熟成古酒の魅力とは?熟成古酒について徹底解説!

今回の記事は、日本酒の一つのジャンルである熟成古酒についての解説記事となります。日本酒にあまり興味がない人にとっては、熟成古酒は聞き馴染みがないものだと思います。今回の記事では、熟成古酒とは何かから熟成古酒にはどんな魅力があるのかまで紹介していきますので、ぜひチェックしてみてくださいね。

 

熟成古酒とは?

熟成古酒には明確な定義がありませんが、長期熟成酒研究会では「満3年以上蔵元で熟成させた、糖類添加酒を除く清酒」と定義しています。日本酒における古酒とは、その年以前に作られたものを指すのですが、熟成と頭につくことで一般的な古酒よりも熟成が進んだ日本酒ということになるのです。

 

熟成古酒は、純米酒や吟醸酒などの特定名称酒ではありません。そのため商品には「熟成古酒」というようなラベル表記がなく、どれが熟成古酒なのかという判別がしづらいです。

世の中には、「熟成酒」や「長期熟成」など書かれている日本酒がありますが、それらが必ずしも熟成古酒であるとは限りません。そのため熟成古酒を飲みたい方は、しっかりとお店の人に確認してから購入することをおすすめします。

 

熟成古酒の歴史


ここからは熟成古酒の歴史に関して簡単に紹介していきます。熟成古酒が生まれた背景にはどのような歴史があるのでしょうか?

 

熟成古酒は鎌倉時代からあった?

熟成古酒がいつ生まれたのかは定かではありませんが、鎌倉時代の古文書に熟成古酒が登場していることから、少なくとも鎌倉時代には熟成古酒が存在していたのではないかという説が有力となっています。

古文書から判断すると、当時から熟成古酒は貴重なものとして扱われていたことがわかります。現在でも熟成古酒は高価なものですので、その点に関しては今も昔も変わらないようですね。

 

九年酒

九年酒とは、その名前から9年間熟成させた日本酒であると考えられています。江戸時代には、清酒の上物は九年酒であると考えられていました。九年酒は当時の一般的な日本州の2倍から3倍程度の値段で取引されており、滅多に飲むことができない貴重なお酒であったことがわかります。

現在でも九年酒は皇室の婚礼の儀で用いられています。数字の9は、最大の奇数でおめでたい数とされており、九年酒は江戸時代でも現代でもお祝いの際に用いられることが多いのです。

 

九年酒はどうして衰退してしまったのか?

江戸時代から明治初期にかけて、九年酒は庶民にとっても親しみのあるお酒でした。しかし現在では九年酒がほとんど飲まれる機会がありませんし、ほとんど造られていません。どうして九年酒は衰退してしまったのでしょうか?

 

九年酒が衰退してしまった大きな原因として、「造石税」というものがあります。明治時代、政府は税金の徴収に苦しんでおり、酒税を主要な財源として重税を課していました。その一つが「造石税」で、日本酒をしぼった瞬間に課税対象になるという重税でした。

そのため日本酒を蔵元で熟成させる場合、まず「造石税」を納めなければいけなくなり、多くの蔵元が熟成古酒の製造をストップしてしまいました。

 

「造石税」は戦後廃止されましたが、九年酒を含めた熟成古酒の文化はまだ復興していません。

 

熟成古酒の魅力


熟成古酒にはどのような魅力があるのでしょうか?ここからは熟成古酒の魅力として2つの特徴を紹介していきます。

 

熟成古酒の魅力①:深い味わい

熟成古酒の1つ目の魅力は、味わい深い日本酒であることです。熟成古酒は「甘味」や「酸味」などの味のバランスがよく保たれているお酒だと言えます。そのため口に入れてから様々な味の変化を楽しむことができるのです。

口当たりは柔らかく、日本酒独特のキレや甘い香りを存分に楽しむことができるというのが、熟成古酒の大きな魅力だと言えます。

 

熟成古酒の魅力②:二日酔いになりにくい

熟成古酒は二日酔いになりにくいと言われています。その理由は、熟成古酒は一般的な日本酒と比べて、アルコールの水の結合が進んでおり、度数を保ったまま体内で分解することができるからです。

熟成酒は飲んだ後の酔い覚めの良さもあり、二日酔いになりにくいお酒だという特徴を持っています。

 

熟成古酒の魅力③:色が美しい

熟成古酒は目でも楽しむことができるお酒です。熟成古酒は造り方や熟成のさせ方によって、淡い黄金色から琥珀色、ルビーのような濃い赤色まで多様な変化をします。グラスの中でキラキラと輝く姿は、まさに熟成古酒ならではと言えるのではないでしょうか。

味わいだけではなく、見た目でも楽しめるのが熟成酒の魅力だと言えます。

 

熟成古酒の楽しみ方

普段から熟成古酒を飲んでいるという方はそれほど多くないでしょう。ここからは、初めて熟成古酒を飲む方向けに、熟成古酒を楽しむポイントとして3つ紹介していきます。熟成古酒を飲む場合には、ぜひ試してみてくださいね。

 

最適な温度

熟成古酒は、造り方や熟成温度の違いによって淡熟、中間、濃熟の3つのタイプに分類されています。それぞれ飲む際の最適な温度があるので、適した温度で飲むことで熟成古酒を最大限に楽しむことができるのです。

 

淡熟タイプは、吟醸酒の特徴を残しているため、10度から15度が最適な温度と言われています。

中間タイプ、濃熟タイプは基本的に常温がおすすめですが、少し冷やしても温めても美味しく飲むことができます。そのため、個人の好みや熟成古酒の個性に合わせて柔軟に飲み方を変えるようにしましょう。

 

最適な酒器

熟成古酒は酒器を変えるだけでも味わいが変化します。酒器には、コップ、おちょこ、ワイングラス、など様々なものがありますが、その中で最もおすすめなのがワイングラスです。

酒器をワイングラスにすることで、熟成古酒ならではの色ツヤを確認でき、芳醇で濃厚な香りをより楽しむことができます。熟成古酒を飲む際はぜひワイングラスを活用してみてください。

 

多様な飲み方

熟成古酒は一般的にはそのまま飲むことが多いですが、ソーダ割りやカクテルなどでも美味しく飲むことができます。そのため自分好みの飲み方を見つけるというのも、熟成古酒の楽しみ方の一つであると言えます。

飲み方を変える場合には、熟成古酒の色ツヤや味わいを生かして飲むように意識しましょう。でなければ普通の日本酒でもよくなってしまうので、熟成古酒らしさを生かした飲み方をしましょう。

 

熟成古酒は自宅でもできる?

市販の熟成古酒を購入するとなると、一般的な日本酒よりも割高になってしまいます。そのため熟成古酒になかなか手を出せないでいるという方も多いのではないでしょうか?熟成古酒はいくつかの注意点を守れば、自宅でも造ることができます。ここからは熟成古酒を自宅で造る方法を紹介していきますね。

 

日本酒の種類を決める

日本酒の種類によって出来上がる古酒のタイプが異なります。純米酒や本醸造酒を熟成させた場合には濃熟タイプに、大吟醸酒や吟醸酒を熟成させた場合には淡熟タイプになります。

また自宅で熟成酒を造る場合には、生酒は避けて火入れ酒を選びましょう。さらに言うならば、多少甘口で酸味のあるものの方が多くの味の変化を楽しめるためおすすめです。

 

紫外線に気をつけて保管する

紫外線はお酒に悪影響を与えるものであるため、保管中に紫外線が当たらないように気をつけなければいけません。保管する際は新聞紙に包んで立てて保管します。新聞紙にいつ熟成を開始したかメモしておくことも忘れずに行いましょう。

新聞紙は遮光性だけでなく、保温性や吸湿性の面からも優れているため、熟成酒を造る際にはぜひ活用したいアイテムです。

 

種類別!最適な保管場所は?飲みごろは?

日本酒の種類によって最適な保管場所は異なります。

純米酒や本醸造酒の場合(濃熟タイプ)には、常温保管で紫外線が当たらない場所が最適です。

大吟醸酒や吟醸酒の場合(淡熟タイプ)には、最初の1年間は冷蔵庫の中(4度程度の場所)で、一年が過ぎたら15度から18度くらいの場所で保管します。

 

純米酒や本醸造酒(濃熟タイプ)は、一般的に3年ほどで劣化現象が止まり、7年から8年が飲み頃とされています。熟成期間によって色の変化を楽しめるのが大きな特徴です。

大吟醸酒や吟醸酒(淡熟タイプ)は、熟成させてから12年や13年程度が飲み頃とされています。熟成しても色の変化はそれほどありません。

 

時間はかかりますが、自分で作った熟成酒は格別です。ぜひマイ熟成古酒を造ってみてくださいね。

 

まとめ


今回は熟成古酒の魅力というテーマで記事を書いてきました。熟成古酒とは、3年間以上熟成させた日本酒のことで、熟成させていないものに比べて味わいや色が大きく変わります。熟成古酒は自宅でも造ることができるため、興味のある方はぜひ実践してみてくださいね。