古酒とは?

日本酒の古酒(こしゅ)はあまり知られていませんが、古酒の歴史は古く、
鎌倉時代には既に上質な酒としてその存在が記されています。
古酒に明確な定義はなく、一般的に長い間熟成させた酒のことを指します。
寒造りだけが行われていた頃は、しぼって火入れするまでの酒を
「新酒」、火入れをして秋まで貯蔵したものを「古酒」と呼んでいました。
酒造技術の向上や環境の整備により四季醸造が行われるようになってからは、
酒造年度(7月から翌年6月末)を基準に、その年度に造られたものを「新酒」、
次の年度以降に造られたものを「古酒」と呼ぶようになりました。
また、熟成期間100年を超すような年代ものは大古酒と呼ばれます。
古酒の歴史

古酒の味わい

さらに進むと、中国の紹興酒の香りによく似た「ひね香」を生じ、重厚な味となり、色も濃くなっていきます。
古酒の種類
古酒は「醸造の仕方」、「貯蔵・熟成の仕方」、「熟成年数」などにより様々なタイプに分けることができます。その中でも大まかに2つに分類したものが以下のタイプになります。
・淡熟タイプ
淡麗な吟醸酒などをおだやかに熟成させたもので、色合いは薄く、もとの酒の特徴を残した香味がやわらかく穏やかな味わいの酒。もともとの香り高い吟醸香がのこり、熟成から得られる木の実のような香りがひろがります。
・濃熟タイプ
熟成により大きく変化する酒で、純米酒や本醸造酒など比較的精米歩合の高い米で醸造し、常温で貯蔵した色・香味ともに濃厚な酒。香りとしてはシェリーや紹興酒に近く、木の実、蜂蜜、キャラメルなど豊な香りを楽しめます。
熟成はお酒の持つ成分が化合・分解を繰り返して行うので、含有成分が多いほど複雑に変化し、温度が高ければ変化は早くおこなわれます。
淡熟タイプは、原料を小さく削った吟醸系が多いため含有成分が少なく、低温で寝かせているので無色に近く、味、香りも変化が穏やかです。
反対に濃熟タイプは純米酒や本醸造酒などの精米歩合の高いお酒を使用し常温で保存するため、熟成の条件によって様々な変化を楽しめます。
また、その他にも低温熟成と常温熟成を交互に行ったもの、ワイン酵母やシェリー酵母で仕込んだスッキリとしたお酒や、麹米をふんだんに使った甘み、酸味の輪郭を持ち合わせたお酒、さらにそれらを樽熟成させ香味、色調豊かなものなど新しい古酒造りの試みも進められています。
古酒を作る

先の<古酒の種類>でご紹介したとおり、「醸造の仕方」、「貯蔵・熟成の仕方」、「熟成年数」等により古酒のタイプが違ってきますので上記を参考に、お好みの古酒を作ってみて下さい。
酒の熟成に適した環境としては
・年間を通じて温度が低く一定
・紫外線を遮断できる
・振動がない
といったことが挙げられます。
特に紫外線は酒質を著しく低下させますので、必ず新聞紙などで包む、箱に入れるなどの対策が必ず必要です。