ごはん

年末年始を始め、お花見、お中元、お歳暮など日本酒を頂く機会は多いものです。日本酒は冷暗所保管が基本ですが、冷蔵庫に入れるとなると大きく場所を取ってしまうことになります。

一升瓶の場合には1.8ℓにもなるため、日本酒好きであれば別ですが、なかなか普段から日本酒を好んで飲まれる方以外には、処分に困ってしまうものではないでしょうか。

しかし日本酒は、ただ飲むだけではなく、さまざまな使い方があるものです。ここでは日本酒の裏技的な活用方法をご紹介します。

日本酒活用方法その1:料理編

お蕎麦

日本酒の活用方法として、おすすめするのが料理に利用するという方法です。調理酒があるわけですから、料理に日本酒を利用するのは、和食の世界では当然にありえるものです。

煮込み料理などにはもちろん、和牛ステーキをフランベするのにブランデーやワインではなく、日本酒を使うシェフも増えています。

プロのシェフが利用する日本酒の利用方法ではなく、一般家庭でも十分に活用できる日本酒を使った料理方法をご紹介しましょう。

炊飯時に日本酒を入れる

ごはん

ちょっとしたひと工夫が料理を各段に美味しく変えるという経験をしたことはありませんか。

普段、当たり前に炊いているごはん。そのごはんを炊くときに日本酒を入れることで、驚くほど美味しい白米が炊き上がります。

ご存知のとおり、日本酒はお米が原料。日本酒に含まれる豊富な糖分が、お米の一粒一粒をしっかりとコーティングしてくれ、ふっくらしてツヤツヤの状態の白米が出来上がるのです。

日本酒をお米を炊くときに入れると、仕上がりの他にも炊飯器に長時間入れっぱなしにしたままでも美味しさが長持ちします。

また、おにぎりなどを作り、数時間経って冷えた状態になってもふっくらとし、甘味を感じる仕上がりになりますから、お弁当を作る際には是非お試しを。

更に驚くべきは、一度炊いた後に冷蔵庫で保存をして、その後にレンジで温め直してもパサパサ感やラップ臭さがなく、炊き立てのようなごはんを味わうことができます。

一度日本酒を入れて炊いたお米を食べたら、それ以降、水だけで炊くお米では物足りなくなるほど病みつきになること間違いなしです。

目安としては、米2合対して日本酒大さじ1杯。3合なら大さじ1.5杯~2杯になります。

蕎麦つゆに加える

いつもの蕎麦つゆに小さじ1杯程度の日本酒を加えると、風味と味わいが断然に変わってきます。そもそも蕎麦つゆには、日本酒のリキュールともいえる「みりん」が入っています。

臭みを消したり、味をしみ込ませたり、煮物を崩れないようにするための調味料ではありますが、蕎麦つゆ独特の「甘味」や「旨味」を引き出す調味料として欠かせない存在です。

そこに日本酒を加えることで、特に市販品に多い角張った蕎麦つゆに丸みを与えることができます。醤油が強く効いた蕎麦つゆが好きな方には、マイルドすぎると感じるかもしれませんが、甘味を重視している方には非常におすすめの日本酒の活用方法と言えるでしょう。

ただし、みりんのように火にかけてアルコール分を飛ばして使うわけではありませんから、入れすぎると蕎麦をすする時にむせることもありますので、入れすぎには注意しましょう。

しゃぶしゃぶの通し湯に使う

しゃぶしゃぶ

しゃぶしゃぶをする際の通し湯に日本酒を入れる方法もおすすめの活用法です。コップ一杯程度の日本酒をしゃぶしゃぶをする時のお湯に入れるだけです。

ちょっと高級な旨味が加わったしゃぶしゃぶを味わうことが出来ます。特に野菜を茹でると滋味が増すことになり、お肉だけではなく野菜も美味しく頂けるのです。

アルコール分が気になる方なら、ある程度長めに煮出すことで蒸発させることができますし、それでいて日本酒の風味を残すことが出来ます。

また通し湯だけではなく、つけだれの方に加えても日本酒の良さを堪能することが可能です。しゃぶしゃぶのつけだれと言えば、ポン酢かごまだれが定番です。

しかし洋風のタレでいただくのも乙なものです。オリーブオイルと日本酒、アンチョビを使った洋風しゃぶしゃぶダレを紹介します。

材料

・オリーブオイル:大さじ2杯 ・日本酒:大さじ2杯 ・アンチョビ:小さじ1杯 ・醤油:お好みで少々

これらの材料をただ混ぜるだけで、いつもとは違った洋風のしゃぶしゃぶダレを作ることができます。日本酒を引き立たせ、和のテイストを強めに出したい方なら醤油をお好みで入れて下さい。

日本酒が入った通し湯を日本酒の入ったつけダレで日本酒を飲みながらいただく。まさしく日本酒好きにはたまらない最高の食卓とは言えないでしょうか。

カレーに入れる

まだまだ日本酒を使った料理は存在ます。もはや日本人のソウルフードともいえる和風カレー。いつものカレーに日本酒を入れるだけで、高級感が漂うカレーに早変わりします。

日本酒などのアルコールが苦手という方でも、日本酒入りカレーはおすすめできます。というのも、日本酒を加えて煮込むことで、アルコールが蒸発する時に肉の臭みを取り除いてくれるためです。

肉も柔らかく仕上がり、臭みも消えて旨味がぐっと深まります。料理酒を利用した場合には、添加物が多くて雑味を生んでしまう原因となってしまいますが、米と米麴だけで醸造されている純米酒を使用することで、美味しさだけを各段にアップさせることができるのです。

分量の目安は、5人前から6人前の分量に対して日本酒50ml~100mlですが、お好みで調整しても大丈夫です。未成年者やアルコールが苦手な人に出す場合には、しっかりとアルコールが蒸発するまでじっくると煮込むことをおすすめします。

純米酒を入れて煮込んだカレーは、カレー独特のスパイスの中にほのかではあるものの麹の香りを感じることができます。

味わいにも深みが生まれ、肉臭さもなく、まろやかな味わいを堪能できますから、いつも以上に「おかわり」の声が多く聞こえることでしょう。

B級グルメ創作にも

料理とは言えないかもしれませんが、手軽に食べられるカップ麺などに工夫加えたB級グルメ創作にも日本酒は一役買ってくれます。

例えばカップうどんなどの和風即席めんに大さじ1杯程度の日本酒を垂らすだけ。たったこれだけで驚くほど本格的な高級感溢れるカップうどんが出来上がります。

日本酒を入れることで、インスタントフードが持っている独特の雑味を消してくれ、上品さが感じられるようになるのです。

温かいつゆと日本酒が一緒に胃袋に収まれば、体がほかほかといつも以上に温まります。

かっぷうどんやかっぷそば、レトルトカレーなどでも応用が可能です。カレーの場合にはレンジ調理ではなく、鍋に移してひと煮立ちさせる手間が掛かりますが、たったそれだけの手間をかけることでレトルトとは思えない上品な味わいが堪能できます。

日本酒活用法その2:美容編

日本酒風呂

ここまでは飲む以外の方法でも、料理として口に入れる活用方法をご紹介しました。しかし日本酒は食べたり、飲んだりするだけではなく、美容面でも非常に役立つアイテムとしても知られています。

有名コスメブランドが杜氏の手の白さと肌のきれいさに注目をし、日本酒が持つ美容パワーを研究した結果、現在では多くの日本酒を原料としたコスメ商品が誕生している状況です。

日本酒の活用方法としてここでは美容面での活用方法をご紹介します。

日本酒風呂で美肌&ダイエット

日本酒風呂として日本酒を活用する方法は、非常におすすめです。一般的な一人暮らし用のユニットバスサイズの浴槽であれば、お湯に対してコップ2杯~3杯を入れるだけで日本酒風呂が出来上がります。

体の保温効果や美肌効果が期待できます。特に冷え性で悩む女性にはおすすめの入浴方法ですが、ポカポカ効果を高めようと日本酒をあまり入れすぎると、蒸発したアルコールでむせたり、酔っ払ってしまうこともありますので注意が必要です。

ポイントはお酒の量を増やしすぎないことと、お湯の温度です。日本酒風呂はアルコールが入って蒸発してしまうため、あまり熱めのお湯には適しません。

少しぬるめの37度~38度に設定することをおすすめします。というのも、日本酒風呂の効果を十分に実感するためには、ある程度長い時間ゆったり入浴することで得られるからです。

熱めの温度にしてしまうと、日本酒を入れたことによる保温効果も相まって、すぐに体が熱くなってしまい長時間の入浴ができづらくなります。

ぬるめの温度でも日本酒によって十分に保温効果は得られますので、熱めのお風呂が好きな方でも設定温度はいつもよりも低めを心がけましょう。

日本酒風呂に入ると体の中心からポカポカとしてきて、汗が大量に出てきます。ベタベタとした嫌な汗ではなく、岩盤浴でかくようなサラサラとした気持ち良い発汗効果が得られます。

保温や保湿、美白効果やシミの改善、新陳代謝の向上や血行促進。その他にも老廃物の排出、肩こり・腰痛の改善や冷え症解消など特に女性にはうれしい健康効果が期待できるのです。

これだけの効果が期待できますから、ただ浸かるだけのお手軽なケア方法で手の届かない背中も含めた全身のボディケアが行えます。

お風呂から出た後も、保湿効果に優れた日本酒風呂ですので、保湿クリーム等でコーティングをしなくてもしっとり肌を持続させることができますから、お手軽ですね。

化粧水として利用する

日本酒にはコウジ酸とアミノ酸、ビタミン、ミネラルといったものの他にも、ポリフェノールの一種であるフェルラ酸という成分も含まれています。

特に注目したいのはアミノ酸で、肌の角質層では保湿成分として活躍してくれています。化粧水として利用することで高い保湿効果が得られるのは、アミノ酸のお陰なのです。

このアミノ酸はワインの10倍以上も日本酒には含まれています。またフェルラさんは抗酸化作用を持っており、肉体のさまざまな老化防止に役立ちます。

加齢によるシワやたるみ、そばかすなどの老化現象対策に注目されている成分でもあるため、日本酒を化粧水として利用するのは実に理にかなっているわけです。

また日本酒に含まれるアデノシンという成分は、血管収縮の抑制をし血流アップに役立ちます。血流が正常化すれば、新陳代謝も上がり、肌のリサイクルも活性化しますし、冷えやむくみの解消にも役立ちます。

日本酒と水を1:2の割合で混ぜ合わせ、グリセリンを数滴加えることで簡単にオリジナルの日本酒化粧水が完成です。

日本酒独特のニオイが気になるという方なら、お好みでレモンやハーブを加えて使用するのに抵抗がないご自身好みのニオイに変えることもできます。

敏感肌の方やアトピー性皮膚炎を患っていらっしゃる方の場合、日本酒のアルコールが刺激を与えてしまい、肌トラブルを引き起こしてしまう可能性があります。

このため正規品でも、オリジナルの日本酒化粧水を使用する場合でも、必ず事前にパッチテストを行い、ご自身の肌にマッチするかどうかを確認してから使用するようにしましょう。

日本酒活用法その3:医療編

腰が痛む男性

美容編でもご紹介しましたが、日本酒には驚くべき健康成分が含まれています。この成分を利用すれば、簡易的ではあるものの医療アイテムとして活用することが可能です。

簡易湿布として利用する

日本酒は簡易湿布として活用することができます。使用方法は簡単で、ティッシュペーパーに日本酒を染み込ませ、肩や腰などの凝りや痛みがある場所に貼るだけです。

日本酒の持つ血流改善効果や保温効果によって、凝っている部位の血行が良くなり、楽になります。注意点としては、あくまでも慢性的な凝りの改善に役立つ「温湿布」としての使い方になるという点です。

打ち身や打撲、捻挫などの患部を冷やさなければならない冷湿布としての利用は行えません。使用してしまうと炎症部分を温めてしまうことになり、痛みが増してしまうので注意しましょう。

トチの実湿布

打撲や打ち身への治療用の例湿布としては、実が栗に煮ている「トチの実」を細かく刻み、日本酒につけて冷所でしばらく保管しておきます。

それを痛みを感じる場所に塗布しカーゼ等の布をかぶせれば、冷湿布として十分に活用することができるのです。

まとめ

いかがでしたか。日本酒は飲んで楽しむばかりではなく、さまざまな活用方法があることが分かりました。

料理として利用することはもちろん、美容や医療にも応用することができる万能な飲料ですから、いただきもの等でなかなか消費しきれない時には、是非ご参考になさってください。