酒粕と酒

酒粕とは

日本酒づくりの工程で、仕込みが終わった後の醪(もろみ)を絞った残りが酒粕です。酒粕は、酒米を醸造した時の重量比で、25%残ります。

酒粕は、米、麹、酵母由来の機能性成分が濃縮された状態で豊富に含まれており、とても優秀な健康食品といえます。

酒粕

酒粕に含まれる栄養素と効能

・美肌効果

酒粕に含まれるビタミンB群が肌の代謝を高め、ターンオーバーを促進します。食物繊維が豊富で、肌荒れなどの原因となる便秘を解消し、美肌効果が期待できます。メラニン色素の増殖を防ぐとともに、保湿効果により肌の乾燥を防ぎます。また、清酒、酒粕ともに含まれる「α-EG」が肌細胞のコラーゲン産生を促進するため、肌のキメを細かくする効果も立証されています。

 

・免疫力を高める

麹菌や酵母の細胞壁に含まれる成分に、免疫力を高める効果があります。

 

・生活習慣病の予防効果

脳梗塞や動脈硬化の鯨飲となる血栓を溶かすプラスミノーゲンなどの成分が含まれています。

 

・肝臓の保護

ペプチドが肝臓の抗酸化力を高め活性酸素を取り除いて肝臓を保護します。

 

・便秘の解消

酒粕に含まれる不溶性の食物繊維が腸内の余分な老廃物の排出を促進します。またオリゴ糖が善玉菌の増殖を促進し、腸内環境を整えます。

 

・肩こりや頭痛、冷え性を緩和

血管拡張作用があるアデノシンが、肩こりや頭痛、冷え性などの症状を緩和します。

 

・糖尿病、肥満の予防と体質改善

酒粕に含まれる難消化性でんぷんが糖の吸収を抑え、難消化性でんぷん質が食事で摂取した脂肪やコレステロールを体外へ排出します。

 

・アレルギー体質の改善

アレルギー症状を引き起こすカテプシンBの働きを酒粕に含まれるペプチドが阻害し、症状を緩和します。アレルギー体質の改善には、継続的な摂取が必要です。

 

・高血圧の抑制

高血圧の抑制を促進する複数のペプチドが含まれています。

 

・骨粗しょう症の予防

加齢により骨の分解を促すカプシンLと言う酵素が増殖します。酒粕は、その酵素の働きを抑制する機能性成分が含まれています。

 

・悪玉コレステロールの減少

レジスタントプロテインが腸内の余分な脂肪や残留する油を吸着して、便とともに排出します。悪玉コレステロールの生成や脂質の酸化を抑制し、過剰なコレステロールを肝臓に戻す作用に期待できる機能性成分が含まれています。

甘酒

酒粕で腸活

酒粕はアミノ酸や米由来の糖分が豊富で、食材を酵素で分解し美味しくする効果があります。美味しくするだけでなく、各種酵素、ビタミンB類、必須アミノ酸が豊富なため栄養素が増します。酵母菌のアルコールや乳酸菌の乳酸などが雑菌を抑制します。また、酒粕が含有する酵素は消化吸収を促進し、便通を良くします。そのため悪玉コレステロール値を下げ、血液の流れを良くします。便通が良くなることで腸内環境が整い、肌質改善にもつながります。腸と肌は密接につながっており、腸は肌の延長ともいえます。それはなぜかというと、人が上を向いて口を開いて立つと筒状の物体であることから、腸は内側の皮膚とも言い表すことができるのです。このように腸と皮膚の相関関係を考えてみると、腸の状態が全て外側の皮膚にも現れることがよくわかるのではないでしょうか。近年では、腸内環境を整えることを「腸活」といい、美意識の高い女性からも注目されていますが、腸の自然な消化吸収、排泄から作り出される健康な状態の細胞は、外見の美しさと表裏一体といえます。

このように美容健康に作用する多くの効能をもつ酒粕ですが、代表的な使い方というと最近話題の甘酒があげられます。甘酒は酒粕の独特の風味とまったりとした飲み口が特徴的で、酒粕そのものの美味しさがダイレクトに味わうことができます。しかしその独特な風味が苦手だと感じる方は、それ以外にも驚くほど多様な酒粕料理が考案されています。今回は、思わず試したくなるような意外性に満ちた様々なレシピご紹介します。

酒粕スイーツ

濃厚なコクとほんのりした甘みが特徴のサクサク酒粕クラッカー

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<材料>

・小麦粉  100g
・おから  50g
・サラダ油 大さじ1〜2
・塩    小さじ1/2

・酒粕   50g

<作り方>

①材料をすべて混ぜ合わせる。
②綿棒で薄く伸ばして、包丁でお好みの大きさにカット。
③160度のオーブンで20分ほど焼いて、オーブン内で冷ませば完成。

 

*ポイント

・サラダ油の量は、生地がまとまるくらいで調節してください。

・酒粕は焦げやすいので、低温でゆっくり焼き上げて冷まします。

・ストックする分は、冷凍庫で保管します。

 

 

チーズのようなコクのある酒粕パウンドケーキ

<材料>
・ホットケーキミックス 100g
・卵          1個
・オリーブオイル    50cc
・砂糖         40g
・塩          小さじ少々
・酒粕         50g

<作り方>
①材料をすべてボウルに入れ、よく混ぜ合わせる。
②パウンドケーキ型に流し入れ、180度のオーブンで35分焼けば完成

*ポイント
・酒粕の香りが少し残るので、酒粕の量は好みで調整してください。

・酒粕は焦げやすいため、途中でアルミホイルをかぶせて焼くと焼き具合を調整することができます。

・焼きたてをラップで包み翌日以降食べると、しっとりした食感になります。

酒粕スコーン

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約20個分
A
・薄力粉       200g
・強力粉       200g
・ベーキングパウダー 小さじ2
・冷やした無塩バター 100g
・塩         小さじ半分
・きび砂糖      大さじ4

B
・卵(LL 1個)   70g
・ヨーグルト     100g
・豆乳        20g
・酒粕(ゆるい)   150g

①Aの材料全てをフードプロセッサーに投入して混ぜ合わせる。

②Bの材料を全てボールに入れてよく混ぜた後、①に加えてまとまるまで軽く混ぜ合わせる。
粘りが出ないよう、こねすぎないように気をつける。

③生地を四角に成形し、ラップをかけて冷蔵庫で1時間休ませる。途中8層にたたむ。

④生地をだいたい2cmの厚みに伸ばし、型で抜いて、天板に並べ、200℃で12分焼く。

*ポイント

焼きたては酒粕の味が強いため、酒粕の風味の好きな方におすすめ

酒粕の風味が苦手な場合は、冷めると酒粕の風味が落ち着き、サクサクとした食感とコクのある味わいを楽しめます。

酒粕の量はお好みで調整してください。

酒粕の保湿成分で翌日もしっとりとした美味しさを保てます。

 

 

混ぜて焼くだけ、ラムレーズンと酒粕の濃厚チーズ風ケーキ

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<材料>
・酒粕         80g
・水切りしたヨーグルト 100g
・砂糖         45g
・豆乳         80cc
・薄力粉        大さじ3
・ラムレーズン     お好みの量
・レモン汁       大さじ1

<作り方>
①材料すべてをボウルに入れ、よく混ぜ合わせる。
②型に入れて190度のオーブンで30分焼く。

*ポイント

・甘いものが苦手な方、また砂糖を減らしたい場合は、ラムレーズンの量を増やすと自然な甘味のある仕上がりになります。

 

 

 

酒粕×スパイス

美味しく食べて健康になるレシピ開発を手がけるフードコーディネーター 村井りんごさんのレシピから、酒粕独特の風味にさらにスパイスの風味を掛け合わせた、いつもとは異なる酒粕の魅力を引き出すレシピをご紹介します。

 

酒粕とカレー粉のフライドチキン

<材料>
・鶏手羽元       8本
・練り粕        200~250g
A
・にんにくのすりおろし 大さじ1/2
・カレー粉       大さじ1
・砂糖、塩       各小さじ1
・塩、こしょう     各少々
・揚げ油        適量

<作り方>
①密封保存袋に練り粕、Aを入れて混ぜ、「スパイス粕床」を作る。塩、こしょうをした鶏手羽元を入れて手でもみ込む。

②冷蔵庫で1日~3日寝かせる。

③密封保存袋から鶏手羽元を取り出す。肉についた酒粕は洗い流さず手で軽く拭い、片栗粉をまんべんなくまぶす。

④[火を通す]フライパンに揚げ油を熱し、低温から③を入れて揚げ始める。鶏手羽元の縁が黄金色に色づいてきたら、温度を高めて3〜4分火が通るまで揚げる。

 

*ポイント

・鶏肉にまぶした酒粕は洗い流さずにそのまま揚げるとカラッとサクサクの食感になります。

・練り粕は、酒粕を柔らかいペースト状に練ったもの。

 

 

エスニック風ラムチョップ

酒粕の効果でラム肉の臭みがとれ、柔らかくジューシーに仕上がります。

 

<材料>
・ラムチョップ       6本
・練り粕(ねりかす)    200~250g
A
・しょうがのすりおろし   大さじ1
・塩            小さじ1
・クミンパウダー      大さじ1
・塩、こしょう、サラダ油  各少々

<作り方>
①密封保存袋に練り粕、Aを入れて混ぜ、「スパイス粕床」を作る。塩、こしょうをふったラム肉を入れて手でもみこむ。
②冷蔵庫で1日~3日寝かせる。
③ラム肉を取り出して酒粕を洗い流し、水気を拭く。フライパンにサラダ油を熱し、ふたをして弱火で焼く。片面約3分ずつ焼いたら蓋を外し、強火にして、両面に焼き色をつける。途中、肉から脂がにじみ出てくるので、クッキングペーパーなどで拭き取る。

 

*ポイント

・レモンを絞って食べると爽やかにさらに美味しくなります。

 

 

酒粕フルーツグラタン

<材料>
・バナナ      1本
・練り粕      80g
・シナモン     小さじ1/4
・グラニュー糖   少々

<作り方>
ラップに練り粕を広げ、皮をむいてシナモンをまぶしたバナナをのせて包み、冷蔵庫で1日寝かせる。ラップを外して酒粕がついたまま耐熱容器に入れ、グラニュー糖をふる。オーブントースターでグラニュー糖がカラメル状に焦げるまで焼く。

*ポイント

・グラニュー糖をたっぷりかけて焼くと表面がカラメル状になり、カリッとした食感のある、より美味しいデザートになります。

 

 

 

練り粕ごと食べられるドライフルーツの酒粕ボール

<材料>
・プルーン   2個
・干し柿    2個
・シナモン   小さじ1/4
・練り粕    100g

<作り方>
ラップに練り粕を広げ、シナモンをまぶしたプルーン、干し柿をのせて包み、冷蔵庫で1日寝かせる。

 

*ポイント

・練り粕を洗い落して刻めば、ラムレーズンのようにお菓子作りの材料にも使用できます。

 

 

美容健康に良いと分かっていても、忙しくてなかなか料理ができないという方には、市販品で色々な商品も販売されています。

例えば、山口県の日本酒「獺祭(だっさい)」の酒粕を使用した商品ですと、純米大吟醸の遠心分離によりできた酒粕を使用した酒粕アイスクリームやアイスキャンディー、アルコール2%と低いアルコール分を含んでいる軽い口当たりの酒粕ケーキなどがあります。

 

 

酒粕の料理以外の使い方

またビタミンやミネラルの豊富な酒粕は、食べること以外にも美容効果が期待できる使い方があります。ただし直接肌に使用する際には、事前に必ず手の甲などでパッチテストなどを行い、肌が大丈夫かどうかを確認することが必要です。

 

酒粕風呂

酒粕をガーゼに包んでから洗濯用のネットに入れます。それをお風呂の中に投入します。乳白色の色や香り、柔らかくなるお湯のあたりなど、贅沢な気分がリラックス効果を高めます。ただしアルコール分が含まれているため、酒粕を入れた最初のお湯は、大人が入ってください。酒粕成分により、お風呂上がりの身体が芯から温まったままの状態をキープできます。冬やクーラーなどで身体が冷えたと感じる時には特におすすめです。また含まれている麹の効果で美白も期待できます。

酒粕パック

肌の強い方は、酒粕を蜂蜜と水でペースト状にしたものを顔に塗る美白パックもおすすめです。食べても問題のない素材のみで作られた酒粕ペーストは万が一口に入ったとしても美味しく、安心安全です。

酒粕パックの材料は、純米酒粕100g、精製水100〜150ml、好みで蜂蜜適量。ボウルやガラスの容器に酒粕を入れ、精製水を加えながら少しずつ伸ばします。精製水の量は、固さを見ながら調整してください。顔に塗って垂れない程度の固さのペースト状になれば完成です酒粕はあまり固いと溶けにくいため、冷蔵庫から出しておき、小さめに割ってから伸ばすと時間を短縮できます。酒粕は添加物の含まれていない「純米酒粕」を使用してください。酸化防止剤や調味料などの添加物が入っているものや醸造アルコールが含まれている酒粕は肌への刺激が強いため、注意が必要です。

酒粕パックを顔や体に塗り、5〜10分程おいたあと、ぬるま湯で洗い流します。酒粕パック後は、肌の表面がしっとりもっちりしているのを実感できるでしょう。酒粕パックは冷蔵保存が可能ですが、1週間以内に使い切るようにしてください。夏はひんやりと気持ちのよい感覚でリフレッシュ効果もあります。

湿度の高いお風呂でパックすることで、毛穴が開き、酒粕の美容成分が浸透しやすくなります。毛穴に詰まった汚れを取り除く効果も期待できます。酒粕の匂いが苦手な方は、好みのアロマオイルを加えることでリラックス効果も高まります。その際は自分の肌質に合うアロマオイルを使用し、入れすぎないように注意する必要があります。また、米ぬかを加えることでほどよいざらつきが出るため、スクラブ効果が期待できます。肌の強さに自信のある方以外は、顔よりも体への使用をおすすめします。特に、ひじ、ひざ、かかとなど角質の気になる部分にのせてくるくるとマッサージします。肌の弱い方はこすり過ぎに注意し、肌に伸ばすだけでも良いでしょう。

 

酒粕の選び方

酒粕の見分け方

酒粕のうま味やより高い美容や健康効果を期待するには原料米が低精白(玄米に近い)、で純米酒(原材料表示に「醸造用アルコール」が記載されていない)の酒粕が良いでしょう。また生酛(きもと)造りか、山廃(やまはい)仕込みは乳酸菌や酵母菌が豊富です。

生酛(きもと)造りとは、酒母を手作業で造る製法です。日本酒を造る過程に「酒母造り」があります。酒母とは、蒸した米と水に麹、酵母、乳酸菌を加えたもので、酵母を培養することによって日本酒の発酵の元になるものです。この酒母が、日本酒の原型である「醪(もろみ)」のベースになります。

酒母は糖をアルコールに変える酵母の集合体のようなものですが、酵母とともに重要なのが乳酸菌の存在です。乳酸菌から生まれる乳酸には、日本酒にとって必要のない雑菌を死滅させる役割があります。

通常の日本酒造りでは乳酸は人工のものを使いますが、生酛(きもと)造りでは乳酸も手作業で造ります。人工の乳酸を使った酒母を「速醸酛(そくじょうもと)」、天然の乳酸を使った酒母を「生酛(きもと)」と呼びます。

今や乳酸は人工的に造られたものがありますが、精製された乳酸がない時代は乳酸も手造りでした。空気中や蔵の壁、天井など自然に自生する乳酸菌を繁殖させて酒造りに使っていました。

乳酸菌を一から培養するのには時間がかかり、速醸酛(そくじょうもと)の場合、酒母は約2週間で出来上がるのに対して、生酛(きもと)は約1カ月かかります。生酛(きもと)は時間も手間もかかる、昔ながらの酒造り製法になのです。

生酛(きもと)は米や米麹をすり潰し、液体にして乳酸菌の繁殖を待ちます。この米や米麹をすり潰す工程のことを「山卸し」と呼びます。山廃(やまはい)仕込みは、山卸しをせずに乳酸菌を培養して、日本酒を造る製法を指します。山卸しの工程で重要なことは米を溶かすことですが、技術革新や研究の成果により、明治時代末期には山卸しをしなくても麹から溶け出した酵素の力で米が溶けることが分かりました。

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山卸しは、冬の寒い時期に深夜から早朝にかけて1日に何度も酒米をかき回し、すり潰さなければならない重労働です。加えて、熟練の技術が必要なため、誰でもできるというものではありません。山卸しをしなくても酵素が米を溶かすことが分かり、「山廃仕込み」も製法のひとつとして取り入れられるようになりました。

一方で、高精白(精白60%以下…吟醸系)の酒粕は、味や香りが豊かでフルーティなので、嗜好品としては馴染み深い酒粕といえます。

酒粕に含まれる栄養や微生物が少なく、低精白の酒粕と比較すると美容健康効果は期待できませんが、嗜好品としての酒粕を求めるなら、精白された吟醸系(精白度60〜30%)の酒粕 は、華やかな香りや、甘み、フルーティな特徴を持ちます。

酒粕の歴史

酒と同じく古くから歴史を持つ酒粕。「播磨国風土記」(713年)に、日本酒の原型である米麹を用いた酒造りの記述が見られ、平安時代の「延喜式(えんぎしき)」(905〜927年)には、宮中における酒造法が詳しく記されています。酒造りの副産物である酒粕は、野菜や魚の長期保存する粕漬けとして使用されていました。当時の酒粕は、濁り酒の底に溜まる沈殿物であったと考えられています。平安時代の「内膳司(ないぜんし/うちのかしわでのつかさ)」(天皇や貴族の料理番)には、その甘み旨みの濃い濃厚酒やその粕を料理に使用したとの記述があります。また江戸時代には、「手握り酒」「酒骨(さかぼね)」と呼ばれ、栄養豊富で冬季に身体を温める酒粕は、広く庶民に親しまれていました。

 

酒粕と一言でいっても、実に多様な種類があります。

酒粕の種類

板粕(いたかす)

一般的に酒粕といって思い浮かぶのは、板状になっている白い板粕ではないでしょうか。発酵を終えたもろみを絞り気にかけ、日本酒と分離させた後に残る固形物。粕汁や甘酒はもちろんのこと、そのまま焼いて砂糖をまぶすと簡単な温かいスイーツにもなります。

 

ばら粕

板状にとれなかった酒粕。時間的・人手的にとれない場合と、大吟醸・吟醸酒の酒粕は米を低温発酵させており米粒が溶けきらない場合が多く、板状に取ろうとするとボロボロになります。また酒成分が多く残り、柔らかすぎて板状にとれない場合もあります。地方により粉粕(こがす)と呼ばれています。

 

練り粕(ねりかす)

酒粕を柔らかいペースト状に練ったもの。

 

踏み込み粕(ふみこみかす)

板粕を酒造りのタンクに戻し、踏み込んで空気を追い出し、4〜6ヶ月間熟成させたもの。色は茶色や黄金色で、主に酢原料、漬物や魚肉の粕漬けなどに使用されます。地方により「押し粕」、「諸白粕(もろはくかす)」、「練り粕」とも呼ばれます。

 

成形粕(せいけいかす)

ばら粕を練りこんで棒状に押し出し、板粕状にしたもの。近年、蔵元も機会化や人手不足により板粕を取らなくなっており、板粕が不足しているために製造されました。練りこんでいるため使いやすいですが、寝ることにより米麹が壊れ、酸化するため風味に欠けています。板粕の代替品としての意味合いが強いです。

 

まとめ

古くから酒と共に親しまれてきた酒粕。栄養価が高く味わい深い酒粕は、地域独自の料理にも取り入れられて豊かな酒粕文化を築いてきました。伝統的な料理からスイーツやスパイスを使用した折衷的なアレンジまで、気軽で多様な使い方のできる酒粕を取り入れ、美味しくて健康的な酒粕生活を送ってみてはいかがでしょうか。

 

参考文献及び参考サイト

  1. 広島大学「酒粕及び植物乳酸菌のヘルスケア機能に関する研究結果
  2. 財団法人 日本醸造協会「醸造物の成分」
  3. ヤヱガキ醗酵技研株式会社「健康と美容に貢献する「酒粕」の成分
  4. 月桂冠総合研究所「酒粕レジスタントプロテインの正体とは?
  5. 森永製菓株式会社「甘酒Lab.
  6. 長岡大学「酒粕で長岡を盛り上げよう!