フランスにはワインの産地が数多く存在しており、その中の一つにロワール渓谷地方があります。
ロワールワインの品種の一つである、ミュスカデと呼ばれるワインについてご存知でしょうか?
ミュスカデは他のワインと比べても値段が安く、ライトボディで飲みやすさもあります。
今回は、ミュスカデとはどのようなワインなのか、味わいの特徴や価格、使われているブドウの品種についてご紹介します。
ミュスカデとは
ミュスカデは産地の名前ではなく、ムロン・ド・ブルゴーニュ種から造られるAOCワインです。
AOCワインとは、フランスで定められたワイン法で最上位に当たるワインのことです。
ミュスカデは、ロワール河の下流に位置している、ナント市を中心にした地域で造られています。
味は軽く、さっぱりとした味わいの辛口の白ワインで、アルコール度数については、11%~12%程度。
フランスのAOCワインには、村の名前やその区域を代表している村の名前、またはその地域の通称を用いた名前を使っているといいます。
しかし、このミュスカデは使用されているぶどうの品種であるムロン・ド・ブルゴーニュがマスクメロンに似た香りであることを考えて名付けられたということです。
味の特徴には、先に書いたように、淡いマスカットのような香りを持っており、新鮮でフルーティー、強い酸味も持っています。
価格が安めのものが多く、1,000円前後で売られているワインもあります。
魚介類にもよく合うので、お寿司などの和食とも相性が良いと言われています。
そのほか、貝類や揚げ物とも相性が良く、酸味の強さからお酢やレモンをベースとしたソースにも合います。
使用されるブドウの品種について
ワインの元になるぶどうはミュスカデ種、別名「ムロン・ド・ブルゴーニュ」であり、名前の通りブルゴーニュ原産の品種です。
フランス語でミュスカと発音される「マスカット」やボルドー地方の葡萄品種「ミュスカデル」と混同されやすいですが、別物と覚えておきましょう。
ミュスカデは害虫への耐性が強く、日照に恵まれない状況であっても糖度が上がりやすいという特徴を持っています。
ミュスカデという名前を名乗れるものは4つあります。
セーヴル・エ・メーヌ、コトー・ド・ラ・ロワール、コート・ド・グランリュ、そしてミュスカデです。
ミュスカデのラベル表記について
ミュスカデのワインのラベルには、「sur lie(シュール・リー)」と表記されている場合が多々あります。
シュール・リーとは、澱(おり)の上という意味があり、ワインの熟成過程において、ポリフェノールやタンニンなどが結晶化した沈殿物(澱)を取り除かずに一定期間ワインと接触させる方法のことを言います。
沈殿物の働きとしては、沈殿した酵母から旨味成分が溶け出して、ワインに豊かな味わいを与えるとされています。
瓶詰めされる段階まで澱引きせずに保存され、瓶詰めされる段階になると極辛口の辛口なワインに仕上がります。
このミュスカデワインに使われている製法は日本の甲州ワインでもよく使われています。
どのような過程でワインが造られるのか、興味がある方はラベルの表記も確認してみましょう。
ミュスカデの飲み方
ミュスカデの飲み方は、一晩冷蔵庫で冷やして室温で10分程度置いておき、6度程度で飲み始めて温度が上がって8度程度でちょどよく飲めるというイメージです。
また、ミュスカデを美味しく飲むには合わせる料理も確認しましょう。
ご説明したようにミュスカデはさっぱりとした酸味を楽しめるワインです。
そのため、カルパッチョやさんまの塩焼きなど魚介類全般の料理とよく合います。ミュスカデはできるだけシンプルな味付けの料理の方が合わせやすくなるでしょう。