徳利とおちょこ 日本酒 イメージ

今や日本のみならず、世界中にファンがいる日本酒。春には花見酒、秋には月見酒、冬なら雪見酒といったように日本独自の四季折々な楽しみ方ができるのも魅力です。

文化ともいえる風習には欠かせない日本酒について、意外と知らない日本人は多いもの。ここでは知っておきたい日本酒の基礎知識や、初心者でも分かりやすい銘柄選びのポイントを解説していきます。

日本酒はどんなお酒なのか

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日本酒は日本のみならず、今やアメリカやヨーロッパでも好まれており、中には杜氏(とうじ)になりたいと留学する外国人が急増しています。

世界にさまざまなお酒がありますが、日本における「酒税法」という法律に基づき、定められている条件をクリアしなれば、「日本酒」としては認められません。

まずはどのようなお酒を日本酒として認められるのか知識的な部分を掘り下げていきましょう。

日本酒の定義

日本酒の前に、お酒というのは大きく3つに分類できます。

醸造酒 原料を酵母を使ってアルコール発酵させて作られたお酒のこと。 ワイン、シードル、日本酒、ビール
蒸留酒 醸造酒を蒸留して作ったお酒のこと。 ウォッカ、ウイスキー、焼酎、泡盛、ジン、スピリタス、テキーラ、ブランデーなど
混成酒 醸造酒や蒸留酒に果実や草根木皮などの「香味成分」を移して作られたお酒のこと。 リキュール、ベルモット、シェリー酒、白酒など

日本酒は表にあるとおり、醸造酒に分類されます。更に日本酒として認められるには、

  • 米、米麴、水といった定められた原料を発酵させ、こしたものであること
  • 米、米麴、水、酒粕など、その他法令で定められている原料を発酵させ、こしたものであること
  • 清酒(アルコール度数22%未満のもの)に酒かすを加え、こしたものであること

といったように3つの条件のいずれかを満たしていなければなりません。

ここで言われている「こす」という作業は、「もろみ原酒」と、「酒粕」とに分ける作業のことを指し、更に残っている細かな粒子や雑味成分を取り除く作業を「濾過(ろか)」と言います。

このように日本酒を作るためには、作り方や原料など、さまざまな条件を満たし、多くの過程を経なければならないのです。

日本酒の種類

日本酒はイマイチ分からないと遠ざけてしまう方の原因を作っているのが日本酒の種類ではないでしょうか。

「特別純米」や「大吟醸」、「特別本醸造」などと言われても、さっぱり分からないし、違いも分からないため、遠ざけてしまう。

日本国内には、実に1,500以上もの酒造が存在しており、銘柄だけでも2万種類以上になります。日本酒には「特定名称酒」というものがあり、大きく分けて「吟醸酒」「純米酒」「本醸造酒」の3つになります。

更に使用している原料や、精米歩合の違い、更に香味や色沢などのさまざまな条件の違いによって、8種類に分けられています。

吟醸酒 原料が米、米麴、醸造アルコールであり、精米歩合が60%以下のもの
大吟醸酒 原料が米、米麴、醸造アルコールであり、精米歩合が50%以下のもの
純米酒 原料が米、米麴で作られたもの
純米吟醸酒 原料が米、米麴で、精米歩合が60%以下のもの
純米大吟醸酒 原料が米、米麴で、精米歩合が50%以下のもの
特別純米酒 原料が米、米麴で、精米歩合が60%以下、もしくは特別な醸造方法で作られたもの
本醸造酒 原料が米、米麴、醸造アルコールであり、精米歩合が70%以下のもの
特別本醸造酒 原料が米、米麴、醸造アルコールであり、精米歩合が60%以下、もしくは特別な醸造方法で作られたもの

精米歩合というのは、玄米から表層部を削って精米をした時の残ったお米の割合をパーセントで表したものになります。つまり、お米を削った割合のことです。一般的に家庭で食べられているお米の精米歩合は、90%です。

つまり日本酒として使用するお米は、食用よりも磨かれて利用していることになります。純米大吟醸酒であれば、通常の半分以上磨かれたお米を使用して作られているということです。

精米歩合は、日本酒の命でもある「香り」に大きな影響を与えます。精米歩合が高いものの方が、華やかな香りが強い日本酒になります。皆さんを惑わす特別名称酒の違いをおおまかにでもお分かりいただけたのではないでしょうか。

日本酒をベストな状態で飲むには

日本酒 樽

日本酒の魅力を存分に味わいたいのであれば、特定名称酒の違いを知っている知識を得ることよりも、ご自身が美味しいと感じる自分にマッチした日本酒を見つけることがおすすめです。

自分好みの日本酒を探すのに大事なポイントは、「ベストな状態の日本酒」を飲むこと。ベストな日本酒を手にするために覚えておきたいポイントを紹介します。

日本酒に賞味期限はあるのか

日本酒に賞味期限があると勘違いをされている方も多いですが、ラベル等に表示されている日付は、賞味期限ではなく、「製造年月日」です。日本酒には、基本的に賞味期限や消費期限は存在しません。

日本酒は何年経っても腐ることはないため、世界でも評価されていると考えている方もいるほどです。ただし、保存状態や保管をする環境が劣悪な場合には、いくら日本酒といえど劣化してしまい、味が落ちてしまいます。

賞味期限はないものの、「おいしく飲める期間」は大体決まっており、未開栓の状態で日の当たらない涼しい場所に保管をして「約1年程度」と言われています。

加熱処理がされていない「生酒」、「生貯蔵酒」であれば、開栓前のもので冷蔵庫へ保管した場合なら「約1年間」、開栓後に密封した状態での冷蔵庫保存で3ヵ月から半年が「おいしく飲むことができる期間」となります。

日本酒の甘口・辛口

日本酒を選ぶ際の目安として、「甘口」や「辛口」といった味わいを示す大きな分類方法があります。日本酒独特の後味の甘さが好きな方なら甘口がおすすめで、すっきりとした後味が好みの方には、辛口がおすすめです。

甘口や辛口という分類は7種類に分けることができ、日本酒のラベルに表示「日本酒度」を見れば、どのような味わいの日本酒であるかをイメージすることができます。

大辛口 辛口 やや辛口 普通 やや甘口 甘口 大甘口
+6.0以上 +3.5~+5.9 +1.5~+3.4 -1.4~+1.4 -1.5~-3.4 -3.5~-5.9 -6.0以上

表にあるように、プラスになるほど辛口度合いが強くなり、マイナスになるほど、甘口度合いの強い日本酒ということになります。

また日本酒度だけではなく、酸度やアミノ酸、アルコール度数によっても感じ方が違ってきます。味や風味の感じ方は、それぞれの方で個人差があるため、実際に試飲等をしてみて、好みの数値を覚えておくと、次から自分好みの日本酒を選びやすくなりますから、おすすめです。

肩ラベルや裏ラベルをチェックする

日本酒は、銘柄を記載してデザインされている表ラベル以外に、表ラベルよりも上部に貼付されている「肩ラベル」や裏面に貼付されている「裏ラベル」があります。

肩ラベルにはお酒の特徴が短い文章ではあるものの記載されていることがほとんどで、季節品などの限定商品や特殊な製法で作られているなど、表ラベルには記載しきれない重要な情報が記載されています。

また裏ラベルには、原材料や容量、精米歩合や日本酒度、酸度や使用酵母といった「日本酒の味」がイメージできる情報が記載されていますので、これらのラベルをチェックすることで、より自分好みの日本酒が探しやすくなります。

日本酒選びのポイントは

日本酒 風の盆

前述したように日本国内だけでも1,500を超える酒造と、2万種類以上の日本酒が存在しています。どれひとつとして同じ香りや味はなく、好みや飲み方は嗜まれる方それぞれです。ただし、自分にとって美味しい日本酒と出会うためには、ある程度ポイントを押さえておく必要があります。

どんな飲み方をするか

日本酒の飲み方も、個人によって好みがあります。瓶に霜がつくほど冷凍庫で冷やして飲むのが好きな方もいれば、熱燗で楽しみたい方。更に常温のままで飲むのが一番と感じている方もいらっしゃいます。

飲み方のスタイルをご自身の好みで選ぶことができるのも、日本酒の魅力の一つです。例えば、キレやシャープさを楽しみたいなら、辛口をキンキンに冷やして飲むのがおすすめです。

日本酒独特の濃厚な香りや後味を楽しみたいなら、甘口の日本酒を熱燗でいただくスタイルが合っているでしょう。燗酒と大きく分類しましたが、5度~55度まで温度の種類で味わいも香りも変わるため、日本酒に深い関心を持たれている方であればあるほど、飲み方にこだわりがあるものです。

季節や料理によっても、飲み方を変えるという方は少なくありませんので、さまざまな飲み方を試し、ご自身独自の日本酒の世界を広げていくことをおすすめします。

味わいの違い

日本酒の味わいは、飲まれる方によって個人差はあるものの、大きく分けて4つに分類されます。

薫酒(くんしゅ) 薫りが高く華やかな味わい 吟醸、大吟醸、純米大吟醸
爽酒(そうしゅ) なめらかな口当たりで爽やか 本醸造、純米、吟醸、吟醸純米
醇酒(じゅんしゅ) コクがあり、米を感じられる味わい 純米、吟醸、特別純米
塾酒(じゅくしゅ) 熟成された濃厚な味わい 吟醸、純米、特別純米、特別本醸造

表の味わい分類は、あくまでも目安にしかすぎません。一般的には、薫酒や爽酒は若いイメージで味わいがシンプル。醇酒や塾酒は旨味を深めているため、複雑で濃厚な味わいとなります。

好みの条件を入れてネットで検索する

ここまで日本酒に関する知識をご紹介しましたが、いくら知識を深めても、なかなか自身好みの銘酒と巡り合えるわけではありません。

そこでおすすめするのが、「日本酒ランキング」などのインターネットコンテンツを利用して、評価の高い日本酒を試してみるという方法です。

最新の日本酒情報が掲載されており、一番人気が高い日本酒の名前や、味わいについても細かく解説してくれています。

宣伝目的ではなく、実際に飲まれた方のレビューがたくさん掲載されているため、個人それぞれの意見や感想をチェックすることができます。

今人気の高い日本酒はコレ!(2019年9月調べ)

今人気の高い日本酒をチェックと話す女性

日本酒の有名銘柄などをインターネットでチェックをして特徴を把握したら、実際に今現在どのような日本酒が人気なのか、売れているのかランキングをチェックすることもおすすめします。

中には入手困難な日本酒やプレミアがついて、高値になりすぎている銘柄もあります。ここでは、日本酒好きな方が運営している「SAKE TIME」で高評価を得ている日本酒をランキング形式で実際にご紹介します。

十四代

全国日本酒ランキングで長年1位を取り続けている銘酒中の銘酒。400年以上の歴史がある山形にある酒造「高木酒造」が製造している日本酒です。

通常価格帯は、15,000円~10万8,000円までと幅広いことも特徴です。この十四代だけでも27種類もあり、中には最高級プレミア日本酒や、幻の銘酒と評価されているものもあり、「高額な日本酒」としても有名な銘柄です。

初心者の方には、流通量が多く、スタンダードな味わいと価格帯である「本丸」から始めてみるのをおすすめします。

花陽浴(はなあび)

次に紹介するのは埼玉の南陽醸造が製造している花陽浴。次世代の日本酒を担う逸材として業界で高い評価を受けている蔵元、更に蔵元の姉夫婦という3人が一貫して手作りにこだわって製造している吟醸酒です。

特徴は酸味とコク。更に果実が入っているのかと勘違いしてしまうほどの上品な香りと蜜のような甘味も多くの日本酒好きを虜にしている理由です。

通常価格帯は9,640円~21,600円と紹介した十四代よりも、かなりお手頃な価格で手に入れられますので、おすすめです。

これぞ吟醸酒という吟醸酒ビギナーには、是非とも味わっていただきたい逸品。まずは「さけ武蔵生原酒」から始めてみてはいかがでしょうか。

  • 銘柄:花陽浴(ハナアビ) 純米大吟醸 さけ武蔵 無濾過生原酒1.8L
  • 価格:17,010円
  • Amazon商品ページ

而今(じこん)

2004年誕生という比較的若い日本酒が而今です。特に東京や大阪といった大都市の酒造専門店で高い評価を受け、あっという間に全国に広がった銘酒。

クリアながらもフルーティーさを感じる飲み口の良さと、柔らかな甘み、爽やかな酸味が絶妙なハーモニーとなって味覚と嗅覚を刺激してくれます。

通常価格帯は9,500円~76,800円となっており、特別純米の火入れは、入手困難なプレミアがつき、7万円代の高値で取引されています。

特別純米の中でも、富山産の五百万石を100%使用した特別純米無濾過生から始めてみてはいかがでしょうか。

まとめ

日本酒 イメージ

いかがでしたか。日本酒の基礎知識から、皆さんを遠ざけてしまう種類の違い、また味わいの違いなどをご紹介しました。

あくまでも分類は、味や香りをイメージするためのものでしかありません。自分にベストな日本酒は、やはりご自身で実際に口にし、見つけていく他方法がありません。

ただし、評価の高い日本酒や、人気がありプレミアがついている日本酒は、間違いなく「美味しい」日本酒です。日本酒好きが集まる2019年最新の人気日本酒銘柄もご紹介しましたので、是非参考になさってください。