日本酒はどのように造られるの?日本酒の製造工程を徹底解説

日本酒はどのように造られるの?日本酒の製造工程を徹底解説

Production process of sake

皆さんは日本酒がどのような工程で造られているのか知っていますか?今回は日本酒の製造工程を詳しく解説したいと思います。

日本酒は日本古来のお酒であり、日本人にとって親しみのあるお酒だと思います。

日本人として日本酒がどのように造られているのかはぜひ知っておきましょう。

 

日本酒の製造工程①:精米〜洗米〜蒸し米

Sake rice-Washed rice-Steamed rice

お米は精米した瞬間から酸化が始まってしまうため、ご飯を炊く直前に精米するのが最もお米を美味しく食べられる方法だと言われています。

酒造りに使用するお米も基本的には同じで、玄米の状態で保存して酒造りを行う直前に精米します。

日本酒造りに使用するお米はよく削るのが特徴です。

しかし一気に削ってしまうと割れの原因や味の劣化につながってしまうため、徐々に精米スピードを落とし、丁寧に時間をかけて削ります。

良い酒造りは玄米を時間をかけて丁寧に精米することから始まるのです。

精米を終えたら次は洗米の作業に移ります。酒蔵では米を研ぐことを「洗米」とか「米洗い」と呼んでいます

丁寧な酒造りを行なっている酒蔵では、5キロから10キロの少量単位で米洗いを行います。

昔はザルを使い素手で洗っていましたが、現在では水流を使用して米を優しく洗う洗米機を活用している酒蔵が増えています。洗米後には、仕込み水に浸けて水を吸わせます。

酒の米は炊くのではなく蒸すのが特徴です。

蒸し米は炊いた米と出来上がりの水分量が異なり、炊いた米の水分量が60%〜70%であるのに対し、蒸し米は水分量が30%〜40%となっています。

お酒造りで非常に重要な麹菌が生えやすい水分量が30%程度であるため、蒸し米の水分量がちょうど良いのです。

お米を蒸す作業では、古くから伝わる大型の蒸し器「甑(こしき)」を使います。

 

日本酒の製造工程②:麹造り

Sake making of sake

気温が低いと雑菌が繁殖せず、清潔な環境で、クリアでキレイな酒造りを行うことができます。そのため酒造りは基本的に寒い冬に行われています。

しかし麹造りを行う「麹室」は高温多湿の環境が必須です。その理由は、麹菌は高温多湿の環境を好むからです。

麹室は温度管理がしやすいよう、天井は低く窓がありません。重たい木の分厚い扉で仕切られており、中の温度が外の影響を受けないようになっています。

では麹造りはどのように行われるのでしょうか?一般的な麹造りの工程は以下のようになっています。

1、種切り

麹菌を蒸し米にふりかける。

2、保温静置

蒸し米を布で包んで保温し、高温多湿を保って麹菌を発芽させる。

3、切り返し

包みを開いて麹米を広げ、温度を均一にするために混ぜる。

4、盛り

麹の温度が上がりすぎないように、箱に移して小分けにする。

5、仲仕事・仕舞仕事

温度と湿度の調整のため、広げ方を変える。

6、積み替え

麹の入った箱の上下を入れ替えて、それぞれの温度を一定にする。

麹造りは酒造りの核心であり、酒造りの工程の中で最も重要な工程です。

麹を健やかに繁殖させるために温度を一定に保った暖かい麹室で丁寧な手作業で麹造りは進められます。

最近では湿度がコントロールできる自動製麹機も多く使用されています。

 

日本酒の製造工程③:酒母造り

Making yeast for sake

酒母造りは酒造りの準備段階であり、実質的な酒造りの最初の工程になります。またの名を日本酒のスターターといい、なめてみると甘みと酸味が感じられます。

酒母造りと酒造りでは、酵母・乳酸・糖分の3つが重要になり、これら3つを揃えるために酒母の造り方は大きく分けて以下の3通りあります。

近年、市販の日本酒の9割以上は速醸酛で造られている日本酒です。

生酛

江戸時代生まれの造り方で、生きた乳酸菌を使う乳酸飲料のようなもの。

山廃酛

明治時代生まれでの造り方で、生酛の手間を一部省いたもの。

速醸酛

明治時代後半に生まれ、乳酸菌を使わない簡易的なもの。

酒母の材料は、米麹、蒸し米、仕込み水の3つで、それぞれ1:4:6くらいの割合でタンクに入れて混ぜ合わせて造ります。

生酛や山廃酛では、自然に棲んでいる乳酸菌がタンクの中に入ってきて乳酸が発酵し乳酸ができます。

一方速醸酛では、タンクに市販の「合成乳酸」を入れて乳酸を発酵させ乳酸ができる仕組みになっています。そのため早く酒母ができるのです

上記3つの方法で乳酸を作り出し、乳酸の濃度が濃くなり十分に殺菌できたらいよいよ酵母の登場です。

「きょうかい酵母」や「自社で培養した酵母」を入れ、アルコール発酵を進めていきます。

 

日本酒の製造工程④:三段仕込み・もろみ造り

日本酒のもろみ造り

三段仕込みとは酒母を効果的に増やす方法で、室町時代から日本が誇る伝統技術です。

三段仕込みの技術がない時代では酒母を作る作業が重労働でしたが、三段仕込みの技術が生み出され、多量の日本酒造りを省力化することに成功しました。

そういった面では、三段造りは非常に画期的な技術だと言えます。

三段仕込みとはその名の通り、3回に分けて酒母の量を増やす技術のことです。

1、初添

酒母に2倍の量の米麹と蒸し米、仕込み水を加える工程。その後酵母が落ち着くのを待つために1日程度置いておきます。

2、中添

酒母に4倍の量の米麹と蒸し米、仕込み水を加える工程。

3、留添

酒母に8倍の量の米麹と蒸し米、仕込み水を加える工程。

3つの工程により酒母を効率よく増やし、もろみ造りを行います。

もろみをじっくり発酵させることで酵母が増え、アルコール濃度も徐々に上がります。また乳酸はちょうどよく薄まり、非常に飲みやすくなります。

醸造酒なのにアルコール濃度が20度近くまで上がることは世界中を見てもなく、日本酒造りは日本だけの酒造り技術だと言えます。

 

日本酒の製造工程⑤:上槽

Upper tank of sake

上槽とは、日本酒を液体と固体に分ける搾り作業のことです。もろみを搾った液体が日本酒で、残った固体が酒粕となります。

上槽の方法は大きく分けて以下の3つがあります。

袋搾り

袋搾りは別名「雫搾り」「首吊り」などとも呼ばれる方法で、もろみを袋に入れて吊るし、ぽたぽたと垂らして上槽を行う方法です

袋搾りは手作業で行うため、手間と時間が非常にかかる方法だと言えます。そのため特別な高級酒のみに採用されている上槽方法になります。

袋搾りの方法は、もろみを詰めた袋を紐で吊るし、重力でぽたぽた滴り落ちる雫だけを集めるというものです。圧力を全くかけないため、最も丁寧な搾り方だと言えます。

雑味がなくクリアな日本酒を造ることができますが、何より時間と手間がかかり生産性が悪いため、限られたお酒でしか取り入れられない方法です

また袋搾りで残った酒粕は、もろみに戻して搾り直すため市場には出回りません。

気温が高いとお酒が劣化する可能性があるため、袋搾りは基本的に厳寒の時期の早朝や未明に行われるものです。

槽搾り(ふなしぼり)

槽搾りという名前は、長方形で縦型の船のような形をしている搾り機からきています

搾り方は、もろみを布袋に詰め、袋の口を折り返し、整えて並べていくというもので、一度並べたらその上にまた並べていきます。優しい圧力によって搾るため、雑味の出ない搾り方です。

お酒は搾って出てくるタイミングによって名前が付いています。

最初に出てくるお酒は、もろみの袋を積んだだけで自然と出てくるお酒で、「荒走り」と言います。ガスを強く含み、フレッシュさが特徴の荒々しいお酒です。

次に上から軽く圧力をかけて搾り出てくるお酒を「中取り」または「中汲み」と言います。搾りの中で最も滑らかでバランスが取れた非常に美味しい日本酒です。

最後に強く圧力をかけて絞り出すお酒を「責め」と言います。雑味があり味幅がないため、単体で売られることは滅多になく、ブレンドされて売られる日本酒です。

このように搾り出てくるタイミングでお酒の味わいは大きく変わり、価値も変わってくるのです。

圧搾搾り

圧搾搾りは大型の搾り機で高い圧力がかけられ、自動でスピーディに搾ることができるのが特徴です。メーカー名から「ヤブタ」と呼ばれることもあります。

多くの酒蔵が使用しており、上槽の代表的な方法だと言えるでしょう。

槽搾りよりも高い圧力で搾ることができるため、同じ量のもろみからたくさんの日本酒を造ることができ、非常に効率の良い方法です。加えて短時間で搾ることができ、酒が酸化しにくいとも言われています。

圧搾搾りでできた酒粕は「板粕」と呼ばれ、スーパーに並んでいる馴染みのある酒粕となります。

 

日本酒の製造工程⑥:火入れ

Sake pottery

一般的な牛乳は120℃程度の高温殺菌をして販売していますが、中には低温殺菌と言って70℃程度の低温殺菌をして販売しているものもあります。

低温殺菌をした牛乳はたんぱく質の変性が少なく、風味がよくて美味しくなります。

日本酒は「火入れ」と言って、牛乳と同じような低温殺菌をしています。

低温殺菌は室町時代に生まれた技術で、絶妙な低温度帯で殺菌することで酒を変質させることなく酵母の働きを抑えて発酵を止める技術です。

室町時代から現代まで日本酒造りを支えている高い技術だと言えます。

火入れには大きく2つの方法があり、それぞれ「蛇菅火入れ」「瓶火入れ」と言います。

「蛇菅火入れ」は、円筒形の容器内に蛇菅と呼ばれる螺旋状の配管が設置されているのが特徴です。

円筒容器内でお湯を沸かし、配管内に生酒を渡して62℃から65℃で温めます。

「瓶内火入れ」は、瓶の栓を軽く緩めてから湯につけ、内部が62℃から65℃になるように温めます

その後栓を締め直してぬるま湯、冷水、氷水で段階的に冷やしていきます

どちらも伝統のある技術ですが、近年新しい機械も開発され以前よりも容易に行うことができるようになりました。

日本酒は火入れのタイミングで酒の名称が変わります。一般的な日本酒では、貯蔵前と出荷前に2回火入れを行いますが、火入れを行うタイミングや火入れの回数によって、同じ日本酒でも以下のように異なる呼び方をします。

生酒

全く火入れをしない生の酒。「本生」「生々」と呼ばれることもある。

生原酒

火入れをしない生の酒に水を加えずアルコール度数を調整しない原酒

アルコール度数が17度から19度と、一般的な日本酒よりも高いのが特徴。最近ではアルコール度数15度台と低い生原酒もある。

生貯蔵酒

生のまま貯蔵し、出荷前に1回火入れを行うお酒

生詰め酒

貯蔵前に1回火入れを行い、出荷時には火入れをしないお酒。別名「ひやおろし」とも呼ばれている。

 

火入れを行う目的は、火落ち菌の殺菌と残存酵素の失活の2つです。火入れのタイミングを間違えてしまうと、生ひねかや雑味が発生し、品質低下の可能性が高くなります

質の高い美味しい日本酒を造るためには、火入れが最後の大きなポイントになるのです。

 

まとめ

Production process summary of sake

今回は日本酒の製造工程についてお話ししました。

日本酒の製造工程には大きく6つの工程があります。それぞれ日本酒の品質を左右する大切な作業なので、酒蔵のスキルと経験によって日本酒の質が変わることは間違いありません。

美味しい日本酒を飲むためにも、日本酒の製造工程に関してぜひ知っておいてくださいね。










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