今回はロシュフォールビールについて情報をまとめてみました。
ロシュフォールビールの歴史
ロシュフォールビールはベルギーのサン・レミ修道院で醸造されるトラピストビール、発泡酒の銘柄です。
ロシュフォールとはベルギーの南部に位置するナミュール州にある小さな町の名前で、醸造所のあるノートルダム・ドゥ・サン・レミ大修道院は1230年に設立されました。
サン・レミ修道院では1595年にビールの醸造を開始し、当時所属していた20人ほどの修道士のうち5人が醸造に従事していました。
1797年にはフランス革命の際に一旦は修道院が破壊されただけではなく、木材などの資材は町の再建する際の家などを建てるための材料に利用されてしまいます。
そんな状況に挫けることなく1887年には新たに現在も続く修道院を建築し、他のトラピスト教会と同様に農業活動をする傍ら、1899年からビール醸造を再開しました。
当初は修道士たちの需要を満たすだけの小規模な醸造所の操業からスタートしましたが、
1945年頃から多くのトラピスト教会が行っている農業活動からビール醸造をメインに移行していく流れの中で、
1952年頃からはこれまでの伝統的な製法から近代的な醸造方法へと移行し、
一般人の献身的なサポートも手伝い市販品としても高く評価されるような上面発酵による生産が本格化します。
その一方で修道院生活の方針に従い外部の市場の需要に応じて生産量を決めるのではなく、
修道院の必要に応じて生産量を決める抑制的な取り組みが行われています。
サン・レミ修道院は都心部から離れた場所に存在していることや閉鎖的と言われているほど外部に対して厳格な管理を行っており、
他の修道院のようなカフェやオーべルジュを持たず、修道院を案内する看板などを設置していません。
内部の写真を撮影することも許されず、僅かに残っている観光ガイドなどに掲載されている写真も遠景から外観を撮影したもののみです。
また、詳細な醸造法や製法を一切公表せず醸造所の一般公開も行っていないため、長きにわたって醸造が行われていることが知られていませんでした。
唯一明らかになっているのが、修道院内の井戸から汲み上げた地下水を使用していることのみです。
しかし、いつしかその独自の醸造による芳醇な香りと濃厚な味が評判となり、現在では知る人ぞ知る銘柄として愛好家の間で高く評価されています。
製造量は週に3万リットル、年間180万リットルと比較的少ないですが、これは修道院の活動資金の一環として生産量を自主的に制限しているためです。
このような秘密のベールに隠された醸造方法と抑えられた生産量に加えて、上面発酵による濃い色でほのかな甘みとほどよい苦味、
高いアルコール度数とコクが特徴の他には無い高貴な味から貴重で人気の商品となりました。
また、製品にトラピストの冠を付けることが許されるのは修道院の敷地内で生産されている、醸造の権限は修道士が持っている、
収益管理は修道院が行い余剰利益が発生した際には地域の慈善活動に使われるなどトラピスト会の厳格な規則に従う必要があり、
認定されている醸造所は現在世界で12箇所ありますが、そのうちベルギーに6箇所が集中しています。
多くの修道院には毎年いくつもの慈善活動への支援の申し出があり、今日美味しく味わった一杯のために支払った代金が、
もしかしたらさまざまな困難にある方への支援になるのも隠されたもうひとつの副産物です。
そんな厳格で貴重な味を楽しめる銘柄のひとつが、ベルギーのサン・レミ修道院で生産された数々の製品です。
ロシュフォールビールのラインナップと味わいの特徴
ロシュフォールビールには醸造の際の初期比重から6、8、10のナンバリングがされた3種類があり、
原材料には麦芽、ホップ、小麦、糖類、酵母をメインに、門外不出のフルーツなどのさまざまなフレーバーが加えられています。
ロシュフォール6は、アルコール度数7.5%でフルーティーな香りと熟成された赤ワインのようなアロマが特徴です。
年に1度しか醸造されずベルギー国内でも入手が困難で日本国内では大手輸入元の小西酒造のみが取り扱っている貴重な逸品です。
ロシュフォール8は、アルコール度数9.2%で二次発酵時にキャンディーシュガーを使用し、甘い香りとチョコレートに近いまろやかな甘さと苦味が特徴です。
色は黄色がかかった茶色で泡立ちが良く、スパイシーな中にも複雑な香りと濃厚な味に仕上がっています。
ロシュフォール10は、アルコール度数11.3%と最も高く、こちらも二次発酵時にキャンディーシュガーを使用しています。
前述の8にイチジクの実のような芳香とコーヒーリキュールに近い後味を加え、さらにブランデーのようなアルコールの風味がある濃厚で深い味わいです。
ロシュフォールビールを買う方法
このうち日本国内では主に8と10が輸入されており、系列の店舗やオンライン通販サイトなどで購入することができます。
6は日本国内では滅多に出回ることはありませんが、海外のオンライン通販サイトや個人輸入で購入する方法もあります。