ケストリッツァーとは、ドイツ産のビールの一つです。
一体どのようなビールなのかということを、説明していきたいと思います。
ケストリッツァーについて
正式な名称は、ケストリッツァー・シュヴァルツビア。
シュヴァルツはドイツ語で「黒」を意味します。
ビールをよく飲む方ならすでにお気づきかもしれませんが、名前の通りこれは黒ビールの一種です。
原材料である麦芽を焦がしたものを使用しているため、出来上がると黒い見た目をしていることからそのように呼ばれています。
ケストリッツァーの歴史はかなり古く、その歴史は日本で言うと戦国時代の頃まで遡ります。
『ファウスト』や『若きウェルテルの悩み』などの文学作品でも知られる、
かの世界的に有名なドイツ出身の文豪、ゲーテもこれを愛飲していたのだと言われています。
ゲーテは1700年代の中頃に生まれたドイツ出身の文豪なので、このことから、
18世紀ころにはすでにケストリッツァーはすでに酒造が行われていたことということがわかります。
ゲーテがワイン好きということは有名ですが、それと同じくらいこの黒も愛していたことがわかっています。
彼の友人が書いた手紙が残っており、そこから彼のケストリッツァーに対する格別な思いが見て取れるという話も残っているほどです。
また、19世紀にドイツ帝国を統一し、「鉄血宰相」異名でも知られる歴史的な政治家であるビスマルクもこれを愛飲していた一人だったのだとか。
たびたびこれを飲んでいたビスマルクは、「優雅な味わいで、ビールの中の貴族といえる」とこれを絶賛したのだそうです。
これらのことからドイツ発祥の発泡酒であり、現地の人たちの間でも黒と言えばこれ!
というほど有名なものの一つとなっており、歴史的著名人からも愛されていたお酒であるということは一目瞭然です。
シュヴァルツ(黒ビールのこと)傑作とまで言われるほどその完成度は高く、最高の評価をされています。
ドイツのライプツィヒより南東へさらに進んだ場所にある、
バート・ケストリッツという村にある醸造所で、その場所も古く創業は1543年まで遡るのだとか。
その時代、日本はまだ戦国時代でした。それくらい昔からあるお酒なのです。
ケストリッツァーのデザインと味わいについて
さて、このように歴史の古く由緒正しいお酒はどのような見た目や味をしているのでしょうか。
次はそちらに焦点を当てて行くことにしましょう。
ドイツらしい洗練された瓶とラベルのデザインをしており、それを見るだけでも期待が高まります。
グラスに中身を注いでみると、真っ黒かと思いきや意外や意外、
完全な黒ではなくどこかチョコレートブラウンを思わせる優しい色をしています。
泡もふわふわとしており、ベージュがかったクリームに近いまろやかそうな色合いをしています。
ただ、普通の発泡酒に比べてこの泡は繊細で、注いですぐはふんわりとした状態を保っていますが、暫くすると消えて行ってしまいます。
泡の味も楽しみたい場合は、グラスに入れてから少し早めに先に泡に口をつけておくのがいいかもしれません。
香りを嗅いでみると、まず爽やかなすっきりとした香りが鼻に抜けます。
見た目からすると、もう少しずっしりとした強い香りを想像しますが、そのギャップが魅力の一つと言えるでしょう。
これに加えて、あとから上品な甘い香りがほのかに香ってくるのです。
これが実際に飲んでみると、その印象がまた少し変わります。
しっかりとローストされた大麦の香りが口の中いっぱいに広がり、
飲み込んだ後は香りを嗅いだ時とは比べ物にならない爽やかさが抜けて行きます。
このように爽やかさの強い香りをしていますが、味はというとどちらかと言えば辛口です。
黒と聞くと甘さとほどよい苦さを兼ね備えた味を想像する人が多いかとは思いますが、ケストリッツァーに甘さはあまりないのです。
控えめにされた甘さと、代わりに力強い炭酸と豊かなコクが楽しませてくれます。
これらのことから従来の黒のようなあっさりとした飲み口なのではなく、
重くずっしりとした深い味わいを持っている発泡酒なのだということがわかります。
普通の黒は甘さがあって飲みにくいと、黒を苦手に思っている方には飲みやすいのではないでしょうか。
ただ、前述したようになかなかに個性の強い味と香りをしているので、苦手な人もいるかもしれません。
好き嫌いが分かれるかもしれませんが、好きな人にはたまらないお酒であることは間違いないでしょう。
料理との相性について
加えて、なかなかにコクが強く個性的な味をしているので、料理に合わせるというよりはこれ単体で楽しむことも出来るでしょう。
もし料理に合わせたい場合はお酒の味に負けてしまわないよう、
同じかそれより少し強い程度の味の濃い料理を用意することでバランスが取れるようになると思われます。
塩気の強い生ハムや、チーズなども青カビチーズ(いわゆるブルーチーズ)や、
ゴルゴンゾーラなどの独特な風味を持っていたりしょっぱさの効いているものが相性がいいでしょう。