コップに注がれる黄金色の液体、泡がはじける爽快な音、口につけると麦のうまみとホップの華やかな香りと苦みが、

さわやかに広がり心地よい喉越しとともに消えていく、今日本で親しまれている発泡酒、第三のビールから新ジャンルに至るまで、

すべてこのビールのおいしさが基本になっています。

 

ビールの原材料と作り方

ビールと麦

ビールの基本的な作り方は、原料となる大麦を発芽させ、麦芽を砕いて温水に浸けホップとともに湯煎し酵母で発酵させて出来上がりです。

大麦はイネ科の穀物で、世界でもっとも古くから栽培されていた穀物になります。

この大麦が発芽したものが麦芽と呼ばれていて、この発芽した大麦は実が挽きやすくなるのです。

ビールの原料のところを見てみると麦芽と書かれています。

原料に大麦と書かずに麦芽と書かれているのには、ちゃんとした理由があるのです。

植物の種が発芽してしまうと種の性質とは違った特性を持ってしまうことから、原料に麦芽と記されています。

大麦を発芽させると糖化酵素が生まれ、デンプンを糖に変化させ甘くしてくれるのです。

麦芽を砕き炒って水に浸して酵素の働きで大麦のデンプンを糖にする、これが製造工程になります。

ではホップの役割はどうでしょう。

ホップは苦みがすっきりとしてさわやかな風味があるばかりでなく、雑菌の繁殖を抑える効果があります。

こうして基本的には原料に大麦とホップと水それに発酵の力を借りて、出来上がっているのです。

 

第三のビールとは?

とうもろこし

第三のビールは発泡酒が爆発的な勢いで売り上げを伸ばしているときに、開発がはじめられました。

第三のビールは、麦芽を全く使用しないビール風飲料です。

麦芽を全く使わないということになると、麦芽以外の何かから麦芽に近い味を作り出さなければなりません。

人の技術というのはデンプンを自由自在に糖化させるところまで発達してきています。

麦芽に代わる穀物といえば大豆やトウモロコシ、粟やヒエ、コメやコーリャンなどたくさんのものがありますが、

これらの「穀物」を酵母で発酵させて第三のビールとして製造しているのです。

開発の段階ではどの穀物がどの酵母と合い、おいしく出来上がるのか試行錯誤になりますから非常にたくさんの組み合わせで糖化させる実験を行ってきました。

あるメーカーの場合、えんどう豆から取り出したえんどうタンパクがソーセージやケーキの食感を向上させるために使用されていると聞き、

えんどうタンパクで酵母を使い発酵させてみたところ今までに試してみたどんな穀物よりもおいしい、第三のビールが出来上がりました。

えんどうタンパクは主な成分がタンパク質なので、麦芽の渋みの理由となっているタンニンなどを含んでいません。

ですので、ひっかかりがないすっきりとした味に仕上がります。

しかもホップ特有の爽快な香りと苦みがぐっと引き立つのです。

 

大豆タンパクを利用した製造方法

大豆

またあるメーカーでは、大豆タンパクを利用して製造を行っています。

糖分やアミノ酸を一定の条件で加熱するとアミノカルボニル反応というものが発生するのです。

これは簡単に言うと素材に褐変反応が起こり、香ばしくなるもので麦芽が焙煎されこの反応が起こり黄金色の飲み物が出来上がってくるのですが、

これらの手順を踏まない大豆タンパクの場合は、この反応が起こりませんので、色が薄くなってしまいます。

色が薄いということは、すなわちコクがないということです。

そのためにはどうするのかというと、大豆タンパクを圧力釜で加熱してやるのです。

圧力釜で野菜を煮ると驚くほど短時間で野菜が柔らかくなり、肉も同じでスジ肉も圧力釜で煮ればねっとりとした食感に代わります。

これはなぜかというと、水の沸点が上がるからです。

たとえば富士山の頂上でお湯を沸かすと気圧が低いため約88度で沸騰してしまい、温度はこれ以上上がりません。

逆に圧力をかけてやれば水の沸点は100度を超え110度、120度と圧力に比例して上がっていきます。

通常の気圧を利用していたのでは、このアミノカルボニル反応を起こすことはできなかったというわけです。

圧力釜で加熱された大豆タンパクは、美しい茶色の液体に変色していきます。

これを発酵させると、コクのあるお酒が出来上がってくるのです。

 

ビールと第三のビールの違いとは?

ビールと第三のビールの違い

ビールと第三のビールの違いは、原料に大麦を使っているかいないかの違いがあります。

大麦を利用して製造すれば褐色の色が自然に着色してきますが、大豆やエンドウなどの原料では色が薄くなってしまうのです。

各メーカーでは色合いを出すために様々な努力をしていることがうかがえます。

またどの原料がどの酵母と発酵させたときどんな味がするのか、飲み口はどうなるのか様々な研究を行っているようです。

いわゆる第三のビールは、人間が有史以前から行っていたおいしいお酒造りを分析してなぜおいしいかを研究し尽くして、

これに科学の力を加えて作ったまさに21世紀のお酒といえるのではないでしょうか。

口当たりがさっぱりとして麦芽を使用していないにもかかわらず香りも高いこの製品は、酒税も安いこともあって爆発的に売れています。

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