熟成させた後に、できたもろみを軽くすりつぶしてつくります。アルコール分9%前後、糖質45%程度が含まれています。酒税法ではリキュール類に分類される酒の一種です。

米と麹で作られる発酵食品は、日本酒、甘酒のほか、酢、焼酎、みりん、料理酒、白酒など、普段の食卓に馴染みの深いものだけでも数多くあり、他にも郷土料理など多岐にわたります。このように、米は発酵食品には欠かせない原料であるということがよく分かります。

酒粕甘酒は小鍋に酒粕と水、そして好みの量の砂糖を加えて作ります。水や砂糖の分量はお好みです。味見をしつつ、とろみや甘さを確かめながら、砂糖や酒粕の分量を調節します。材料さえあれば、簡単で手間もかからず誰でも作ることができます。米麹甘酒も材料は米麹と水と米(米がなくても可)とシンプルですが、酒粕甘酒に比べて少し手間と時間がかかります。基本的な作り方は以下の通りです。

 

【材料】

米…1

米を炊くための水…360ml

冷ますための水…360ml

生の米麹…400g(乾燥麹なら200g

 

【作り方】

1)やわらかめにご飯を炊く

ご飯が炊けたら、保温したまま1に少しずつ360mlの水を入れて混ぜながら冷まします。この後麹を加えていきますが、麹は60度以上で死滅してしまうので、温度計で測って60度をキープします。温度が下がらなければ少し水を足します。

この温度調整は甘酒を作る上での唯一のポイントです。あとは炊飯器に任せるだけなので失敗しません。

3)麹を加える

3に麹を加え、全体をしっかり混ぜる。

4)濡れぶきんをかけて8時間保温する

炊飯器のふたを開けたまま濡れぶきんをかけて発酵させます。6時間以降で甘くなりはじめ、完成目安は8時間です。途中で12度ふきんを湿らせて乾燥を防ぎます。

5)ペースト状になったら完成

ヘラですくってトロッとするぐらいのペースト状になったらできあがりです。 粒感のない甘酒を好むなら水の分量を100mlほど多めにします。あるいは、飲む際にブレンダー(スティックミキサー)でなめらかに仕上げても良いでしょう。

6)密閉容器に入れて保存

清潔な密閉容器に入れ、粗熱が取れたら冷蔵庫で保存をしてください。手作り甘酒の消費期限は約1週間なので、使いきれなければ密閉保存袋に入れて冷凍しましょう。

 

【基礎知識】生の米麹と乾燥麹の違い

麹には「生」と「乾燥」があります。どちらを使ってもできあがりの味は変わりません。生の方が水分量が多くてしっとりしていて、乾燥はカラカラに干された状態です。見た目にはわかりにくいですが、パッケージに表示されてあるので購入の際にはチェックを。

使用する分量には違いがあり、今回は生の麹を使うので米1合に対して400gですが、乾燥の場合はその半量の200g。板状になっている麹は手でパラパラとほぐしてから使いましょう。

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このように、米麹甘酒は材料も少なくレシピも簡単ですが、保温だけでも8時間となかなか時間がかかるため、自分で作るのをためらう方もいるかと思います。

もっと気軽に試してみたいという方は、オンラインやデパートなどにも販売されているため、すでに米麹甘酒として製品化されたものを購入するのもいいでしょう。しかしせっかくなら出来立ての米麹甘酒を飲んでみたいという方のために、今回は米麹で作られた本格的な甘酒を提供するお店をいくつかご紹介します。

 

3. 東京にある麹を使った甘酒が飲めるお店

①三河屋綾部商店

東京には、「糀谷」や「麹町」などという地名がありますが、東京も昔は麹造りが盛んだったのかもしれません。神田明神のお膝元では今でも麹を造っていて、甘酒や味噌などを売るお店や、麻布十番には今時のお洒落な雰囲気の麹食品屋さんまであります。その中でも一番の老舗である「三河屋綾部商店」。

三河屋綾部商店は、1616年(元和2年)に創業。江戸時代には将軍家に味噌を納めていたという、格式ある老舗です。宮内庁御用達でもあるお店に行くと、お茶の代わりに温かい甘酒が出されます。三河屋綾部商店では、甘酒の他にもお味噌、藁づとに包まれた納豆、米麹、もろみ味噌などを造り、販売しており、甘酒や珈琲が飲める喫茶店も併設しています。

東京には「こうじ」のつく地名がいくつかありますが、それはかつて麹造りが盛んだったためと言われています。昔は良い断熱材や加湿器など無いため、高台や山の谷間に横穴を掘って麹室(麹をねかす部屋)が作られていました。街道まで低い山が続き、その谷間に横穴を掘って麹室を作っていたのが今の「糀谷」で、麦の麹を造っていたのが千代田区の「麹町」です。地下鉄麹町駅を掘った際、地下から何かの室が出てきて、調査するために土を培養してみたところ麹菌が発見されたそうです。

かつては深川から湯島あたりには約20軒もの店があり、酒、味噌、醤油、麹が造られていたそうですが、今では数件に減少してしまいました。以前は、どぶろく、甘酒、味噌、醸造酢、漬物などを家庭で造っていたため、麹屋の需要も多くありました。特に東北の方では、長い冬を乗り切るための保存用に塩気が強いものが多いので、甘さが欲しい時は全て麹で甘みをつけていました。硬くてそのままでは食べられない乾物も、麹を入れて柔らかくしていたと言います。ですが、最近は一般的には味噌、醤油などはスーパーで購入し、自家製で造る家庭は昔に比べて減少してしまいました。核家族化により、麹の使い方を伝えるお年寄り世代が同じ屋根の下にはいなくなってしまったことも、麹を使わなくなってしまった要因の一つと言えます。かつては貴重とされていた砂糖も簡単に手に入るようになったため、甘酒の需要も減ってしまいました。

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②千年こうじや

2017年に麻布十番でオープンした「千年こうじや」は、新潟県南魚沼市の銘酒「八海山」のアンテナショップで、麹を使用した商品や酒の肴など、オリジナル商品が100種、魚沼からの仕入れ商品が200種、合わせて300種類もの商品が並んでいます。新潟県南魚沼市といえば美味しい米と淡麗な酒で知られていますが、豊かな発酵文化が昔から息づいている地でもあります。千年こうじやのふるさとは、新潟県の魚沼地方。越後三山をはじめとする険しい山々に囲まれ、冬には3メートルもの雪が降り積もる雪深い地域です。その長く厳しい冬を乗り切るために、人々はさまざまな知恵と工夫で独特の食文化を築いてきました。

魚沼の暮らしは、冬を中心に巡っていきます。春は味噌を造り、山菜を干したり、塩漬けにし、次の冬への準備を始めます。夏から秋にかけて、旬の野菜や茸などで保存食を作り、やがて到来する厳しい冬に備えます。その多くが、麹や酒粕、味噌などの発酵食品を使った味わい深いもの。自然に寄り添う昔ながらの暮らしの中で、手づくりの味は今も各家庭に受け継がれ、日々の食卓を豊かに彩っています。

「千年こうじや」ではもともと、魚沼の食品を使った味噌や漬物を作っていましたが、さらに色の分野を伝えるために食品開発部が作られ、麹や酒粕で何が作れるかを色々と試行錯誤し、店舗のオープンに合わせて、清酒を使用した化粧品やいろいろな種類の塩麹、ゆず、青梅、イチゴなどのフルーツビネガー、コーヒ、抹茶などをブレンドした甘酒など数々のオリジナル商品が開発されました。ドレッシング、パスタソースなどもあり、麹という今の家庭では馴染みが薄くなりつつある食材を、抵抗なく現代の食生活に取り入られるように、創意工夫がなされています。また新しいものだけではなく、神楽南蛮という魚沼でしか採れない唐辛子と工事と塩辛作った調味料や三五八漬の元など、魚沼で昔から伝わる食品も並びます。

また千年こうじやでは、生酒用の精米歩合60%の米を使用して麹が造られているので、大変手間のかかる贅沢な麹を提供しています

お店の内装は魚沼の民家をイメージしているそうです。東京では銀座と日本橋にも店舗があります。日本橋のお店では、ランチを提供する飲食スペースや、日本酒バーも併設されているので、実際に飲食してみて気に入った商品を購入する、ランチなどで提供されたメニューを参考に商品を選択することもできます。新潟や東京の店舗になかなか行けない場合は、オンラインで商品の購入することも可能です。魚沼にある酒蔵の横には「雪室千年こうじや」という店舗があります。

「雪室」は雪国の人たちの知恵と工夫から生まれた天然の冷蔵庫です。年間を通して低温が保たれ、光の影響を受けない中で貯蔵された米や野菜は糖分が増すなど、熟成により味覚が変化する食品もあります。八海山雪室の日本酒を貯蔵するための雪中貯蔵庫の一部にも野菜など食品を貯蔵し、販売されています。店内の空調には雪室の冷気を一部使用されており、自然エネルギーを有効活用した環境に配慮した施設にもなっています。東京にあるアンテナショップやオンラインショップに並ぶバラエティ豊かな商品をきっかけに、秋は稲穂が実り一面金色になり、冬は雪の壁で真っ白になり、春になると緑で溢れる魚沼を実際に訪れ、古くから続く麹の魅力を景色や空気感も含んで五感で堪能できるのではないでしょうか。

そして千年こうじやの母体である酒造、八海山では、日本酒と発酵を学ぶセミナーやワークショップを東京と大阪で開催しています。日本酒の美味しさの秘密、複雑な「造り」の仕組みを​わかり易く教えてくれる日本酒セミナーの他​味噌などの発酵調味料を手作りするワークショップを開催しています。このように甘酒を含む発酵文化を身近により多くの人々が触れられる多岐にわたる​取り組みを行っています。

 

3. 関西にある麹を使った甘酒の飲めるお店

 

①大阪屋こうじ店

京都を拠点にしている「大阪屋こうじ店」。大阪から京都の舞鶴に移り住んだことから、「大阪屋」を屋号として寛永年間に創業しました。文化元年(1804年)に麹製造販売を分家し、「大阪屋こうじ店」となりました。京都府下で100年以上の商いを継続している店「京の老舗」の認定も受けています。

大阪屋こうじ店の麹作りでは、昔ながらの伝統を守り、煉瓦や薦(こも)などを使い、煉瓦室上蓋製麹法(れんがむろうわぶたせいきくほう)で、一つ一つ手作りで最高の生こうじに仕上げています。蒸した佐賀大豆に種麹菌の胞子をふりかけて菌の繁殖に最適な温度3540℃の条件下で三日かけて製麹します。本店のある舞鶴市は、昔から「弁当忘れても傘忘れるな」と言われるほど天候が変化しやすい地形であり、年間を通して雨が多く、太平洋側と比較すると湿度が高い地域になります。また、山々に囲まれ、良質の水にも恵まれています。この気候風土が麹造りに最適で、良質の「生こうじ」ができるというわけです。

「麹屋」として三百年の秘伝の煉瓦、薦(こも) などを使用した昔から伝わる手作り製麹は、国産米と地下天然水を使用し、適度な水分を含み麹菌がふんわりと膨らんだ生こうじです。

「大阪屋こうじ店」京都府の舞鶴市内の本店のほか、京都市内の三条に店舗を構えています。舞鶴の本店は、文化元年(1804年)麹製造販売を分家し「大阪屋こうじ店」として、京都府下で100年以上の商いを継続している店「京の老舗」の認定を受けています。甘酒や麹はもちろん、生麹を使用した多種多様な商品が取り揃えられています。

三条神宮店では、京都情緒を楽しみながら、甘酒やみそ汁などが味わえるカフェスペース「糀屋cafe」もあります。

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大阪屋こうじ店の米麹は、冬場だけでなく、年中製造販売されています。オーガニックにこだわる方にも嬉しい、無農薬の麹もあります。無農薬栽培の新潟県産自然米と有機肥料100%の特別栽培米コシヒカリ、天然水を使用しています。麦麹は佐賀県産の大麦を使用して作りで丹念に仕上げられています。購入してすぐ使用出来る生塩麹、生麦塩麹、生醤油麹も取り揃えています。生塩麹は炒め物や焼き物など、生麦塩麹は中華風や洋風料理におすすめで、生醤油麹は卵かけ御飯、納豆、刺身など、お醤油の代わりに使用するといつもとは一味違う深みのある旨味が素材の味を引き立たせます。

 

大阪屋こうじ店の生甘酒の素は、米麹だけで仕上げた添加物無し、火入れもしていないので、酵素が生きている生甘酒です。生甘酒の素に約2倍の熱湯を加えるだけなので、とても簡単に美味しい甘酒が家庭でも味わえます。生姜を入れると風味が増し、冬場は体も更に温める効果が高まります。甘酒の独特の風味が苦手な場合は、牛乳で割るとよりマイルドな味わいになります。ヨーグルトに砂糖の代わりに甘酒の素を加えると、腸活にも効果的です。また、ぬか床に加えるとおいしいぬか漬けができます。甘酒の素は冷蔵で約1ヶ月、冷凍では約3ヶ月保存が可能です。

甘酒以外にも、生甘酒を使用したスイーツも販売されています。甘酒アイスクリームは、生甘酒と生クリームのみで、砂糖、食品添加物(安定剤、乳化剤、香料)はもちろんのこと、卵不使用のため、卵アレルギーの方も美味しくいただけます。甘酒フィナンシェは砂糖の代わりに生甘酒が使用されており、甘酒とバターの風味が生きたフランスの焼き菓子です。

また、京都府綾部上林産地鶏や舞鶴産鰆の西京漬、舞鶴産のイカの塩麹漬け、舞鶴産万願寺とうがらしを生米麹でじっくりと煮込み、麹のうまみを生かしたおかず味噌など、地域の食材と生麹を組み合わせた酒のつまみとしても最適の商品も並んでいます。

 

4. スイーツや料理の材料に。調味料としても活用できる米麹甘酒

米麹甘酒はドリンクとして飲むほかに、スイーツや料理の材料にも活用できる食材です。おしるこ・ホットケーキ・ドレッシング・スープなど幅広く活用できます。

スイーツに活用する方法は簡単。砂糖などの代わりに米麹甘酒を取り入れてみましょう。おしるこにするなら、ゆであずきに甘酒を加えて甘味をつけます。ホットケーキミックスで作るホットケーキには、牛乳の代わりに甘酒を加えると、もっちりとした生地になります。

料理に活用するときもスイーツと同様です。ドレッシングでは、酢・サラダ油・塩・こしょうを混ぜ、甘酒を加えます。甘酒が加わることで甘味と、とろっとした風味がプラスされ、クリーミーなドレッシングに仕上がります。梅やわさびなど、ほかの食材を加えて味を変化させても良いでしょう。スープにするなら、食材をミキサーにかけたポタージュがおすすめです。甘酒の粒状も滑らかになり、とろっとしたスープになります。

米麹甘酒には酵素が含まれているので、肉や魚を漬け込むと素材の味を引き出し、加熱してもやわらかく仕上がります。味噌や醤油などと一緒に漬け込むだけで、味が決まります。

このように、米麹甘酒は、ほかの食材と組み合わせるほか、調味料としても幅広く活用できるアレンジのしやすい食材です。

米麹甘酒は、古くから栄養補給のドリンクとして親しまれてきました。飲む点滴と呼ばれるように、食欲がわかない暑い時期や、忙しくて食事をしっかりと食べられないときの栄養補給におすすめのドリンクです。そのまま飲むだけでなく、さまざまな食材と組み合わせて活用してみましょう。

 

①甘酒ミルクティー

甘くて優しい味わいで、温めても冷やしても美味しくいただけます。甘酒特有のくせが紅茶の苦味で調和されて、甘酒が苦手な方にも飲みやすい味わいです。

【材料(2人分)】

紅茶(無糖)・・・200ml

甘酒(濃縮タイプ)・・・150ml

牛乳・・・150ml

【作り方】

全ての材料をよく混ぜて出来上がりです。

 

②甘酒フレンチトースト

バターと甘酒、洋と和のマリアージュ。子供から大人まで大好きなやさしい味わい。

 

【材料(3人分)】

食パン・・・3枚(バゲットでも)

粉砂糖・・・適量

バター・・・適量

A

甘酒(濃縮タイプ)200ml

牛乳・・・100ml

卵・・・2

バニラエッセンス・・・適量(なくてもよい)

 

【作り方】

  1. ボウルにAを入れてよく混ぜ、1/4に切った食パンをAの液に浸す。
  2. フライパンにバターを入れて溶かし、1を加えて弱火で両面をこんがりとした焼き目をつけて焼く。
  3. 器に盛り付け、好みで粉砂糖を振る。軽くホイップした生クリーム、アイスクリーム、フレッシュフルーツ、キャラメリゼしたバナナなど、お好みでトッピングすると、見た目も華やかでおもてなしにもぴったりです。

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③鶏とブロッコリーの甘酒サラダ

甘酒を使用した甘酢っぱいドレッシングは、他の葉物や根菜を使った野菜サラダにも。

 

【材料(23人分)】

鶏ささみ・・・3本(150g

ブロッコリー・・・1株(250g

お酒・・・小さじ1

A

甘酒(濃縮タイプ)・・・大さじ1

酢・・・大さじ1

塩・・・小さじ1/2

オリーブオイル・・・小さじ1

黒こしょう・・・少々

 

【作り方】

  1. 鶏ささみはお酒をふりかけて、耐熱容器に入れてふんわりとラップをかけます。電子レンジで1分加熱した後裏返して、さらに30秒加熱し、ラップをしたまま冷ましておきます。
  2. ブロッコリーは茎の硬い部分を切り落とし、小房に分け、耐熱容器に入れてラップをかけ、電子レンジで2分半加熱する。
  3. Aを良く混ぜ、ブロッコリーと食べやすい大きさに裂いた鶏ささみと和えて出来上がりです。

 

④かぼちゃとひき肉の甘酒煮

みりんや砂糖の代わりに甘酒を使い、こっくりと甘いかぼちゃが懐かしい味わいです。

 

【材料(2人分)】

かぼちゃ・・・1/4個(600g

豚ひき肉・・・150g

お酒・・・小さじ2

甘酒(濃縮タイプ)・・・大さじ3

水・・・150ml

醤油・・・大さじ2

 

【作り方】

  1. かぼちゃは種とワタを取り、所々皮をむいて食べやすい大きさに切っておきます。鶏ひき肉にお酒を入れて混ぜ合わせておきます。
  2. 鍋に日をかけて、豚ひき肉を入れてかき混ぜ、色が変わったら甘酒と水とかぼちゃを入れて蓋をし、時々かき混ぜながら中弱火で10分くらい煮ます。かぼちゃが柔らかくなったら蓋を取り、醤油を加え、水分を飛ばしながら5分くらいに詰めて出来上がりです。

 

⑤甘酒入りミネストローネ

甘酒を入れることでコクが増す具だくさんの野菜スープです。

 

【材料(4人分)】

トマト・・・中3

キャベツ・・・100g

玉ねぎ・・・中1/2

にんじん・・・1/3

じゃがいも・・・中1

ベーコン・・・50g

蒸し大豆・・・50g

にんにく・・・1かけ

水・・・2カップ

A

コンソメ・・・5g

甘酒・・・1/2カップ

ケチャップ・・・小さじ1

塩・・・少々

オリーブオイル・・・大さじ1

パセリ・・・適量

 

【作り方】

  1. トマトは湯剥きし、荒めにきざんでおきます。(湯むきしなくても大丈夫ですが、湯むき口当たりなめらかで美味しくなります) きゃべつ、玉ねぎ、にんじん、じゃがいもはそれぞれ角切りにします。ベーコンは短冊切りに、にんにくはみじん切りにします。
  2. 鍋にオリーブオイルを入れ、にんにくを入れて香りが出たらベーコンを炒め、きゃべつ、玉ねぎ、にんじん、じゃがいもを加え炒めます。
  3. 2にAと水を加え、沸騰したら中火にし、あくを取りながら具材に火が通るまで約15分程煮込みます。
  4. 3に蒸し大豆、甘酒、ケチャップを加え、塩で味を調えます。
  5. お皿に盛りつけ、みじん切りにしたパセリを散らして完成です。

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6. まとめ

腸活や発酵食品への注目度が高まり、美容と健康に効果があるといわれていることから、甘酒への人気も高まっています。そのため、甘酒になじみのない若い世代には、新しいタイプのヘルシーなスイーツとして、一つのトレンドと捉えられているようです。

そのまま飲んだり、砂糖の代わりに調味料として使用したり、普段の食生活に気軽に取り入れやすい甘酒を使用したドリンクやスイーツ、料理を提供す

るお店もでき、伝統的な健康飲料である甘酒の可能性も広がりつつあります。今では、コンビニなどで手軽に手に入るものから、数百年の伝統を持つ麹を使用した本格的なお店の甘酒まで多様な選択肢があります。日本の伝統的な発酵食品の甘酒を自分らしく取り入れて、健康で美しく豊かなライフスタイルを送ってみてはいかがでしょうか。