第三のビールとは具体的にどんなものでしょうか。
第三のビールと発砲酒の違いは?
基本的なビールとは違うということはわかっているのですが、よく混合されるのは発泡酒です。
この3つの大きな違いは原料になります。
ビールは麦芽を酵母で発酵させたアルコール飲料です。発泡酒はビールでは使用できないものを原料としているもの。
もしくは麦芽使用率が国が定めている以下のものをいいます。
つまり発泡酒は麦芽原料の範囲に入るということです。まだビールの仲間といえるのです。
それと比べると第三のビールは、麦芽以外のものを発酵させて作るアルコール飲料ということになります。
ビールとは違うまったく新しいものという意味で、「新ジャンル」とも呼ばれています。
使用されている原料で主なものは、大豆たんぱく、エンドウ豆たんぱく、とうもろこしなどが広く使われています。
第三のビールには、リキュールに分類されるものもあります。
こちらは発泡酒に違うアルコール飲料を混ぜたもので、現在第三のビールとして販売されているもののほとんどが、このリキュール類に入ります。
混ぜられているものは、大麦スピリッツや焼酎など多岐にわたります。
スピリッツとは蒸留酒一般の総称ですので、大麦を使った蒸留酒ということになります。
リキュールとはもともといろいろな原料を混ぜて作る蒸留酒のことを指すので、第三のビールも混ぜるということで、このリキュール類に入ると思われます。
缶や容器にはしっかりとリキュールと表示されているはずです。
第三のビールの歴史
現在では発泡酒をしのぐほどの勢いを見せていますが、そもそもきっかけは何だったのでしょうか。
その歴史を見てみると、基本的には発泡酒が誕生した経緯と同じ道をたどってきたといえます。
発泡酒の誕生は、ビールの税率が高いというところから始まっています。税率は麦芽の比率によって決まります。
当然ビールは麦芽そのものですから高いということで、景気の低下によって嗜好品の節約は必須になり、ビールの売り上げは落ちます。
その対策として麦芽の比率を低く抑えた発泡酒が出てきたというわけです。
とは言っても麦芽に他のものを混ぜたビールは、戦後から作られていました。
低予算ということもあり、様々な原料や工夫で合成ビールとして存在していたのですが、
まがい物というレッテルを貼られることも多く、ビール会社に訴えられるという事もあり、長く流布しにくい状況であったといえます。
平成に入り、酒類販売店の規制が緩和され、大型ディスカウントショップなどでも、
アルコール類を販売することが可能になったため、ビールそのものが身近になったといえます。
それにともなっての低価格競争にもつながり、値段のほぼ半分が税率であるビールの低価格化はむずかしいものとなりました。
また外国からのビールも参入。そこで注目されたのが、税率の低い発泡酒の開発ということになったのです。
昔と違い、技術も向上し味の良さも加わって、発泡酒は爆発的にヒット。
従来のビールをしのぐ勢いで全国に普及することとなります。
しかし税収に苦しむ国が、これを見逃しておくわけはありません。
2003年の酒税法改正により、発泡酒の税率が引き上げられることになりました。
ビール離れによる売り上げ低下を懸念したビールメーカーは、これに負けじと新しいアルコール飲料の開発に取り組みます。
そこで誕生したのが第三のビールです。味わいもビールや発泡酒と大差なく、あっという間に一般に受け入れられました。
しかし2006年国税庁はこちらもターゲットに加えます。
ただ、やみくもに税率を課していくだけではなく、本来のビールの税率を下げるなどの対応も行います。
そこでビールの発酵製造という観念をくつがえしてしまう、混ぜ物としてのビール系飲料も登場してきます。
それがリキュールと表示されているもの。
これらがそろうことによって、ビールの税率対策であった発泡酒の売り上げが下がってくるという現象も出始めました。
発泡酒とビールの税率がさほど変わらないなら、ビールを飲むという人も増えます。ビールに戻ってきた人たちもいるわけです。
まとめ
原料や副原料となるものを基準にしての税率は非常にむずかしくややこしいもので、私たち一般人にはなかなか理解できません。
政府は今後の方針として、3種のビールの税率を一本化していくという方針のようです。
その理由として、
- ビール以外のアルコール類の多様化
- 低価格化によりビールの消費そのものが減ってしまう傾向にあること
- 税収も減っていくことが懸念される
ということです。
確かに、焼酎やチューハイ、またはワインなどの人気、最近では新たに飲みやすい発砲タイプの日本酒なども販売されています。
コストパフォーマンスにより、アルコールを選べる時代になっていることは事実で、ビールから離れていく若者たちも多いというのが実情。
我々国民としてはやはり価格にこだわってしまいますが、好きなものを飲みたいという選べる自由というのも大切なことではないでしょうか。