レバ刺し

日本酒を始めとする「お酒」「アルコール」は、体に悪いというイメージをお持ちの方が多いものではないでしょうか。

しかし、ワインに含まれるポリフェノールを始めとして、特定のお酒に含まれる成分が、実は健康的な肉体を作ったり、ダイエット効果がもたらすものという研究結果が発表されています。

日本酒についても、実は多くの健康効果をもたらしてくれます。お米とお水が原料というシンプルな飲み物ですが、実はたくさんの栄養素が含まれていることが分かっています。

ここでは、日本酒の意外な健康効果について紹介していきます。

日本酒には多くの健康成分が含まれている

血管

日本酒のみならず、これまでは体に悪いとされてきたアルコール飲料に関する研究が、近年では進んでおり、多くの研究結果が報告されています。

結論からいえば、日本酒には人間の体の形成には必須とされるアミノ酸、ビタミン、有機酸、ミネラルなどの栄養素が含まれていることが判明しました。

特にアミノ酸に関しては、数多くあるアルコール飲料の中で、日本酒が最も多く含んでいると報告されています。

日本酒に含まれる栄養素がもたらす効果は大きく3つ。「食欲増進」、「肌の美白効果」、「リフレッシュ効果」になります。

食欲増進

日本酒の中に含まれるアミノ酸の中には、トリプトファンというアミノ酸が含まれています。

このトリプトファンは、体内では合成されないアミノ酸である「必須アミノ酸」であり、体外から摂取するしかありません。

トリプトファンですが、このアミノ酸はビタミンB群の体内での機能を助けて、成長ホルモンの分泌を促進してくれます。

また食欲増進効果や疲労回復効果も期待できるアミノ酸として有名です。年齢を重ねたり、夏場などは食欲が減退してしまうもの。

食事をしない・できないというのは、健康に大きな悪影響を与えてしまいますから、食欲増進を促すトリプトファンを含む日本酒は、健康に一役買ってくれる飲み物といえるのです。

ただし、日本酒をがぶ飲みし、沸き起こる食欲のままに食事をすると、糖尿病や肥満の原因を作ってしまいます。

何事も「ほどほど」を心がけましょう。

肌の美白効果

次に肌の美白効果です。日本酒を作る過程で麹を利用していることをご存知の方も多いことでしょう。

結果として完成した日本酒には「コウジ酸」が含まれています。このコウジさんは美容のプロたちには、絶大な人気を誇っており、愛用している方が多くいらっしゃいます。

コウジ酸はシミやそばかすの根源となっているメラノサイトを攻撃してくれ、メラニン産生をブロックしてくれる効果があります。

化粧品会社もコウジ酸の働きに着目をし、多くの商品にコウジ酸を配合させていますが、コウジ酸は「有効性」「安定性」「安全性」の3つの必須条件を整えている「替えの利かない美容成分」として重宝されているのです。

そもそも化粧品会社の研究チームが「コウジ酸に美白効果があるのでは?」と思ったきっかけが杜氏の手があまりにも白く美しかったからだとされています。

リフレッシュ効果

食欲増進のところで紹介した日本酒に含まれるアミノ酸である「トリプトファン」ですが、食欲増進や疲労回復だけではありません。

脳内精神安定物質であるセロトニンの原料ともなっている重要なアミノ酸なのです。日本酒ばかりではなく、基本的にアルコール飲料には、セロトニンの分泌を促進させる効果があります。

セロトニンはストレスを抑え、気分をリフレッシュしてくれる効果が期待できます。また不安や恐怖といった感情を抑制してくれたり、怒りや苛立ちなどの鎮静化にも役立っている物質です。

日本酒には、他のアルコール飲料よりもトリプトファンが多く含まれているため、リフレッシュ効果が高く、「気分を変えたい」「沈んだ気持ちを切り替えたい」といったシーンで役立つ飲み物なのです。

日本酒に含まれるアミノ酸がもたらす健康効果とは

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アミノ酸といえば、情報番組などではお馴染みのキーワードではないでしょうか。聞いたことはあるけれど、実際にどのような健康効果があるのか詳しくご存知の方は、多くはないでしょう。

日本酒を飲んだ時に感じる独特の「苦さ」は、実はアミノ酸によるものであり、詳しく紹介すると、バリン、ロイシン、アルギニン、プロリン、イソロイシンなどのアミノ酸の影響とされています。

また日本酒独特の「甘味」は、アラニン、ヒスチジン、アルギニンによるものとされています。

アミノ酸などの「栄養素」は、味には全く関係のないものと捉えがちですが、実は人間の味覚にも大きく影響を与えているのです。

バリン

日本酒に含まれるアミノ酸であるバリンですが、ロイシンとイソロイシンと一緒に筋肉と肝臓に働きかけをし、代謝されてエネルギー源になります。

分かりやすい働きとしては、スタミナアップや疲労回復、また免疫力のアップなどに役立っているアミノ酸です。

ロイシン

バリンとイソロイシンとともに肝臓や筋肉に働きかけるのは前述にあるとおり。さらに肝機能を高めてくれ、血糖値を調整してくれることでも有名です。

分かりやすい効果としては、バリンと同様に疲労回復や免疫力アップ。またスタミナアップなどが期待できます。

イソロイシン

前述までで紹介しているように、バリンとロイシンと一緒に筋肉と肝臓に働きかけてくれます。バリンとロイシンとは違い、神経系に働きかける効果も期待できます。

興奮性の伝達物質でもあるため、頭がすっきりと働き、短時間で大量の情報を記憶することが可能になるとも言われています。

リラックス効果や、記憶力向上に役立つ成分として非常に有名です。

アルギニン

アルギニンは、スポーツ選手やボディビルダーなど、筋肉や運動能力の向上に興味がある方にはお馴染みの成分です。

筋力アップと健脳効果、免疫力アップに加え、高いダイエット効果が期待できるとされている成分でもあります。

アルギニンが体内から不足してしまうと、シワや筋力低下を引き起こしてしまうため、性障害や不妊症などの原因にもなってしまいます。

健康面でも美容面でも人体に必須な成分がアルギニンであり、日本酒に含まれている見逃せない成分でもあるのです。

プロリン

プロリンは女性にはうれしいアミノ酸です。脂肪を燃焼させる働きを持つとされています。

主に植物に多く含まれているとされ、光合成を促進し、糖の生産を増加させる成分です。

プロリンにはダイエット効果の他、疲労回復とスキンケア効果もあるとされていますので、健康はもちろん美容に興味がある方には見逃せないアミノ酸になります。

アラニン

アラニンはアルコール代謝を促進して、肝機能の保護をしてくれる酒飲みには嬉しいアミノ酸です。

日本酒を飲んでアルコール代謝促進というのは、一見して矛盾する成分ではありますが、他にもインスリンの分泌を促進してくれたり、脂肪分解酵素を活性化してくれる働きが期待できます。

分かりやすい効果としては、脂肪燃焼と、アルコールの分解促進効果と言われています。

ヒスチジン

ヒスチジンは主に成長に関するアミノ酸であり、特に子供に重宝されるアミノ酸です。

神経機能にも働きかけることが知られており、食欲中枢を抑制してくれたり、体内の脂肪燃焼をサポートしてくれる働きが期待できます。

また、組織の成長や修復に重要な働きをしてくれる成分でもあります。成長促進、ダイエット効果、免疫力アップ、冷え症の改善などにも一役買ってくれるアミノ酸になります。

さまざまな健康効果が期待できるペプチド

大豆

日本酒に含まれるアミノ酸の中でも、アミノ酸が2つ以上結合してできる「ペプチド」は、さまざまな健康をサポートしてくれる成分になります。

代表的なペプチドの効果は血圧を下げるという効果です。近年では、日本は食生活の欧米化が進んでしまい、高血圧や糖尿病などという生活習慣病を引き起こしてしまうリスクが高まっています。

高血圧も糖尿病もそれ自体で深刻な症状を引き起こすケースはありませんが、心臓や脳、肝臓や腎臓といった臓器に重篤なダメージを負わせる疾患を引き起こすリスクを高めてしまうのです。

そんな現代病に対して、大きな働きが期待できるのがペプチド。具体的には、血管を詰まりにくくし、血流を促進する効果が期待できます。

そのため、血流が原因となって発生する冷え症や肩こりの解消にも役立ちます。血流というのは、人間の健康にとって非常に重要なポイント。

血流が正常であれば、さまざまな効果が期待できますが、中でも注目されているのが「アンチエイジング効果」です。

白髪化や、シミ、シワ、代謝の低下など、血流が滞ってしまうことによって、「老化」は促進してしまいます。

このため、日本酒に含まれるペプチドを一定量摂取することによって、前述した「コウジ酸」の効果も相まって、いつまでも若々しい肉体と精神を保つことに役立つわけです。

美容の面のみならず、ペプチドには記憶力改善にも役立つことが期待されています。脳機能の面でもアンチエイジング効果が期待できるということです。

アルコールを飲んで酔っ払うと、記憶が飛んでしまうなんてことが起こりますから、日本酒を飲むことで記憶力の改善に役立つとは、信じがたいことかもしれません。

しかし、実際に日本酒の中にはペプチドが多く含まれており、ペプチドはさまざまな研究から、短期記憶障害の予防や記憶力の工場作用が認められたという成果がでているのです。

日本酒には必須アミノ酸9種類すべてが含まれる

アミノ酸

アミノ酸は生命の源と言われています。そして地球上に存在している栄養素の中で、最も古い歴史を持つ栄養素でもあります。

自然界には、500種類以上のアミノ酸が存在していると言われていますが、生命維持に関わる重要なアミノ酸はわずか20種類になります。

この20種類のアミノ酸の中で、11種類の非必須アミノ酸は、人間の体の中で生成することができますが、残る9種類のアミノ酸は体内では合成することができず、体外から取り込むしか摂取方法がありません。

この残る9種類を「必須アミノ酸」と呼んでいるのですが、バリン、ロイシン、イソロイシン、スレオニン、トリプトファン、ヒスチジン、フェニルアラニン、メチオニン、リジンになります。

前述でも紹介しているアミノ酸ばかりですが、日本酒にはこの必須アミノ酸9種類がすべて含まれていることから、生命維持に役立つ飲料と結論づけられます。

アミノ酸を食品で摂取していくと、多くの種類の食品を大量に摂取しなければならず、現実的ではありません。

しかし日本酒のような飲料であり、しかも楽しく飲むことができるアルコール飲料から摂取できるというのは、とても嬉しいものではないでしょうか。

飲みすぎ注意!何事も適量がおすすめ

飲みすぎ注意だと思いながら酔いつぶれた男性

日本酒には、必須アミノ酸のすべてが入っており、健康はもちろん、美容効果も期待できる優れた飲料といえます。

日本酒を飲まれた経験のある方に分かりやすい実感として、体がポカポカとするといったものがありますが、これはアデノシンという成分が血管を拡張し、血流を促進してくれるため、体が温かくなるわけです。

血流が悪くなることにより引き起こされる冷え症や、肩こりを解消してくれるだけではなく、ストレスや悩みを流してくれる効果が期待できるのも見逃せない効果です。

さまざまな効果があるからといって、飲みすぎてしまうのには注意が必要です。アミノ酸が最も多く含まれる日本酒は、純米吟醸と言われていますが、銘柄によって違いはあるものの、16度~17度もアルコール度数があります。

決して弱いアルコールではありませんから、二日酔いや酩酊状態を引き起こしてしまいます。

このような飲み方を毎日続けてしまうようでは逆効果。日本酒の健康効果を引き出すような飲み方としておすすめなのは、「1日1合程度」がベストです。

まとめ

いかがでしたか。

日本酒には体内では合成することができない必須アミノ酸9種類のすべてが含まれていることが分かりましたね。

また、日本酒の製造には必要な麹を用いることによって含まれるコウジ酸は、多くの化粧品メーカーがコスメ商品等に配合させる安全性の高い美容成分でもあります。

日本酒には健康面でも、美容面でも必要な多くの成分が含まれている優れた成分なのです。

日本に住んでいる方には、手に入れやすい日本酒。

見近にある良質なサプリメントのような飲料を利用しないのは非常にもったいない話。

適量を飲み、日本酒が持つ多くの効果を実感されてみてはいかがでしょうか。