飲み会やパーティーだけでなく、食事の時など大人なら様々な場面でお酒を楽しむことは珍しくありません。

お酒が大好きで、毎日晩酌を楽しんでいるという人達もいます。

お酒とひとことで言っても、ワインや焼酎などその種類は色々あります。

中でも似ているのが、炭酸が効いて喉越しも楽しめるビールと発泡酒です。

この2つは他のワインや焼酎などに比べると、アルコール度数が10パーセント以下で低めの設定になっています。

そのため、気軽にジョッキなどの大きなグラスで何杯も飲む人も少なくありません。

 

ビールと発泡酒の価格の差に関係する酒税法

法律のイメージ画像

非常に似ているビールと発泡酒ですが、居酒屋で注文するときはもちろん店頭で購入する際に何故か値段が違います。

驚くことに、この差は材料費や人件費で決まっているわけではありません。

そこには、昭和28年につくられた酒税法という法律が大きく関わっています。

この酒税法では材料や作り方だけでなく、アルコールの度数によって酒の種類を分けています。

その分けられた酒の種類によって変わってくるのが、お酒の税金です。

お酒には、必ず消費税以外の税金がかけられているため実際の原価よりかなり高くなっています。

ビールが発泡酒より高いのは、この酒税法による税金が高く設定されているからです。

昔は高価な飲み物で富裕層が飲むアルコールだったため、税金を高くしていたというのが主な理由です。

 

お財布に優しい発泡酒の登場

お財布から100円を取り出す

と言っても、多くの人が気軽にお酒を楽しめるようになった現代社会では一般庶民も気軽に購入出来るようになりました。

ですが、安いお酒の方が消費者の財布に優しいことには変わりません。

アルコール販売会社はそこに目をつけ、ビールに味や風味が違う発泡酒を作って販売するようになりました。

酒税法では味や風味ではなく製造法や原料を細かく指定していたため、この様な事が可能になりました。

酒税法でビールと定めているのは、麦芽とホップの他に米やでんぷん(スターチ)などを原料に発酵させたものです。

アルコールの度数は20パーセント未満で、麦芽が水を除いた全体の材料の三分の二以上あることが決められています。

ちなみに、常温で短時間発酵させたのがエールと呼ばれているものです。10度以下の低温で長時間発酵させると、ラガーになります。

これに対して麦芽の量を三分の二未満にしたのが、発泡酒と呼ばれる飲み物です。

材料は同じで味は殆ど変わらなくても、麦芽の量を変えるだけで税率が下がり安いお酒が出来上がります。

味が殆ど変わらないなら、より安いものを好む消費者も少なくありません。

 

お酒の値段が決まる大きなポイントはやはり「酒税法」

ところが、こうした商品の人気や売れ行きは販売会社の利益だけでなく国の税金による収入にも影響を与えました。

となると、国が税金による収入を増やすためには酒税法を改正するしかありません。

元々、麦芽の量という細かな違いを決めていただけなので改正自体は簡単です。

お酒の値段がたまに大きく変わるのは、この法律を変えている事が大きな原因です。

 

似た様なお酒が違う種類に分類されることも

驚く女性

酒税法では、似た様なお酒を違う種類に分類してしまう事もあります。

麦芽やホップを使っていても、外国ではコリアンダーやオレンジピュールなどを入れている事も珍しくありません。

なんと、そうした飲み物はリキュール類に分類されてしまうのです。

外国産がたまに安く販売されているのは、こうした理由があるからです。

麦芽以外の穀類を使った時も同じで、酒税法の定義から外れてしまうので別のアルコール類に分類されます。

 

販売会社の製品開発がもたらしたメリット

ビールで乾杯

酒造会社は安い商品を販売し、売り上げを伸ばそうと製品開発を行ってきました。

税率の低いアルコールが増えてしまうと、もちろん国の収入は減ってきます。

法律改正が行われ、発泡酒も前ほど安くないと感じる人もいるかもしれません。

消費者にとって値段が上がる嫌なニュースにも聞こえますが、実はメリットも沢山ありました。

材料を少しづつ変えながら、安くて美味しい飲み物が沢山開発されたというのは喜ばしい事です。

ビールと言っても、以前に比べると豊富な種類から選べる様にもなりました。

税金は相変わらずかけられていますが、それ以上に美味しいアルコールが飲めるというのは嬉しいことです。

 

さいごに

居酒屋のアルコール飲料

値段はあまり変わらなくなりましたが、若干の差はあるため居酒屋などの飲み放題メニューでは扱いがあったりなかったりする事も珍しくありません。

似た様なメニューだと、ノンアルコールのタイプも沢山販売されています。

面白いのは、ノンアルコールの場合でも作り方や材料がとても似ているという点です。

アルコール以外の風味が、そっくりなのも麦芽など材料がほぼ同じだからです。

アルコールが入っていないため、酒税法は適応されません。

機能性食品と称した、炭酸入りのアルコールも近頃では販売されています。

機能性と言っているだけあって、使われている材料も少し変わっています。

こうした理由で、機能性食品として販売されるアルコールの分類は少々複雑です。

値段も気になりますが、その時に美味しいと思うものを楽しむことが大切です。