酒粕

酒粕とは、日本酒を製造する過程で生じる固形物のことで、米麹に酵母菌を加えて発酵させた日本酒の副産物です。つまり、日本酒などを作る際、醪(もろみ)を圧搾して出来た搾りかすを酒粕と呼びます。栄養価がとても高く、食物繊維、ビタミン、ミネラル、タンパク質に加えて、ペプチド、アミノ酸、葉酸などが含まれています。

酒粕は、今話題の腸活にも効果があるといわれている発酵食品の一つです。酒粕は栄養価が高く、健康効果だけではなく、その美容効果にも注目されています。酒粕で作る甘酒は、LDLコレステロールや血圧を下げ、血流を良くして体を温めることで美肌効果が期待できると言われています。

また酒粕にはアルブチンという成分が含まれ、シミ・そばかすの原因のチロシナーゼという酵素の働きを阻止し、シミやそばかすを薄くし、美白効果があるといわれています。

さらにタンパク質や、繊維質を含む炭水化物、天然型吸収ビタミン類、カルシウム・リン・鉄・ナトリウム・カリウム等の無機質、マグネシウム、亜鉛、銅などが含まれています。

 

新しい細胞を作りだすために不可欠な酵母からの核酸類など、100種類以上の有効成分も含まれ、老化を防ぎ、肌を若々しく保つ効果があることも知られています。これらの成分が保湿、保温効果を高め血行を良くし、肌のターンオーバーが行われ、老廃物排出やシミができにくい肌を作るといわれています。

このように酒粕は、糖質やたんぱく質、食物繊維を多く含んだ、非常に栄養価の高い食品です。発酵の過程で生み出された各種アミノ酸、ペプチド、ビタミンをはじめ、さまざまな機能性成分が残っていて、とても「かす」とはいえないほど優れているのです。

酒かすは日本酒を絞った残りかすなので、日本酒醸造には欠かせない米麹の成分が豊富に含まれています。米こうじとは、米にこうじ菌を巻くとでき、酵素をたくさん含んでいます。

日本酒は、蒸した米と水、米麹を混ぜてできます。麹菌が米のでんぷんを分解し、ブドウ糖を大量に作ります。さらに、そのブドウ糖を酵母が食べてアルコールを作り、酒それぞれの味や香りを作るのです。

酵母によってアルコール発酵しできるのが「醪(もろみ)」と呼ばれる日本酒の元です。それを搾ったのが日本酒です。そして搾ったあとに残った「かす」が酒粕なのです。残りかすでありながら、酒粕は昔から捨てられることなく庶民に愛されてきました。

奈良時代の歌人山上憶良が庶民の暮らしを表した「万葉集貧窮問答歌」にこんな一節があります。

「風混じりに雨降る夜雨混じりに雪降る夜は、どうしようもなく寒いので粗塩をつまみ、酒かすを湯で溶いたかす酒をすすってせきをし、鼻をびしびし鳴らし…」

 

この一節からは、およそ1400年前から酒粕が庶民の暮らしと共にあり、体を温めたい時や、体調が悪い時に飲む健康飲料として親しまれていたことが伺えます。また余談ですが、白うりやきゅうりなどを酒粕に漬けた奈良漬も、同じ頃に誕生したといわれています。

 

 

酒粕の驚くべき美容効果

酒粕には、水分蒸発を防ぐαエチルグルコシドや遊離アミノ酸、肌を若く保つビタミンB群、シミの原因となるメラニン色素を作りにくくするアルブチンなど、多様な成分が含まれています。
酒粕が美肌にいいことは、科学的に研究されているだけでなく、昔から酒造りをする杜氏の肌が白く、きめ細やかで美しいことから経験的に知られていて、これらを原料に使った基礎化粧品やせっけん、入浴剤なども製品化されています。

昔は、酒粕を火傷の治療などにも使ってていたそうです。つまり酒粕は肌のターンオーバーを促進するため、日焼けの後などのお手入れにも効果的と言われています。

 

美白効果

酒粕には、ソバカスやシミの原因となる「メラニン」の生成を抑える「アルブチン」「フェルラ酸」「コウジ酸」がふんだんに含まれているため、美白効果やくすみの改善が期待できます。

「アルブチン」とはシミなどの美白に効く成分として有名な「ハイドロキノン」の誘導体です。ところで、誘導体とは一体何なのでしょうか?

化粧品の成分で、よくビタミンCやビタミンEの誘導体、と目にします。簡単にいうと、「ビタミンに分子をくっつけたもの」です。なぜ分子をくっつける必要があるのでしょうか?

例えばビタミンC誘導体についてですが、ビタミンCは抗酸化作用があり、とても肌に良いとされています。しかし、ビタミンCはとても不安定なビタミンです。容器の中で分解してしまったり、ビタミンCの持つ効果を発揮できなくなります。そうした理由から、マグネシウムなどをビタミンCにくっつけることで、安定性を持たせます。ビタミンCからビタミンC誘導体にすると、安定したビタミンCを保つことができるわけです。 

アルブチンの場合は、ハイドロキノンとグルコースをα結合させることによって、αアルブチンというハイドロキノン誘導体が作られています。このαアルブチンは、シミに強い効果が期待出来る上、安全性も確保されている成分といえます。

ただのハイドロキノンの場合は、強い効果が期待できるのですが、その量によっては肌への刺激が強すぎるとされているので、取り扱いに厳重な注意が必要となります。しかしアルブチンの場合は、肌の刺激に弱い人でも安心して使うことができるのです。

 

コウジ酸がメラニン色素を抑制

コウジ酸にも、アルブチンと同じシミなどの美白に効果があると言われています。それは、コウジ酸にメラニン色素を抑制する働きがあるからです。また、強い抗酸化作用があることによりシミの他にもしわやたるみ、糖化によるくすみなどにも効果を発揮するといわれています。
酒粕に含まれる「コウジ酸」には、抗炎症作用があり、ニキビや肌荒れによる炎症を改善する効果や、ニキビによる色素沈着にも効果があると言われています。

 

フェルラ酸の抗酸化作用

フェルラ酸にも美白効果があると言われています。その理由として、メラニン色素を生成するチロシナーゼという物質が、活性化するのを抑えてくれる働きがあるからです。

メラニン色素を抑制する働きはコウジ酸と同じですが、その他にもフェルラ酸には強い抗酸化作用があるために、活性酸素を除去してくれるので、アンチエイジング効果が期待できるといわれています。

 

保湿効果

酒粕に含まれる「酵母」が、肌の水分の蒸発を防いでくれるので保湿効果が高まります。そして発酵によって生成される「アルファエチルグルコシド」が、肌の水分の蒸発を防いだり、コラーゲンの生成を促進するといわれています。

また、「アルファエチルグルコシド」はコラーゲンを作る線維芽細胞を増やすということも報告されています。つまり、毛髪や肌が効率良くアミノ酸を吸収することができるので美容効果が出てくるのです。

このように、酒粕に含まれるこれらの成分が、美白に効果を発揮してくれるのです。

そして酒粕は、もちろん食事として摂り入れるのもいいのですが、直接顔に塗ってしまう「酒粕パック」というスキンケアとしても活用することができます。

 

腸内環境の改善

酒粕はとても栄養価が高い食品です。
炭水化物、食物繊維、ビタミン、ミネラル、ペプチドなどのアミノ酸などが豊富に含まれています。

酒かすは100gあたりの栄養素を見てみると
タンパク質は、卵1.5個分
食物繊維は、リンゴ5個分
ビタミンB2は、米の26
ビタミンB6は、米の47

アミノ酸にいたっては米の583倍という驚異の量です。このように、酒粕には栄養が凝縮されています。

さらに最近注目されているのは、発酵の過程で増えるスーパー栄養素「レジスタントプロテイン」と呼ばれるタンパク質です。食物繊維に似た性質を持ち、胃で消化されにくいレジスタントプロテインは、そのまま分解されずに小腸に届きます。その間に脂肪を吸着する効果があるため、脂肪が体内に吸収されにくくなります。さらに、吸着された脂肪が潤滑油のような役割を果たすので、便として出やすくなり便秘が解消されるのです。また、悪玉コレステロールの数値を下げる効果もあるといわれています。

 

酒粕でやせやすい体質に

酒粕に含まれるレジスタントプロテインは、食物繊維と似た働きをするたんぱく質の一種。摂取すると小腸を通り過ぎながら、コレステロールなどの脂質を強力に抱き込んで体外に排せつしてくれます。つまり、酒粕と一緒に摂取した脂質は、体内に吸収されにくく、結果として太りにくくなるともいえます。

また、酒粕には不溶性食物繊維も豊富に含まれており、レジスタントプロテインとの相乗効果も期待できます。

さらに、脂肪の蓄積を防いでくれるバクテロイデスという菌を活性化してくれるということも報告されています。

また、健康効果としては以下のようなものに期待されています。
・糖尿病予防
・ガン抑制効果
・生活習慣病の予防
・高血圧予防
・肥満の防止 など

 

酒粕は酒販店やスーパー、インターネットなどで購入できます。また酒蔵や酒類によって、酒粕の香りや風味も異なるので、自分の好みを探すのも楽しいのではないでしょうか。

 

酒粕の上手な取り入れ方

保存は冷蔵庫で

酒粕は冷蔵庫で保存すれば、23か月間はおいしく食べられます。長期保存する場合は、ラップで包んでから保存用ポリ袋に入れて冷凍するとよいでしょう。 たまに表面に白い粉のようなものが出ますが、これはカビではなく、シロチンというたんぱく質が結晶したもので、食べても問題ありません。

意外と高エネルギー

酒粕は100g227kcal。ご飯の1.3倍と高エネルギーなので、とり過ぎには注意しましょう。

アルコールが苦手なら加熱して

酒かすには約8%のアルコール分が含まれています。お酒に弱い人は加熱してアルコール分を十分にとばして食べるとよいでしょう。

酒粕のアルコール分をとばしたり、粕汁を作るなどして酒粕を加熱すると、酵母菌やビタミンB群の一部が失われる可能性があります。 たとえば肌の美しさをサポートするはたらきが期待できるビタミンB6は、加熱調理によって約13パーセント減ってしまいます。ただし、煮汁と一緒に食べることで無駄なくビタミンをとりいれることが可能になります。

しかし、酒粕の栄養を余すところなくすべてとりたい場合は、やはり加熱せずに食べることが一番です。

 

それでは、塗っても食べても効果が期待できるスーパー食材、酒粕の様々な活用方法をご紹介します。

 

板粕と踏み粕

一般的な酒粕は圧搾機で搾った「板粕」ですが、「バラ粕」といって板状に取れない酒粕もあります。また吟醸酒では、圧搾機にかけずに醪(もろみ)を布製の袋に入れ、ぶら下げることにより、酒を搾る袋搾りの方法を行うことも多く、この場合、板状の酒粕は取れません。

バラ粕や板粕をタンクに入れ、足で踏み込んで空気を抜き、低温で半年以上、蔵元によっては23年熟成させたものを「踏み粕」と言います。酵素が生きているので少しずつ糖化が進み、茶色いペースト状になるのが特徴です。板粕よりアミノ酸やミネラル分も多く、味も濃厚です。奈良漬などによく利用されますが、そのまま生野菜などにつける食べ方もあります。

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酒粕は、味噌汁の味噌を調合する前に水の段階で酒粕を溶いて入れて作る地域もあります。また、板粕を炙って、黒砂糖や醤油をつけておやつにしてきた地域もあります。昔は、お餅のように火鉢で炙って焼いていました。パチパチ焼ける火の音や酒粕の焦げる香ばしい匂いなど、その情景を思い浮かべるだけでほっこりとした時の流れを感じます。今の時代でも、もしちょっとした縁側や庭があれば火鉢で焼いてみたいところですが、マンションなどでは防火上の問題もあり、なかなかそうもいかないかもしれません。手軽にオーブントースターにアルミホイルを敷いて少し焼き目がつくまで焼くだけで、簡単にできる一品です。

 

甘酒といえば、一般的に米麹と炊いた米や蒸した米を混ぜて、水を加えて数時間から一晩保温してつくります。つくり方も簡単で、一晩でできることから「一夜酒(ひとよざけ)」とも呼ばれています。麹によるデンプンの糖化だけが進んでいて、酵母によるアルコール発酵がないため、ノンアルコールで自然な甘みが引き出されています。

冬季のみ日本酒を造っていた頃は、甘酒造りを夏の副業にしている蔵元もあったそうです。米は甘酒のかさを増すために加えられているので、麹と水だけでも同様の手順でつくることができます。米を使ってつくるのと違い、米麹の甘さや香りがより一層引き立ち、アミノ酸やビタミン類が豊富に含まれています。

また、33日の桃の節句に飲む白酒は、甘酒とよく似ていますが、製法は異なります。白酒はみりんや焼酎などに蒸したもち米や米麹を仕込み、1ヶ月ほど熟成させたものです。ひな祭りにお供えするものなので、子供も飲めるノンアルコール飲料なのかと思いがちですが、アルコールは約9%含まれており、酒税法ではリキュール類に分類されます。

また俳句の世界では、白酒は春の季語ですが、甘酒は夏の季語です。甘酒は冬の寒い時期の暖かい飲み物という印象が強いため、夏の季語というと意外に思う方も多いかもしれません。しかし江戸時代には、甘酒は庶民が暑い夏を乗り切るための栄養ドリンクとして親しまれていました。お店だけでなく、夏の夜には甘酒売りが甘酒を売り歩いていたそうです。また武士の内職としても甘酒造りが行われていました。甘酒はいつしか夏の風物詩となり、夏の季語になったのではないかといわれています。

 

そして甘酒は酒粕で作られるものもあります。酒粕甘酒も栄養豊富で、アルコール度数は商品により異なります。酒粕は、醪を圧搾して日本酒を分離した時に残る固形物です。「かす」という言葉から、お茶の出がらしのようにも思われがちですが、お米の溶け残りなので、食物繊維のような成分や酵母菌体も含まれており、即効性のエネルギー源となるブドウ糖や、体の形成に欠かせない必須アミノ酸、疲労回復に役立つビタミンB群なども豊富に含まれています。

 

酒粕甘酒のつくり方は、麹甘酒よりさらにお手軽で簡単です。酒粕はスーパーなどにも販売されていますが、自分の好きな日本酒の銘柄が出している酒粕などを選んでみても良いでしょう。日本酒と同じく酒粕にもそれぞれ味わいや香りに個性があるため、自分の好きな酒粕を発見するのも楽しみの一つでしょう。

酒粕甘酒

<材料(4~5杯分)>
・酒粕・・・100
・水・・・800cc
・砂糖・・・70g
・塩・・・ひとつまみ

 

<作り方>

  1. 水を鍋に入れて火にかけ、沸騰したら火を止め、一口大にちぎった酒粕を鍋に入れ5分放置。
  2. 酒粕が柔らかくなったら再び火にかけ、酒粕がしっかり溶けるように、かき回しながら沸騰させる。
  3. 沸騰したら、砂糖と塩を入れてかき混ぜて、ひと煮立ちしたら完成♪

 

*ポイント
・砂糖をはちみつに変えると、よりヘルシーで美容効果も期待できます。
・お好みで生姜を加えても美味しく、体が温まる効果も期待できます。
・お好みでヨーグルトやジャムを足してラッシー風なアレンジも楽しめます。

 

 

酒かすをおいしくいただく

酒かすの火鍋

<材料2人分>

白いスープの材料(2人分)
酒かす・・・40g
だし・・・カップ41/2
白みそ・・・80g
塩・・・少々
みりん・・・小さじ2

 

<作り方>
1.ボウルに白みそを入れます。

2.①に酒粕とだしとみりんを入れてよく溶きます。

3.鍋にだしを入れ、②を入れます。

赤いスープの材料
酒かす・・・40g
だし・・・カップ41/2
赤みそ・・・80g
塩・・・少々
みりん・・・小さじ2
粉唐辛子・・・5g
シナモン・・・1g
花椒(ホワジャオ) ・・・4g
八角・・・1g

 

<作り方>
1.赤みそをボウルに入れます。

2.①に酒粕、みりん、粉唐辛子、シナモン、花椒、八角、だしを入れて溶きます。

3.お鍋にだしを入れ、②を入れます。

2つに仕切りのある鍋、または2つの鍋を用意し、お鍋に具材を入れて煮込めば完成です。

白いスープには鮭やタラなどの魚、赤いスープには豚肉などの肉類がおすすめです。

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酒かすブルスケッタ

<材料(2人分)
酒かす(板かす)・・・90g

みつばの茎・・・2~3
いくら・・・適量
明太子・・・10g
あおさのり・・・少々
イカの塩辛・・・10g

<作り方>
1.酒粕は一口大に切り、薄くのばします。

2.オーブントースターでこんがり焼き色がつくまで焼きます。

3.みつばの茎は2cm長さに切り、イクラとともに酒粕にのせます。
明太子とあおさのり、塩辛もそれぞれ酒粕にのせます。

トッピングはお好みで合わせてください。

 

 

酒粕を直接肌につけてみる

食べ物を肌につけるということに、少なからず抵抗のある方もいるかもしれません。もちろん、酒粕の豊富な栄養を取り入れるためには食べることが一番ですが、直接肌につけてみても、驚くほどつるりとした肌の手触りを実感することができます。材料も少なく、安価に手軽でできる美容方法なので、まずは試してみるのもいいでしょう。

昔から、酒蔵で酒をつくる蔵人の手がきめ細やかで白く美しいということは、有名な話で、CMのキャッチコピーなどでも聞き覚えのあるフレーズです。自身の肌との相性も見ながら、日々の美容ケアに取り入れて、滑らかな肌を手に入れてみてはいかがでしょうか。

 

酒粕パック

<材料>
・酒粕(食品添加物が入っていないもの)・・・100g
・精製水・・・120150ml

・ビニール袋(ジップロックが使いやすい)

 

作り方

  1. ビニール袋に酒粕と精製水を入れてよく揉む。もしくは酒粕が滑らかになるまですり鉢ですります。ミキサーやブレンダーなどを使ってもOKです。
  2. そこに精製水を加えて混ぜます。
  3. 清潔な瓶に入れて冷蔵庫で保存します。

 

<使い方>
1.
洗顔し、水分を拭き取った状態で酒粕パックを肌の上に均一になるように広げます。

  1. 5〜15分程度(完全に乾ききる前くらい)おいたら、ぬるま湯でよく洗い流し、いつものスキンケアをして終了。頻度は毎日でも問題ありません。

 

*ポイント

・酒粕パックに使う酒粕の種類は、

  • 板粕(板状の酒粕でスーパーで1番よく見る)
  • バラ粕(細かい酒粕がバラバラ入っているもの)
  • 練り粕(酒粕と焼酎を練り合わせたもの)

など、基本的にどのようなタイプの酒粕でも問題ありません。ただし酒粕によってやわらかさが違うので、パックにするとき必要になる精製水の量を調整する必要があります。(やわらかさの順番は、練り粕 > バラ粕 > 板粕)

硬めの酒粕を使うときは、作る2030分前から精製水に浸けておくことをおすすめします。そうすることで酒粕がふやけて、混ざりやすくなります。

 

・しっかり混ぜてください

・まずは分量どおりに基本の酒粕パック作ってみて、固いようなら精製水加えてください。反対にやわらかすぎる場合は、酒粕を追加して調節していきましょう。

・冷蔵庫に保存して、45日程度で使いきってください。

 

<注意事項>
酒粕パックは誰でもすぐにできる簡単パックですが、やるときは

  • 毎回パッチテストをすること
  • 酒粕を加熱しないこと

この2つに気をつけましょう。

パッチテストは「初めてするときだけで良いのでは?」と思うかもしれませんが、人の肌は毎日コンディションが違います。肌が弱っているときに酒粕パックをしてしまうと、酒粕に含まれるアルコールが刺激になり、肌荒れしてしまう可能性があります。

 

酒粕は加熱せずに、そのまま使うことが重要です。酒粕に含まれる美肌に効果のある成分(酵母や酵素)は熱に弱いため、加熱するとパックの効果が落ちてしまいます。

 

酒粕パックをする頻度は毎日でも大丈夫です。日頃の美白ケアとして、毎日とり入れることで、日焼けしてしまった肌も徐々に回復して、美白効果があらわれます。旅行やレジャーに出掛けて特に日焼けてしまった後などには、朝と夜、12回の酒粕パックをすると良いでしょう。

また、酒粕パックはお酒の香りが強いため、苦手な方はラベンダー、カモミール、ローズ、ゼラニウムなどお好みのエッセンシャルオイルを加え入れることをおすすめします。好きな香りに包まれることで、リラックス効果も高まります。

また、好みでハチミツ、きなこ、豆乳、米ぬかなどを一緒に混ぜて、アレンジも自由自在です。

酒粕は有名な酒蔵なものでも1kg500円程度と、リーズナブルな価格で購入することができます。

このように、とても簡単且つリーズナブルに手作りできる酒粕パックですが、それでも忙しくて酒粕を買いに行くのも作るのも面倒だという方には、まずは市販されている酒粕パックを試してみるのも良いかもしれません。

化粧品メーカーはもちろん、酒造から発売しているものもあり、今では色々な種類が商品化されています。ドラッグストアや通販などで販売されており、海外旅行客にも人気の日本土産の一つとなっているようです。

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酒粕パックは顔だけでなく、全身に使用することができます。ただし、全身に塗ったり、そのままの状態でいることが難しいという方も少なくないでしょう。そんな時は、お風呂の中に酒粕を溶かして、酒粕風呂にしてしまうのもおすすめです。

 

酒粕風呂

<材料>
・酒粕・・・300g
・お湯もしくは日本酒・・・100ml
・ガーゼ
・輪ゴム

<作り方>
1. 酒粕とお湯(又は日本酒)を練り合わせ、ガーゼなどで包んで輪ゴムで絞る
2. 湯船に入れて、お湯の中でよく揉む

*ポイント

日本酒好きの方は癒される香りが広がりますが、酒粕特有のアルコールの匂いが苦手な方は、お好きなエッセンシャルオイルを加えて香りをアレンジして楽しんでください。

 

酒粕と肌の相性が良い方は、毎日こまめにつけて肌に浸透させる酒粕化粧水もおすすめです。

酒粕化粧水

材料
・酒粕(食品添加物が入っていないもの)・・・20
・精製水・・・180ml
・グリセリン・・・5cc

作り方

  1. 精製水と酒粕を混ぜたものを一晩置いて、ガーゼで濾します。
  2. 最後にグリセリンをよく混ぜて完成です。

*ポイント
・冷蔵庫に保存して、約1週間で使いきってください。
・酒粕をガーゼで濾す際は、コーヒードリッパーを使用すると便利です。
・ボトル下に酒粕が沈殿するので、よく振ってから使用してください。
・残った固形の方はそのままパックに利用できるので一石二鳥です。

 

 

まとめ

最先端の美容法を発信するアメリカでも注目を集める、日本生まれの美肌アイテムとして知られている酒粕。

食べても塗っても、美しい肌へとサポートしてくれる心強い味方です。スーパーなどで簡単に手に入り、安価で、アレンジも自由自在なので、無理なく毎日の生活に取り入れることができるでしょう。美は1日にして成らず、ですから継続できるということはとても重要なポイントです。酒粕にふんだんに含まれている自然の恵みで自身の中に宿る美の源泉を引き出し、内側から光り輝くような健康的な美しさを目指してみてはいかがでしょうか。

 

参考:

1.「健康と美容に貢献する「酒粕」の成分」ヤエガキ醗酵技研株式会社

2.「酒粕甘酒の機能性成分の探索 ~アミノ酸とレジスタントスターチの機能性~」日本農芸化学会大会

3.「酒粕コラム」大関株式会社