シュレンケルラは1678年から歴史がある、ラオホビアの老舗が造っているビールです。
ドイツ語のラオホビアは、燻製の味付けがされているスタイルのことで、いわゆるスモークビールの1種に属します。
ラオホビアはラオホのみで煙の意味を持ち、燻製を行った麦芽から下面発酵させるのが特徴です。
分類的にはラガーですから、喉越しの良さとスッキリとした味わいを持ちながらも、個性を楽しむことができます。
シュレンケルラは、ドイツバンベルクにおける名物で、ラオホビアの中でも代表的な存在です。
燻製して造られるだけあって、風味にはスモーク感が加わっていますし、他では味わえない魅力があります。
当然ながら適度な苦味はありますが、発泡酒の表面的なものとは異なりますから、時間を掛けて味わうことで良さが分かるはずです。
しかし、マイルドなタイプも提供されているので、癖の強いお酒が苦手な人でも大丈夫です。
シュレンケルラの製造方法
シュレンケルラのベースは、ドイツ南部のヘレスやメルツェンビア、そしてアインベック発祥のボックと様々です。
他にも、白ビールのヴァイツェンに小麦を使用するデュンケルヴァイツェンなど、多様性があるのが1つのポイントとなっています。
いずれのベースもドイツ南部を中心に発展しており、それが今では広い地域で愛されている形です。
シュレンケルラが生まれたのは、火の上で麦芽を乾燥させた始まりで、燻すことで香りが付いた麦芽がビールの風味を高めたのが切っ掛けです。
それ以前は天日乾燥が一般的でしたが、火の上という乾燥方法の違いから、このように魅力的な飲み物の誕生に至りました。
穀物を元に醸造を行う方法はあったものの、当時はまだ燻製タイプは一般的ではなかったといえます。
醸造方法が確立されたのは18世紀の頃で、19世紀には一般的な手法として広まっています。
ところが、乾燥の際に煙を逃がす方式が登場したことから、次第に燻製風味のものは主流から外れました。
バンベルクでは伝統的な乾燥方法を用い続け、その結果として今でも伝統的な作り方が残っています。
醸造所の場所は当時と変わらず、同じ街で今日も作り続けられます。
19世紀には一躍広まり、その後あっという間に廃れてしましましたが、伝統が残っているのは歴史的な意味においても魅力的です。
100年以上も前のビールが味わえるわけですから、お酒好きなら一度は口にしておきたいところです。
伝統的な醸造方法は、実はドイツ以外でも残されていて、その国はオーストラリアやブラジルにイタリアとなります。
ヨーロッパ圏ということもあって、スウェーデンにも醸造所がありますが、日本にもいくつかの醸造所が存在しています。
三重県の伊賀市や富士山の富士河口湖町では、伝統的なラオホビアの手法で醸造が行なわれます。
シュレンケルラは日本でも味わえる
マイナーなお酒ではありますが、案外入手性は良いですから、決して日本国内で飲むチャンスがないわけではないです。
むしろ、変わり種を提供するお店なら飲めるチャンスがある、そういったポジションに位置するお酒です。
本場のシュレンケルラは世界的なブランドなので、日本でも拘りを持つお店に置いてあったりします。
シュレンケルラの特徴
その特徴としては、鼻を近付けると燻製の香りが豊かに広がり、一般的な黒ビールとは異なることが分かります。
発泡酒の薄い色味からすると、色濃くどんなインパクトのある味がするのかと、興味がそそられるでしょう。
一口目は燻製風味が口の中に広がり、鼻から抜けますから、燻製食品を口にしたかのような味わいが体験できます。
想像以上にインパクトがあるので、一口目で本来の味そのものに気が付くのは難しいはずです。
ただ、味は苦味というほどの癖がなく、甘みがあって美味しいですから、病みつきになる可能性が高いです。
香りの方はやはり好き嫌いが分かれるものの、味が気に入れば香りも受け入れられると考えられます。
シュレンケルラ本来の良さに気が付けるのは、三口ほど飲んだ後となります。
シュレンケルラと料理との相性
燻製好きならこのお酒もいけますし、つまみがなくても満足できる飲み心地が得られます。
ハマればもう他のお酒は物足りなく感じられるので、ある意味では罪づくりなお酒だといえるでしょう。
ドイツのお祭りオクトーバーフェストでもお馴染みですし、日本人でも愛飲している人が少なくないです。
人を選ぶことには間違いありませんが、興味を持てば誰でも入手できるので、食わず嫌いをせずに挑戦してみることをおすすめします。
現地ではわりとメジャーなお酒なので、日本においても輸入品を店頭に並べるお店などであれば、入手できる可能性が大です。
価格はそれなりにしますが、ネットの通販でも販売されていますから、興味を持ったら数種類を購入して飲み比べてみるのもありです。
燻製風味が付いているので、勿論燻製との相性が優れていますし、チーズや厚切りベーコンなどとも良く合います。
そのまま飲んでも、つまみと一緒にいただいても楽しめるので、その人のスタイルに合わせて魅力的なお酒が味わえます。