日本酒の種類についてその4

スパークリング日本酒

スパークリング日本酒

スパークリング日本酒

ここ数年の大きなトレンドと言えるのが、「スパークリング日本酒」です。

「え?日本酒なのにスパークリング?」とビックリする方もいるかもしれませんが、昨今、日本酒ファンの間でとっても注目を浴びているタイプのお酒なのです。グラスに注ぐと、きめ細かい泡が立ち上る様は、シャンパンを思わせます。

ここでは、ビジュアル的にも美しく、気分を盛り上げてくれるスパークリング日本酒についてご紹介していきますね。

~「とりあえず、スパークリング日本酒」の時代到来!?~

スパークリング日本酒の魅力はなんと言っても、その爽快感あふれるシュワシュワ感。ピチピチと弾ける炭酸ガスは、食欲を大いに刺激してくれますよね。

最初の一杯は、「とりあえず、ビール」という方も多いでしょう。または、ハイボールか、あるいはちょっと洒落たお店ではシャンパンやスパークリングワインも選択肢ですよね。

そこに、「とりあえず、スパークリング日本酒」というラインナップも新たに加わったのです。

スパークリング日本酒は、人気の高まりを受けて、どんどん種類が増えており、和食系以外のお店でも置くところが多くなっています

食べものの生臭さを断ち切る力がある日本酒は、他のお酒に比べてどんなお料理とも高相性。飲み屋さんでどんなお通しが運ばれてきてもケンカしないので、乾杯酒にはピッタリなんです。

~乾杯後の、食中酒としても~

スパークリング日本酒は、乾杯だけではなく、その後も食中酒としても威力を発揮してくれます。たとえば、居酒屋では、揚げ物メニューが豊富ですよね。

鶏のから揚げ、アジフライ、コロッケなどなど、ともすれば油のコッテリ感がたっぷり過ぎる時もあります。そんな時こそ、スパークリング日本酒の出番です。シュワシュワの炭酸ガスが油っ気をキレイに洗い流してくれますよ。

~造り方は、主に3種類~

①  瓶内二次発酵方式

もろみを搾った後のお酒に、さらにもろみを加えたり、別に取っておいたおりを加えて、火入れをせずに瓶詰めする方法です。

瓶に詰めた後も、もろみやおりに残っている糖分を酵母が食べることでさらに発酵が進むため、ガス圧が高まり、シュワシュワなガス感をしっかり瓶内に閉じ込めることができます

火入れをしていないので、要冷蔵です。

②  活性にごり酒

発酵している途中のもろみを目の粗い布で濾し、火入れをせずに酵母が生きている状態で瓶詰めした日本酒です。詰めた後も、瓶の中でどんどん発酵が進んでいきます。

こちらも火入れをしていないので、要冷蔵です。

「活性」という名がついているように、とっても元気で威勢がいいのが、活性にごり酒の特徴です。そのため、栓を開けるときは、噴き出さないように十分に気をつけないといけません。

「注意して開けてね」という想いから、酒蔵では活性にごり酒のボトルには「噴き出し注意といったタグを付けています。でも、なかなか開栓時のトラブルはなくなりません。

というのも、「噴き出し注意」と書いてあっても実際にはまったく噴かないこともあるので、つい油断しちゃうのです。とある酒蔵によると、どれぐらい噴くかは出荷段階では予測が不可能なのだとか。

そんな、一筋縄ではいかない気分屋なところも、活性にごり酒の魅力と思って、丸ごと愛してしまいましょう。

③  炭酸ガス注入方式

日本酒に火入れをしたのち、人工的に炭酸ガスを注入する製法です。市販されている炭酸飲料などでは、このガス注入方式が一般的に用いられています。

二次発酵のような手間がかからないため、リーズナブルな価格の製品が多いのがこのタイプの嬉しいところです。比較的安定した品質を保つことができるため、常温保存も可能

スパークリング日本酒のビギナーにもオススメです。

~スパークリング日本酒の開け方講座~

日本酒の開け方講座

せっかく買って楽しみにしていたスパークリング日本酒。いざ開けようとすると、噴き出してしまって半分近くが水泡に帰す・・・という最悪の事態はなんとしても回避したいものです。

酒の一滴は血の一滴、安全が何より最優先。ここでは、スパークリング日本酒を安全に開けるためのコツをご紹介します。

・まずはここから!基本知識

スパークリング日本酒を飲むときは、とにかくキンキンに冷やしておくことが大前提です。温度を下げることでガス圧も下がるので、噴き出しの予防になります

そして、万が一噴き出してしまった場合に備えて、タオルなど拭くものを用意しておきましょう。私は、キッチンの流しで開けるようにしていますが、ホームパーティーなど、みんなの前で開ける際にはバケツなどを用意しておくと安心です。

・栓のタイプ別開け方講座

基本中の基本を押さえたら、次は中級編へ。栓のタイプに合わせた開け方をご紹介しますね。

① コルクタイプ

コルクタイプの栓は、シャンパンやスパークリングワインで使われているので、開けたことがある人も多いかもしれませんね。

栓を覆っている金具を外し、コルクをゆっくりとひねっていきましょう。タオルや布巾などをかぶせて、少しひねっては少し戻す、というように焦らずに開けていくのがコツです。

② P.P.キャップタイプ

P.P.キャップと聞いてもピンとこないかもしれませんが、さまざまな飲料に広く使用されているので、開けたことがないという人はおそらくいないでしょう。

栓をひねると、カチッという音が出るアルミ製のキャップのことです。これも、ひねっては戻しを繰り返せばOK

ちなみに、P.P.キャップとは「Pilfer Proof」の頭文字をとったもので、「盗難防止」という意味です。開栓した時に鳴るカチッという音は、キャップの下部のブリッジが破断したときの音。これにより、一度開栓されたものかどうかが判断できるようになっているんですね

③ 冠頭(かんとう)タイプ

一升瓶でよく使われているのが、この冠頭タイプです。アルミ製のキャップを切取線に沿って開ける栓のことですね。実は、スパークリング日本酒がもっとも噴き出しやすいのが、このタイプなのです。

なので、開ける際には、アイスピックなどを使って栓に穴を開けてから冠頭を外すようにすれば良いとのこと。みんなの前でカッコよく開ければ、パフォーマンスとしても盛り上がりそうですね。

~スパークリング日本酒は、火入れをしてもガスが飛ばない?~

炭酸ガス注入方式以外のスパークリング日本酒は、一般的には火入れをしていないので、要冷蔵が基本です。しかし、近年は火入れをおこなうところも登場しています。

それを実践しているのが、泉橋酒造(神奈川県海老名市)です。

イメージとしては、スパークリング日本酒は加熱するとガスが飛んでしまいそうな気がしますよね。でも、今は技術が進み、火入れも可能となっているのだとか。

耐圧性の高い瓶や、特殊な栓の開発とともに、火入れを短時間でおこなえるパストライザーを使うことで、火入れをして酵母の活動を止めつつもガスをきちんと残すことができるのだそうです。

暑い夏場でも安心して持ち運びができるというのは嬉しいかぎり。夏に飲むシュワシュワのスパークリング日本酒は格別ですからね。

~「awa酒」(あわさけ)を世界へ!~

昨今、海外でも認知度・人気が高まっている日本酒ですが、「もっと世界中の人たちに日本酒の素晴らしさを知って欲しい!そのためには、乾杯シーンにぴったりのスパークリングから広めていけばいいのでは?」といったアイディアから、2016年2月に「awa酒協会」が設立されました

「awa酒」とはスパークリング日本酒とイコールではなく、いわば「特別な」スパークリング日本酒です。

世界の乾杯シーンで、「awa酒」がシャンパンやスパークリングワインと肩を並べる存在となることを目指しているだけあって、その認定基準はきわめて厳格です。

【1】米、米こうじ及び水のみを使用し、日本酒であること
【2】国産米を100%使用し、かつ農産物検査法により3等以上に格付けされた米を原料とするものであること
【3】醸造中の自然発酵による炭酸ガスのみを保有していること
【4】外観は視覚的に透明であり、抜栓後容器に注いだ時に一筋泡を生じること
【5】アルコール分は、10度以上であること
【6】ガス圧は20℃で3.5バール(0.35メガパスカル)以上であること

外部の専門機関とともに検査をし、これらすべての基準を満たした銘柄にのみ「awa酒」の呼称が認められるのです。

ちなみに、認定された銘柄は、協会が発行する、シリアルナンバーで管理された真贋判定機能付きホログラムシールを貼って出荷することが義務づけられています。

・「透明」にするのは、とっても大変!

awa酒の認定基準のひとつに「外観は視覚的に透明」であることが要求されています。これが、実は大変な手間と労力を必要とするのです。

手順としては、まず、瓶内で二次発酵が進み炭酸ガス濃度が上がって5バール程度に達したら、瓶を逆さにして貯蔵します

そして、少しずつ瓶の角度を変えていき、おりを瓶口付近に集めます。おりが集まったら、瓶をネックフリーザーと呼ばれる装置に差し込んで、おりだけを急速冷凍し、取り出すというもの。

ちなみに、awa酒協会のメンバーの蔵の方に聞いたところ、その蔵ではおりを瓶口までしっかり集めるには、1か月半から2か月もかかっているそうです。

また、ネックフリーザーは、フランスのシャンパーニュ地方でシャンパンを造る際に使われているものを取り寄せて使用する酒蔵もあるようで、シャンパンに負けないスパークリング日本酒を生み出そうという本気の想いが強く感じられます。

ところで、awa酒がどうして透明であることにこだわるのかというと、海外に進出すると、どうしてもワインの国の基準や感覚で判断されてしまうので、濁ったお酒よりも透明なお酒の方が高い評価を受けるからだとか。透明であれば、フォーマルな場の乾杯シーンにも入り込みやすいというわけですね。

・「awa酒協会」のメンバー

このawa酒協会は9蔵の参加からスタートし、2019年1月現在で15蔵にまで増えています

メンバーに名を連ねるのは、

八戸酒造(青森県八戸市)、南部美人(岩手県二戸市)、秋田清酒(秋田県大仙市)、出羽桜酒造(山形県天童市)、人気酒造(福島県二本松市)、豊國(とよくに)酒造(福島県河沼郡会津坂下町) 、永井酒造(群馬県利根郡川場村)、滝澤酒造(埼玉県深谷市)、八海醸造(新潟県南魚沼市)、福光屋(石川県金沢市)、黒龍(こくりゅう)酒造(福井県吉田郡永平寺町)、山梨銘醸(山梨県北杜市)、千代むすび(鳥取県境港市)、天山(てんざん)酒造(佐賀県小城市)、八鹿(やつしか)酒造(大分県玖珠郡九重町)

そうそうたる顔ぶれですね。

このうち、豊國酒造が醸すawa酒「TOYOKUNI」は、スイス・ダボスで開催される世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)の関連イベント「ジャパンナイト2019」で供されたのだとか。

着実にawa酒がグローバルに浸透しているんですね。

~世界初!ロゼのスパークリング日本酒が誕生!~

2018年秋、「ロゼ」タイプのスパークリング日本酒が新たに誕生しました。

その名も、「菊泉ひとすじロゼ」。醸すのは、awa酒協会副会長である滝澤酒造です。瓶内二次発酵の透明タイプでは世界で初めての試みなのだとか。

「菊泉ひとすじロゼ」は、薄いピンク色と途切れない泡立ちが特徴です。この薄ピンク色は「赤色酵母」という酵母を使うことで得られたそう。見るだけで気分が上がります。

そして口に含んでみると、イチゴのようなベリー系の香りが際立ち、気持ちの良い酸が感じられる味わいです。

これまで透明なロゼタイプがなかったのは、もろみを濾すと、どうしても赤い色が抜けてしまうからだとか。そこを、滝澤酒造が研究に研究を重ねて、苦労の甲斐あってキレイな赤い色を残すことに成功したのです。

私もさっそく一度いただきましたが、食前酒としてはもちろん、香りが甘めなのでデザート酒としてもピッタリなお酒です。もちろん「awa酒」認定商品!

 

寝かせることでさらに美味しく!「熟成古酒」の世界

熟成古酒

昨今、日本酒ファンの間に着々と浸透してきているジャンルに、「熟成古酒」というものがあります。

ウィスキー、泡盛などの蒸留酒やワインなどは、昔から長い期間熟成を重ねたお酒が高い評価を受け、当たり前のように楽しまれています

しかし、日本酒の世界では、かつては熟成古酒が親しまれていた時代はあったものの、その後廃れてしまい、近年まではあまり一般的ではありませんでした

「日本酒は長い期間寝かせると、お酢になってしまう」というよくある勘違いが、熟成古酒の価値が認められにくかった原因かもしれません。

また、「ウィスキーやワインと違って、日本酒はフレッシュに限る!」と思い込んでいる方も多いようです。

でも、そんなことは決してありません!上手に熟成させると、日本酒は味わいが濃厚で複雑になり、口当たりがなめらかになるんですよ

~「熟成古酒」って具体的にどういったもの?~

長期熟成酒研究会では、「満3年以上蔵元で熟成させた、糖類添加酒を除く清酒」を「熟成古酒」と定義しています

熟成古酒は、一般に次の3点の違いから、淡熟タイプ・中間タイプ・濃熟タイプの3種類に大別することができます。

・醸造の仕方
・貯蔵・熟成の仕方
・熟成年数

【淡熟タイプ】

吟醸酒や大吟醸酒を、低温で熟成させたもの。熟成期間は短めです。

吟醸酒の良さを残しつつ、ほどよい苦味と香りが渾然一体となった、幅のある深い味わいが特徴。味わいは、3タイプの中ではいちばん軽やかなので、熟成古酒ビギナーでも飲みやすいですよ。

相性の良い料理としては、甘味・脂肪が少なく旨み成分が多いもの(生ハム、イカの塩辛、ロールキャベツ、グラタンなど)がおススメとされています。

【中間タイプ】

本醸造酒、純米酒、吟醸酒、大吟醸酒を、低温熟成と常温熟成を併用して造ります

低温熟成から常温熟成へ、またはその逆の貯蔵法により、濃熟タイプと淡熟タイプの中間の味わいを実現した、バランスの良いタイプです。

相性の良い料理としては、ほどよい甘味、酸味、苦味のある食べもの(酢豚、牛しゃぶしゃぶ、干しぶどう、チョコレートなど)がおススメとされています。

【濃熟タイプ】

本醸造酒、純米酒を、常温で熟成させたもの。熟成期間は、3タイプの中ではもっとも長いです。

熟成を重ねるにつれ、色、香り、味が劇的に変化し、風格を備えた個性豊かな味わいに仕上がります。日本酒とは思えない琥珀色と、濃厚かつ複雑な味わいは、最初はビックリするかもしれませんが、慣れると病みつきになる人が多いですよ。

相性の良い料理としては、脂分の多い料理や、濃厚な旨みと甘みのある食べもの(ビターチョコレート、焼肉、ブルーチーズ、カレーなど)がおススメとされています。あと、意外かもしれませんが、アイスクリームにかけても美味しいですよ!

~日本酒百年貯蔵プロジェクト~

2005年に、長期熟成酒研究会の創立20周年を記念して企画されたのが「日本酒百年貯蔵プロジェクト」です。独立法人酒類総合研究所東京事務所内にある赤レンガ酒造工場の地下貯蔵室と、東京農業大学で貯蔵をおこなっています。

日本酒を百年間も貯蔵して熟成するというのは、まさに前代未聞の新しいチャレンジ

「そんなに長期間貯蔵して大丈夫なの?」と思う方も多いでしょうが、ここでの貯蔵には、百年という年月にも耐えられるよう、細心の注意が払われています。

たとえば、容器は耐久性の高いチタン製のボトルも採用。そして、瓶に貼る紙のラベルは劣化してしまう恐れがあるため、使用するのは金属プレート。

貯蔵棚には劣化しにくい木材を使い、金属の釘などは利用しないなど、実に細やかな工夫が施されているのです

経年による変化の観察を継続的におこなうことにより、日本酒の熟成についていろいろなことが発見できると期待されています。

ちなみに、最終的に開封されるのは、2105年!未来の人たちは、現代の私たちの想いがこもった究極の熟成古酒を飲んで、どんな感想を抱くのでしょうか。

聞いてみたい気持ちでいっぱいです。そして、かなうなら、実際に自分でも飲んでみたいものです。どうか、劇的に寿命が延びる薬が誕生しますように(笑)。