【酒の陣】 2020が変わる!平成終わって『飲み放題も終止符』に阿鼻叫喚

【酒の陣】 2020が変わる!平成終わって『飲み放題も終止符』に阿鼻叫喚

 

令和を迎えたから、というわけでもありませんが、毎年3月14、15日に行われる「にいがた酒の陣」のシステムが2020年から一新されることになりました。

新潟の春の恒例行事「酒の陣」の最大の魅力とされていた「日本酒王国・新潟の日本酒飲み放題」が、回数券式に変更されるのです。

そのほかの変更点は、開催会場は朱鷺メッセだけではなく、飲食居酒屋会場として万代島多目的広場(大かま)も追加されるなど…。

今回は、

  • 新潟の日本酒はどうして人気が高いのか
  • 「にいがた酒の陣」のそもそもの目的とは
  • 多数の人が集まる「酒の陣」は黒字か赤字か
  • 新「酒の陣」でどう変わるのか

についてご紹介します。

目次

【酒の陣】入場者数14万人超え!『新潟の日本酒の魅力』に迫る

酒の陣, にいがた, 2020photo by NIIGATA CITY TOURISM

2019年度の酒の陣は、14万1611人参加の大盛況で終わりました。

参加者は手に手におちょこを握り(あるいはストラップにぶら下げ)、あちらの酒蔵、こちらの酒蔵へと移動しては、おちょこを差し出して新潟の旨い日本酒を楽しんでいます。

中には、試食を楽しむ子どもさん連れファミリーの姿も見えます。

なぜ酒の陣はこれほど多くの人を惹きつけるのでしょうか。

①酒の陣開催の新潟県の酒造数は日本一

酒の陣, にいがた, 2020
photo by susi-paku on Pakutaso

1, 食用米、酒米ともにトップクラスの新潟県

新潟県のお米の美味しさは誰もがご承知の通り。ましてや、日本一の米どころで育てられた酒米を使って醸される新潟の日本酒が美味しくないわけがありません。

新潟県で有名な酒米は五百万石や越淡麗。スッキリまろやかな味わいの日本酒には最適のお米です。

世界中のグルメを魅了して止まないコシヒカリを使った日本酒もあります。

2, 新潟の水は雪どけの清冽な伏流水を使った軟水

仕込み水はミネラル分の少ない軟水使用。

軟水はお酒を仕込むときに加えられる酵母菌の働きを助けつつも発酵をゆっくりと進めるので、完成した日本酒はきめ細かな味わいになります。

3, 全国で最多の酒造数を誇る新潟

日本酒生産量は兵庫県、京都府についで第3位ではありますが、酒造数は最多の90蔵で全国1位。酒造の多くは100年以上の歴史と技術を持ち、多種多様で個性豊かな日本酒を生産しています。

②酒の陣開催の新潟県は吟醸酒などハイグレードな日本酒の生産比率が高い

 

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吟醸酒、大吟醸酒、純米吟醸酒、純米大吟醸酒など、新潟県でのハイレベル日本酒の生産比率は66%を越えています。

具体的な生産量は、獺祭で有名な旭酒造がある山口県の約3倍の『1万4197キロリットル』で、全国1位。

この数字は、『日本全体の吟醸酒の5本に1本は新潟産』ということを意味しています。

③酒の陣開催の新潟県にある、全国で唯一の清酒専門機関で日々日本酒研究

 

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@zakky_zakky_zakkyがシェアした投稿 – 2017年 8月月15日午前4時31分PDT

新潟県には都道府県立としては、全国で唯一「新潟県醸造試験場」があります。

日本酒に関する技術開発や研究、製造、現場指導、人材教育などの面で日本酒産業の重要な役割を担っており、日本酒の発展に日々貢献しています。

④酒の陣開催の新潟清酒学校で人材育成

1984年設立の新潟清酒学校は将来の幹部技能者を育成するため、酒蔵従業員に対して日々アップデートされている最新の酒造技術で教育しています。

新潟清酒学校の卒業生は現在では500名以上。ここで教育を受けてしっかりとした酒造知識を獲得した技術者が新潟県の各酒造で活躍しているからこそ 、新潟の日本酒は高い評価を受けているのです。

⑤酒の陣開催の新潟大学で日本酒学開講

https://www.instagram.com/p/BqMLvLQgtkZ/

新潟大学では、醸造学 、発酵学、歴史はもとより、最近話題の各国の食事やデザートとのペアリング、日本酒と健康との関わり、果ては税金についてまで幅広い日本酒分野での教育を行なっています。

2018年4月が初めての開講でしたが、 蓋を開けてみると、定員200名に対して800名以上の受験希望者が押し寄せてきて、嬉しいやら困惑するやら…。

日本酒産業の低迷は若者の日本酒離れも原因の1つ…。これが一般論でしたが、実は彼らの間には静かな日本酒ブームが起きていることの現れかもしれません。

⑥酒の陣開催の新潟県越後杜氏が技を日々研鑽

酒蔵で日本酒を造っているのは蔵人(くらびと)と酒男(さかおとこ:「若い衆」とも)。彼らの親方で、酒蔵の最高製造責任者は「杜氏(とうじ)」と呼ばれています。

三大杜氏集団の1つで、日本酒造り技術集団である新潟県の越後杜氏は、日本酒の伝統的な醸造方法を大事にするだけではなく、新しい技術も取り入れて日々酒造り技術を研鑽しています。

そんな新潟県が酒の陣を開催するにあたってお手本にしたのが、ドイツのオクトーバーフェスト。

「酒の陣」のモデル『オクトーバーフェスト』とは

酒の陣, 新潟, 2020
photo by Pexels on Pixabay

そもそも酒の陣は、ドイツはバイエルン州の州都ミュンヘンで9月中旬から10月の初めにかけて催される世界最大規模の祭り「オクトーバーフェスト」をモデルにしたもの。

オクトーバーフェストでは、2019年には630万人が訪れたと言われ、東京ドーム9個分を誇る広大な敷地に遊園地アトラクション、 食べ物などの屋台などが所狭しと並んでいます。

 

酒の陣, 新潟, 2020
By Cheddarche – Own work, CC BY-SA 4.0, Link

メインは巨大なビールテント(ビアツェルト)で、期間中は午前9時(平日は午前10時)から午後11時半(ラストオーダー午後10:30)までビールをたらふく飲むことができます。

『酒の陣』と、世界最大規模『オクトーバーフェスト』の違い

「その土地を大切にし、県外及び国外から来た人たちと共に、地元の食と地酒を楽しむこと」をコンセプトにした酒の陣では2,500円(前売り2,000円)のチケットさえ会場入り口で提示すれば、時間制限なしの飲み放題の大盤振る舞い。

ちなみに入場料は大人も子どもも無料なので、ここで手に入る貴重なお酒を買いに来るだけでも、新潟のバラエティ豊かな食の体験だけでも大歓迎なのです。

しかし、1810年に始まった本家本元のオクトーバーフェストは、バイエルン王子ルードヴィヒ1世と王女テレーゼの結婚のお祝いとして開催されたお祭り。飲みたい人は飲めば?と言うもので、別にビール人気を大衆に広げよう、としているのではありませんが、娯楽の少なかった時代の庶民の楽しみとなり、現在では世界最大規模のビールの祭典に成長したのです。

現在でのオクトーバーフェストの意味合いも単なるお祭りの場の提供で、日本の忘年会や新年会と同じ感覚で「仲間とワイワイ騒いで羽を伸ばす期間」と捉えられていると言ってもいいかもしれません。

オクトーバーフェストの特徴は、

  • 飲食物持ち込み禁止
  • 飲食物は都度購入
  • ビールの価格は1L(Maß)当たり11.50ユーロ(1,370円)から15.90ユーロ(1,895円)と結構お高い
  • ビール価格はインフレ率よりも高い割合で毎年値上がりしている
  • しかし、彼らは値段に頓着なく、前年よりも多くお金を払い、多くのビールを飲む
  • 客は飲むだけではなく、ソーセージや鶏肉の丸焼きなどのボリュームある食事もよく注文する

という違いがあります。

ドイツの経済学者によれば「ビールの価格が1%上昇すると需要が約0.3%減少する」とのことですが、これはオクトーバーフェストには当てはまりません

ドイツでのビールの市場価格の実際は水よりも安くて、1Lあたり1.7ユーロほどなのです。

しかし、オクトーバーフェストでビールの値段を10倍に設定しても、毎年値上げしても、参加者の飲みっぷりは良いし、業者は確実に毎年利益を確保しています。

酒の陣はそんなオクトーバーフェストをお手本にしたものですが、日本での現実は大きく違っています。

「酒の陣」のそもそもの目的は収益よりPR

 

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bakaneko_kさん(@bakaneko_k)がシェアした投稿 – 2019年 3月月10日午前3時09分PDT

新潟県内83の蔵元の地酒約500種類(2019年)を試飲できるにいがた淡麗酒の陣。こんな大規模な、時間無制限の飲み放題フェスは日本のどこを探しても見当たりません。

広島には「酒まつり」がありますが、1,600円の前売り入場券で7回の試飲。これまで酒の陣がどれほど太っ腹だったのかがわかります。

2004年に新潟酒造組合が創立50周年を記念して「酒の陣・第1回目」を開催した目的は、

新潟が生んだ多彩な新潟清酒を味わい、新潟の日本酒のファンになってもらう

と言うものでした。

当時、「人が本当に酒の陣に集まってくれるのかどうかが心配だった」と酒造組合の会長さんが感慨深げに酒の陣を振り返っています。

そこで、人を集めるために酒の陣では「飲み放題、時間制限なし」とのアイデアが湧いたのかもしれません。

増加し続ける「酒の陣」参加者が問題に

しかし、会長さんのそんな心配をよそに、酒の陣の参加者は年々増加する一方。しかも、メディアの画像をみると、参加者のほとんどが若い人。女性の姿もかなり多く見られます。

「日本酒はおじさんのイメージ」などといまだに言われていますが、中高年男性を見つけるのは難しいほどなので、若い人たちに日本酒の裾野が広がっているのかも、と嬉しくなります♪

しかし…

①「酒の陣」で危険レベルの泥酔者増加

本年度の酒の陣参加者はゆうに14万人超え。

飲み放題で時間制限もなし、の酒飲み天国・酒の陣では泥酔する人が出るのは当たり前。もちろん、この状況は今年だけではありません。毎年新潟駅の前で転がっている人も見かけます。

来場者に新潟の地酒を知って味わってもらい、蔵元との会話も楽しんで新潟の日本酒の理解を深めていただく

という本来の趣旨からは遠ざかり、中には「飲まなきゃソン」「モトをとらなきゃ」精神を発揮して全蔵制覇を試みる人まで出る始末。

これでは新潟の地酒を楽しむ、という本来の趣旨に反して健康まで壊してしまう恐れがあり、最悪の場合、「死」という結末を迎えるかもしれません。

1,「おちょこ30ccで全83蔵飲み比べ」の恐ろしさを知ってる?

83の全蔵制覇を成し遂げたい人はどれくらいのアルコール(エタノール)量が体内に入るのかをご存知でしょうか。ここで計算してみましょう。

 

①おちょこに毎回30cc(大さじ2杯)ほど注がれるとして、飲んだ日本酒量は30cc×83蔵=2490cc。

⬇️

②酒の陣で振る舞われる日本酒の平均アルコール度数が15度だとすると、体内に取り込まれる純アルコール量は約302g

⬇️

昏睡状態 or 死亡

2, 純アルコール300g以下でも危険

300gは人間の致死量とされているアルコール量です。

また、アルコール致死量は個人によって差があります。300g以下でも危険、ということも頭の片隅に入れていた方がいいかと思われます。

このユーザーさんは酒の陣にこれまで2回参加して、各回「60杯飲んでいる」ということなので、30cc×60杯で1800cc(一升瓶1本)を召し上がっておられる、との事

新潟の蔵元さんは太っ腹なので、おちょこになみなみとつがれることもあるので一升瓶以上飲んでいる、と推察する方が妥当かとも思われますが…。

とりあえず30ccで計算してみます。

それだけの量をお飲みになると、270gの純アルコールを体内に摂取することになります。この量を飲むとアルコールの血中濃度は0.4前後。すなわち以下の結果となる可能性が大です。

血中アルコール濃度が0.4%を超えた場合、1〜2時間で約半数が死亡する。

出典:ウイキペディア「急性アルコール中毒」

女性の場合は、アルコールの代謝能力が劣っているし、ホルモンも関係しています。なので、上記の半量で急性アルコール中毒になる可能性もありますので、くれぐれもご注意をお願いします!

②「酒の陣」で救急車出動

酒の陣で83蔵制覇して日本酒2.5リットル飲んでしまった、とまではいかなくても、少々飲みすぎるのは新潟地酒愛の表れ、とも言えます。しかし、救急車を呼んだり、よそ様に面倒を見てもらうほど飲むのは大人の嗜みからはかけ離れています。

せっかく蔵元さんたちが大切に造り上げた日本酒を味わいつつ楽しむのではなく、ただ「元をとってやれ」精神で飲み続けるなんて、日本酒ファンとして未熟者です(失礼)。

来場者が自分で自分を制御できないのだから、過飲酒による不名誉な事故が発生する前に企画者側から酒の陣に制限を設けるのは実に理にかなっている、と言えますね。

③「酒の陣」では混雑しすぎて動きが取れない

会場内は熱気でムンムンしているので、厚着はよしたほうがいい、とのコメントもありました。

④「酒の陣」の当初の趣旨から遠ざかる現状

…おっしゃるとおりです。

ドイツのオクトーバーフェストとは雲泥の差。「酒の陣」は赤字で蔵が持ち出し

「芋の子を洗うような混雑ぶり」の見た目とは裏腹に、実は酒の陣は赤字です。

まさかとは思いますが、新潟地酒を酒の陣会場で試飲する人は多いけれど、購入する人は少ない、ということなのでしょうか。

酒の陣が収益を目指すものではなくPRイベントという性格上仕方のないことですが、その赤字は酒造組合の持ち出し、すなわち各酒造の負担となっています。

「酒の陣」でここまでやっても日本酒出荷量は減少

もともと採算を度外視した設定ではありましたが、毎回苦労して酒の陣をここまで盛り上げても、新潟県の日本酒出荷量は6.8%低下。

これは新潟県に限ったことではありませんが、日本酒消費量日本一を誇る新潟県がこの数字では、全国の日本酒造さんもがっくりと肩を落とすことでしょう。

若者の日本酒需要開拓が目的の1つでもあった酒の陣の盛況ぶりですが、蓋を開ければ真逆の結果なのです。

それなのに依然として、酒蔵が持ち出しをして、販売スタッフを雇う経費も負担してまでPRイベント。その上、酔っ払い増加で看護要員まで自腹で手配しておかなければならない…と出費が嵩む一方では、このままでは酒の陣のイベント自体を続けることも危ぶまれる事態に陥るかもしれません。

それなのに、酒の陣の回数券制に異を唱える人も少なからずおられます。

「酒の陣」飲み放題に終止符、に反対の意見も

「従来と同じ入場料2500円(前売りは2000円)で、20枚(12枚ではありません)の回数券が付く」「500円で10枚の追加券購入可能」ってことは実質飲み放題と同じ量が飲めるのでは、とも思えますが…。

ごく普通の人にとっては20回のおかわりは新潟日本酒の味をしみじみと堪能するには十分な量。どうか大きな心で新潟の日本酒を味わって楽しんでください。

新生「酒の陣」は新潟の食にも焦点を当てるフェスへ変身♪

さて、2020年からの新生「酒の陣」のポイントをご紹介します。

会場は、従来の朱鷺メッセ(新潟市中央区)と、近接する万代島多目的広場(大かま)の2会場となり、

【朱鷺メッセ】
・朱鷺メッセは「酒蔵会場」で、前売り2,000円で20回試飲回数券付きの入場券
・20歳未満は入場禁止
・日本酒の種類によっては、1回の試飲につき1〜3枚の券が必要
・500円で10回試飲できる追加券が購入できるが、泥酔した客は購入をお断りされることも
・従来どおり屋台料理あり
【大かま】
・入場無料で子どもも可。家族連れで楽しめる
・「居酒屋会場」で、屋外ブースでは地元食材の肉や魚、野菜を使った郷土料理やご当地グルメなどを販売
・屋内は1,300人分の飲食スペース。椅子席もあるが立ち飲みも可能
・新潟日本酒を使ったカクテルを出すバーもある
・日本酒販売所もある

以上、運営方法の刷新で泥酔防止や混雑緩和を目指しています。

新潟の日本酒をゆっくりと味わいたい方、新潟グルメを楽しみたい方は、ぜひご参加ください!

「酒の陣」の「時間無制限飲み放題」のルール変更は『原点への回帰』

酒の陣, にいがた, 2020
photo by Niigata Visitors & Convention Bureau

にいがた淡麗酒の陣、2020年の告知ではこう書かれています。

一杯一杯を味わいながら、飲みすぎることなくお楽しみいただきたい。

酒の陣はガブ飲みするイベントではありません。蔵人たちの日本酒への深い思い入れを知り、コミュニケーションも楽しみながら新潟の地酒への理解を深めて、日本酒の良さを再認識する場です。

酒の陣でなければ手に入らないレアな日本酒もあります。新潟でしか食べれない採れたての食材を堪能する楽しみもあります。

2020年からは食のブースが独立するので、(酒の陣には入場禁止の)子供さんでも入場料無料で新潟ご自慢の食事を堪能できる、という楽しみが増えました。

また、日本酒に弱い人でもカクテルや割りものなどのドリンク類が充実するので、日本酒ファンに限らずお祭り意識で参加が可能となっています。

酒量を競うような飲み方ではなく、好きなペースでじっくりと飲むフェスへと回帰する酒の陣を、今後ともよろしくお願いいたします。

※為替レートは2019年10月を参照しています。










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