シャブリというワインは、「白ワインの王様」と呼ばれるほど品質が高く、世界的に有名な辛口白ワイン。
キリっと締まるような酸味や爽やかさは、他の白ワインには感じられないものがあり、多くのワイン愛好家を虜にするとともにワイン初心者でも飲みやすいワインとして知られています。
今回は、そんなシャブリワインを製造する際に使われている樽の役割や、1970年代以降のシャブリに使われる樽の変化についてご紹介します。
シャブリに使われる樽の役割について
シャブリワインはワインと樽は切っても切れない関係にあります。
では、樽は製造法の中でどういった役割を担っているのかというと、基本的には「熟成を行う場所」として扱われています。
ワインはものによっては瓶内に詰めたあとでさらに熟成をさせることがありますが、シャブリは基本的に樽に寝かせて熟成させるのが一般的です。
樽の中で長い時間を過ごすことによって発酵が進み、ブドウの果汁に含まれる糖が分解されてアルコールが作られていくわけです。
伝統的な製造法で言うと、使用される樽はオークという木材で作られたオーク樽です。
このオーク樽を使って熟成されたシャブリには、オーク材のほのかな香りが移って味を変えるとされています。
1970年代以降のシャブリに使われる樽の変化
1970年代以降は金属加工技術が進歩してきたこともあって、ステンレスタンクを樽の代わりにして熟成させるワイナリーがかなり多く見受けられるようになってきました。
そのため、必ずしもオーク樽を使って熟成がされているというわけではありません。
また、ステンレスタンクへの移行については、オーク材の香りがワインに混ざることを嫌う生産者もいたため、という理由があります。
ただ、近年では、オーク樽に回帰する生産者や、オーク樽とステンレスタンクを併用する生産者も現れてきています。
「どっちが正しいのか」という疑問が出てくることも多いのですが、実際のところ「こちらが正しい」と断言できることはありません。
もちろん歴史的に見ればオーク樽を使う方法が伝統的なものだと言えますが、ステンレスタンクはオーク材の香りが付かずよりストレートなシャルドネの香りを感じられるというメリットもあります。
実際のところ、これは何千本ものワインを飲んできた愛好家が1970年代から現代に至るまで議論を重ねているにもかかわらず結論が出ていない議題ですから、結論はまだまだ出てこない問題だと言って良いでしょう。