刺身

世界中のセレブが注目したことから、入手困難な銘柄も増えている日本酒。

中には一般人では絶対に入手困難と言われる「幻の日本酒」なるものが存在しているほどです。ここでは2万種類以上とも言われる日本酒の中から、一生の内に一度は口にしたい幻の日本酒を紹介します。

また、お手頃に飲めたはずの日本酒が、どうしてプレミアがついてしまうのかも解説していきます。

どうして高額なプレミア日本酒が生まれてしまうのか

お札

どうして数万円から数十万円もするプレミア価格の日本酒が生まれてしまうのか、気にされている方も少なくないでしょう。

普通なら数千円で十分に手に入れることができるのに、価格が倍では済まないほどに高騰するわけですから、疑問に思って当然です。

まず、日本酒は蔵元(日本酒メーカー)から問屋を経て、酒屋や量販店などの小売店へと流れていき、最終的に消費者の手元に届くという経路をたどります。

価格は酒造がまずは標準の小売価格を決めて、契約等をしている特定の問屋さんや小売店へと日本酒を卸すのが一般的です。

小売店や問屋は、利益を出すために仕入れ値にいくらかの値段を上乗せして、販売をしています。しかし、生産量が限られる特別な製法が作られた日本酒や、季節限定品が販売されるとなった場合には、そこに「ブローカー」が介入することも珍しくないのです。

ブローカーが介入した場合、蔵元が提示した低下価格よりも遥かに高値で仕入れをすることから、販売価格が自然と高額になり、「プレミア価格」と表現されるような超高値まで値段が高騰してしまうのです。

メディアやイベントで話題になった日本酒も高騰する

ブローカーが介入するケースとして、蔵元や日本酒問屋からの情報を得て買い占めに動くというケースも多いですが、テレビメディアで紹介されてブローカーが買いに走るというケースも珍しくありません。

日本酒ではありませんが、それまではマイナーだったワインであるボジョレーヌーボーが毎年のようにメディアで紹介され、日本国内での認知度が高まったケースもあります。

また国際的なイベントのおもてなし品として利用された日本酒も、それまで知名度が低くても一気にその噂が広まり、幻の日本酒として価格が高騰してしまいます。

その代表格が静岡県焼津市にある老舗酒造「磯自慢酒造」が製造している「磯自慢(いそじまん)」です。

2008年に開催された第34回主要国首脳会議、別名洞爺湖サミットの晩餐会において、乾杯酒として振舞われたことから一気に有名になった日本酒の銘柄です。

振舞われた「磯自慢中取り純米大吟醸35」は、収量を度外視して最高品質にこだわって製造された日本酒として知られており、洞爺湖サミット以降に手に入らない幻の日本酒になった代表格といえます。

中でも「磯自慢純米大吟醸(La Isojiman)」は720mlで実に10万円という破格の値段で流通している状況です。

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ユネスコ無形文化遺産に「和食」が登録

刺身

日本酒のプレミア化の要因となっている最後の理由が、「和食」がユネスコの無形文化遺産に登録されたというものです。

国の歴史や風習と深く関わっている文化を保護し、諸外国の理解を後押しするという目的で作られたものですが、料理の登録も多く和食は2013年に登録がされ、グローバルで和食文化の認知度が高まりました。

和食のみならず、和食と相性の良い日本酒もグローバル化し、海外への輸出は2010年から右肩上がりの状況です。これまでは中国や韓国などのアジア圏が中心でしたが、アメリカやヨーロッパ諸国での需要が増えており、そもそも生産量が少ない日本酒が海外へと流れているため、プレミア化が進んでしまっています。

もともと日本酒の中でも高級酒とされる「純米大吟醸酒」は、世界のマーケットから見ると品質の高さに対して価格が安すぎると評価されていました。

ここに来て和食と共にセットで世界中から求められるようになったことから、海外のラグジュアリーホテルなどでは1本数十万円で提供されている状況です。

ドバイなどの世界中のセレブが集まる都市のホテルでは、山口県の堀江酒造が製造している夢雀(むじゃく)純米大吟醸が60万円の価格が出されているのです。

特別な日に口にしたい幻の日本酒5選

しずく

相当な日本酒好きでもなければ、1本60万円も出して日本酒を手に入れようとは思わないものです。しかし、お祝いなどの特別なシーンにおいて、いつもとは違う幻の日本酒を口にしたいと思う方は少なくありません。

ここからは、「幻の日本酒」として有名な10アイテムをご紹介します。

黒龍(こくりゅう)純米大吟醸 石田屋

黒龍といえば、プレミア日本酒の代名詞として知られており、黒龍の中でも四天王と言われているのが「石田屋」「仁左衛門」「八十八号」「しずく」の4銘柄です。

どんな結び方をしているのかと思える帯封がされた木箱を空けると、中には深い海のような美しいブルーのボトルに入った石田屋と対面ができます。

酒造である黒龍酒造がある福井県の古紙を使った封には、「清酒黒龍熟成」の文字。メロンを思わせる上立ち香と、優しすぎる口当たり。

プレミア日本酒の中では、割安になる4万円台で手に入れられるのも、黒龍 石田屋の魅力です。

容量 720ml
価格 40,000円~47,500円(税別)
アルコール度 16度
使用米 兵庫県東条産特A山田錦35%精米
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鶴齢(かくれい)純米大吟醸 鶴首

鶴齢誕生300年を記念して製造された限定純米大吟醸酒鶴首。1本1本丁寧に絵づけがされた有田焼の記念ボトルに閉じ込めた最高級の日本酒は、尖ったところは何もなく、すっきりとした旨味が感じられるこれぞ高級酒という逸品です。

ボトルのデザインは有名クリエイティブディレクターである「佐藤可士和(さとうかしわ)」氏によるものであり、未来にこの作品を受け継いでいきたいという願いから、瓶詰容器ごと真空パックにして出荷しているという徹底ぶり。

瓶のデザインだけでも1本としてこの世に二つとない作品であることから、プレミアがついても納得できます。

容量 720ml
価格 170,000円(税別)
アルコール度 17度
使用米 越淡麗30%精米
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磯自慢(いそじまん)純米大吟醸

ネオジウムガラスのパーブルカラーの瓶をダイヤモンドカットされたようなデザインが高いラグジュアリーさを感じさせる幻の日本酒。

前述にある洞爺湖サミットで乾杯酒として振舞われたことをきっかけに日本中はもちろん、世界でも需要が高まった磯自慢の純米大吟醸は、手に入れられないプレミア日本酒としてあまりにも有名です。

ライスグレーターやダイヤモンドロール精米機などの最新機器を使い、最上級の秋津米を更に厳選して作られる至極の一品という言葉がふさわしい。

特に注目すべきは19%という超高精米。ここまでの精米をしてしまうと、次の工程である洗米や吸水作業には極限の神経が求められることになります。

高精米をしている日本酒からは想像できない強めの甘味が心地よく口に広がり、独特の余韻も癖になるとファンが多い日本酒です。

容量 720ml
価格 100,000円(税別)
アルコール度 16度以上17度未満
使用米 兵庫県特A地区東条秋津特上米AAA山田錦19%精米
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十四代 白雲去来(じゅうよんだい はくうんきょらい)純米大吟醸

プレミア日本酒といえば「十四代」と言われるほどに、高級日本酒として有名な十四代。中では蔵元である高木酒造創業400年記念として製造された白雲去来純米大吟醸は、非常に高値で取引がされている日本酒です。

メロンのような上立ち薫りと十四代の特徴である甘味が口の中に広がり、十分に熟成されたことから感じられる円みは、ほんのりとした上品な余韻の残して消えていきます。

一度口にしたら、また飲みたくなく癖になる日本酒の代表格である十四代の限定品。10万円を超える価格にも納得できること間違いなしです。

容量 720ml
価格 115,000円(税別)
アルコール度 16
使用米 兵庫県特A地区吉川町産山田錦35%精米、兵庫県産特A地区産愛山40%精米
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十四代 龍泉(じゅうよんだい りゅうせん)純米大吟醸 大極上諸白 介

赤いベロアで装飾された高級感を感じさせる宝石箱のような箱は、もはや十四代 龍泉の代名詞のようなもの。名前にもなっている竜の落とし子と言われている酒米は、山田錦と金紋錦を掛け合わせて作られた山酒4号というもの。

18年という長い歳月をかけて、交配・育種を繰り返して生まれた日本酒のために作られた適合米をベースに丁寧に製造された十四代の最高級酒とも言われている龍泉。

十四代の中でも、十五代目高木顕統氏の結婚式のためだけに製造された龍泉が、「大極上諸白 介」です。

安いものでも30万円前後、高いものでは50万円以上にもなっているプレミア中のプレミア日本酒であるため、一般の方には、なかなか手が出せない逸品といえますが、そもそも製造数が少ないため、納得の価格といえるでしょう。

容量 720ml
価格 300,000円~500,000円(税別)
アルコール度 16
使用米 麹米、掛米共、自社開発、龍の落とし子高精米
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プレミア日本酒はどうやって手に入れられる

日本酒

プレミアがつく日本酒は、一般の小売店では、なかなか販売されておらず、一般消費者が手に入れるのは、なかなか難しいものです。

インターネット通販などで手に入れようと思っても、オークションなどでは目が飛び出てしまうほどの高値で売りに出されているため、発見しても購入までには至らない方がほとんどではないでしょうか。

そこでプレミア日本酒の入手方法をご紹介します。

特約店で購入する

ネットオークションでもプレミア日本酒を見つけることはできますが、定価と比較すると数倍、数十倍の価格で販売されているため、金銭的に余裕がある方でないとおすすめできません。

そこで特約店をリサーチして購入する方法がおすすめです。日本酒業界の蔵元は、特約店にしか商品を卸さないようにしていることが多く見られます。

理由は、せっかく天塩にかけて製造した命の結晶のような商品をしっかりと品質管理をしてくれる信頼のおけるお店にしか取り扱って欲しくないという願いがあるためです。

また、蔵元が求めている定価で適正販売して欲しいということ。更に商品をしっかりと説明できる対面販売を行ってもらうことで、高いブランドイメージを確立したいという思惑があるからです。

実は日本酒は品質管理が難しい商品としても知られています。劣化をしてしまう紫外線を避けて管理をすることや、酸素に触れないような保管方法ができる販売元。

また温度管理を間違ってしまうと、一番美味しい状態を逃してしまうことになります。こういった3つの条件を満たしてくれる特定の販売店(特約店)にのみ、販売を委託しているわけです。

ただし、特約店を探すのは難しいとも言われています。転売禁止をいくら謳ったところで、ネットオークションなどで破格の値段で希少な日本酒を販売しているユーザーが絶えず、本当に信頼できる顧客にしか販売したくないという特約店が増えているのが原因です。

特に高額になる「十四代」や「而今」の特約店は、新規顧客への販売はほとんどなく、固定客への販売しか対応していないケースも多く見られています。

つまり、一部の不正を働く転売目的の顧客のお陰で、本当に日本酒を楽しみたいと欲している消費者の元には、プレミア日本酒が巡ってこないという構造が出来上がってしまっているのです。

まとめ

プレミア日本酒を飲んでみたいと話す女性

いかがでしたか。ここで紹介した5つのプレミア日本酒以外にも、「而今」や「初亀」、「七田」、「作」、「獺祭」、「飛露喜」といった銘酒が存在しています。

特約店を見つけることは、なかなか骨が折れる作業になりますが、適正価格で本当に美味しい日本酒を口にしたいなら、そんな面倒も行う価値は十分にあります。

一生の内に特別な日に一度だけでも、なかなか普段は口にできないプレミア日本酒を飲んでみたいものですね。