世界には多種多様なビール・発泡酒があります。
あなたはこれまでにどこの国のどんな種類の商品を飲んだことがありますか?
日本の大手メーカーが作る製品はもちろんのこと、最近では英語で「職人技」「手作り」という意味を持つ、
クラフトという意味のクラフトビールも流行っており、日本各地で飲むことができます。
またご当地限定の商品もあるなど、日本国内だけみても様々な種類が存在します。
そして世界に目を向けると、そこは宝の宝庫で、世界各地にそれぞれの国の特徴を生かして作られた製品が溢れています。
それらの製品を求めて国から国へ旅をするだけでも、とても楽しく夢のような旅になることでしょう。
そんな多様な商品の中からご案内したいのが、本場ベルギーからやってきたウエストマールという商品です。
ウエストマールについて
ウエストマールとはベルギーのフランデレン地域アントウェルペン州の一つの地区で、ここにウエストマール修道院という名の修道院があります。
その修道院の醸造所で作られたビールのことを呼び、トラピストビールの名称です。
これは、トラピスト修道院で作られる上面発酵の製品のことを表します。
世界にはトラピスト修道院が171ありますが、この製品を生産しているのはたったの11の修道院しかなく、とても貴重なものです。
そんな貴重なウエストマールの歴史は長く、1836年にまで遡ります。
1836年にまずは修道院内での飲料用として醸造を開始しました。
ヨーロッパでは、飲用に適した水を確保するのが困難であったことから、代わりとなる飲料が発達し、
修道院でも中世の頃からワインなどアルコール飲料が保存の利く飲み物として生産されたという歴史があります。
そして1870年には、それまで修道院内でだけ振る舞われていた同製品を村への販売も始め、1921年には一般販売が開始されました。
原料は修道院内で汲み上げられた地下水と大麦麦芽、そしてそこにキャンディーシュガーを液化したものを投入して作られます。
そしてそれらを二次発酵して瓶詰めした後、さらに保管して瓶の中で熟成させてから出荷します。
ウエストマールの商品展開と味
ウエストマールには、ダブル、トリプル、エクストラの3種類があります。
通常販売されているのは、ダブルとトリプルの2種類のみで、エクストラは院内用のため、一般には流通していません。
ダブルはアルコール度数が7%あり、ブラウンや赤紫と表現されるような濃い色をしています。
フルーティーな香りと、バナナの様な香りを合わせ持ち、コクがあってまろやかなため、アルコール度数7%であることを感じさせません。
トリプルは、ダブルより度数が高く9.5%あります。小麦畑のような金色をしており、きめの細かい泡が立つのも特徴です。
そして口当たりはなめらかで、スパイスが利いているような軽いパンチのある味がします。
残念ながら市場には出回っていないエクストラですが、簡単に飲むことはできませんが、味と風合いだけはお伝えします。
イメージを膨らませて、飲んだ気分を味わってください。
アルコール度数は4.8%と前述の2つに比べると低いです。色はこちらも金色ですが、香りは他の2つに比べると穏やかです。
ウエストマールのデザイン
そして、ウエストマールは、種類によってラベルと王冠のデザインが異なるのも特徴の一つです。
ダブルは赤紫色に赤いマークが、トリプルにはクリーム色をベースに赤いマークがついており、エクストラはラベルは無く、黄色の王冠のみです。
またこのトリプルは、当時その淡い金色が評判となり、他の醸造所がこれを参考にして自分たちのトリプルを作ったことから、
「トリプルの元祖」、「トリプルの母」とも呼ばれています。
ウエストマールの購入方法
エクストラは日本からは購入できませんが、修道院併設のカフェでは飲むことが可能なので、
ぜひベルギーを訪れるチャンスがありましたら、エクストラ目当てに修道院を訪れてみるのはいかがでしょうか。
インターネットで何でも買えてしまう時代に、現地に行かなくては手に入らない商品は、
一見不便に感じるかもしれませんが、実は希少価値が高く、旅の目的ができるため、飲んだ時の幸福度は大きいはずです。
そして実際に生産している醸造所のすぐそばで飲めるということは、
味だけでなくベルギーの空気もスパイスとして味わうことができるので、ぜひおすすめです。
そうは言ってもやはり、ベルギーまで行くのは簡単ではないですし、時間もお金もかかりますよね。
エクストラは購入できませんが、ダブルとトリプルは日本国内でも、インターネット等を通して購入することができます。
同修道院の公式ホームページでは、日本語対応はありませんが、英語表記があり、修道院での生活やビールについて写真と共に知ることができます。
見ているだけで喉がうなるほど美しい、もはや芸術品とも言えるビール、この機会に実際に手に取って飲んでみてはいかがでしょうか。
そしてもし、お気に召したなら、いつかベルギーを訪れてエクストラも含めた3種類を飲み比べてみるのも通の楽しみかもしれません。