ワインの瓶
ワインの瓶はくぼんでいるのが一般的です。つまりあげ底になっているわけですが、これには理由があります。ワインを熟成させる場合にはどうしても澱がたまります。これは樽の中でもそうですが、瓶詰めされた後でも同じです。

澱は舌触りを悪くし、また味も良くありません。そこで、瓶をくぼませて、底に澱がたまるように工夫されているからです。ワインは瓶を静かに寝かせるようにして、ゆっくりと注ぐのがマナーとされていますが、それも底に溜まった澱をグラスに入れない為の細心の注意を払うところから来ているということです。ワインの性質がよく考えられてあのボトルの形状になっていると申せましょう。

また、他にも理由があります。それは ウオーター・ハンマー現象を防ぐ為です。 底が大きくて、口は小さくなっている瓶の形状は、強く力がかかりますと底の面積に生じた衝撃が水を伝って、細い口の部分にその衝撃が集中する性質をもっています。この力は思いの外大きいもので、細くなった部分を時には吹き飛ばしてしまうような力がかかります

特にスパークリングワインのように炭酸ガスの圧力がかかるものはその衝撃が強く伝わりますので、時に大変危険な事態を引き起こすこともあります。ワインの底はそうした衝撃を分散させるためにあのようにくぼんでいるというわけです。何も内容量を誤魔化したり、単にお洒落にしようというものではなく、それにはしっかりとした理由がありますので、その辺りを踏まえて取り扱うことが大切であると申せましょう。