金賞受賞品は本当においしいのか?受賞日本酒の実力とは

金賞受賞品は本当においしいのか?受賞日本酒の実力とは

自分が実際に飲んでおいしいと感じる銘柄などがあれば問題ないでしょうが、あまり日本酒の知識がない方が、贈答品などで贈ろうとした場合に選びがちなのが、「○○日本酒コンクール金賞受賞」などという触れ込みではないでしょうか。

さまざまな情報を収集し、評価の高い日本酒なのだからおいしいに違いないと考えるのは、仕方ない話です。

ただし、プロが評価するさまざまな日本酒○○コンクールで金賞を受賞したからといって、必ずしも自分にとっておいしいとは限りませんし、贈答する相手にも喜んでもらえるとは限りません。

こういったことを考えると一体どのような基準で日本酒のおいしさは決まるのか。高い評価や高い値段がつけられるのかが分からなくなってしまうものです。

日本にはさまざまな日本酒コンクールや鑑評会などが存在しますが、主な団体等を紹介しながら日本酒のおいしさについて考えていきましょう。

日本で有名な日本酒査定をする団体

利き酒
EPSON DSC Picture

日本酒の品評会的な存在としては、全国新酒鑑評会が存在しています。もともとは清酒品評会という名前で明治40年に発足したという古い歴史があります。

歴史を見てみると清酒品評会から送れること4年後、単純に日本酒の品評を行うよりも日本酒の製造技術向上を重視する酒造業者向けの「鑑評会」が発足されました。

品評会の開催は、当時の国と酒造業者がタッグを組み開催したものであったことから、賞を受賞するなどして評価されることは大変名誉なことであり、売り上げにも大きな影響があったとされています。

非常に権威のある大会として開催されていましたが、昭和25年を最後に開催されなくなり、技術者向けの鑑評会だけが残る形になってしまい、現在に至っているという状況です。

とある団体では、酒造に使われる技術の高さばかり着目するようになり、評価を高くするようになったことで、庶民が求める本当においしい日本酒とはかけ離れたものが評価されるという事態が起こりました。

また当時では技術的に難しいとされていた吟醸酒ばかりが評価され、甘口の日本酒ばかりが高く評価されていたという話も存在します。

もちろん、製造技術の高さを評価することによって、全国の酒造が高い技術を負けじと身に着けようと努力することにつながり、それまでの常識を覆すような銘柄が誕生するきっかけを作ったことは確かです。

しかし実際にお金を出して楽しむ飲み手が離れていってしまっては意味がありません。このような失敗を踏まえ、現在ではさまざまな団体が日本酒の評価を行っているような状況です。

鑑評会に出品できる日本酒の条件

酒奉納

平成12年度の全国新酒鑑評会から主催者が変わり、独立行政法人酒類総合研究所となり、現在では日本酒造組合中央会と共催をして開催しています。

以前までは国税庁醸造研究所が開催をしており、全国約2,000の酒造の中から800社ほどが厳選され、出品するという形で開催されていました。

エリアによって若干の違いはあったものの、各地方で国税局主催の地方大会のようなものが行われ、そこで勝ち抜いた800社が全国大会へと駒を進めるという状況でしたが、現在では制限は設けられていません。

どんな蔵元でも自由に全国新酒鑑評会への出品が行えるようになっています。ただし、各蔵元が出せる日本酒の数は、酒造免許を持つ製造所につき1つと決められています。

つまり、いくつもの製造所(蔵)を持っている大手メーカーであれば、複数の日本酒を一度に出品することが可能ですが、小さな蔵元では1点もしくは、持っている蔵の数だけしか日本酒を出品できないようになっています。

金賞として選ばれる日本酒の条件

入賞酒

photo by flickr

主催団体によって審査方法はまちまちですが、有名な団体の場合には、予選のようなものである「予審」が存在します。この予審をパスしたものは、全て「入賞酒」として評価されます。そして入賞酒の中から、結審と呼ばれる決勝のような審査が行われ、ここで入賞酒の中でも特に優れた日本酒が選ばれることになります。

結審で選ばれた日本酒こそが「金賞酒」として評価されることになるのです。審査を担当するのは、酒類総合研究所や、国税庁、国税局の鑑定官、各県にある醸造試験場の技術関係者。

日本酒有識者といった日本酒のプロフェッショナルが審査を行っていることがほとんど。毎年、300点ほどの日本酒が受賞していますが、この受賞数を多いと感じるか少ないと感じるかはそれぞれの方次第です。

味覚や嗅覚などの非常に繊細な感覚なところで、まさに紙一重の優劣を競うのが鑑評会ですから、明確な結果を出すのはプロの手を持っていても難しいと言わざるを得ません。

審査では審査員が利き酒を行って、香織と味、香料の調和がとれているかなど品質内容について徹底的に審査されていきます。

酸度といったものや、香気成分については科学分析が行われます。ただ美味しいだとか、ニオイが良い悪いといったことだけではなく、科学分析結果も数値化したうえで、各出品者に製造した日本酒の特性や問題点を明確化してレスポンスします。

ただ受賞して有名にするというだけではなく、その後の日本酒づくりに役立つ情報をレスポンスしてくれるので、大きな団体の鑑評会に出品する蔵元が後を絶たないのもうなずけます。

評価されるのは「工業品」として清酒製造技術が高いかどうか

酒蔵

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ある品評会ではあくまでも工業製品として日本酒を見て、製造技術を争うという場所になっているケースが多いです。

ワインの品評会などは、加点方式でより優れたワインを選ぼうとする姿勢に対して、日本酒の場合には、減点方式で審査がされている傾向が見られています。

あくまでも食品工業製品として優れているかが評価されてしまうため、「カビ臭さはあるけれど、それが良いアクセントになっていてそれも有りだな」という評価にはつながりません。

このため、「いつ」「誰が」「どこで」飲んでも美味しいかといえば、そうなるとは限らないと言わざるを得ません。

吟醸香の種類、強さ、甘さ、酸っぱさ、渋さ、苦みといった味の面。けもの臭や蒸れなど約20項目を1から5までの点数で良いか悪いかを評価するといった方式だと、「個性」や「癖の強さ」は「独自性」とはならずマイナス点にしかなり得ません。

審査には日本酒と一緒に食べる料理との相性だったり、飲みやすさといったものは全く考慮されておらず、どのようなシチュエーションで日本酒が飲まれるのか。

どんなシチュエーションなら美味しいと感じるのかといった「マリアージュ」を考慮されずに審査される団体も当たり前に存在しています。

つまり、金賞を受賞した日本酒は、製造技術が高い商品であるという評価がされている場合もあるという風に考えるようにしましょう。

もしも本当においしい日本酒を探したいと思っていたり、贈答用として日本酒を贈り、喜んでもらいたいという目的であれば、特に「味の指標」を追求しているコンテストの受賞品を選ぶことをおすすめします。

ワインのように加点方式での評価が話題になっているIWC、SAKE CONPETITION、燗酒コンテストなどはユーザーの満足度を考慮している大会として有名です。

また古酒のみを評価する大会や、熟成酒、スパークリングといった個性ごとに部門分けをして評価をする大会も出てきているようですから、それらの大会での受賞品を参考にすると良いでしょう。

コンクールに出品しない酒造も多く存在している

酒蔵

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中にはあくまで工業製品として評価をする団体も存在しているわけですが、それでも大手メーカーにとっては、自社の製造技術が評価される大会ですから、出品する意義は多いにあるわけです。

それを証拠にある団体の平成30年度の全国新酒鑑評会には857点の出品があり、その中の416点もの商品が入賞を決めています。更に入賞品の中の237点が金賞を受賞しているといった状況でした。

一方で鑑評会には出品しないという頑な姿勢を続けている酒蔵も存在しています。理由はさまざまですが、旨味を追求して製造した日本酒や熟成酒の場合、コンクールの種類によってはどうしても減点対象となってしまうため、出品しても意味がないという意見が見られます。

熟成酒専門で行っている酒蔵もあり、食品工業製品の優劣を競う団体ではなく他のコンテストにターゲットを絞ってお酒を造っている酒蔵もあるわけです。

実際に自分のお酒を好きで楽しみ待っていてくれているお客様用の日本酒を作るのが最優先であり、コンクール用のお酒を造っている暇がないという意見の酒造も少なくありません。

こういった状況ですから、「特定のコンクールに出品されていないから」「有名コンクールでの受賞歴がないから」などの理由で「美味しくない日本酒」と決めつけるのは、大きな間違いだということです。

例えば、ある酒蔵はとにかく地産地消にこだわっており、例えそれまでに酒米としての評価や実績がなかったとしても、地元米での製造にこだわるといったチャレンジ。

他にも悪酔いするだとか、ごまかされている感じが強いといったあまりイメージがない醸造アルコール添加物で純米にチャレンジするといった姿勢を見せている酒蔵も存在しています。

コンクールによっては、新しい技術に対してのチャレンジを見られる場所として楽しめるもpのもありますから、十分に存在意義はあると言えるでしょう。

日本酒フェアに足を運んでみる

日本酒フェア

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日本酒コンクールというと、各蔵がこだわりを持って造られる「大吟醸」で勝負をすることが多いですが、大吟醸は腐ってしまうかお酒になるかのギリギリを見極めて造る日本酒です。

そして多くの蔵が山田錦を半分以上も削り、蔵が持っている最高の技術と愛情を注ぎこんだ大吟醸酒が出品されるわけですから、一度はどんな日本酒なのか飲んでみたいものと思われる方も少なくありません。

そういった方におすすめなのが、公開きき酒会といったいわゆる「日本酒フェア」へ足を運ぶことです。

午前と午後の2部構成で開催されることが多く、1部の定員数は約3,000人ほどになります。入場料が3,500円~4,000円必要となりますが、鑑評会で予審、結審を突破した入賞酒を約400点以上も利き酒を行うことが可能なイベントです。

自分の味覚でそれぞれの酒蔵のチャレンジを体感したいといった方には、ありがたいイベントと言えるでしょう。

利き酒だけではなく、日本酒に関する素朴な質問に答えてくれるブースや、酒造工程を紹介するコーナーなどの充実したイベント内容になっています。

Amazon Barなど民間イベントもおすすめ

一部のコンクール出品酒や受賞酒は、特定団体の所属員や有識者などくらいでしか口にすることはできませんが、民間のイベントも複数開催されており、そこでは食品工業製品として高い評価を受けている日本酒ばかりではなく、本当においしいと評価されている日本酒と巡り合える可能性もあります。

その代表格が「Amazon Bar」などのイベントです。2017年から開催されている新しいイベントであり、6日間のみの限定開催といった形でBarとしてオープンし、700種類以上ものお酒のテイスティングが可能です。

ユニークなのは、最初に大きなカテゴリを決めるということ。「冒険」「革新」「人気」「伝統」という4つの大枠のカテゴリから自身が最も重要とするタイプを選択すると、各コーナーにそれに応じたお酒が提供されているというスタイルです。

テイスティングしたい3種類を選ぶと、おつまみが1種類ついたセットを受け取れます。全9カテゴリで720種類のお酒、おつまみは36種類の中からそれぞれのお酒に合うものがつくようになっています。

こういった民間のイベントに参加することで、料理に合った美味しいお酒を探すことができますし、自分が本当に美味しいと思える日本酒と巡り合える可能性が広がっていくことでしょう。

AmazonのようなECサイトは、幻の銘酒も手に入れられるほどに商品数は豊富です。しかし一方で街の酒屋さんのように試飲ができないというデメリットがありました。こういったイベントを開催してくれることによって、より身近に新しい日本酒と出会える機会が増えたというのはありがたい話ですね。

まとめ

いかがでしたか。

日本酒のコンクールは全国でさまざまな団体が利き酒会などを催している状況です。しかしコンクールの内容によっては、優れた食品工業製品としての技術力を競う会というケースもありますので、そのようなコンクールでの金賞受賞酒が必ずしもあなたにマッチした美味しい日本酒であるとは限りません。

身近に開催されている利き酒イベントや、民間のECサイトが開くイベントバーなどに足を運び、より身近に日本酒を体感してみてはいかがでしょうか。










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