フランスを原産とするブドウ品種「マルベック」は、フランスだけでなく今やアルゼンチンやチリなどのニューワールドでも栽培が盛んな品種となっています。
今回は、ブドウ品種「マルベック」の特徴やマルベックを原料としたワインの特徴についてご紹介します。
ブドウ品種「マルベック」の特徴
マルベックは、フランス南西部地方を原産とする赤ワイン用のブドウ品種であり、ブドウとしてはかなり特徴的な存在となっています。
マルベック種の特徴として挙げられるのは、まず外見的な特徴である表皮の黒さです。
この果皮の黒さは、マルベックを原料とするワインの特徴にもつながっており、時に「赤ではなく黒ワイン」と言われるほどに濃い色を生みだしてくれます。
加えて、香りにも特徴があり、ワインにした直後の若いものだとブラックベリーやスミレの香りがすると言われ、どちらかというと果実の香りというより花の香りを連想させるような個性のある香りがします。
しかし、5年以上熟成が進むにつれて鉄や血と形容される独特の風味を生み出していきます。
また、栽培条件としては、マルロー種やカベルネ種よりも日照を必要とし、涼しい環境では育ちにくいという特徴があります。
マルベックを原料としたワインの特徴
ではこのマルベックを原料としたワインの特徴としてはどうかというと、これは熟成に応じてかなり大きく印象を変えるという特徴があります。
先ほど香りについて、若いうちはブルーベリーのような香り、熟成が進むにつれて鉄や血と形容される独特な香りと述べました。
ただ、味においては若いうちは荒いものの熟成が進むと、極めて上質なワインへ成長していきます。
どれくらい熟成させるかはワイナリーによって異なりますが、マルベックとしての美味しさを求めるのであれば最低でも5~10年は寝かさなくてはならないと言われています。
ちなみに現在、このマルベックは原産地であるフランスよりも、ニューワールドに分類されるチリで特に好まれるブドウ品種となりました。
チリの気候は、降水量が少なく昼夜の寒暖差の大きい地中海性気候であり、この気候とマルベックは非常によくマッチしていたのです。
チリのマルベックで作られたワインは、フランスのものとは異なりやや柔らかな味わいとなっているため、ワインに不慣れな人にも飲みやすいものとなっています。
また、強い日光と寒暖差があるアルゼンチンでもマルベックの栽培が盛んであり、「マルベックといえばアルゼンチン」と言われるほど国内におけるマルベックの産出量が多くなっています。
アルゼンチンのマルベックは、フランスと比較すると穏やかさがあり、熟成年数が少なくても飲みやすいワインとなります。