
今回は日本酒と健康の関係性について解説していきます。日本のことわざに「酒は百薬の長」というものがあります。このことわざには、適量のお酒は体にとっていい影響をもたらすという意味があります。
今回はお酒が本当に健康にいいものなのかを含め、日本酒と健康に関する豆知識をいくつか紹介していきます。
日本酒は本当に健康にいい飲み物なの?
日本酒は、アミノ酸をはじめとする700以上の栄養成分を含んでいます。そのためビールや焼酎など、他のお酒よりも健康にいいイメージを持たれることが多いです。確かに日本酒は他のアルコール飲料と比較すると栄養をたくさん含んでいますが、日本酒に含まれる栄養成分はごくわずかであり、アルコールが与える悪影響の方が優ってしまうのです。つまり、日本酒が健康にいい飲み物だとは断言できないと言えます。
日本酒を含め、適量のお酒が健康にいいというイメージはどこから出てきたのでしょうか?適量のお酒が健康にいいというイメージは、「Jカーブパターン」というものが深く関係しています。
Jカーブパターンとは、飲酒量が一定の数値を超えると死亡率が上昇するが、一定の数値に達するまでは死亡率は低下するというものです。このJカーブパターンが、一定の数値を超えないアルコールは健康にいいことに対する裏付けとなっています。
しかし実際には、Jカーブパターンが当てはまるのは一部の病気のみであり、脳卒中や肝臓の病気に関してはアルコールを摂取することでリスクが高まってしまうことがわかっています。
結論としては、日本酒を飲むことで健康になる確証はありません。しかし適量を守っていれば、日本酒が体に悪影響をもたらす可能性もかなり低いです。つまり大切なのは、適量を守って日本酒を飲むことだと言えます。
お酒を飲みすぎるとどうなる?
厚生労働省が示す適度な飲酒量は、純アルコール換算で1日20グラムとなっています。世の中には、お酒が強い人もいれば弱い人もいるため一概には言えませんが、適度な飲酒量を超えて飲酒してしまうと体に悪影響をもたらす可能性があります。ここでは、お酒を飲みすぎると体にどのような影響が出るのか解説していきます。
肝臓への影響
肝臓は体内に入ったアルコールを分解する機能を持っている臓器です。肝臓が処理できないほどのアルコールを摂取してしまうと、肝臓に大きなダメージを与えてしまうことになります。はじめは肝炎など軽い症状でも、肝硬変や肝臓がんなど重大な病気に発展してしまう可能性があります。
また肝臓は脂肪を分解する機能があるのですが、アルコールを分解している間は脂肪の分解が止まってしまいます。そのためアルコールの分解に時間がかかるほど大量のお酒を飲んでしまうと、肥満の要因にもなってしまいます。
膵臓への影響
アルコールは膵臓にも確実にダメージを与えています。アルコールの過剰摂取が原因で膵炎を発症してしまい、膵炎がひどくなると激しい痛みを伴う急性膵炎を発症してしまうこともあります。
膵臓の病気で最も深刻なのが膵臓がんです。膵臓がんは数あるガンの中でも治療が難しいガンであるとされており、特に注意が必要な病気です。
脳への影響
アルコールを過剰に摂取してしまうと、脳細胞が死んでしまい、脳が萎縮してしまうことが最近の研究から判明しました。基本的に脳は加齢によって萎縮してしまうのですが、アルコールが萎縮のスピードを速めてしまうのです。
どれくらいの量で脳に影響が出るのかはまだわかってしませんが、確実に脳へのダメージは蓄積されていくため、やはりアルコールは適量の摂取を意識しなければいけません。
お酒が弱い人は特に注意
お酒を飲むとすぐに顔が赤くなってしまう人、このような方は特に注意が必要です。顔が赤くなってしまうのは、アルコールが分解された時に発生するアセトアルデヒドが溜まっている証拠です。アセトアルデヒドは発がん性物質の一つであり、アルコールが弱い人は特にガンへのリスクが高まると言われています。
もちろんアルコールを飲んだらすぐに癌になってしまうわけではありませんが、お酒が弱い人は特にアルコールの過剰摂取に注意しましょう。
大切なのは自己管理
ここまでの内容では、お酒が体に与える悪い影響にフォーカスを当ててきました。しかしここまで紹介した内容は、お酒を飲みすぎた場合には発症する可能性がある病気であり、お酒を飲んだから必ず発症するというわけではありません。
お酒を飲むことで、人と腹を割って話すことができる、ストレス解消になるなどたくさんのメリットもあるのです。結局大切なのは自己管理であり、自己管理がしっかりできていればお酒を飲んでもそれほど健康を害することはないでしょう。ここからはお酒を健康的に飲む場合に意識してほしい5つのポイントを紹介していきます。
ほろ酔いで抑える
アルコールを上手に飲むためには、ほろ酔い程度で押さえておくことが大切です。飲むアルコール量の目安としては、ビール1~2本、日本酒1~2本であり、それ以上は飲まないように気をつけましょう。
つまみを考える
お酒を飲む場合には、以下のつまみをなるべく摂取するように意識しましょう。
・貝類
貝類はタウリンが豊富で、肝臓の解毒作用を高めてくれます。貝類を摂取することで肝臓を守ることができます。
・豆腐、チーズ、鮭
これらの物質には良質なタンパク質が豊富に含まれており、肝機能を高めることができます。
・落花生、えんどう豆
落花生やえんどう豆には、ビタミンB1が豊富に含まれています。ビタミンB1はアルコールを分解する時に必要な成分であり、アルコールの分解を助けてくれます。
・牛乳、ヨーグルト
お酒を飲む直前に牛乳やヨーグルトを摂取すると、胃の粘膜を保護し急速なアルコールの吸収を抑えることができます。
お酒を飲む際は、アルコールの分解を助けてくれる食べ物を意識して摂取するようにしましょう。
休肝日を設ける
少ない量でも毎日お酒を飲んでいると、肝臓がアルコールを分解しきれなくなってしまいます。そのため少なくとも週に2回は休肝日としてお酒を飲まない日を作り、肝臓を休ませてください。
チェイサーや和らぎ水を用意する
お酒を飲む際には、チェイサーや和らぎ水を用意しましょう。アルコール度数が高いお酒を飲むと、胃腸や肝臓に大きなダメージを与えてしまいます。水を一緒に飲むことで、胃腸や肝臓への負担を減らす効果があります。
またアルコールは高い利尿作用があり、しっかりと水分補給をしていないと脱水症状に陥ってしまう可能性もあります。そういった意味でもチェイサーや和らぎ水は重要な役割があると言えます。
ゆっくり飲むようにしよう
大量のお酒を短時間で摂取してしまうと、アルコールの分解がうまく進まず酔いが回りやすくなります。そのためお酒を飲むときはゆっくり飲むことを意識しましょう。
どうしても早く飲んでしまうという方は、熱燗がおすすめです。熱燗にすることで少しずつ飲むことができます。また人間の舌は常温よりも高い温度の方が味わいを感じやすいため、胃の中でのアルコールの吸収がよくなります。結果として自分の酔い具合がよくわかるようになります。
お酒を飲む際は、上記5つのポイントを意識して飲んでみてくださいね。
まとめ
今回は日本酒と健康というテーマで記事を書いてきました。日本酒はアミノ酸などたくさんの栄養素を含むお酒ですが、飲み過ぎてしまうと体に悪影響をもたらすものになってしまいます。
お酒の適量は人それぞれなので、大切なのは自分にとってどれくらいが適量なのか知ることだと言えます。お酒を飲む際は、飲み過ぎないように注意して楽しく飲むようにしましょう。