以前のカリフォルニアワインのイメージといえば、フランスワインよりもリーズナブルな値段で購入できて果実味が楽しめるワインでした。
しかし、最近では少し良いものを選ぶと一般的なフランスワインよりも値段が高く設定されており、少しマニアックなワインとなってきています。
なぜ、カリフォルニアワインの認識は変化してきているのでしょうか?
今回は、カリフォルニアワインの主な生産地や栽培方法、味の特徴に触れながら、認識を変えた近年のカリフォルニアワインの製造スタイルについてご紹介します。
カリフォルニアワインの歴史
ヨーロッパなどと比べると比較的歴史が浅いカリフォルニアワインの歩みをまずはたどっていきましょう。
18世紀後半にカリフォルニアでワイン醸造が始まりましたが、1920年~33年に禁酒法が施行されたことでワイン産業が一度崩壊、そして撤廃後にワイン産業は復興します。
1978年にはワイン法が制定され産地やブドウ品種、収穫年度が表示規定されました。
アメリカのワイン法にはヨーロッパのように格付けは存在しておらず、比較的自由度が高いと言えます。
カリフォルニアワインの主な生産地
アメリカは国別のワインの年間生産量第4位を誇っており、その生産量の約90%を占めているのが西海岸に位置するカリフォルニア州です。
主な生産地としては、
- カリフォルニアワインの中心的な銘醸地であるノースコースト
- 個性豊かなワインを生産するセントラルコースト
- カリフォルニア最大のワイン生産地であるセントラルヴァレー
- アメリカワインの中でも歴史のあるサウスコースト
- ジンファンデルと呼ばれるアメリカ独自のブドウ品種の生産地として有名なシエラ・ネバダ山麓
の5つのエリアが挙げられます。
カリフォルニアワインのブドウの栽培方法や味の特徴
カルフォルニアワインは、糖度が高く酸味が少ないという特徴があります。
カリフォルニアは元々湿度が高い地域なので、地面近くにブドウを植えてしまうと暑くなって成長しきらないうちに完熟します。
よって、現地ではブドウは地上1m以上のところに果実ができるように植えています。
適度な日光や風通しを確保するために葉っぱの数を減らし、雨が少ない乾季には水分を安定して供給できるように灌漑設備も準備しています。
これらの工夫によってカリフォルニアワインはブドウ本来の風味がよく生かされています。
カリフォルニアワインの製造スタイルについて
近年では、新樽を使う傾向があります。
ブティックワイナリーの特別なワインでは、フレンチオークの新樽に20ヶ月~30ヶ月漬け込みます。
フランスの10ヶ月~18ヶ月と比べると、非常に長い期間漬け込んでいることが分かります。
漬け込み期間を長くすると、コクが強いワインがさらにボリュームを増し、赤ワインは黒くなり香りは樽やバニラが強調され、白ワインではバターやクルミに似た香りが出ます。
一方で、カリフォルニアワインは、フランスワインよりマニア向けとも言われます。
定番ではない理由の一つに、製造スタイルが関係しています。
かつては工業的に大量生産していましたが、現在はチリや南アフリカなどでより安価に造れるようになったので、技術や材料にこだわった最高級ワインの路線に変更しています。
最良の畑で獲れたブドウに最高の技術を用いているため、一般向けよりも超高級ワインとして知られています。