ワインの貯蔵庫と言うと、薄暗くて温度も低い環境の中ずらりと数多くのワインが横に寝かされた状態で並んでいる…というイメージはありませんか?
このため、自宅用でワインを飲もうとする際にも、「横に寝かせて保存した方が良いのかな」と思う方もいるでしょう。
今回は、ワインの一般的な置き方や、ワインを横に寝かせて貯蔵する理由とメリットについてご紹介します。
ワインは横に寝かせて貯蔵するのが一般的
ビールや日本酒などのお酒の瓶は立てて貯蔵するのが一般的ですが、ワインは横に倒して寝かせた状態で貯蔵するのがよいと言われています。
横置き状態で保存したワインと縦置き状態で保存したワイン方を比較した場合、同じ条件の場所だったら横置きの方が酸化を多少遅らせることができるとされているのです。
このため、お店などのワインセラーでは横置き専用の棚を設置し、そこに並べて貯蔵するのが一般的です。
とはいえ、瓶は底が平らで立てて置くことができるのに、わざわざ横に寝かせるのは不自然です。
不自然な貯蔵方法ではありますが、これにはワインの栓として使われているコルクの弱点が関係しています。
ワインのコルクの役割や弱点について
ワインを横に貯蔵する理由が、瓶を密封するために使用されているコルクにあります。
コルクは主に地中海地方を原産とする「コルクガシ(コルクオーク)」の樹皮を原料につくられます。
コルクは弾力性があって空気を通さないほど密であることから、内部に外気が侵入して酸化するのを防ぐための栓として古来よりワインの瓶に使用されてきました。
しかし、コルクは乾燥にあまり強くありません。
コルクは乾燥すると弾力性が失われて硬くなってしまいます。
硬化したコルクは収縮して小さくなるので、瓶とコルクの間に僅かな隙間ができてしまいます。
すると、内部に空気が侵入してワインが酸化してしまうので、味や風味が損なわれてしまうのです。
また、乾燥がひどい場合にはコルクがワインのボトル口にこびり付いて取れなくなったり、ワイン漏れの危険性が高くなったりします。
コルクの乾燥を防ぐには横に貯蔵するのがベスト
これに対し、瓶を横に寝かせておくとコルクにワインが触れた状態になり、常にコルクの下側が湿った状態になるので、瓶を立てて置くよりも横に寝かせたまま貯蔵したほうがコルクが乾燥しにくくなります。
つまり、横に寝かせて貯蔵するのは、コルクの乾燥を防いでワインの品質を保つためなのです。
もちろん、ワインの保存方法は、急激な温度の変化や湿度変化にも気を付けなければなりませんが、置き方も重要ということを覚えておきましょう。
ちなみに、近年はプラスチック製の栓やスクリューキャップが使用されることも増えましたが、これらは乾燥による劣化の心配はないので、縦置きで貯蔵しても問題ありません。