
今や飛ぶ鳥を落とす勢いの「獺祭(だっさい)」。
海外への拡販を図る旭酒造は、アメリカ・ニューヨーク州で酒蔵建設の地鎮祭を済ませ、国内においては高品質の山田錦を作った農家に対して、目の玉が飛び出るほどの値段で酒米を購入する、と宣言しました。
何かと「質の良い日本酒を普及させるためには金は惜しみません」的なパフォーマンスが目立つ獺祭。そのメインは純米大吟醸規格の日本酒。だからこそ、「獺祭は全種類高い」というイメージを抱いている人がいるのも事実です。
そこで今回は、
- 720mlでお値段2,000円以下の獺祭種類
- 720mlでお値段1,000円の獺祭
- 獺祭の種類別スペック、味、飲み方
をご紹介します。
獺祭の値段は安くはない、という先入観のために飲んだことがない方も、すでに獺祭ファンの方も、手頃な値段の獺祭の種類を再確認していただき、次回の購入時の参考にしていただければとっても嬉しいです!
種類と値段を知る前に理解しておきたい「獺祭」の意味
獺祭は中国由来の言葉で、「カワウソが捕らえた魚を岸に並べて、まるで祭りをするように見える」からだそうですので、それはそれで可愛いと思いますよw。 pic.twitter.com/Rnqwqvi9yB
— ねこざき (@nekozaki) January 24, 2018
日本でトップクラスの知名度を持つ獺祭。獺祭ファンなら「獺祭」と命名された由来と意味はすでにご承知でしょうが、獺祭が初めての方にちょっとだけ説明します。
- 獺とはカワウソのこと。獺祭を造る旭酒造がある山口県岩国市周東町獺越(おそごえ)にもカワウソの一文字が入っており、その地には昔カワウソが子供を追いかけてきた、などの伝説が残っている。
- カワウソには、獲った魚をすぐには食べず、一旦川岸に並べてから食べる、という習性がある。その姿はまるでお祭りで神様にお供え物をするかのように見え、あるいは研究熱心な人が机の周囲に多くの種類の資料を並べているかのように見える。
- 多くの追随者を生み、毛沢東もファンであった中国唐時代の詩人「李商隠」は、多方面にわたる種類の資料を机の上や周囲に並べていたことから、友人から獺祭とニックネームをつけられていた。
- 俳句の革新や日本の近代文学の発展に大きな影響を及ぼし、結核を7年間患った後34歳でこの世を去った正岡子規。彼は病床にありながらも枕元に多くの種類の資料を並べ置き、後学たちの指導にあたっていた。その様子をカワウソの習性になぞらえて、自ら「獺祭書屋主人」との別号を用いている。
獺祭サイトでは正岡子規の例を挙げて、「獺祭」の意味と名付けた経緯を説明しています。
「酒造りは夢創り、拓こう日本酒新時代」をキャッチフレーズに伝統とか手造りという言葉に安住することなく、変革と革新の中からより優れた酒を創り出そうとする弊社の酒名に「獺祭」と命名した由来はこんな思いからです。
現状を打破し改新した人物は「獺祭」という言葉とは無関係ではないことから、その偉大な業績にあやかるために「獺祭」と名付けた、ということと理解できます。
ところで、カワウソは本当に魚を並べるのか?
ここで、獺祭の意味はわかったけれどせっかくの獲物を川岸に並べるって本当?とか、なぜ誰かに盗られるようなことをするのかな、など疑問が湧いてきませんか?
その答えは、下のとってもキュートなカワウソの動画で見つけてください。
お急ぎの方は4分20秒あたりからご覧あれ!
出典:「kawausosu」獺祭をするユーラシアカワウソのユイ&オッチー at ズーラシア
多種類のエピソードがある獺祭
普通酒「旭富士」を造っていただけの酒造が、今日では世界中に多くのファンを持ち、多種類の獺祭を生み出すビッグな企業に成長。旭酒造が「世界の獺祭」にのし上がっていく舞台裏でのトピックも少なくありません。これから商売を始めたい人、傾いた家業をなんとか持ち直したい人も参考にできる「逆境を成功にかえる経営戦略」を行い、見事勝ち組になった見本が獺祭です。
その中でも、特に印象に残るエピソードやこれからの新しい取り組みを2種類ご紹介します。
嗅ぐだけで水の種類がわかる酒造り職人・桜井博志会長
現在では旭酒造会長である桜井博志氏は、社長時代の2012年にTV番組「ほこ×たて」に出演しています。
内容は、どんな水もミネラル水に変えてしまう最強の浄水器の水と4種類の天然水を利き当てる、というものでしたが、桜井氏は見事に勝利獲得!
この番組で旭酒造の社長には水を嗅ぎ分ける才能がある、ということが公になり、放映後には混乱に陥るほどの注文が殺到したそうです。
「山田錦」1俵のお値段50万円でお買い上げ
酒造りの進化を目指してとどまることを知らない獺祭の旭酒造。次なる試みは、日本酒に適したお米の種類である酒造好適米を作る農家の情熱に拍車をかけることです。そこで、高品質の山田錦を農家に作ってもらうために、
- 50俵以上を1単位として出品してもらう。
- 出品していただいた山田錦を機械分析し、1〜3位を決定。
- 1位に輝いた山田錦は1俵*あたり50万円の値段で買い取る、つまり1位の農家は最低でも総額2500万円が手に入る。
というコンテストを開催することを決定しています。
通常、山田錦は1俵2万円の値段で取引されているのが現状。それが、50万円に大幅アップされると聞いては、農家の方もモチベーションが上がります!加えて、このコンテストは毎年開催されるとのことで、今後山田錦の品質もますます向上していくものと予想されます。
また、獺祭の旭酒造にも「兵庫県の特A地区産特上米**」を上回る山田錦が手に入ることになるでしょう。
ということは、
- 農家にとっては買取り値段が高いので苦労のしがいがあり、お金もたっぷり入る
- 旭酒造はさらに高品質の種類の獺祭を造って、もっと宣伝できる
- 消費者はさらに旨い種類の獺祭が飲める
と、「三方よし!」の状況になるというわけですね。
- 土地がマグネシウムとリンを豊富に含んでいる
- 土の種類は粘土質で水はけ良し
- 夏季の気温格差は10℃以上
- 六甲山地の北側に位置する
- 主に三木市や加東市で栽培
なお、山田錦は兵庫県だけではなく、東北地方から九州まで栽培されています。
「酒造好適米」「山田錦」などお米の種類について詳しく知りたい方はこちら
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さて、トップからして凄腕酒造り職人であり、攻めのビジネスパーソンでもある会長を持つ旭酒造の獺祭。
獺祭のすべての種類の値段は高い、との思い込みでなかなか手が出せない人も多いのですが、そんな方はまず獺祭の入門酒として値段が低い種類の獺祭から「お試し」してみてはいかがでしょうか。
では、ここから値段を低く抑えてある獺祭にはどんな種類があり、どのような飲み方をすればその味わいを楽しめるのかをご紹介していきます。
お値段超お得、2,000円以下で買える【獺祭】純米大吟醸酒の種類と飲み方
今や日本だけではなくワールドワイドなSAKEに進化した獺祭。それでも庶民のお財布に優しい獺祭もあります!
ここからは、懐具合を気にせずに楽しめるお値段の獺祭純米大吟醸の種類をご紹介していきます。基準は精米歩合50以下、容量720ml、正規取引店の値段です。「味」は口コミを参照してまとめたものです。
「精米歩合」について詳しく知りたい方はこちら
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数ある種類の中で人気No.1「獺祭 純米大吟醸 50」値段:1,539円
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山田錦を50%まで磨いた獺祭純米大吟醸50。獺祭が造る純米大吟醸にしてはお値段も低め設定ということもあり、人気の種類です。ただし、獺祭純米大吟醸50に限らず、値段を上乗せして売っているところもあるのでご注意!
獺祭 純米大吟醸50 4合瓶 2500円
ちょっと前にブームになって以来、純米大吟醸の大定番になった一本。
フルーティーな香りで口当たりがよく、良い意味で日本酒らしくない。日本酒への苦手意識が強い人にオススメ。私的には冷を推奨。
Amazonだと1500円で買えた。悔しい。
#日本酒感想メモ pic.twitter.com/yAbz1156df— たけ (@takef2201) 2019年2月18日
種類 | 獺祭 純米大吟醸50 |
スペック |
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飲み方 |
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味 |
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値段 |
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急げ〜!期間限定種類「獺祭 純米大吟醸48 寒造早槽」値段:1,695円
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獺祭寒造早槽(かんづくりはやぶね)は獺祭純米大吟醸50と獺祭磨き三割九分をブレンド。種類は期間限定酒。10月から3月までの販売です。火入れなしの生酒で、リンゴのような爽やかな香りとフルーティーな風味が特徴。
獺祭純米大吟醸50と比べてみると、最初に感じるのは口に含んだ時の柔らかさ。ソフトな味わいながら香りは強く生酒らしい味わい。
飲み口はあっさり系で、余韻が少なくサラサラと飲んでしまえる種類の生酒です。気付けば半分も飲んでしまった、なんてことになるので油断は禁物♪
注意していただきたい事はもう1つ、保存方法です。火入れ処理なしの生酒なので当然冷蔵保存。開栓したらなるべく早く飲んでしまってください。
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獺祭 純米大吟醸48 寒造早槽
開栓しました🍶
流行りなだけでしょっと甘く見てました(>人<;)
旨いじゃないですか:(;゙゚’ω゚’):
酸味甘味キレ!バランスよく美味しい⤴️流行る訳だ🤔 pic.twitter.com/ANgC88EbSO— ねこさん (@mike1sham1kiji1) 2018年2月1日
種類 | 獺祭 純米大吟醸48 寒造早槽しぼりたて生 |
スペック |
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値段 |
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炭酸系種類といえば「獺祭 発泡にごり 純米大吟醸50」値段:1,944円
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獺祭大吟醸50を瓶の中で二次発酵させているため、グラスに注ぐとスパークリングワインのようにシュワっと泡立ちます。あっさりした味わいながらも香り高く、後味もスッキリする種類で、女性ファンが多いのも納得の味わい。華やかなパーティーにもぴったりです!
ただ、開栓するときは注意してください。炭酸のせいで噴出して半分くらいしか飲めなかった、なんて事態になることもあります。
「発泡にごり酒」の安全な開栓方法」について詳しく知りたい方はこちら
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by『二喬』暑い季節、例えキンキンに冷やしていても、強い発泡性を帯びたSake達の開栓はドキドキします。《獺祭 発泡にごり50 純米大吟醸》は口に含むと米のコクも心地良いシュワシュワ感も一体となって楽しめます♪人気も納得です^^ pic.twitter.com/iEw7PTT5qT
— ◇ryusei◇_nikyo (@dragonstar_k) 2013年6月21日
種類 | 獺祭 発泡にごり 純米大吟醸50 |
スペック |
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値段 |
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種類は規格外でも山田錦「獺祭 等外 (精米30%)」 値段:1,404円
米粒が小さい、欠けているなどの理由で、審査を通らなかった山田錦。旭酒造では、審査ではねられたお米(等外米)も買い取って日本酒にすることで、酒米造り農家の負担も減らしています。
しかし、等外米使用の日本酒は、どんなにハイスペックであっても普通酒扱い。大吟醸並みの味わいでこの値段は、まさに庶民の味方!
ただし、等外米を磨く時にムラができるので、等外米使用の日本酒は瓶詰め後の劣化が早くなります。製造年月を確認して、瓶詰め後3ヶ月以内に飲みきってください。
等外米をちゃんと使った上で消費者に割安で提供したり、大量生産の仕組みを作って定価で安定供給したり、消費者や原材料提供元に優しい形の合理性を追求してて本当に獺祭は、旭酒造は素晴らしい蔵だと思う
— わふっ (@waffu_wafu) 2019年2月19日
種類 | 獺祭 等外 (精米30%) |
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獺祭の種類と値段まとめ:お値段1000円!米の種類はアメリカ産カルローズ米 「獺祭 試(ためし)」
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山口県の人口600人の村で細々と日本酒を造ってきた旭酒造は、今や世界中に名の知れるSAKEメーカーに成長。最近では、甲子園球場1.6個分にあたるニューヨーク州の敷地を購入し、米国酒造の建設に取り掛かっています。その目標はアメリカでのSAKEマーケットをより拡大すること、日常的に飲まれているワインと同等の値段で買える純米大吟醸の生産を行うことにあります。
そのプロトタイプとして造られた純米大吟醸クラスの日本酒が「獺祭試(ためし)米国産米カルローズ80%使用」。残りの20%は山田錦を使用しています。
精米歩合は「獺祭二割三分」と同じ23%、酵母も同じ種類。ネットでは味わいも遜色ない、とのレビューが多く見られました。
「獺祭試」には23%精米の他に60%、50%も揃っています。50%精米に使われた米はカルローズ100%です。
いずれも720mlで1,000円なので売り切れ必至。見つけたら即買いをお勧めいたします!