ギネス

アイルランドの名酒、ギネスビール。

1759年にダブリンで生まれた黒ビールを代表するこのお酒は、なめらかできめ細かいクリーミーな泡と、ストイックでスモーキーな香りが特徴です。

また、ビールの中でも低カロリーで有名。

エールタイプのビールの中でも、黒スタウト、ドライスタウト、などと呼ばれるスタウトビールに分類されます。

その製法も独特で、普通のエールビールなら麦芽を焙煎して加えるのに対して、黒スタウトは麦芽になる前の、もとの大麦を焙煎して使用。

さらに、窒素と二酸化炭素の混合ガスによって、このビール特有のきめ細かい泡も実現し、泡とともに楽しむ黒ビールの王道です。

ギネスビール

その深い黒さは、グラスの底が見えないほど濃厚。そしてほかのビールとは一味違う苦味が特徴的です。

不思議なことに、この苦味は上品でいつまでも味わっていたい魅力があります。

麦を焙煎した香ばしい香りは、口に入れたとたん体温に煽られるように鼻腔に広がり、この香りが苦味と絡まりあうと蜜のような濃厚な味わいを堪能できます。

特筆すべきなのは、クリームのようなまろやかな泡。

シルキーな泡が舌の上でビールと一体となる飲み心地は、他のビールでは味わえない魅力です。

このクリーム無くしてギネスは語れません。そのため、缶での製品の販売は非常に難しいものでした。

ところが、より多くの人に楽しんでもらうため、約500万ポンドもの費用をかけて開発し、特許を取得したものがフローティング・ウィジェットと呼ばれる小さなボール。

このフローティングウィジェットを入れることにより、シルキーでクリーミーな泡が缶ビールという形でも実現しました。

今では世界中のビール会社が、理想の泡の実現のためにこの技法を取り入れています。

ギネスビール

そこまで泡にこだわっているビールですから、家庭で飲むときもグラスに注いで飲むのが理想です。

コツは、そっと、ゆっくり、優しく注ぐこと。

泡を立てるために高いところから注いだり、勢いよく注いでは、せっかくのシルキーな泡の質感は失われてしまうので要注意です。

グラスを傾け、辛抱強くそっと注いだあと、すぐに飲みたいのをぐっとこらえて、一分ほど放置しましょう。

ギネスの美味しさの秘訣である泡が、なめらかな輝きとともにビールを覆っているのを確認してから一口飲めば、キレのある苦味と奥深い香りが口いっぱいに広がるはずです。

このビールは、愛飲者のみならず生産工場も世界各地に広がっており、アフリカやオセアニア諸国でも醸造されています。

驚いたことに、こうして様々な国で作られたギネスは、その土地の風土や気候の影響を受けて味わいやアルコール度数に変化が生まれています。

主にこのビールは、アルコール度数が5%に届かないものがほとんどですが、例えばナイジェリアで作られたものはアルコール度数が8%と高いものに。

これが「アフリカのギネス」として本国に逆輸入され、販売されているというのですから、世界で愛されるビールの懐の深さが垣間見えます。

日本でも多くの愛飲者がいる黒ビール。いつか、日本でもギネスを生産する日が来るかもしれません。

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