皆さんにどれくらいの種類があるのか知っていますか?ビールは発酵方法やスタイルによってたくさんの種類に分かれており、ビールの種類は100種類以上あると言われています。そこで今回は、ビールの分類法や代表的なビールの種類について紹介していきたいと思います。

ビールの種類分けに大きく関係する「発酵方法」と「スタイル」

記事の冒頭で書いたように、100種類以上あるビールを細かく分けているのが「発酵方法」と「スタイル」というものです。まずは、ビールがどのように分類されているのか知るために、「発酵方法」と「スタイル」について解説していきます。

ビールの発酵方法は3種類

ビール造りの工程で欠かせないのが発酵です。発酵とは酵母菌などの微生物が糖質をアルコールと炭酸ガスに分類することです。ビール造りでは、原料に酵母を加え、3日間から10日間程度かけてゆっくり発酵させていきます。ビール造りの数ある工程の中でも「発酵」はビールの味を決める大切な工程だと言えるでしょう。

ビール造りにおける発酵には、「上面発酵」「下面発酵」「自然発酵」の3種類があります。以下、それぞれの方法に関して簡単に説明していきます。

・上面発酵
上面発酵は、常温からやや高温の温度で3日間から4日間かけて発酵させていく方法です。酵母が麦汁の表面に浮き上がっていくように見えるため、上面発酵と呼ばれています。古くから行われている代表的な発酵方法だと言えるでしょう。

・下面発酵
下面発酵は、5度程度の低温で7日間から10日間かけてゆっくりと発酵させていく方法です。酵母がタンクの底に沈んでいく様からこのように呼ばれています。下面発酵は中世以降から始まった比較的新しい発酵方法になります。

・自然発酵
自然発酵とは、培養されていない野生の酵母を使って発酵させていく方法です。現在ではそれほど多くは作られておらず、世界では「ランビック」という種類のビール、日本では岩手県の「いわて蔵ビール」が自然発酵で作られています。

私たちが普段から飲んでいるビールは、上面発酵もしくは下面発酵で作られたビールです。自然発酵のビールは貴重な存在なので、飲む機会があればぜひ一度飲んでみてくださいね。

「エール」と「ラガー」

ビール名前やビールの広告によく使われているため、皆さんも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?
「エール」とは上面発酵で作られるビールのことで、「ラガー」とは下面発酵で作られるビールのことを指します。つまり「エール」と「ラガー」はどんな発酵方法で作られているかを示す言葉だったのです。

「エール」の方が歴史は古いのですが、「ラガー」の方が19世紀以降主流となりました。その理由としては、一定の品質を保ったビールを大量に生産するのに向いていたことが挙げられます。19世紀以降、ビールは庶民にとって親しみのある飲み物になりました。下面発酵は低温で行われるため雑菌が繁殖しにくいという特徴があり、品質の安定したビールを大量に作ることを可能にしました。
現在私たちがよく目にする大手のビール会社の製品は、ほとんどがラガーの「ビルスナー」という種類のものになります。世界的にみても「ビルスナー」は代表的なビールの種類となっています。

エールの特徴は芳醇な味わいと飲みごたえです。イギリスやベルギーでは、ラガーが主流となった19世紀以降でもエールが好まれており、現在でもエールが主流となっています。
ラガーの特徴は、のどごしが良くスッキリ爽快な味わいでゴクゴク飲むことができる点です。
おそらくほとんどの方が日常生活ではラガーのビールを飲んでいると思うので、機会があればぜひエールのビールを試してみてくださいね。

スタイルとは?

スタイルとは、より細かくしたビールの種類のことです。先ほどエールやラガーという言葉を紹介しましたが、エールやラガーをより細かく分類したものをスタイルと呼んでいます。

ビールのスタイルは非常にたくさんあり、現在では100以上のスタイルが存在しています。スタイルを知ってビールを飲むことで、スタイルごとの特徴や良さがわかり、気分によってスタイルを選んで楽しむことができるようになります。

代表的なスタイルを紹介!

ここからはスタイルの中でも代表的なものを10個紹介していきたいと思います。いきなりすべてのスタイルを覚えるのは難しいので、まずは以下の10個を覚えてみましょう。

・ビルスナー
1842年にチェコのピルゼンで誕生しました。淡色でホップの爽やかな香りが特徴です。世界の代表的なビールもビルスナーのものが多く、日本のビールもほとんどがビルスナーです。軽快なのどごしで飲みやすいのも人気の理由だと言えるでしょう。

・ペールエール
ペールエールはイギリス発祥で金色〜銅色の色をしているビールです。ホップやモルトの豊かな香りと強めの苦味が特徴です。ペールエールはイギリスの伝統的なスタイルですが、アメリカに渡ってアメリカンペールが誕生したことにより世界的に人気となりました。

・ベルジャンホワイト
ベルギーのヒューガルデン村で醸造されていたビールが発祥です。一度消滅してしまいましたが、1965年に復活し、現在ではベルギーだけでなく日本やアメリカで人気のビールとなっています。原料にコリアンダーとオレンジピールを使用しており、風味が特徴的なスタイルです。

・スタウト
ロンドンが発祥のポーターを改良して作られたのがスタウトです。ポーターはコーヒーのような風味がするビールでしたが、スタウトはこれに香ばしいナッツやチョコレートの風味を加えた黒系のビールとなっています。

・IPA
IPAはインディアペールエールの略で、インドがイギリスの植民地だった18世紀末に、インドに滞在するイギリス人にペールエールを送るために作られました。
海上輸送中に痛んでしまわないように大量のホップが使われているため、香りと苦味が非常に強い特徴的なビールです。

・アンバーエール
アンバーエールはアメリカ発祥のビールで、色は明るめの銅色〜茶色となっています。アメリカ品種のホップを使用しており、ホップ由来の強めの苦味と香りが特徴です。またカラメルっぽい香ばしい麦の香りも特徴的だと言えます。

・フルーツエール
フルーツエールは醸造の途中でフルーツやフルーツシロップが投入されるため、フルーツの香りが特徴的な仕上がりになっています。ベルギーでは伝統的に造られてきたスタイルで、日本でもご当地特産のフルーツを使用して造られることが多いスタイルです。

・バーレイワイン
原料にバーレー(大麦)を使用し、半年から数年かけて熟成させて造られます。熟成期間が長いため、ワインに近いアルコール度数を持つビールです。特徴はフルーティーな香りと熟成香で、色は黄褐色やコハク色〜銅色をしています。

・サワーエール
サワーエールは、乳酸菌などのアルコール発酵により酸をつくる菌を用いて造られるため、酸っぱさが特徴的なビールとなっています。フルーツやフルーツシロップを入れて飲むものもあります。またベルギーのランビックなど自然発酵で作られるビールがこのスタイルに含まれるのも大きな特徴と言えます。

・ヴァイツェン
ヴァイツェンは、小麦麦芽を50%以上使ったドイツの伝統的なビールです。バナナのようなフルーティーな香りと苦味がほとんどない柔らかな口当たりが特徴的です。別名「ヴァイスピア」と呼ばれることもあります。

スタイルについて全く知らないという方は、まずは上記10のスタイルを覚えてみてください。スタイルを覚えることでビールの違いや特徴についてわかるようになるため、今まで以上にビールを飲むのが楽しくなりますよ!

クラフトビールって?

最近よく耳にする「クラフトビール」という言葉ですが、どのようなビールをクラフトビールと呼んでいるのか知っていますか?ここからはクラフトビールとはどのようなビールなのか説明していきたいと思います。

クラフトビールの定義

クラフトビールの定義は国ごとに異なります。日本では明確な定義というものが決められていないため、ここではアメリカにおけるクラフトビールの定義を紹介したいと思います。
アメリカではブルワーズ・アソシエーションという協会によって、「クラフト・ブルワリー」の条件が定められています。その条件とは以下の3つです。
・小規模であること
・独立していること
・伝統的な原料や製法で作っていること

上記3つはアメリカにおけるクラフトビールの定義であるため、全てが日本に当てはまるわけではありませんが、大まかな内容は日本にも当てはまります。日本でクラフトビールを説明する際に使われるのが、「大手のビールメーカー

ではない地域密着型の小規模な醸造所で作られるビール」という説明です。

日本のクラフトビールの特徴

日本のクラフトビールの特徴としては、品質が重視されていること、大手メーカーのビールに比べ種類が豊富で多様な個性あふれるビールが楽しめることなどがありました。しかし最近では、大手ビールメーカーがクラフトビール市場に参入したり、伝統的な様式を踏襲したものやユニークな副原料を使ったりと、以前の枠組みの中でクラフトビールの説明を行うのが難しくなっています。

クラフトビールは今までのビールにはない、新しい何かを私たちにもたらしてくれるものです。大手メーカーにしても地域の醸造所にしても、より美味しいビールを消費者に届けたいという思いには違いありません。クラフトビールに興味を持たれた方は、ぜひ全国各地で作られているクラフトビールを飲んでみてくださいね。

まとめ

ビールのスタイル(種類)は、少なく見積もっても100以上は存在しています。スタイルによって風味や色合いなど大きく異なるため、スタイルを知ることで気分に合わせてビールを飲み比べできるようになります。
現在ビールが好きだという方は、今回の記事をきっかけにビールのスタイルについてもっと知って、今後よりビールを楽しめるようにしましょうね。

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