
皆さんはグレート義太夫さんをご存知でしょうか。
以前、ビートたけしさんの弟子たちが結成した「たけし軍団」のメンバーの一人で、人懐っこい丸い笑顔が印象的なお笑いタレントです。
彼は糖尿病を患い人工透析を受けていますが、最近では緊急入院もしています。
彼が今思うことは「もっと早く糖尿の治療を始めていれば透析の開始も数年後に伸ばせたはずなのに、糖尿病を甘くみていた自分が悔しい…」。
彼が勇気を出して自らの病気を公表してくれたブログを拝見して、もし彼が『ALA』という日本酒に含まれる成分を知っていたなら、未病の段階で糖尿病を防げたかもしれないのに、と悔しくてなりません。
ALAは、弱ったエネルギー生産工場「ミトコンドリア」を元気づける栄養素です。ミトコンドリアが弱ると万病の原因になります。もちろん、糖尿病も然り、です。
今回は、
- 1億総未病状態の日本人
- 2人に1人は糖尿病
- 日本酒に含まれるALAとミトコンドリアの関係
- ミトコンドリアにALAを補給して健康寿命を伸ばす方法
について説明いたします。
甘くみていた糖尿病
グレート義太夫さんの人工透析回数は週3回、1回に付き5時間ベッドに寝たままなので、週に15時間は時間を取られることになります。
彼は事務所に所属している芸人さんなので仕事を受ける日をチョイスするなどスケジュールの融通がきくでしょうが、これが一般会社員だと大変です。
透析のために出張できないこともあり、仕事にも支障が出るかもしれません。それ以上に、金銭的な負担がかかってきます。
人工透析で月300,000円
グレート義太夫さんは1995年に自宅で倒れ、病院から「一生インスリン注射を打たなければならない」と告げられたにもかかわらず、調子が良くなったら勝手に通院をやめる、そして具合が悪くなったらまた病院のお世話になる、ということを繰り返した過去があります。
そうこうするうちにテレビの収録中に倒れてしまい、糖尿性腎症からくる慢性腎不全※になっていました。
そして現在、グレート義太夫さんは、人工透析料として1回25,000円も支払っているそうです。なんと月に300,000円!これはかなり痛い出費です。
※糖尿病腎症とは糖尿病にかかって10年以上経過した人に見られる症状。腎臓の糸球体に障害を受け、徐々に全身の動脈硬化や慢性腎不全へと進んでいきます。
慢性腎不全とは、血中の老廃物を取り除く腎臓の機能が失われた状態。腎臓の機能は一度失われると、ほとんどの場合、回復しません。
『グレート義太夫さんの糖尿病』についてはこちら
↓
サイレントキラー糖尿病
糖尿病は血液中の糖分が多くなる病気。
自然治癒はほとんど見込めず、厳しい食事療法や減量が待っています。
寛解※することはありますが、完治することはありません。ひとたび食事療法から脱線して体重が増えると、再び治療は開始されます。
糖尿病は一生涯付いてまわる病気だとも言えます。しかし、厄介なことに自覚症状がありません。
皆さんも糖尿病は知識としてはあるものの、自分が糖尿病の一員になる予定、なんて思ってもいないのでは?
糖尿病は気付かないうち体中の血管にダメージを与え、動脈を硬化させていきます。
その後、心臓や腎臓に合併症を発症させることで、やっと事態の重大さに気がつくから恐ろしいのです。
糖尿病に罹患することで神経症、網膜症、腎症も発症しますが、アルツハイマー病やガン、心筋梗塞、脳卒中、脳梗塞などのリスクも高まります。
健康診断では「異常なし」でも安心できない糖尿病予備軍
糖尿病に罹る確率は日本人成人の5人に1人と言われていますが、実はこれは健康診断からはじき出した数字。健康診断は通常空腹時に行われるので、糖尿病検査で異常なし、とされても安心は禁物です。
食後高血糖の人は心臓病などの危険が高い
自分が本当に糖尿病予備軍に入っているかどうかを知りたい人は、「食後高血糖(血糖値スパイク)※」に該当していないかどうかを食後2時間以内に調べることをお勧めします。
なぜなら、食後高血糖の人は通常の糖尿病患者よりも心血管疾患で死亡する確率が高いからです。
「5人に1人」は間違い、「2人に1人」が糖尿病予備軍
中国での大規模な糖尿病検査によると、糖尿病に罹っている人は11%、前糖尿病段階の人は36%でした。実に2人に1人が糖尿病に関係しているのです。ちなみにこの検査は食後2時間で検査を行った、ということなので、食後高血糖の人が含まれています。
日本でも同様の検査を行うとしたら、中国人と民族的にも類似していることから同じようなパーセンテージになることが懸念されています。
表面上は健康に見える人でも、体の内部では糖に蝕まれている可能性は高いのです。
未病段階で糖尿病をストップ!
2人に1人の糖尿病関係者にならないためにも、今現在から糖尿病を避ける生活へとシフトしていくことは、QOL(生活の質)を上げるためにも大きな意義があります。毎月300,000円も透析に費やしていては生活が成り立たない人がほとんどでしょう。
ところで、皆さんは「未病」という言葉をご存知でしょうか。簡単に説明しますと
病気になってからではすでに遅し。将来に罹患するかもしれない病気を予測し、未病の状態で進行を食い止める取り組みが必要です。未病への対応の仕方で老化のスピードにも差が現れ、寿命の差にも繋がります。
現実的には、定期検診を受け、問題が見つかれば医者の指示を守ることで未病対策になります。
それに加えて私たち日本酒ファンは、日本酒を適量飲むことで健康を維持できる可能性があります。
そのキーワードがミトコンドリアとALAです。
健康も病気もミトコンドリア次第
ミトコンドリアは私たちの体にある60兆個の細胞(37兆個との説もあり)内に存在する細胞内小器官で、小さな発電所のようなものです。
私たちは、体を動かす時だけではなく、心臓が動く時、考え事をしている時、食べた物を胃腸が消化している時でもミトコンドリアが生み出すエネルギーのお世話になっています。ミトコンドリアは私たちの全エネルギーの95%を作っているのです。
ミトコンドリアの働き
ミトコンドリアは以下の仕事も行なっているので「細胞内の司令塔」とまで言われています。
- グルコース(糖)を代謝
- エネルギープラントとしてATPを産生
- 損傷したDNAを持つ細胞をアポトーシス(細胞死)に導く(そのまま放っておくとガンなどの原因になるから)
- ステロイドやヘム(ヘモグロビン中にある、鉄を含む赤色有機色素)の合成
- 免疫や代謝機能の調節
通常は元気に仕事をこなすミトコンドリアですが、ひとたびミトコンドリアの数が減少したり働きが低下すると、体の不調や病気、老化の原因になります。
ミトコンドリアの働きが低下するとどうなる?
夏バテしている時などは、栄養あるものを無理に食べたりしますよね。
しかし、ミトコンドリアが減少、弱体化している状態で、どんなに栄養を摂ってもエネルギーの原料となるATP(アデノシン三リン酸)を作り出すことはできません。
だから、「あんなにたくさん食べたのに、体はだるくなっていく一方…なんで〜?」なんてことも起こるのです。
ミトコンドリア弱体化の理由
ミトコンドリアが弱くなる原因は、加齢や食生活、運動不足、ストレスです。糖質の多い食事ばかりで運動も苦手、ストレスがたまる現代生活では、ミトコンドリアも弱るだけではなく、数も減少。
実際、糖尿病患者さんの体には、通常の人の半量のミトコンドリアしかありません。
ミトコンドリア減少で細胞が弱体化→発病
ミトコンドリアは全身の細胞に存在します。
そのミトコンドリアが弱ることで細胞内のエネルギーが減り、細胞が傷つきます。傷ついた細胞が存在している部分は病気という形で現れてきます。
例えば、
美容的にもミトコンドリアの弱体化で、女性にとって痛い現実が待ち構えています。
ミトコンドリアには細胞を生まれ変わらせる働きもあるので、肌のターンオーバー(皮膚の生まれ変わり)もできなくなり、外からどんなに高価な化粧品を塗り込んでも無駄。
シミやシワが増えて、同じ年齢の人より老けて見られるようになります。
未病とはミトコンドリアの活動が不十分な状態
未病については上記で説明いたしましたが、
とも言えます。
ということは、ミトコンドリアが十分に働いてさえくれれば病気にならないはずです。
理論としては、至極単純なこと。
要はミトコンドリアに増えてもらい、元気に活動してもらえば、未病状態から健康へとリターンできるのです。
ミトコンドリア増強作戦
では、どうすればミトコンドリアが元気になり、増殖してくれるのでしょうか。
実は、ミトコンドリアは「エネルギーを必要とされている」状況下で増えていきます。頼られて喜ぶタイプなのです。
と、ご説明しました。
ということは、ミトコンドリアが喜ぶ「頼りテク」を駆使すればいいのです。
頼りテク① 軽く汗ばむくらいの運動を30分/週3回
運動不足が続くと、ミトコンドリアは「この人はあまりエネルギーが必要じゃないみたい」と判断し、勝手にATPの生産を縮小させます。ミトコンドリアは「しぶちん」でもあるのです。
ミトコンドリアに「もっとエネルギーが欲しい」ことを伝えるためには、汗ばむくらいの運動が必要です。
最初は息も上がるでしょうが、続けているうちに体が慣れたことに気がつきます。それはミトコンドリアの数が増えて活動力も上がってきた証拠。
ミトコンドリアは赤筋※に多く含まれているので、運動の種類は有酸素運動がおすすめです。
頼りテク② プチ断食 1回/週
いつも満腹になるまで食べていると、ミトコンドリアはエネルギー生産をサボります。
しかし、週に一度の断食、あるいは1日の総カロリーを抑えて「なんちゃって飢餓状態」を作るとミトコンドリアはエネルギーをせっせと作り出し、どんどん分裂して増殖します。
補給テク③ 日本酒でALAの摂取
最後に付け加えたいミトコンドリア増強増加法は、ALAを食品から積極的に取り入れること。
地球に初めて生命が誕生した時にもALAは関わっていたとされ、現在でも生命維持のための重要な役割を担っています。
ALAはミトコンドリア内でも生産されていますが、不足した場合、ミトコンドリアの活動が弱ってくるので補充しなければなりません。
「そんな重要なものなら、特別な食べ物にしか入っていないだろう」と思われるでしょうが、実は日本酒に高濃度で含まれているのです。
健康に貢献しそうな黒酢は健康食品としてもてはやされていますが、黒酢のALA量は日本酒の1/3量でしかありません。
「日本酒飲むと糖尿病になりそう」と心配している方はこちら↓
ミトコンドリアを元気にするALAで血糖値が改善
しかし、ここで「糖尿病とALAにどんな関係があるの?」とスルドイ突っ込みを入れる方もおられることでしょう。それを説明する前に、糖尿病患者さんが受ける強いストレスについて知っておきましょう。
糖尿病で多大なストレス
糖尿病やその予備軍と指摘された人たちが最初に行うべきことは、摂取する糖質を減らす「食事制限」です。
しかし、
現代社会におけるストレスは万病の元、とさえ言われているくらい多量の活性酸素を発生させて、さらに病状を悪化させることにもなります。
そこで、食事制限だけではなく、別の角度から糖代謝異常を改善する方法はないものかと研究されるようになりました。
ALAの研究結果
そんな研究の中で浮かび上がってきた成分がALA。
食事と一緒にALAを12週間摂ったグループと、摂らなかったグループでは食後2時間の血糖値に差がありました。
ミトコンドリア内のALA増強で代謝アップ
このALAは、代謝をつかさどるミトコンドリア内で機能し、糖や脂肪をエネルギーに変えています。
しかし、
ALAは人間が年をとるにつれて減少。17歳から少しずつ減少し始め、40歳を境に半量にまで減少します。
40歳を過ぎてから糖尿病を発症する人が多くなるのはこのためです。
ALAの減少を原因とする疾病は糖尿病発症だけではありません。
そうなる前に、ALAを補給することが推奨されます。
ALAだけではなく鉄分も補充しよう
鉄分が必要な理由は、細胞内のヘムを補うためです。
細胞内のヘムが欠乏するとグリコーゲン合成が異常になり、糖尿病発症へと繋がります。
グリコーゲン合成異常はALAの投与で改善される場合もあるので、鉄分との併用は効果を高めるようです。
食品に含まれるALAの量
以下にALAを含む主な食品を挙げています。
食品名 | ALA含有量( µg/100g) |
日本酒 | 70〜353 |
ワイン | 110〜173 |
黒酢 | 150 |
タコ | 78.4 |
しいたけ | 5〜45 |
イカ | 38 |
バナナ | 31.6 |
納豆 | 25 |
1日に必要とされるALA量は0.5〜2mgとされています。
*日本酒なら100mlで0.35mgのALAを摂取できます。
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参考資料
・ScienceDaily [High prevalence of diabetes, prediabetes in China]
・KAKEN [ヘム欠乏により惹起される糖代謝異常の分子メカニズムの解明]
※この記事は参考となる情報をもとに筆者独自の見解を述べたものです。必ずご自身の責任と判断において情報をご利用ください。その結果生じた直接的または間接的な損害について筆者および発行者は一切の責任を負いません。あらかじめご了承ください。