ぬれせんのチーズ焼きとは文字通りの食べ物で、焼いたチーズをトッピングしたぬれ煎餅です。

酒のつまみとして一般的に知られており、特にビールとの相性が良いとされています。

 

「ぬれ煎餅」とは?

ぬれ煎餅

そんなぬれ煎餅は他の煎餅にはない、しっとりとした食感が特徴的な菓子です。

元々は千葉県銚子市にある米菓店「柏屋」の2代目店主である横山雄次氏が考案したもので、1960年代から存在しています。

もっとも当時は規格外品のオマケや近所へ配る品という扱いであり、またしっとりした食感が馴染みなかったせいか「湿っている」というクレームも多かったようです。

しかし近所では好評を呼び、そこから更に固定客を生み出して口コミで話題を博すとともに人気の向上していきました。

おかげで1963年に正式な商品として登録商標された経緯があります。

それから暫くして、銚子市内では「柏屋」以外の店舗や業者でも独自の持ち味でつくられたぬれ煎餅が販売されるようになりました。

 

人気のある「ぬれ煎餅」の販売元は?

銚子電気鉄道

なかでも「イシガミ」と「銚子電気鉄道」はぬれ煎餅の販売元で有名です。

「イシガミ」の正式名称は株式会社イシガミで、犬吠埼にある本社兼工場と銚子駅前店、そして新生町のせんべい館の3つの店舗で商品を販売しています。

もちろん通販も受け付けていますが、全国的に広く知られているのは「銚子電気鉄道」です。

その理由は単純で、銚子電気鉄道で販売された品がぬれ煎餅の火付け役になったからに尽きます。

銚子電気鉄道は地方私鉄で、全長6.4kmしかない小さな駅です。

この駅でぬれ煎餅を扱い始めたのは1995年、当時の銚子電気鉄道は人口減少と観光客の利用の減少の影響を受けて経営難に陥っていました。

その経営難の対策として「イシガミ」から技術の支援を受けてぬれ煎餅の製造販売をスタートしたわけです。

けれど効果はいまひとつのまま迎えた2006年、最悪のタイミングとともに倒産へのカウントダウンが始まります。

当時行われた国土交通省の監査によって老朽化した線路や踏切の改善及び修理が命じられたものの、それを実行するには5000万円に費用が必要でした。

もしも3か月以内に出来なければ運行停止ですが、当時の通帳残高は200万円だったそうです。

しかも1000万円かかる車両の法定検査が1か月後に控えていたうえに当時の社長が1億円以上の横領をしていた事が明らかになり、

頼みの綱だった行政からの補助金も打ち切りになっていました。

もちろん銀行からの追加融資も見込めず、給料も満足に手に入らない社員たちが出来た事はひたすら自社が製造したぬれ煎餅の販売だけでした。

それでも店舗での販売が上手くいかず諦めかけたそうですが、自社のサイトで思わず書き込んだ

電車修理代を稼がなくちゃ、いけないんです

という呼びかけが鉄道ファンや2ちゃんねるのユーザーたちの目に留まり、

呼びかけが拡散されていって極度の品不足になるほどの注文が通販サイトに殺到しました。

こうした一連の出来事が全国各地の新聞や放送局にも報道され、結果的にぬれ煎餅は全国的に知られるようになったわけです。

現在でも銚子電気鉄道は運行しており、駅では午前10時から午後16時まで手焼き体験が出来ます。

通販サイトでの注文は暫くの間は麻痺していたものの、2008年5月に復活して注文可能です。

また旅行番組や雑誌、ツアーにイベントの目玉の対象にもなっています。

 

「ぬれせんのチーズ焼き」の作り方

オーブントースター

この煎餅を用いたつまみが「ぬれせんのチーズ焼き」というわけですが、その作り方は至って簡単です。

材料は煎餅適量のピザ用チーズ、それから味のアクセントとして七味唐辛子黒胡椒を用意します。

煎餅にピザ用チーズを乗せてオーブントースターでチーズが溶けるまで焼き、あとは七味唐辛子や黒胡椒をかけて完成です。

香ばしい醤油と煎餅のしっとりした食感、チーズのまろやかさと七味唐辛子や黒胡椒の辛さが美味しさのハーモニーとなって舌を楽しませてくれます。

 

味にこだわるなら「ぬれ煎餅の味」にこだわるべし

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もしも味にもっとこだわるのであれば、ぬれ煎餅の味を選ぶべきです。

実はぬれ煎餅は販売元でそれぞれ味が異なっており、実際にイシガミと銚子電気鉄道は師弟関係でありながらも味が異なっています。

具体的には濃い口と薄口、甘口の3種類です。

つまるところ醤油の味というわけですが、銚子電気鉄道の味は煎餅専用の醤油だそうです。

元々銚子市は醤油の名産地で、イシガミで煎餅を商品にした創立者は醤油を活かした商品を作りたいために菓子に転用したと言われています。

また米の名産地である銚子市は昔から煎餅の製造が発達しており、産地でもあったところです。

いずれにせよぬれ煎餅には味が3種類あり、それぞれの味でつまみの楽しさも変わります。

ただしぬれせんのチーズ焼きはあくまでお菓子であるため、お腹を満たすものではありません。

ポテトサラダやチーズの生ハム巻き、白身魚のごま醤油和えなど食べ応えがあるつまみではないのでビールの食べ始めに丁度良いと言えます。