
日本酒はさまざまなお酒の中でも、多様さが特徴のお酒です。
同じお酒でも、飲むときの温度を変えれば印象もガラッと変わってきますし、原料や作り方によって味や風味は全く異なるものになります。
今回はバラエティー豊かな日本酒を味わうために知っておきたい、日本酒の飲み方を6つ紹介します。日本酒を深く味わいたい方はぜひチェックしてみてくださいね。
日本酒のイメージが変わるスパークリングタイプ
爽やかな飲み口で日本酒ビギナーの方にぜひ味わってほしい日本酒です。
スパークリングタイプの日本酒は、シャンパンのような瓶内二次発酵タイプもあれば、あとで炭酸ガスを混入したタイプもあります。
日本酒はアルコールの中でも度数が比較的高いお酒ですが、近年アルコールをあまり飲まない方向けに度数を抑えたスパークリングタイプの日本酒が多く販売されています。
スパークリングタイプの日本酒は、炭酸ガスが弾けておめでたい雰囲気を出すことができ、食欲を増進させる効果があるため、レストランでの乾杯酒や食前酒として注文するケースが増えています。近年、にぎわいのある日本酒のジャンルだと言えるでしょう。
スパークリング日本酒の種類
スパークリング日本酒の製法には、「瓶内二次発酵製法」「ガス混入製法」の2種類があります。
さらに「瓶内二次発酵製法」は「澱」があるものとないものに分けられるため、スパークリング日本酒の種類は、合計3種類あることになります。
「澱」とは、白く濁った部分のことです。日本酒は米と米麹、水と酵母を原料に発酵させてもろみを造るのですが、「澱」はその際溶けきれず細かくなった米や酵母などの小さい固形物です。
以下、それぞれの製法について簡単に紹介します。
●瓶内二次発酵製法
瓶内二次発酵製法は、ろ過を荒く行い、酵母を生かすために火入れせずに瓶詰めし、さらに発酵を進ませることで瓶内に炭酸ガスを閉じ込める方法です。
具体的には以下の流れで行われています。
米のデンプンを酵素が少しずつ小さくちぎってグルコースになる→グルコースを酵素が食べ、アルコールと炭酸ガスを作り、泡酒になる→瓶は閉栓されているため、中で炭酸ガスが抜け出すことなく溜まる。
●ガス混入製法
ガス混入製法は、普通の日本酒同様にろ過したお酒に後から人工的に炭酸ガスを混入する製法です。
瓶内二次発酵製法の日本酒は、生酒なので輸送と管理に冷蔵が必須で、賞味期限も短く取り扱いが大変です。
一方ガス混入製法の日本酒は、常温で流通でき管理も簡単なので近年多く流通しています。
ガス混入製法で造った日本酒は、アルコール度数が低く、米の甘みがしっかりと感じられる甘酸っぱい味わいで、若い女性を中心に非常に人気のある日本酒になっています。
キリッとした純米大吟醸酒、大吟醸酒
純米大吟醸酒や大吟醸酒は、数ある日本酒の種類の中でも最高ランクのお酒です。
特徴としては、
・厳寒期に仕込みを行い、低温で長期発酵させて造る。
・きれいな酒質でフルーティーな吟醸香がある。
・価格帯がやや高めに設定させている。
などがあります。
純米大吟醸酒や大吟醸酒は、ほとんどが酒造り専用のお米を使って醸造しており、さらに雑味が出ないようにそのお米を50%以上削って造られているため高価なお酒になっているのです。
手間暇をかけて丁寧に造られているため、最高ランクのお酒になっています。
純米大吟醸酒や大吟醸酒の特徴は、「吟醸造り」と呼ばれる醸造方法で造られていることです。吟醸造りで醸造されたお酒は、繊細で優雅な品の高いお酒に仕上がります。
純米大吟醸酒や大吟醸酒は、味だけでなく香りも楽しむことができます。りんごやメロン、バナナのようなフルーツの香りが特徴のお酒もあり、清らかで爽やかな香りを感じられます。
もちろん原料としてフルーツを使用しているというわけではなく、酵母の働きによってフルーツの香りを感じられるようです。
純米大吟醸酒や大吟醸酒は、味だけでなく香りも楽しめる日本酒です。飲み方はたくさんありますが、繊細で清涼感のある香りを活かすよう、冷やして飲むのが最もおすすめです。
爽やかさが味わえる純米吟醸酒
大吟醸酒と吟醸酒は、どちらも「醸造造り」という方法で造られています。両者の決定的な差は米の削り方です。
大吟醸酒は玄米を50%以上削らなければいけませんが、吟醸酒は40%以上削れば名乗ることができます。わずか10%の差に感じるかもしれませんが、この差が味わいに大きな差を与えているのです。
純米吟醸酒も大吟醸酒と同じく、フルーティーで爽やかな香りと味わいが特徴です。大吟醸酒に比べてやや骨太という印象です。
純米大吟醸酒はそれだけで楽しむ主役級のお酒ですが、吟醸酒は味も香りも控えめなものが多いため、料理に合わせやすいお酒です。
和食にはもちろん合いますし、野菜や魚、オリーブオイルや柑橘系の風味が効いたイタリアンにもよく合います。
うまみを感じる純米酒
純米酒の定義は、「米、米麹、酵母、水だけを使用し、日本独自の製法によって醸されたもの」であり、文字通り、米と米麹と水で純粋に醸した米だけのお酒です。
非常にコクがあり、価格帯もリーズナブルであるため、昔から庶民のお酒として愛されている日本酒です。
純米酒を飲んでみるとまずお米の香りを感じるでしょう。純米酒には昔ながらのオーソドックスな酵母を使うことが多く、コクがありしっかりとした味わいになることが多いのです。
うまみを感じるのが純米酒の醍醐味であり、冷やでも熱燗でも楽しめるのが大きな特徴だと言えます。
また純米酒は料理にも活用できる日本酒です。煮物や漬物などの料理に加えることで深いコクとうまみを出すことができますよ。
昔は本醸造酒と同様に、精米歩合70%という規定が純米酒にもありましたが、現在では撤廃されています。そのため、玄米100%でも純米酒と名乗ることができるのです。
しかし現実には、玄米100%の純米酒など存在しません。玄米の表面は非常に硬い層で覆われており、酒にすると味が重く雑味が出てしまうため売り物にならないのです。
近年の技術の発展により、精米歩合80%でも雑味がなく軽やかなうまみがある純米酒が販売されています。
たった10%の違いですが米の味をしっかり感じられるお酒になっているため、飲み比べしてみてはどうでしょうか?
冬場は定番の燗酒で体の芯から温まろう
純米酒は温めても美味しいお酒ですので、冬場は純米酒を燗酒にして飲むことをおすすめします。
純米酒が燗酒に向いている理由は、精米歩合にあります。純米酒の精米歩合は80%ですが、これは食用のお米の精米歩合90%に最も近い数字です。
お米も温めて食べた方が美味しいように、純米酒も温めることで美味しく飲むことができるのです。
燗酒の温度は決まっておらず、お酒の種類によって最適な温度があります。また同じお酒でも温度によって味わいが大きく変わります。
70℃以上に加熱してしまうとアルコールの揮発が始まってしまうため、一般的には30℃から65℃の間で調整するようにしましょう。
燗酒を作るときには、日本酒を鍋で直接加熱するのではなく、鍋にお湯を入れ、徳利を肩までしっかりお湯につけて、湯煎によって加熱するようにしてください。そうすることで香りや味が抜けることがなくなります。
燗酒は体の芯から温めることができる飲み方なので、冬場は燗酒でポカポカ気分になりましょう。
コクとうまみがたっぷりの古酒
古酒とは、長年寝かせることでコクとうまみを引き出した日本酒の種類です。
日本酒は基本的に寒い時期に造られて、春、夏、秋、冬と1年間のサイクルで販売されています。1年のサイクルを経た日本酒は、古酒と分類されます。
そのため古酒とは、製造されてから1年以上経ったお酒だと定義できますね。
同じ古酒でも、新酒として売るつもりだったけれど売れ残ってしまい古酒になったものと、初めから古酒として販売する目的で造られた古酒があります。
同じ古酒でも両者には大きな違いがあるため、酒蔵で熟成することを目的として造られる古酒を「熟成古酒」と呼んで区別しています。
新酒にはフレッシュな味わいがありますが、古酒にはそれと対極のコクやうまみ、甘みがあります。
中にはブランデーのような味わいを持った古酒もあり、「本当に日本酒!?」と感じることもあるでしょう。
古酒は日本酒の世界を広げることができるお酒ですので、ぜひ味わってみてくださいね。
まとめ
今回は日本酒の6つの飲み方を紹介しました。
1つのお酒でこれほど多くの飲み方があり、それぞれ味わいが大きく変化するのは世界的に見ても日本酒以外に存在しません。
今回紹介した飲み方をぜひ試してみて、日本酒のバラエティー豊かな世界に浸ってみてくださいね。