
日本酒バルが全国的に人気を集めているのはご存知でしょうか。
「バルって何?」とは今更聞けないという方も多いもの。「バル」というのは、ヨーロッパで食堂とお酒を飲めるバー、つまり日本でいうところの昼間は定食屋、夜は居酒屋といった形態を取っている飲食店です。
もしくは夜にはお酒を出すカフェのようなものであり、酒場や居酒屋、軽食喫茶店などをバルと呼んでいます。
行きつけのバルに行き、モーニングを食べて出社し、仕事を終えて帰ってきた夕方に立ち寄って一杯飲むといった朝から晩まで気軽に利用できるアットホームな空間。
一人酒を楽しむというよりも、仲が良い仲間と一緒楽しんだり、お店の常連さんや店員と気軽に会話や雰囲気を楽しむといった非常にオープンな空間がバルになります。
ヨーロッパではワインやビールを出す飲食店が主流になっていますが、近年、日本で全国的に広がっているのが日本酒バルです。
日本酒の魅力をより味わいたいと思っている方なら、日本酒バルに足を運んでみてはいかがでしょうか。
日本酒バルで日本酒を楽しむ方法
日本酒といっても、日本全国には大なり小なり沢山の酒蔵が存在しています。誰もが知っている有名酒蔵や銘柄もあれば、知る人ぞ知る小さな酒蔵もあり、膨大な日本酒の種類があるということです。
種類が多いということは、それだけご自身に合った日本酒を探すのは難しいということでもあります。
日本酒バルでは、それぞれのバルによってコンセプトは違うものの、数多くの日本酒を揃えており、スタンダードな日本酒はもちろん、なかなか市場ではお目にかかることができないレア日本酒まで取り揃えられています。
手に入れようと思えばECサイトなどで簡単に購入することは可能ですが、試飲することができないため、本当に自分に合っている日本酒と巡り合いたいならバルに行くのがおすすめです。
日本酒の種類を把握しておく
バルに行く前に予備知識として日本酒の種類をある程度に把握しておくことをおすすめします。
日本酒は特定名称酒だけでも、大別して純米酒と本醸造酒の2種類にに分けられ、純米大吟醸、純米吟醸、特別純米、純米の4種類に分けることができます。
本醸造酒では大吟醸酒、吟醸酒、特別本醸造酒、本醸造酒の4種類に分けることができますから、特定名称酒だけでも8種類も存在していることになります。
更に一般酒では普通醸造酒と増醸酒の2種類。それぞれの日本酒の火入れの有無やタイミングの違いによっても、更に4タイプに分けることができます。
通常酒と生貯蔵酒、生詰め酒、生酒のそれにあたりますが、特に生酒は通常の日本酒とは違ってフレッシュな味わいと香りを楽しむことが可能です。
そして最後に貯蔵期間の違いによってカテゴライズができます。製造されて間もない日本酒や製造後半年くらいの期間しか貯蔵期間がない日本酒を新酒と呼びます。
製造後1年以上貯蔵されている日本酒は古酒と呼ばれます。一般的に3年以上経過した日本酒で長期間に渡って熟成した日本酒を長期貯蔵酒、または熟成酒と呼んでいます。
ざっと種類分けをしても16種類の日本酒のタイプが存在しています。どのような種類の日本酒を多く置いているのかを事前に把握しておくことで、ざっくりとでもご自身の好みの日本酒のタイプを扱っているお店なのかを把握することができるため、知識を持っておくことは重要なのです。
常連さんや店主に気軽に尋ねてみる
日本酒バルの良さは、その気軽さにあります。日本酒に詳しくない方の場合、いざ日本酒バルに行っても膨大なメニューの中から、どの日本酒を選んだら良いのか分からない状態に陥ってしまうことでしょう。
こういったことがあるから、いくらバルとはいえ日本酒を取り扱うお店を敬遠する方が多いものです。
しかし日本酒バルは、どんな日本酒を選んだら良いのか分からないという人ほど利用して欲しいお店と言えます。
なぜなら日本酒バルの店長さんや店員さんはもちろん、常連客の多くが日本酒を愛しており、豊富な知識を有しているからです。
日本酒のことを分からないことを隠さず告げることによって、それぞれの知識を披露してくれますし、ご自身にマストな日本酒を選ぶお手伝いをしてくれることでしょう。
ですから、何も気取らず日本酒の知識がありませんということを前面に出して、その場の雰囲気を楽しめば良いだけです。
日本酒バルに通うほどに日本酒のことが好きなわけですから、自分たちが愛する日本酒を他の人にも愛して欲しいと思うのは当然。
店長さんや店員さん、常連さんと仲良くなっておけば、日本酒バルが持っている独自のルートでしか手に入らない幻の一本とも巡り合える可能性が高まります。
利き酒コースを利用してみよう
日本酒バルの中には、「利き酒コース」をメニューに採用しているところも見られています。
とある日本酒バルの利き酒コースでは、時間制限60分で同じ種類の日本酒は1杯まで。1杯あたりの量が50ml以下といったルールが設けられています。
とにかく自分に合った日本酒と巡り合ってみたいという方であれば、利き酒コースを利用されるのはおすすめです。
ただし時間制限があるため、どこか急かされているようでリラックスした時間を過ごすことができないといったことや、1杯分が少ない量でも多くの日本酒を利き酒することで、酔いが回ってしまうというデメリットがあります。
2万本以上とも言われている日本酒を全て置いている日本酒バルは存在しませんが、種類が多い日本酒の中から選りすぐりの数十本~数百本は用意しているはずですから、好みの一本を見つけ出す面白さは十分に体感できることでしょう。
お酒が強い人であれば、その気になれば短時間の内に店内すべての日本酒を楽しむことだって可能です。
逆にゆっくりとお酒を楽しみたいという方でも、時間制限させ利用者が気にしなければ、気になる数本を肴と一緒にゆっくり飲み進めれば良いだけですから、十分に楽しむことができます。
外食で日本酒を楽しもうとすると、老舗旅館や高級料亭、小料理屋でも居酒屋ほどに安くはないといったように敷居が高いイメージを強く持たれる方が多いものです。
これでは若い世代が気軽に日本酒を飲みに行く場としては、ミスマッチですね。多くの日本酒バルが利き酒コースを用意してくれていますから、積極的に利用していきましょう。
おすすめの日本酒バル5選
日本酒は中高年以上のしかも男性が飲むお酒というイメージは、今や昔です。最新ではワイングラスを使ったり、おしゃれなグラスで楽しめる飲食店が多くなり、食のこだわりが強い若い女性を中心に親しまれています。
日本酒女子やお猪口女子なんて言葉が生まれるくらいに社会現象かしていますから、日本酒バルを訪れることによって、素晴らしい出会いも期待できるというものです。
そこでおすすめの日本酒バルを東京都内限定ではありますが5店ほどご紹介します。
中野青二才【中野】
場所は中野駅南口から徒歩2分圏内。中のレンガ坂でも人気のお店が青二才です。日本酒バルが全国に広がったきっかけを作った若い世代の利用者はもちろん、年配の方も愛するお店です。
オーナーやスタッフも日本酒の知識が豊富でフレンドリーな接客をしてくれます。利き酒師が常駐しており、初心者でも気軽に利用できること間違いなしです。
メニューに記載されている日本酒であれば、3勺、5勺、8勺の中から好きな量での注文が可能。ワイングラスで日本酒をおしゃれに楽しむことができます。
日本酒を活かす酒の肴が勢ぞろいなのも見逃せません。イイダコとしょっつるのアヒージョ、燻製トリオなどここでしか食べられない名物料理もおすすめです。
名称 | 中野青二才 |
住所 | 中野区中野3-35-7 松井ビル1F |
営業時間 | 月~木:17:00~翌1:00
金~平日の祝日前日:17:00~翌2:00 土:16:00~翌2:00 |
定休日 | 不定休 |
平均予算 | 3,000~3,999円 |
アンダー・ザ・ツリー【阿佐ヶ谷】
場所はJR阿佐ヶ谷駅の北口から徒歩1分ほどの好立地。お酒好きが集まることで有名なスターロード沿いに佇むおしゃれな「JAPAN BAR」の看板が目印。小さな蔵元を応援するというコンセプトの日本酒バルです。
日本酒の香りを大切にしたいという意向から、店内は禁煙となっていますが、カウンターメインの雰囲気のある店内は、リラックスできること間違いなし。
日本酒の種類が豊富なだけでなく、利き酒セットや日本酒カクテルメニューも充実しており、日本酒をいろいろな角度から楽しめます。
酒の肴は牛スジトマト煮込み、のんべえ3種盛りなどが有名です。
名称 | アンダー・ザ・ツリー |
住所 | 杉並区阿佐谷北2-2-7 喜楽ビル1F |
営業時間 | 月~木、日祝:18:00~24:00
金土:19:00~翌2:00 |
定休日 | 不定休 |
平均予算 | 1,000~1,999円 |
日本酒バル 酒趣【神田】
場所は神田駅東口から徒歩3分の位置にある西福田交差点のすぐ近くに立地しています。カウンター・テーブル・ハイチェアーが並ぶおしゃれなお店で、日本酒の樽が並んでいなければ、カフェと間違ってしまうほどの外観です。
希少な日本酒銘柄を揃えており、他のお店では巡り合えない日本酒を堪能したいという方おすすめの日本酒バルです。
お酒の肴はフランス料理の修行経験をしたシェフが日本酒に合った洋食系中心のものをラインナップ。
ワイングラスでのサーブができ、1杯70mlから注文頂けます。
名称 | 酒趣 |
住所 | 千代田区神田紺屋町5-5 矢野ビル1F |
営業時間 | 17:00~23:00(ラストオーダー22:00) |
定休日 | 日曜・祝日 |
平均予算 | 5,000~5,999円 |
Chintara(チンタラ)【渋谷】
渋谷駅から歩いて3分ほどにある百軒店エリアの一角に日本酒バルChintaraは立地しています。
場所柄もあってカップルや女性客が多い日本酒バルとしても有名です。ワイングラスで楽しむことができる豊富な種類の日本酒と、都内ではなかなかない新鮮な魚料理を出す日本酒バルです。
日本酒の升をイメージしてデザインされた店内は、日本人の心を落ち着かせる木調で統一されており、すっきりと清潔。立ち飲みかハイチェアーに座って楽しむスタイルになります。
いつ訪れても30~40種類の日本酒を用意。一部を除き、90mlで均一価格で提供してくれます。
オーナーが石川県出身ということもあり、独自のルートから新鮮な魚介を仕入れ、お酒の肴メニューは魚介類が非常に充実しています。
名称 | Chintara(チンタラ) |
住所 | 渋谷区道玄坂2-19-3 1F |
営業時間 | 月~木:11:30~15:00、18:00~24:00
金:18:00~翌1:00 土:18:00~24:00 |
定休日 | 年末年始 |
平均予算 | 昼:1,000~1,999円、夜:3,000~3,999円 |
サカノチカ【渋谷】
渋谷駅から徒歩1分の位置にある道玄坂の一角にあるのが日本酒バル、サカノチカ。その名の通り、道玄坂のビルの地下1階にある日本酒バルです。
日本酒バルとは名乗っていますが、取り扱っているのは日本酒ばかりではなく、ビールや焼酎、ワインもそろっています。
ダイニングバーとして利用されるお客さんも多いお店です。分厚い扉の向こうには居心地よい空間があり、カウンターとテーブル席を用意。間接照明の穏やかな空間と落ち着いたJAZZのBGMがお出迎えしてくれます。
酒の肴も豊富で、大長ナスの酒盗和え、エビみそクリームチーズなど、ここでしか味わえないメニューがラインナップされています。
名称 | サカノチカ |
住所 | 渋谷区道玄坂2-6-12 道玄坂トロワービルB1F |
営業時間 | 火~木:18:00~24:00
金:17:00~25:00 土:17:00~24:00 日:15:00~24:00 |
定休日 | 月曜 |
平均予算 | 4,000~4,999円 |
まとめ
いかがでしたか。
日本酒を外食で楽しむことは、これまでは敷居が高く、特に若い年代の女性には抵抗があるものでした。
日本酒は中高年以上の男性が飲むアルコール。こういったイメージはもはや昔の話。若い女性を中心に全国の希少な日本酒を扱う日本酒バルが全国的に増えています。
それぞれのお店にコンセプトがあり、日本酒の知識がない方でも、むしろない方だからこそ、知識が豊富な店員さんと常連さんと楽しめる日本酒バルはおすすめできます。
一度、お気軽に日本酒バルに足を運んでみてはいかがでしょうか。