パトラッシュは、アルコール度数8パーセントのベルギー産ブラウンエールです。

甘いのにすっきりした味わいです。やや濃いめで色は琥珀のビールです。泡持ちは長もちします。

 

エールの特徴

ビール

エールの大きな特徴としては上面発酵で醸造されている点にあります。

上面発酵とは上面発酵酵母を使用し、やや高めの温度、具体的には20~25℃で発酵を行う醸造法です。

発酵中に酵母が浮きあがり、液面に酵母の層ができることからこのように名づけられました。

英国では現在でもこのタイプが多く残り主流になっています。

このような製法で作られたお酒はフルーティな香りが特徴です。

大麦麦芽を使用していて、酵母を常温で短い期間で発酵させ、

単純ではない香りと深い味わい、果物にも似た味わいを特徴とするスタイルです。

 

発泡酒の特徴

ビール

もう一つ、日本でも低価格で多くの人の飲まれている発泡酒は麦芽使用量が25%以下となります。

ビールは麦芽使用量が25%以上なので、エールともそこが異なります。

発泡酒は1990年代中頃以降に日本で普及していきました。

エールなどを含む麦芽酒に比べると低価格ですが、「味が薄い」「苦みが足りない」「何か物足りない」といった評価が多くあります。

一方、女性やアルコール飲料をそれほど飲まない人たちからは軽くて飲みやすいという声もあがっています。

また、麦芽比率の低い発泡性酒類や、麦・水・ホップと定められた副原料以外のものを使用した発泡性酒類も日本では発泡酒に区分されています。

そのため、スパイスやハーブを用いたものも、果実や果汁を用いたフルーツビールも発泡酒と名付けられています。

 

ホップの役割

ホップ

最近の多くのはエールは、ホップを使用しています。

ホップはビールの保存をサポートし、苦みと独特の香りを生み出して麦芽の甘味と調和をはかります。

ビールの他のスタイルとしては下面発酵のラガーが有名ですね。

ホップが1400年代にオランダからイングランドに伝わるまで、

エールという名前はホップが加えられていない醸造酒に限定して使われていました。

ベルギーでは様々な特産のエールが生産されていて、簡単にカテゴライズするのは困難です。多いのは色の薄いエールでしょう。

ベルギー・エールの多くはアルコール度数が高めで、蔗糖を多く含んでおり、

軽く 、基本的に自然な風味を保ちながらアルコール度数が高めといったタイプが主流ですね。

「パトラッシュ」にも当てはまる部分は多いですが、

色的には濃い目の琥珀色ですから、ベルギーの主流とはちょっと異なるかもしれません。

ホップは、一般に苦味を与えてくれます。また、防腐剤の役割も担っています。

エールは、ハーブと香辛料を混ぜたグルートをホップの代わりに麦の汁で茹でて、苦味を付け加えていました。

ヨーロッパの中世において、主食のパンと一緒に飲む、日々の生活の欠かせない飲みものとして重用されていました。

 

フランダースの犬との関係

ノートルダム大聖堂

さて、ベルギーでパトラッシュといったら、日本人にとって、すぐに思い出すのは「フランダースの犬」でしょう。

テレビで一世を風靡したTVアニメで有名ですね。

アニメの舞台になったアントワープ市近郊のホーボーゲン村にの醸造元があります。

「フランダースの犬」A Dog of Flanders)は、そもそも英国の作家ウィーダが1800年代に書いた児童向け文学です。

アートをテーマとした少年の悲劇として知られています。

現在ではアントワープのお隣のホーボケン (Hoboken) が舞台となった村のモデルだとのことです。

ただ、実際のところは「フランダースの犬」はベルギーの地元では、あまり有名ではなかったのそうです。

作者のウィーダがイギリス人であったことも理由の一つかもしれません。

地元でも知られるようになったのは、日本人観光客がきっかけでした。

当時は海外からの観光客が少なかったアントワープ市ですが、

ノートルダム大聖堂にある時期から多くの日本人が訪れるようになっていきました。

観光客の多くが現地のベルギー人に「ルーベンスの絵はどこですか」と聞いたそうです。

そう、主人公の男の子、ネロはルーベンスの絵の前で静かに息を引き取ったのです。絵を見ながら泣く日本人たち。

アニメ「フランダースの犬」のラストシーンを見たことのある日本人ならその行動もわからないでもないですが、

現地の人たちには、訳がわからずちょっとビックリしたかもしれませんね。

ただ、最終的にはこの日本人の行動から「パトラッシュ」が誕生したようです。

そんなこんなで、アニメ「フランダースの犬」の存在がベルギーでも浸透していきました。

現在、ホーボーゲンにネロとパトラッシュの銅像が建てられています。

さらに、「フランダースの犬」にちなんだ日本人向けの観光スポットが次々に生み出されました。

そして、「パトラッシュ」も2006年に発売され、同じブランドで「ネロ」というビールもあるそうです。

ラベルの絵柄も犬と少年です。微妙にリアルで、アニメのネロとパトラッシュのタッチとは全く異なります。

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