
麹菌の効用
「飲む点滴」「飲む美容液」とも呼ばれ、疲労回復や美肌効果もあると話題の甘酒。麹で作られた甘酒には、ビタミンやアミノ酸のほかに100種類以上もの酵素が含まれ、とても滋養豊富な食品です。麹とは、麹菌というカビを蒸した米や麦、大豆などにふりかけて繁殖させたものです。米に麹菌を繁殖させたものを米麹といい、生甘酒の材料になります。麹菌は、増殖するときに100種類以上もの酵素を出します。中でも「アミラーゼ」と「プロアテーゼ」という2つの酵素は重要で、アミラーゼは米のでんぷんをブドウ糖やオリゴ糖に、プロアテーゼは米のタンパク質をアミノ酸に分解します。
そして、それらの糖やアミノ酸を栄養源として増えていくのですが、これが人間の身体にとって有益な栄養素になります。さらに麹菌は新たにビタミン類なども生み出します。麹菌が最も繁殖しやすい約30℃の温度と一定の湿度を保った室(むろ)の中で、麹菌に菌糸を伸ばさせながら酵素やビタミン類をどんどん出させる繁殖作業を製麹(せいさく)といい、菌糸が米を覆い尽くし、酵素が十分に出た段階で麹は完成します。製麹には3〜4日かかり、できたてのものが生麹、水分を飛ばしたものが乾燥麹になります。麹菌のタイプや米の種類、繁殖させる環境などは麹屋さんにより異なるためそれぞれ味や香りが異なるのです。
麹菌は東洋にのみ存在する有用微生物です。日本独特の気候風土により自然発生した世界でも類を見ないこの微生物は、デンプンをブドウ糖に、タンパク質をアミノ酸に分解する性質が強く、しかも効果的に脂肪を分解吸収するので、東洋微生物の王様とも呼ばれてきました。
麹そのものを食することはありませんが、古くから清酒、味噌、醤油、鰹節などの発酵製造に利用され、日本人の食生活には欠かすことのできない存在です。
麹には、でんぷん質を消化して糖分に分解するアミラーゼ、タンパク質をアミノ酸に分解するプロテアーゼ、脂肪を分解するリパーゼの3大消化酵素が豊富に含まれています。
酵素は体内の栄養素の分解、運搬、合成、排出を行う上で、とても大切な働きをしています。ビタミン、ミネラル、タンパク質など、必要な栄養がきちんと補給されていても、この栄養を分解して、必要なエネルギーに代えていくための酵素が不足していると、代謝機能がうまく働かず、高血圧、高脂肪、糖尿などの生活習慣病を呼び込んでしまうのです。
酵素はもともとは体内でつくられるタンパク質の一種ですが、現代人のバランスの偏った食生活では、圧倒的にこの酵素が不足していると考えられます。
しかも、酵素は熱に壊れやすい上に、年齢とともに体内でつくられにくくなるため、補助食品などから、効率よく補給してあげることが、大切です。
生甘酒とは
市販されているほとんどの甘酒は、味の変化を防ぐために加熱殺菌(火入れ)されています。その結果、熱でビタミンが変成し、微生物も死滅し、残念なことに酵素も活動を停止しています。
そこでおすすめなのが、自分で作る火入れをしない「生」の甘酒。この「生甘酒」なら活性している酵素や新鮮なビタミンなどを余すことなく摂取することができます。もちろん、「生」でしか味わえないフレッシュな風味も楽しめます。それでは、誰でも簡単にできる生甘酒の作り方 をご紹介します。
生甘酒を作るのに必要な材料は2つとシンプルです。麹とお湯、この2つだけです。お粥を加えることもありますが、麹だけで発酵させた甘酒は、甘みが増し、より短時間で作ることができます。お粥は甘酒のかさを増すために加えるため、お粥を入れないことでより濃縮した甘酒ができるというわけです。
麹は、蒸した米に麹菌を繁殖させた米麹を使用します。乾燥麹と生麹の2種類がありますが、手に入れやすいのは乾燥麹です。生麹を乾燥させて水分を飛ばしたものが乾燥麹です。スーパーで見かけるのは乾燥麹がほとんどです。常温保存も可能ですが、冷蔵保存した方が品質保持のためには安心です。だいたい半年を目安に使い切ると良いでしょう。一方生麹は作りたてのために日持ちがしません。近くに麹屋さんや味噌屋さんがあれば生麹が手に入りやすいです。そのほか生麹はオンラインショッピングでも購入可能なものもあります。保存期間は、冷蔵で1週間、冷凍で半年が目安となります。
乾燥麹を使用する場合
麹はだまがなくなるよう、使用する前に清潔な手でよくほぐし、室温に戻しておきます。混ぜる分量の張り合いは、麹:お湯=1:2としてください。お湯の温度は63〜65℃にします。麹と混ぜることで温度が少し下がり、酵素が活発に働く60℃前後になります。
https://www.instagram.com/p/BrlaD63AmgV/?utm_source=ig_web_copy_link
生麹を使用する場合
生麹を冷凍していた場合は、自然解凍します。だまがなくなるようよくほぐし、室温に戻します。混ぜる分量の割合は、麹:お湯=1:1としてください。お湯の温度は乾燥麹と同様に63〜65℃にします。麹と混ぜた時に60°C前後になるようにします。
とても細かい温度設定に少し面倒だなと思われるかもしれませんが、生甘酒作りで一番重要なポイントがこの温度設定になります。60°C前後より温度が高くても低くても甘くならないため、美味しい甘酒にならないのです。それは、麹菌の分泌する酵素が最も活発化する温度が60°C前後だからです。酵素が米麹に含まれるデンプンをブドウ糖やオリゴ糖などに分解するため、甘くなるのです。例えば、50°Cでは酵素があまり活発化しないため甘くなりません。一方70°Cと適温より温度が高いと甘みが出ないまま酵素が活動しなくなってしまいます。
温度計などを用いて自分で長時間、一定温度を保つのはなかなか難しいため、電気炊飯器や保温調理器、保温水筒など温度をキープできる容器を使用して麹とお湯を発酵させるのが良いでしょう。
電気炊飯器での作り方
内釜に麹を入れて63〜65℃のお湯を注ぎ、温度が60℃前後になったのを温度計で確認します。炊飯器の蓋は開けたままにし、その上を布巾で覆います。そのまま保温モードで4時間おきます。時々、温度計で60℃前後かどうかを確認します。途中で温度が下がった場合は、電気炊飯器の蓋を閉めて保温するか、炊飯モードで少し温度を上げてからまた保温モードに切り替えます。適温を4時間キープできる保温性の高いアイテムであれば、容器はなんでも構いません。保温水筒や保温調理器など、加熱機能のないものは温度が下がった場合は、60℃前後が保てるように注意しながら甘酒の加熱し、温度を調節してください。4時間経てばとろりとして濃厚な甘みのある生甘酒が完成します。もし甘みが足りないと感じた時は、保温時間を延長するなど調整をしてください。使用する麹のくせにより仕上がりも変わってきますので、味見をしながら自分の好みに合わせて微調整すると良いでしょう。
保存方法
出来上がった生甘酒は常温だと発酵が進み、味が変わってしまいます。作りたてをすぐに使用しない場合は、冷ましてからホーローやガラス、プラスチックの容器に入れて冷蔵庫で保存してください。冷蔵庫では約1週間を目安に保管してください。冷蔵保存でも発酵が緩やかに進み、ガスが出るため、まれに爆破することがあります。保存容器の蓋は少し緩めておく、もしくは1日1回は蓋を開けるようにしましょう。もしくは、ジップロックなどの保存袋に入れて平たく形を整え冷凍保存してください。冷凍保存する場合は3ヶ月を目安に保管してください。冷凍保存すると、解凍時に水分が出るために作りたての時よりは甘みが落ちます。いずれにせよ早めに使い切るようにしましょう。
冷蔵保存していても、時間が経ってしまうと生甘酒が酸っぱくなることがあります。これはブドウ糖を餌にする乳酸菌などが入り込み、増殖したことが原因として考えられます。しかし酸っぱい原因が乳酸菌によるものではなく、ブドウ糖をエサにする雑菌や腐敗菌が混入し、酸を出すこともあります。そのため、酸味を感じた場合は、飲まないほうが良いでしょう。雑菌や腐敗菌を入れないためにも、生甘酒を汚れたスプーンや指で混ぜることはやめましょう。もちろん冷蔵庫や冷凍庫内を清潔に保つことも大切です。
生甘酒の楽しみ方
生甘酒ドリンク
作りたての生甘酒は、そのまま飲むことが一番新鮮な味わいを堪能する方法です。もしそのまま飲むことに飽きてきたら、アレンジ次第でさらに美味しく、苦手な方にも飲みやすくすることもできます。寒い日は温めて、暑い夏の日は生甘酒に少量の水と氷を加えて冷たく冷やすと、夏バテ予防にもなる美味しい栄養補給飲料としても最適です。牛乳や紅茶、珈琲など、毎日習慣的に飲む飲料で割ったり、シナモンやきな粉で風味を加えるなどバリエーションは豊富です。
ただし、温めて飲む場合は60℃以下にしておかないと、せっかくの生甘酒の効能を十分に取り入れることができません。熱湯を加えることも、煮立てることと同様なので暖かい飲み物で割る時にも注意しましょう。
反対に、冷やすことでは酵素の活動に影響を与えないので、氷を入れる、また冷凍する分には、生甘酒の効能に影響を与えることはありません。生甘酒に旬のフルーツを加えてミキサーにかければ、いつものスムージーとは一味違う深みのある味わいになります。まったりとした食感が苦手な場合は、炭酸水やレモン、フルーツ酢を加えるとのどごしが爽やかでスッキリとしたスカッシュやビネガードリンクにもなります。レモンや柚子などの柑橘類を絞って加えるだけでも、すっきりととても飲みやすくなります。
https://www.instagram.com/p/BnhmieshvMM/?utm_source=ig_web_copy_link
生甘酒スイーツ
生甘酒はそのまま飲むだけではなく、色々な料理にアレンジすることもできます。とろりとした食感や麹の粒感が特徴的ですが、そのまま飲むことに抵抗がある場合は、スイーツや料理に加えてみると取り入れやすいのではないでしょうか。感覚としては砂糖やハチミツの代わりに気軽に使ってみましょう。グラノーラにはヨーグルトや牛乳の代わりにかけてもいいですし、ヨーグルトや牛乳とともにかけても良いです。
ただし、生甘酒を高温で加熱してしまうと火入れをしたことと同様になりますので、酵素が活動しなくなってしまい、微生物も死滅、ビタミンも破壊されてしまいます。しかし、美味しさが損なわれることはなく、また生甘酒に含まれる栄養分が全てなくなってしまうわけではありません。今では温めて飲む冬の風物詩としてのイメージの強い甘酒ですが、江戸時代には冷やして飲む暑い夏を乗り切るための栄養補給ドリンクとして親しまれていました。昔の人々の慣習は、栄養学的に見てもとても理にかなっていたことがよく分かります。
生甘酒の栄養分をそのまま活かすスイーツのレシピをいくつかご紹介します。
①生甘酒のシナモンレーズンアイス
【材料(2人分)】
生甘酒・・・200ml
レーズン・・・20g
シナモン・・・適量
【作り方】
- 全ての材料をボウルに入れて混ぜ合わせます。
- 冷凍庫に入れて、30分おきにかき混ぜます。
- 2時間くらい冷凍庫で冷やせば完成。かたまり過ぎてしまった場合は、少し室温で解凍してから食べると良いでしょう。
②生甘酒ショコラ
【材料(6個分)】
生甘酒・・・50ml
くるみ・・・25g
ココナッツオイル・・・20〜30g
ココア・・・5g
シナモン・・・適量(なくても良い)
【作り方】
- くるみをフライパンで乾煎りします。その後包丁で細かく刻むか、フードプロセッサーにかけて小さく砕きます。
- 小鍋にココナッツオイルを入れ、溶かします。ココアとシナモン、1のくるみを加え、混ぜ合わせます。
- 2に生甘酒を入れて混ぜ合わせ、冷蔵庫で少し硬くなるまで冷やします。小鍋に甘酒を入れる時には温度計で60℃以下になるように確認しましょう。冷蔵庫から取り出して6等分にして丸く成形し、さらに冷蔵庫で冷やして完成です。
甘酒の粘度がゆるい場合は冷蔵庫で冷やしても固まらない可能性があります。その場合はココナッツオイルを加えて、再度加熱し、冷蔵庫で冷やす工程を繰り返してみてください。
③生甘酒モンブラン
【材料(6個分)】
A
甘栗(皮がむいてあるタイプ)・・・100g
牛乳・・・大さじ1
生甘酒・・・大さじ1
ハチミツ・・・小さじ2
ラム酒・・・小さじ1
B
生クリーム・・・200ml
生甘酒・・・大さじ2
クラッカー(無塩)・・・6枚
甘栗・・・6個
【作り方】
- Aの全ての材料を一緒にフードプロセッサーにかけ、ペースト状にします。
- Bの生クリームと生甘酒をホイップし、絞り出し袋に入れ、クラッカーの上に高さ3cmほど絞り出します。
- 1を別の絞り袋に入れ、2を覆うように絞り出し、仕上げに甘栗を頂点に飾ります。
https://www.instagram.com/p/ByWlfbEASnB/?utm_source=ig_web_copy_link
④リンゴのガレット、生甘酒ソースを添えて
【材料(2人分)】
冷凍パイシート・・・1枚
リンゴ・・・1個
A
生甘酒・・・50ml
ハチミツ・・・小さじ1
【作り方】
- リンゴはくし切りにし、さらに薄くスライスします。
- パイシートは15cmくらいに綿棒で四角く伸ばします。
- ボウルにAの材料を入れて混ぜ合わせます。
- パイシートの上にリンゴを2列に並べ、180℃に予熱したオーブンで20分焼き、220℃に上げて3分程焼き、表面に焼き色をつけます。
- 4をオーブンから取り出して粗熱をとり、3の甘酒ソースをかけます。お好みでバニラアイスを添えたり、シナモンをふりかけて完成です。
生甘酒を料理に取り入れてみる
60℃以上熱すると大切な酵素が壊れてしまうことから、料理にはなかなか取り入れにくいと思われがちですが、ドレッシングや冷製スープ、ピクルスなどとの冷やしていただく料理には生甘酒を取り入れやすいです。生甘酒の甘味が苦手な方は、様々な食材や、オリーブオイル、塩、酢、醤油などといった調味料と合わせることにより、無理なく健康的に生甘酒を普段の食生活に取り入れることができるのではないでしょうか。
①生甘酒とトウモロコシの冷製スープ
生甘酒が生トウモロコシの甘味をさらに引き立て、深みのある味わいです。
【材料(2人分)】
生甘酒・・・100ml
トウモロコシ・・・大きめ1本
豆乳(成分無調整)・・・150ml
塩・・・適量
ブラックペッパー・・・適量
オリーブオイル・・・適量
【作り方】
- トウモロコシは包丁で身をそぎ落とし、鍋に入れる。大さじ2程度の分量外の水と塩少々を振り、ふたをして弱火で3〜5分蒸します。弱火で蒸し煮することで、トウモロコシの甘味が引き出せます。
- ミキサーに1のトウモロコシ、甘酒、豆乳を入れ、好みのなめらかさになるまで撹拌します。塩、ブラックペッパーを入れ、味を調えます。
- 冷蔵庫で冷やして、器に注ぎ、オリーブオイルを適量まわしかけます。お好みでクルトンを浮かべていただきます。器も冷やしておくとより美味しくなります。
②生甘酒のガスパチョ
ガスパチョは、もともと農夫や羊飼いが過酷な暑さの中で水分と栄養を摂るために広まったと言われています。さらに遡ると、ローマ軍団が持ち込んだ飲み物に由来する、などという話もスペイン王立ガストロノミー学会のサイトには書かれています。ガスパチョの起源は、ローマ軍団が水筒に入れて持ち運んだ「ポスカ」という飲み物に由来します。ポスカは、水、ビネガー、塩、刻んだハーブから作られていました。
今ではガスパチョはスペインを代表する料理の一つとして有名で、ミキサーさえあれば簡単にできるため、暑い夏の日には家庭でもよく作られています。
【材料(2人分)】
生甘酒・・・125ml
トマト・・・5個
きゅうり・・・1本
セロリ・・・5cm程度
氷・・・5〜6個
オリーブオイル・・・小さじ2
塩・・・適量
ブラックペッパー・・・適量
セロリの葉・・・適量
タバスコ・・・適量
【作り方】
- フルーツトマトはヘタを取り除き、くし型に切る。セロリは薄切りにする。セロリの葉は千切りにします。
- ミキサーに、生甘酒、きゅうり、トマト、セロリ、氷を入れて、液状になるまで撹拌します。塩で味をととのえます。
- 器に注いで、セロリの葉を飾ります。仕上げに、ブラックペッパーをふり、オリーブオイルをかける。好みでタバスコをかけていただきます。
バゲットを薄くスライスし、ガーリックとバターを塗ってトーストしたガーリックトースとの相性が良く、夏場の食欲のない時のランチにもぴったりな、栄養補給を飲みやすさを兼ね備えたスープです。トマトときゅうり以外の野菜はズッキーニ、パプリカに変えても風味が異なり美味しくなります。またお好みでクミンなどのハーブやにんにく、白ワインビネガーを加えてもいいでしょう。
③たことスモークサーモンのカッペリーニ
生甘酒が素材の旨みを引き出し、味をまとめてマイルドに仕上げます
【材料(2人分)】
タコ(ボイル)・・・60g
スモークサーモン・・・4枚
バジル・・・4枚
A
アンチョビペースト・・・大さじ1
にんにく(すりおろし)・・・小さじ1
オリーブオイル・・・大さじ3
生甘酒・・・大さじ1
塩麹・・・小さじ1
カッペリーニ・・・120g
ブラックペッパー・・・適量
【作り方】
- たことスモークサーモンを食べやすい大きさにカットし、バジルは手でちぎります。
- Aの全ての材料をよく混ぜ合わせて、1を漬け込んでマリネし、30分ほど冷蔵庫で寝かせます。
- カッペリーニを表示時間通りに茹で、冷水にとってよく水洗いします。水気を十分に切ってよく冷やした2と会えます。皿に盛り付け、ブラックペッパーをふりかけて完成です。
④野菜が止まらなくなる、生甘酒バーニャカウダ
【材料(2人分)】
にんじん・・・1/2本
きゅうり・・・1本
セロリ・・・1本
生甘酒・・・大さじ1
にんにく・・・2片
アンチョビ・・・6枚
オリーブオイル・・・大さじ1
【作り方】
- にんじん、きゅうり、セロリなどお好みの野菜をスティック状に切る。にんにくをすりおろします。
- フライパンにオリーブオイルを熱し、弱火でにんにくを炒める。香りが出たら、アンチョビを潰しながら加えます。
- 火を止めて甘酒を加えてよく混ぜバーニャカウダソースにします。野菜スティックをソースにつけながらいただきます。
他にも生甘酒と塩麹、生甘酒と味噌、生甘酒と醤油などをそれぞれ組み合わせた漬け床に野菜やチーズ、魚介や卵、茹でた肉などを適当なサイズに切って漬け込み、冷蔵庫で寝かせておくと旨味が凝縮されて、コクのある味わいになります。
生甘酒にプラスαした新感覚甘酒
ベーッシックな生甘酒に慣れてきたら、様々な種類のお茶や甘みのある食材を加えてバリエーションを楽しんでみてはいかがでしょうか。
①さつまいも生甘酒
【材料】
乾燥麹・・・200g
さつまいも・・・200g
63〜65℃のお湯・・・300ml
(生麹200gの場合はお湯150ml)
【作り方】
- さつまいもは蒸して皮をむき、一口大にカットします。麹は手でよくほぐしておきます。ふかしいもの代わりに、やきいもを使用しても美味しくできます。
- 保温容器にさつまいもと麹を入れ、お湯を注ぎます。60℃をキープして4時間保温します。途中で温度を確認しながら混ぜます。
- できあがった甘酒をミキサーにかけると滑らかでさらに美味しくなります。少しもったりとしているので、ときどき混ぜながら、滑らかに撹拌するのがポイントです。
ジャムの代わりにヨーグルトやアイスクリームにかけて食べるのもおすすめです。また、そのまま食べてもスイーツのようで、冷凍するとアイスクリームのような食感になります。
②ほうじ茶生甘酒
日本で生産されるお茶のほとんどは緑茶です。緑茶とは、発酵させていない茶葉のお茶です。緑茶を焙煎したものが「ほうじ茶」です。ちなみに、「玄米茶」は緑茶に玄米を加えたもの。「ウーロン茶」は茶葉を半分発酵させたもので、茶葉を十分に発酵させたものが「紅茶」になります。
【材料】
乾燥麹・・・100g
ほうじ茶・・・600ml
(生麹100gの場合はほうじ茶300ml)
【作り方】
- ほうじ茶を用意し、63〜65℃に冷ましておきます。麹は手でよくほぐしておきます。
- 保温容器に麹を入れ、ほうじ茶を注ぎます。60℃で保温し、ときどき温度計で温度を確認しながら4時間保温すると完成です。
③ルイボス生甘酒
ルイボスティーは南アフリカのセダルバーグ山脈一帯のみに自生する植物です。ノンカフェイン・ノンカロリーで、妊婦さんにもすすめられているほど、とても飲みやすいお茶であり、ミネラルのバランスもいいお茶です。抗酸化成分も含まれており、アフリカの人々は「不老長寿のお茶」と呼んで重宝されてきました。
【材料】
乾燥米麹・・・200g
ルイボスティー・・・400ml
【作り方】
- ルイボスティーを10分ほど煮出します。時間がない時は煮出さずにティーポットに茶葉を入れてお湯を注ぐだけでもいいですが、煮出した方がルイボスティーの効能がより一層抽出されるのでおすすめです。
- ルイボスティーを63〜65℃に冷ましておきます。保温容器に麹を入れ、ルイボスティーを注ぎます。60℃で保温し、ときどき温度計で温度を確認しながら4時間保温すると完成です。
ルイボスティーには発酵していないグリーンルイボスティーと、発酵して赤くなったレッドルイボスティーがあります。抗酸化作用はグリーンルイボスティーの方がレッドルイボスティーの10倍高く、そのためグリーンルイボスティーの方が高価になっています。グリーンルイボスティーは緑茶にも似たスッキリとした味わいで、レッドルイボスティーはほのかな甘みがあります。またスパイスが加えられたチャイ風味のルイボスティーなど様々な種類があります。お好みのルイボスティーを使って甘酒を作りましょう。
まとめ
麹菌を米、米ぬか、麦、大豆などに培養したものを麹と呼びます。麹はそのものを単体で食することはありませんが、麹は発酵する際、他の有用微生物との相乗効果で、甘味やうま味などをバランスよく引き出してくれます。しかも、麹による発酵食品は保存料などの添加物なしでも貯蔵性が高く、保存食としても重宝されてきました。そして、味噌や焼酎などは保存期間中に熟成が進行して、おいしさが増していう特長を持っています。
化学調味料や合成保存料などの存在しない時代に、先人たちは麹をうま味の元として、また天然の保存料として、日々の生活に上手に取り入れてきました。
麹は何百年という長い歴史を経て受け継がれている数少ない確かで安全な食品を生み出した微生物といえます。昔はどこの家でも自家製の味噌や漬け物を作っていました。自家製で作ってきたものも、近代化とともにスーパーマーケットやコンビニエンスストアなどで簡単に手に入れられるようになりました。また共働きが増えることで、家事を時短する傾向にもなりました。自家製のものを作るということは手間も時間もかかりますが、食生活の安全性が問われている今こそ、改めてその有用性を見直したいものです。
生甘酒は、保温の温度さえ注意すれば、米麹とお湯のみというシンプルな材料で誰にでも作れる簡単で栄養豊富な飲み物であり、万能調味料にもなるという変幻自在でアレンジ幅の広い食材となります。
冷凍すると保存期間も3ヶ月持つので、作りたての時はそのままのフレッシュな味わいを楽しみ、冷蔵または冷凍保存したものは、多種多様な食材と組み合わせてそれぞれの食習慣や好みに応じた取り入れ方をするなど、1度作るとストックしておけるため、毎日でも継続して食べやすいです。生甘酒で美味しく健康で豊かな食生活を楽しんでみてはいかがでしょうか。
参考:
2. 月桂冠総合研究所/「麹カビと麹の話」小泉 武夫著 光琳テクノブックス 1 (1984年)