
日本酒は日本古来のお酒であり、日本人であればぜひ嗜みたいお酒だと思います。しかし日本酒にそれほど馴染みがない場合、よく分からないことが多いと思われます。
そこで今回は、日本酒ビギナーの方向けに、日本酒に関する素朴な疑問をいくつか紹介し解決したいと思います。
これから日本酒を飲んでみようと思われる方はぜひチェックしてみてくださいね。
日本酒に関する素朴な疑問①:特撰・上撰・佳撰って?
日本酒売り場を覗いてみると、特撰・上撰・佳撰と書いてある日本酒を発見することがありますね。
上記のような〇〇撰は、基本的には日本酒のランクを示すものとして使用されている表示です。
特撰が最も上のランクであり、佳撰が最も下のランクとなっています。
特撰・上撰・佳撰の基準は酒蔵によってさまざまです。
そのため、特撰だから美味しいお酒だと考えてしまうのは大きな間違いです。
特撰・上撰・佳撰のような〇〇撰という呼び方は、古くからの名残によるものです。
1990年に特定名称酒の制度が始まり、純米酒、純米大吟醸酒、吟醸酒と法律に則って名乗ることができるようになりました。
それ以前は、特級・一級・二級という呼び方を行なっていましたが、1992年にその呼び方ができなくなりました。
酒蔵の中には特撰・上撰・佳撰という呼び方を気に入っていた酒蔵もあり、そのような酒蔵が代わりに今回紹介した特撰・上撰・佳撰を使用しているのです。
特撰・上撰・佳撰という呼び方は法律に則った呼び方ではないですが、日本酒選びの参考になる呼び方ですので、ぜひ知っておきましょう。
日本酒に関する素朴な疑問②:仕込み水って何?
日本酒を造るときに使用する水を「仕込み水」と呼びます。酒造りを行う際、材料である米と麹は他の場所から持ってくることができます。
しかし大量に使用する水に関しては、他の場所から持ってくることは困難であり、酒造りを行う土地の水を使用するしかありません。
そのため酒蔵によっては、水を求めて酒造りを行う場所を決めているものもあるのです。
日本は水資源に恵まれた国です。「名水百選」に選ばれている水を使用して酒造りを行う酒蔵もありますが、名水を使用しているからといって必ずしも美味しい日本酒ができるとは限りません。
仕込み水としてまず大切なポイントは、“鉄分やマンガンが少ないこと”です。
鉄分やマンガンは、麹の作るペプチドと結合してお酒を変色したり、劣化させたりする原因になるため、名水よりも鉄分やマンガンが少ない水が酒造りに向いているのです。
日本で酒造りが有名な灘や伏見は、鉄分やマンガンが少なく質の高い水が豊富にあるため、酒造りの地として今日まで発展してきたのです。
仕込み水によってお酒の味は大きく変わります。仕込み水が軟水の場合には「女酒」と呼ばれ口当たりがまろやかなお酒に仕上がります。
一方、仕込み水が硬水の場合には「男酒」と呼ばれ芯のある辛口のお酒に仕上がります。
仕込み水は、もろみ造り、酒母造り、蒸し米、浸漬、洗米など酒造りのいろいろなシーンで使用されます。
日本酒は米と米麹と水で造られ、その約8割を水分で占めており、仕込み水によってお酒の味が変わることも納得です。
日本酒に関する素朴な疑問③:麹って何?その役割とは?
純米酒のラベルを見てみると、原材料に「米、米麹」と書かれてあります。麹はお酒を造る時の大切な原材料の一つです。
麹は蒸し米に麹菌が生えたものです。麹菌の出す酵素がデンプンを分解して、グルコースにすることで酵母の餌になり、発酵が進みます。
麹菌が生み出す酵素はたんぱく質やでんぷん質を分解して旨味や甘味を作り出します。
ご飯を甘くしたり、魚や肉をやわらかくして旨味をアップさせたりする力は、麹菌が作り出す酵素によるものなのですね。
酒造りを進める上で、麹を作ることが最も大切な工程であるとも言われており、麹の働きによって酒の質や味わいに大きな変化が生まれることは間違いありません。
日本酒に関する素朴な疑問④:酵母って何?その役割とは?
酵母は英語で「イースト」と呼ばれます。パンが好きな方であれば「イースト菌」を知っているのではないでしょうか?
酵母が糖分を食べてアルコールと炭酸ガスを出すのがアルコール発酵です。そうしてできたアルコールを売るのが酒蔵で、炭酸ガスでパンを含ませるのがパン屋さんです。
酒蔵もパン屋さんも、同じ酵母を使用して食材を作っているという点では同じだと言えますね。
酵母の働きはワイン造りにも使われています。ブドウの搾り汁を樽に入れて時間が経過すると、自然に泡が出てきてお酒になります。これはブドウの皮についている天然酵母の働きによるものです。
ブドウに含まれる糖分と酵母がくっつくことで発酵が始まります。このような単純な発酵を「単発酵」と呼びます。
日本酒は麹が米のデンプンを解体し、酵母の働きによって分解された糖分からアルコールと炭酸ガスを生み出します。
日本酒造りは麹と酵母が呼吸を合わせて同時進行させないと上手くいかない作業なのです。日本酒造りに見られるこのような発酵のことを「並行複発酵」と呼びます。
日本でお酒造りは遥か昔から行われてきましたが、酵母の力が解明されたのは明治時代のことです。
お酒好きならば麹菌による働きだけでなく、酵母の働きもしっかり理解しておきたいですね。
お酒に関する素朴な疑問⑤:酒粕とは?酒粕と甘酒の違いとは?
酒粕は酒を搾ったあとの固形分です。カチカチになるまでお酒を搾った「板粕」、槽で丁寧に搾った酒粕は「バラ粕」と呼ばれ、少しお酒が残っておりしっとりしています。
蔵では搾りたての酒粕をタンクに入れて空気を抜くように膨らまします。その後1年くらい熟成させると茶色くなり、「ふみ粕」が出来上がります。
ふみ粕は甘くて旨味たっぷりのどろっとした酒粕です。
このように一概に酒粕といってもさまざまな種類があるのです。
圧搾機を使用し酒の液体分をしっかり搾りきったかたい板状の酒粕。
・バラ粕
槽搾りによってできた酒粕は、酒分が少し残った状態。板粕よりもやわらかく溶けやすいのが特徴。
・ふみ粕
搾りたての酒粕をタンクに入れて足で踏み、空気を抜いて1年くらい熟成させたもの。やわらかくなり、風味と旨味が増して漬物の漬け床などに利用される。
一般的に甘酒はノンアルコールドリンクで、麹の酵素で米のデンプンを甘みに変えたものです。
甘酒には大きく分けて2つの種類があり、それぞれ「麹甘酒」「酒粕甘酒」です。
先ほど書いたように、麹で作られる甘酒はノンアルコールドリンクですが、酒粕から作られる甘酒はアルコールが含まれています。
そのため酒粕甘酒を子供が飲むことはできません。
江戸時代は暑さで体力が下がること、感染症や食中毒がはやったことなどによって夏場が最も死亡率が高かったと言います。
甘酒は高濃度のブドウ糖、必須アミノ酸、ビタミンB群など栄養素が豊富に含まれているため、江戸時代から夏場に人気のドリンクでした。
飲む点滴とも呼ばれる甘酒はぜひ取り入れたい食材だと言えますね。
まとめ
今回は日本酒ビギナー向けに、日本酒にまつわる5つの素朴な疑問を紹介、解説してきました。
日本酒は古くから日本人に愛されているお酒です。また日本酒を造る際に出る、酒粕などの副産物も人気のある食材です。
これまで日本酒に馴染みがなかった方も、今回の記事をきっかけにぜひ日本酒を嗜んでみましょう!