夏にかかせない飲み物といえば、ビール。
その喉越しの良さはダントツで、大量の汗をかいた時などには、キンキンに冷えたビールをついつい求めてしまうものです。
しかし、ビールに含まれる「アルコール」は、人間にとって必要なものではないため、体から排除する作用が働きます。
その役目を果たすのが「肝臓」です。
体内で肝臓がアルコールを処理する仕組み
肝臓は、体に入った不必要なものであるアルコールを「毒」と判断し、すぐに排除するための作業「分解」に取り掛かります。
アルコールはまず胃から体に吸収されるわけですが、胃から吸収されたアルコールは肝臓へと運ばれ、
肝臓のアルコール脱水素酵素(ADH)によりアルコールから体に有害な「アセトアルデヒド」に分解、
さらに「アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)」によってアセトアルデヒドから無害な「酢酸」へと変化、
酢酸はさらに二酸化炭素と水になって尿になって体から排出されていきます。
そしてこの一連の流れは、肝臓に非常に大きな負担をかけてしまいます。
そのため、体内に入ったアルコール分が大量の場合、肝臓が処理しきれず、
アルコールが再び血液中に戻り、いわゆる「二日酔い」を引き起こしてしまうのです。
肝臓の働きを助けるオルニチン
この、何かと負担のかかりやすい肝臓の働きを助ける効果があるとして、今非常に注目されているのが「オルニチン」という成分。
今日ではこの成分の効果に着目した含有所品が多数販売されているほど、認知度の高いアミノ酸の一種です。
人間の体の中に存在し、食材にも僅かながら含有され、「肝臓の機能向上」や「疲労回復」が期待されています。
例えば、肝機能の状態を表す指標の一つである「ALTの値が高め」且つ、
「脂肪肝」の成人男性を対象に行った「含有食品の摂取が肝機能に及ぼす影響についての検討試験」では、
継続して摂取することにより「ALT」や「γ-GTP」の値が低下、肝機能改善の可能性を得ることができたという報告もあります。
この結果のメカニズムとしては、オルニチンには「成長ホルモンの分泌を促す作用」を持っており、
それによって分泌された成長ホルモンが脂質代謝が改善、肝臓の脂肪が分解され、その結果脂肪肝・肝機能が改善したと考えられています。
オルニチンが豊富に含まれるシジミ
また、シジミは「肝臓に良い食材」としての認知度が高い食材ですが、その効果もこの成分によるものと考えられます。
肝機能に有効な成分は「タンパク」「タウリン」「アラニン」「ビタミンB12」などがありますが、
それらの成分は牛乳やホタテ・イカ・アサリにもシジミと同程度またはそれ以上含有されています。
しかし、オルニチンだけはシジミだけに多数含まれている成分なのです。
つまり「肝臓が弱っていると感じたらシジミの味噌汁がおすすめ」ということになります。
オルニチンの健康効果
体内にあるアミノ酸の多くはタンパク質の中に存在していますが、オルニチンはそれらとは違う「遊離アミノ酸」の一種です。
血液中に溶け込みながら体内に廻り、肝臓で有害な「アンモニア」の解毒を行うなど、非常に重要な働きを持っています。
口から取り込むと腸で吸収され肝臓や腎臓、筋肉等に運ばれ、
肝臓にたどり着いた際「尿素回路」という尿素を合成する代謝回路により、アンモニアの解毒を促します。
アンモニアはATPの産生やグルコースの生成を妨げる物質なので、解毒の促進により「エネルギーの産生」にも貢献。
さらに腎臓の負担を軽減させ、「腎機能の向上」にも繋がっています。
また、継続した摂取により「肝臓の機能向上」「疲労回復」以外にも様々な健康効果が期待されています。
例えば、尿素回路によるアンモニアの解毒時には、アルギニンというアミノ酸に変換されます。
この成分はオルニチンと共に成長ホルモンの分泌を促し「筋肉の増強」を促進するといわれています。
アルギニンには「鎮静効果」も確認されており、寝つきや睡眠の質が改善したとの報告もされています。
成長ホルモンも骨や肌にも良い影響を与えるため、「丈夫な骨の形成」や「美肌」にも役立ちます。
また、最近では「ダイエット」への期待による人気も集まっています。
手軽に摂取するならオルニチンのサプリメント
1日の摂取量の目安は「400~1000㎎」ですが、それだけのものを食材から摂取するのは、
いくら含有量が多いと言われるしじみでも相当無理をしなければなりません。
そこで今人気が高まっているのがサプリメントです。
サプリメントなら効率もよく、しかも手軽に摂取することができます。
サプリメントによっては飲むタイミングに気をつけたり副作用を避けるために用量を厳守しなければならなかったりしますが、
オルニチンのサプリメントに関しては、摂取するタイミング等は特に決まっていないようです。
運動やアルコール摂取の前後どちらで飲んでもかまいません。
ただし、一般的には空腹時・就寝前の服用が吸収が良いと言われています。
副作用についても、過剰摂取することで下痢等を起こすことがあるようですが、
定められた用量であれば副作用を生じることはありません。